非嫡出子(婚外子)とは?嫡出子との違いや認知のメリット・デメリット、方法について
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
婚姻関係にない人との間に生まれた子供は、「非嫡出子」となります。
非嫡出子の母親は、分娩の事実から親子関係が明白です。
しかし、父親は、認知の手続きを行わないと法律上の親子関係が成立しません。
非嫡出子が父親から認知を受けないと、生まれてきた子供に様々な不利益が生じるおそれがあります。
そこで、本記事では、“非嫡出子の認知とは何か”や、“非嫡出子の認知のメリット・デメリット”、“認知する際の手続きの流れ”など「非嫡出子の認知」について、わかりやすく解説いたします。
なお、2024年4月1日に、親子に関する法制の一部が改正さましたので、改正された内容で解説していきます。
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嫡出子と非嫡出子の違い
「嫡出子」は、結婚している男女の間に生まれた子供をいいます。
出生届を提出することで、自動的に父親・母親双方との法律上の親子関係が存在します。
「非嫡出子」は、結婚していない男女の間に生まれた子供をいいます。
父親に認知されない限り、法律上の父子関係が発生しないことから、子供の権利・義務に不利益が生じるおそれがあります。
母親と子供は、分娩の事実から親子関係が明らかになりますが、父親はわかりません。
生まれた子供の父親が誰なのかを定め、早い段階で法律上の父子関係を安定させて家庭の平和を保つ制度に「嫡出推定制度」というものがあります。
嫡出推定制度では、今まで、「婚姻の成立した日から200日を経過した日より後に生まれた子または離婚等により婚姻を解消した日から300日以内に生れた子供を夫の子と推定する」としていました。
しかし、2024年4月1日から民法改正に伴う嫡出推定制度の見直しによって、「婚姻解消等(離婚など)の日から300日以内に生まれた子であっても、母が前夫以外の男性と再婚した後に生まれた子は『再婚後の夫の子』と推定する」ように変更されました。
令和6年(2024年)4月に改正された嫡出推定については、下記ページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
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非嫡出子の認知とは
非嫡出子の認知とは、法律上の婚姻関係にない両親の間に生まれた子供と父親との間に、法律上の親子関係を成立させる制度をいいます。
母親は子供を出産した事実から親子関係が明白ですが、父親の場合は中々そうとはなりません。そこで、認知の手続きをとることで、戸籍上の親子関係を明らかにしていきます。
認知の手続きには、「任意認知」と「強制認知」の2種類があります。
次項で、それぞれについて詳しく解説していきます。
任意認知
任意認知とは、父親が自分の意思でする認知のことをいいます。任意認知の方法は、父親が役所へ届け出る方法と、父親が遺言書に認知する旨を記載する方法の二つがあります。
認知の効力が生じるためには、認知届の提出が必要ですが、効果は子が出生した日から生じます。遺言による認知は遺言執行者に届け出てもらうことになります。
ただし、現行法上20歳以上の子を認知する場合には、子本人の承諾が必要となります。
また、子が胎児の時期であっても、母親の承諾のもとで認知することができます。この場合も、子が出生したときに効果が発生します。
強制認知
強制認知とは、父親の意思に基づいた「任意認知」が期待できない場合に、裁判所の手続き(認知調停、認知の訴え)によって強制的に認知させる方法をいいます。
認知の訴えには、裁判をする前に調停を経ないといけないという「調停前置主義」が適用されていますので、まずは、認知調停を申し立てて、調停委員を介して話し合いで解決を目指します。
認知調停で合意できた場合は、裁判所が合意に相当する審判を行います。
合意ができなかった場合は、認知の訴えを起こして、当事者双方の主張や証拠、DNA鑑定などによって明らかとなった事実などを考慮して、裁判所が認知について判決を下します。
なお、すでに父親が死亡している場合は、「死後認知」といって、死後3年以内であれば、検察庁の検察官を相手として訴えを提起して認知の手続きができます。
非嫡出子の認知のメリット・デメリット
