医者の離婚|離婚を考える理由や財産分与、注意点などを解説
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
医者の家庭は、他の職業に比べて平均年収が高いといわれるため、裕福なイメージがあるかもしれません。しかし、他の職業に比べて離婚率が高いともいわれており、離婚においては、高収入であることがトラブルの火種となるケースも少なくありません。
本記事では、ご自身や配偶者が医者である場合に生じやすい離婚問題について解説していきます。医者の離婚について悩まれている方は、ぜひご覧ください。
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【動画で解説】医者の離婚|離婚原因と財産分与
医者は離婚率が高い?
日本には、現時点で医者の離婚率を示す確かな統計はありません。しかし、医者は他の職業と比べて、「離婚率が3倍近く高い」ともいわれています。
医者は収入や社会的地位が高く、結婚したい相手の職業ランキングなどでも上位に選ばれていますが、過酷な労働環境やストレスから心身に不調をきたし、夫婦関係の悪化につながるケースも多いのが実情です。
そういった意味では、確かな統計がなくても、医者特有の働き方によって夫婦間にすれ違いが生まれ、離婚率を高めていると考えられるでしょう。
医者特有の離婚原因・理由とは?
医者特有の離婚原因・理由には、主に以下のような事情が挙げられます。
- 職場での浮気・不倫
- 激務によるストレス
- 多忙の為、家事・育児に協力的でない
- プライドが高い など
また、「収入の格差による価値観の違い」なども主な離婚原因のひとつです。もちろん、すべての医者に該当するわけではありませんが、上記の事情により離婚する医者は多いといえます。
次項では、各事情をもう少し深く掘り下げていきます。
職場での浮気・不倫
病院は、看護師などの医療スタッフや出入りの業者、患者など、多くの異性と関わる機会があります。特に、医療スタッフとは常時連携しており、容易に関係を深められるため、不倫のリスクは高いといえるでしょう。
医者は経済的にも余裕があるため、他の職業に比べて浮気に発展しやすいとも考えられます。
また、夜勤や宿直があったり、学会などで出張に行ったりと、勤務時間は一定ではなく、普段から家を空けることも多くあります。家族に嘘をついて外泊をしても怪しまれにくいという点が、不倫を助長する一因となっているようです。
激務によるストレス
医者は人の生死に関わる仕事をしており、大きな重圧を抱えています。患者からのクレーム対応や上司からのパワハラといった、対人関係の悩みもあるでしょう。
また、勤務時間が不規則なうえ、長時間労働も当たり前なので、心身に負担がかかりやすいといえます。
過剰なストレスによって精神的・肉体的に疲弊しても、「休息の時間すら確保できない」という医者は少なくありません。ストレス発散の矛先が家族に向けられ、DVやモラハラに発展するケースもあるようです。
多忙の為、家事・育児に協力的でない
勤務形態や雇用形態によって差異はあるものの、医者は基本的に多忙です。
日々の業務はもちろんのこと、休日も医療関係の勉強をしたり、急患が入れば出勤したりと、プライベートな時間はなかなかとれません。
家庭を顧みないというよりも、多忙により家事や育児に参加できず、配偶者に任せきりになってしまうケースが多くみられます。「少しは協力してほしい」という配偶者の希望に応えられず、離婚に至ることもあるようです。
プライドが高い
医者は、比較的プライドの高い方が多いといわれています。
小さな頃から周囲の期待を背負い、医者になるための勉強に没頭してきたというケースは珍しくありません。難易度の高い大学医学部に合格し、医師国家試験も突破して、自分の力で社会的地位を得ることに成功しているため、自分に自信を持っているのです。
プライドの高さは、仕事の性質上プラスに働くこともありますが、ときに妥協し、譲歩することが求められる夫婦関係においては、離婚の引き金となる場合もあるでしょう。
医者が離婚する際の財産分与はどうなる?
医者は一般的に高収入なため、財産分与の対象となる財産(=夫婦の共有財産)も、高額になることが見込まれます。そのため、財産分与では、夫婦の共有財産の範囲や、財産の評価方法などが争点となるでしょう。
財産分与の割合は、原則として2分の1ずつというルールがあります。
しかし、高額な共有財産の形成について、特別な資格の取得や技能の習得など、医者個人の努力によるところが大きいと認められる場合には、その事情を考慮して、夫婦の貢献度に応じた割合で財産分与がなされるケースもあります。
高額所得者の財産分与については、以下のページでも詳しく解説しています。
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開業医(自営)の場合
個人事業主として病院を経営している開業医の場合、事業用資産も夫婦の共有財産として扱われ、財産分与の対象となるのが基本です。
また、開業医には退職金がないため、医師年金などの私的年金や保険、小規模共済への加入といった備えをしている可能性もあるでしょう。私的年金なども財産分与の対象となり得るため、離婚時は注意が必要です。
夫婦のどちらも厚生年金に加入していない場合、年金分割はできません。
開業医は、医師免許や医療に関する技能だけでなく、“経営手腕”も備えているため、夫婦の共有財産形成への貢献度が高いと認められる場合があります。その場合、財産分与の割合は2分の1ではなく、例外的に夫婦の貢献度に応じた割合に修正される可能性があります。
医療法人を経営している場合
医療法人化した病院を経営する開業医の場合、医療法人名義の事業用資産などは、基本的に財産分与の対象にはなりません。「法人」と「個人」は法的に別人格なので、医療法人の財産と個人(夫婦)の財産は別個に扱うのが基本です。
ただし、形式的には医療法人の財産でも、実質的には個人の財産と混同しており、明確な区分けができていないようなケースでは、医療法人の財産も財産分与の対象となる可能性があります。
医療法人に対して、夫婦の名義で出資や賃借などをしている場合も、財産分与の対象となり得ます。
財産分与の割合や年金分割の考え方は、自営の場合と同様です。
勤務医の場合
勤務医は、大学病院や診療所に雇用されている給与所得者であるため、一般の会社員と同じ考え方で財産分与を行うことが多いです。たとえば、勤務先や勤続年数によっては退職金が支給されるため、退職金が財産分与の対象となるケースもあります。
また、勤務先で厚生年金に加入していれば、年金分割も可能です。
ただし、一般の会社員に比べて高収入なので、分与割合について争われやすい点に注意が必要です。医者個人の努力により高額な共有財産が形成されたといえる場合、それぞれの貢献度に応じた割合で財産分与される可能性があります。
医者の離婚に関する注意点
医者が離婚する際は、次の離婚条件に注意する必要があります。
- 婚姻費用・養育費
- 子供の親権
- 慰謝料
子供がいる夫婦の場合、親権や養育費といった問題も絡んでくるため、具体的な離婚条件を決める前に注意点をきちんと押さえておくと安心です。
次項では、各離婚条件の注意点を詳しく解説していきます。
離婚を検討されている方や離婚条件の取り決めを進めている方は、ぜひ参考になさってください。
婚姻費用・養育費
婚姻費用や養育費は、夫婦の年収などに対応した「算定表」に基づき算出されるのが一般的です。
ただし、算定表の年収は給与所得者で2000万円、自営業者で1567万円が上限なので、より多くの収入を得ている場合は個別で検討する必要があります。算定方法が争いとなるケースも多いため、注意が必要です。
婚姻費用は、基本的に収入の高い方が低い方に対して支払います。別居中であっても、離婚が成立するまでは支払い続けなければなりません。
高収入である医者の場合、金銭に関する取り決め事項も多いため、離婚の成立までに時間がかかり、婚姻費用の総額も高くなる傾向があります。
以下のページでは、婚姻費用と養育費の相場を計算できるツールをご紹介しています。ぜひ参考になさってください。
養育費の支払い期間
医者の子供は、親の影響を受けて医学部などに進学するケースも多いため、養育費の支払い期間には注意が必要です。
養育費の支払い期間は「子供が経済的に自立するまで」とされていますが、夫婦が合意すれば支払い期間を自由に決められます。一般的には、子供が20歳になるまでとするケースが多いようです。
しかし、子供が医学部や薬学部などに進学した場合は、以下の理由で自立が遅れる可能性もあるため、慎重に取り決める必要があります。
- 6年制の学部に進学した場合
- 浪人や留年をした場合
養育費の支払い期間について、さらに詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
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子供の学費
養育費だけでなく、子供の学費についても取り決めが必要です。
私立大学の医学部や薬学部に進学する場合、通常よりも高額な学費がかかるため、毎月の養育費と併せて学費も負担するケースが多いです。