非嫡出子を認知すると、次のようなメリットとデメリットがそれぞれあると考えられます。
【メリット】
- 養育費の請求権が発生する
認知によって、父子間に法的な親子関係が結ばれるため、父親には子供の扶養義務が発生します。
よって、子供が社会的・経済的に自立するまでの間、子供を養育・監護している母親は父親に養育費を請求できます。 - 父親の相続権が発生する
認知すれば、子供に父親の遺産相続権が認められます。
非嫡出子の子供であっても、嫡出子と同等の相続分での相続が認められます。 - 父親を親権者と定められる
非嫡出子は、母親が親権者となっていますが、父母間での協議や裁判所の手続きを経れば、父親を親権者と定めることが可能となります。
【デメリット】
- 子供が成人した後に父親を扶養する義務が生じる
子供の成人後は、父親を扶養する義務が生じるので、父親が生活に困窮している場合は、父親の生活を扶助しなければなりません。 - 父親から面会交流を求められる可能性がある
面会交流は、子供が健やかに成長するために必要とされており、法律上認められているものです。
しかし、母親の個人的な感情やこれまでの認知手続きの経緯などから、子供と父親が定期的に面会交流することがデメリットだと感じられる方もいらっしゃいます。
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メール相談予約受付非嫡出子を認知する際の手続きの流れ
非嫡出子を認知する際は、主に次のような流れで進めていきます。
- ① 子や母親と父親の間の認知について話し合う(任意認知)
まずは、父親と連絡を取り、認知して欲しいと伝えて、話し合いを行います。
話し合いで合意できれば、市区町村役場に認知届を提出し、手続きは完了します。 - ② 調停での話し合い(強制認知)
話し合いで解決しない場合、家庭裁判所に認知調停を申し立て、調停委員を介して話し合いで認知の合意を図ります。
合意ができ、裁判所がその合意を正当と認める場合は、裁判所が合意に相当する審判を出します。その審判の確定によって、認知が認められます。 - ③ 裁判での決着(強制認知)
調停で合意できなかった場合は、最終手段として家庭裁判所に認知の訴えを起こして、認知を求めます。
裁判では、双方の主張や証拠、DNA鑑定の結果などを考慮して裁判所が認知の判決を下します。
認知を認める判決が出れば、父親の認知は強制的に決定されます。
「非嫡出子」は認知によって「嫡出子」になれるのか?
非嫡出子が父親に認知されると、父子間に法律上の親子関係が生じます。しかしながら、認知により「非嫡出子」が「嫡出子」になるわけではありません。
「非嫡出子」が「嫡出子」となるには、【準正】が生じる必要があります。
準正には二つ種類があり、一つは認知された子の父母が婚姻した場合に生じる「婚姻準正」、もう一つは父母の婚姻後に父親が子を認知した場合に生じる「認知準正」です。
どちらも認知だけでなく、認知した父親と母親の婚姻が要件となります。
離婚した元夫との復縁や、新たなパートナーとの再婚といったケースが想定されます。
認知届について
認知届を提出するにあたって、提出場所や必要書類、届出人、届出期限は次のとおりとなります。
●認知届の提出場所
認知する父親もしくは認知される子供の本籍地または住所地の市区町村役場
ただし、胎児認知の場合は、母親の本籍地の市区町村役場
●必要書類
- 認知届
- 届出人の本人確認書類
- 認知される子供の承諾書(子供が成人している場合)
- 母親の承諾書(胎児認知の場合)
- 審判書または判決書の謄本、確定証明書(強制認知の場合)
- 遺言書の謄本(遺言認知の場合)
- 戸籍謄本(本籍地以外で届け出をする場合)
●届出人(認知届に署名する者)
- 任意認知または胎児認知の場合・・・父親
- 強制認知の場合・・・申立人または原告
●届出期限
- 任意認知の場合・・・期限なし
- 強制認知の場合・・・審判または判決が確定した日から10日以内
認知の撤回はできない
血縁関係がある子について一度した認知は、撤回することができません。
ただし、血縁関係がない子にした認知については、子や利害関係人は無効を主張することができます。この場合、認知した男性は利害関係人にあたりますから、家庭裁判所に認知無効確認請求訴訟を申し立てて認められれば、事実上認知の撤回ができるとされています。
また、詐欺、強迫による認知についても取り消すことはできますが、これも認知した男性と子に血縁関係がない場合に限ります。
認知と養子縁組の違いは?
認知は、血縁関係がある者同士との間に法律上の親子関係を成立させる制度です。
認知されても、基本的に子供の戸籍は母親の戸籍に入ったままで、苗字も母親と同じになります。
一方で、養子縁組は、血縁関係がない者同士との間に法律上の親子関係を成立させる制度をいいます。
養子縁組をすると、子供の苗字は、養親の苗字となり、戸籍も養親の戸籍に入るという違いがあります。
女性が再婚する場合は、苗字を再婚相手の男性の苗字に変えて、再婚相手を筆頭者とする戸籍に入る方が多いと思います。
しかし、子供の戸籍は母親の戸籍に残ったままで苗字もそのままとなります。
そこで、子供と再婚相手が養子縁組することで、子供も母親と同様に再婚相手の苗字に変わり、戸籍も母親と同様に再婚相手の戸籍に入ることになります。
このように、認知は、再婚まで望んでいないものの法律上の親子関係を成立させたいという場合で、養子縁組は再婚するときに行われる場合に多いといえます。
非嫡出子の認知についてのQ&A
- Q:
離婚後301日目に出産した場合は非嫡出子となり、元夫の認知が必要になりますか?
- A:
離婚後301日目に出産した子は、母親が再婚していない限り、非嫡出子となります。
生まれた子が、元夫と実際に血縁関係があり、法律上の親子関係を成立させたいのであれば、認知請求をする必要があります。
認知がされれば、養育費の請求が可能となりますし、元夫が死亡した際には相続権が発生します。まずは、元夫に連絡をして、話し合いで任意での認知を求めます。
当事者間の話し合いで認知について折り合いがつかなければ、家庭裁判所に認知調停、認知の訴えを行う必要があります。
- Q:
夫が内緒で浮気相手との子を認知していた場合に、それを知ることはできますか?
- A:
夫が浮気相手の子を認知しているかどうかは、夫の戸籍謄本を辿れば知ることができます。
認知の事実は、子と認知した父親の双方の戸籍に記載されます。認知手続自体を妻に内緒で行ったとしても、戸籍への記載は免れることはできません。
- Q:
離婚後300日過ぎてから出産し、再婚した場合は、養子縁組と認知のどちらを行うべきですか?
- A:
生まれた子が再婚相手の子であれば、父親の認知によって「認知準正」が生じ、子は「嫡出子」の身分を取得することができます。養子縁組をする必要はありません。
しかし、生まれた子が元夫の子であり、新しいパートナーと再婚した場合、再婚相手は認知することができません。再婚相手と子に法律上の親子関係を生じさせるためには、養子縁組が必要になります。
また、この場合に、何らかの事情で元夫と子が養子縁組をすることになれば、子の戸籍や親権が元夫に移ることになります。
- Q:
元夫との子が非嫡出子の場合、親権は母親だと思いますが、元夫が認知したら元夫が親権者になりますか?
- A:
非嫡出子の親権者は母親であり、元夫が認知したからといって直ちに親権者とはなりません。
認知をした元夫が親権者になることを希望している場合は、まずは父母間で話し合いを行って、元夫が親権者となることに父母双方の合意を得る必要があります。
よって、母親であるご相談者様が合意しなければ、元夫が親権者となることはありません。ただし、父母間での話し合いで折り合いがつかない場合は、家庭裁判所に調停もしくは審判といった裁判所の手続きを元夫が申し立ててくることが予想されます。
裁判所の手続きでは、親権者を元夫にすることについて認められれば、元夫が親権者と定められることになります。
離婚後の非嫡出子の問題についてお悩みの方は弁護士にご相談ください
離婚が成立しても、非嫡出子として生まれてきた子の養育費や将来等について不安を残したままでは、本当に問題が解決したとはいえません。
しかし中には、さまざまなご事情により、子の父親に対して認知や養育費を求めることに、抵抗を覚える方もいらっしゃるでしょう。
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生まれてきたお子様のため、ご自身のこれからの生活のためにも、問題解決ができるよう、一度弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。
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- 監修:福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates
- 保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)