その場合、養育費と学費のいずれかの負担を軽減することで、トラブル防止につながる可能性があります。たとえば、養育費の支払い終期を「大学卒業までとする」などの取り決めが必要です。
希望する進学先の学費が分かる資料や、子供の意思もきちんと確認したうえで、学費の取り決めを行うと良いでしょう。
子供の親権
親権は、医者が離婚する際に争いとなりやすい問題です。開業医などで「子供を跡継ぎにしたい」と望んでいる場合、より激化するおそれがあります。
日本では、離婚時に「単独親権」とするか「共同親権」とするか決めなければなりません。 夫婦の話し合いでまとまらなければ、調停や裁判で親権について判断することになります。
親権の判断では、子の利益と福祉が最も重視され、以下のようなさまざまな事情が考慮されます。
- 父母の監護能力
- 従来からの監護実績
- 精神的・経済的な家庭環境、居住環境、教育環境
- 子の年齢、発育状況
- 子の意思 など
親権決定までの流れや判断基準などについて、詳しくは以下のページをご覧ください。
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慰謝料
医者は高収入なため、慰謝料の金額も高くなりやすいです。
不倫やDV・モラハラなどの不法行為をし、離婚の原因をつくった側は、相手から慰謝料を請求される可能性が高いです。具体的な慰謝料の金額は、不倫やDVの期間や程度、婚姻期間、子供の有無などさまざまな要素から総合的に判断されます。
たとえば、医者である夫が不倫した場合、妻から高額な慰謝料を請求される可能性が高いです。
一方、医者の妻が不倫した場合、妻は夫よりも低収入と考えられるため、夫は自分が望む慰謝料を請求できず、争いが激化する可能性があります。
離婚時の慰謝料の基礎知識については、以下のページをご覧ください。
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医者の離婚に関するよくある質問
- Q:
離婚時は研修医でしたが、医者になり年収が上がった場合は養育費の金額は変わりますか?
- A:
研修医から医者へキャリアアップして年収が上がると、養育費の金額が変わる可能性があります。
養育費の金額は、夫婦それぞれの年収をもとに判断するため、離婚時よりも年収が上がっていれば養育費の金額も見直すべきといえます。
ただし、養育費を見直す際は、双方の年収だけでなく、子供の年齢や生活状況などさまざまな事情を考慮して総合的に判断されます。
たとえば、相手の年収だけでなく、あなたの年収も増加しているようなケースでは、養育費の金額はあまり変わらないでしょう。
- Q:
配偶者を病院の従業員としている場合、離婚の際に解雇することはできますか?
- A:
離婚を理由に、病院の従業員である配偶者を解雇することはできません。夫婦であること(婚姻関係)と、雇用契約による労使関係は分けて考える必要があるためです。
労働者は法律によって保護を受けており、解雇するには正当な事由が必要となります。
離婚は解雇するための正当な事由になりませんので、離婚を理由に配偶者を解雇すれば、当該解雇は無効となります。また、離婚を理由に、配偶者の待遇を下げるなど不当に扱うことも許されません。
- Q:
配偶者の実家の医院を継ぐために相手の両親と養子縁組している場合、離婚によって養子縁組は解消されますか?
- A:
離婚しても、配偶者の両親とした養子縁組が当然に解消されることはありません。養親と養子の間でしっかりと話し合い、離縁の手続きを行う必要があります。
離婚後に離縁の手続きを放置すると、養親が亡くなった後に相続が生じてしまいます。相続の発生により元配偶者とトラブルになるおそれがあるため、離婚する際は離縁の話し合いも忘れずに行っておきましょう。
医者の離婚問題は弁護士にご相談ください
医者は高収入なため、通常の離婚とは異なる問題が生じやすいです。たとえば、財産分与や婚姻費用などを算定する際は、原則に従わない方法を用いることがあるため注意が必要です。
例外的な主張を認めてもらうには、根拠を持った説得力のある主張を展開していく必要があります。そのため、自分の力だけでは交渉や手続きがうまくいかない場合もあるでしょう。
弁護士は、「自分が医者である場合」「相手が医者である場合」「双方が医者である場合」など、ご依頼者様の状況に応じてリスクを回避するための行動が取れます。豊富な経験や培ったノウハウで、ご希望に沿う解決ができるよう尽力いたします。
慣れない交渉や法的手続きに加え、ストレスを受けやすい離婚問題の解決には、法律・交渉のプロである弁護士の力が不可欠です。医者の離婚問題については、ぜひお気軽に弁護士へご相談ください。
まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います

- 監修:福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates
- 保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)











