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不倫慰謝料は減額できる?減額されやすいケースや交渉の流れ

弁護士法人ALG 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治

監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates

不倫が発覚すると、相手方から慰謝料を請求されるケースがあります。
慰謝料を請求された場合、不倫した立場として誠実な対応が求められるのは当然ですが、事案によっては、慰謝料を減額できる可能性もあります。

この記事では、不倫の慰謝料を減額できるケースや減額交渉の流れなどについて解説します。また、弁護士法人ALGによる不倫慰謝料を減額した解決事例もご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

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この記事の目次

不倫の慰謝料は減額できるのか?

不倫慰謝料は、状況によっては減額できる可能性があります。

請求された金額は、あくまで相手の希望額であり、必ずしもそのまま支払わなければならないわけではありません。
不倫相手の配偶者から突然高額な慰謝料を請求されると、焦ってしまいがちですが、不倫の期間が短い、既に夫婦関係が破綻していたなどの事情があれば、減額交渉が可能になる場合もあります。

不倫慰謝料を減額できる可能性のある11のケース

不倫慰謝料は、状況によって減額できるだけでなく、場合によっては支払い自体を拒否できる可能性もあります。
請求された金額がすべて妥当とは限らないためです。

以下では、不倫慰謝料の減額や免除につながる11の具体的なケースについてご紹介します。

不倫を理由に離婚や別居をしていない

不倫は事実であるものの、不倫相手が離婚や別居をしていない場合は、離婚をした場合に比べ、慰謝料が減額される可能性もあります。
これは、不倫相手の配偶者の精神的苦痛が離婚した場合に比べ、小さいと考えられるからです。

結婚している期間が短い

婚姻期間が3年未満など短い場合、不倫慰謝料の金額は低くなる傾向があります。
長年連れ添った夫婦に比べ、築かれた信頼関係や家庭の基盤が浅いと見なされることから、精神的苦痛が比較的軽いと判断され、慰謝料の金額も抑えられる可能性があります。

相場よりも高額な慰謝料を請求された

請求された慰謝料の金額が相場より高額な場合は、減額の要素となります。
ケース別の不倫慰謝料の相場は以下の表のとおりです。

不倫慰謝料の相場
婚姻関係を続ける場合 50万~100万円
不倫が原因で別居する場合 100万~200万円
不倫が原因で離婚する場合 200万~300万円

しかし、これはあくまでも相場であり、夫婦間の事情や不倫の内容により適切な慰謝料の金額は変わってきます。
例えば、以下のようなケースでは、相場よりも高額な慰謝料が認められる可能性があります。

  • 夫婦に幼い子供がいた場合
  • 不倫関係が長期にわたっている場合
  • 不倫相手との子供を出産した場合
  • 不倫相手の配偶者に嫌がらせをしてしまった場合 など

適切な慰謝料の金額については、弁護士にご相談ください。

不倫行為の期間が短い・回数が少ない

「不倫期間が半年程度、不倫行為の回数が数回程度」であれば、不倫期間が短い、または不貞行為の回数が少ないとして、慰謝料の減額要素として考慮される可能性があります。
このような場合は、相手方の精神的苦痛も比較的少ないと考えられるためです。

ただし、本当に不倫期間が短かったのか、回数が少なかったのか、を証明するのは容易ではありません。場合によっては、相手を納得させるだけの証拠が必要になる場合もあります。

慰謝料を払う経済力がない

慰謝料を支払う経済力がないからといって、支払いが免除されるわけではありません。
しかし、不倫相手の配偶者との交渉次第では、経済力がないことを理由に、慰謝料の減額や慰謝料の分割払いに合意してもらえる場合があります。

既婚者同士の不倫 (W不倫) だった

既婚者同士の不倫(W不倫)の場合、双方の夫婦が加害者と被害者の両方の立場になります。特に、両方の家庭で不倫が発覚している場合、慰謝料を請求する側であると同時に、請求される側にもなります。このようなケースでは、慰謝料を請求しても、実質的な利益が得られにくいでしょう。

相手側が慰謝料請求を取り下げたり、減額に応じたりするケースも見られます。

自分だけに慰謝料が請求された

不倫慰謝料は、不倫した配偶者と不倫相手が連帯して責任を負うのが基本です。そのため、自分だけに慰謝料を請求された場合には、不倫相手に対し、慰謝料の負担を分け合う「求償権」を行使できます。

求償権とは?

不倫した配偶者が慰謝料を全額支払った際に、自分の責任を超える分について不倫相手に金銭の支払いを求める権利です。例えば、不倫慰謝料100万円を支払った場合、肩代わりしている分の50万円を不倫相手に請求できる可能性があります。

不倫相手が離婚や別居をしていない場合、求償権を行使されると家計から慰謝料を支払うことになるため、相手側にとっては実質的な金銭負担となります。そこで、求償権を行使しないことを条件に、慰謝料の減額交渉が成立するケースもあります。

不倫相手が既婚者だと知らなかった

不倫相手が既婚者であると知らなかった場合は、慰謝料の金額を減らせる可能性があるほか、場合によっては支払い自体を拒否できることもあります。

慰謝料は、相手を傷つけた行為に「わざと(故意)」または「不注意(過失)」があったと認められたときに発生するものです。既婚者だと知らなかったことに過失がないといえる状況であれば、慰謝料の支払い義務がないと主張できる可能性があります。

例えば、相手が独身だと偽っていた、結婚指輪をしていなかったなどの事実を積み重ねて減額交渉を行えば、「知らなかったのは仕方がない」と判断されるケースもあります。

既婚者と知らなかったのに不倫慰謝料を請求された場合については、下記のページで詳しく解説しています。

不倫前から夫婦関係が破綻していた

不倫が始まる前から夫婦関係がすでに破綻していた場合、不倫による精神的苦痛が軽減されると判断され、慰謝料の減額につながる可能性があります。

ただし、単なる不仲ではなく、破綻と認められる具体的な事情が必要です。例えば、長期間の別居や、夫婦間で会話や接触がほとんどない状態などが挙げられます。

一方で、別居していても定期的に連絡を取り合っていたり、生活費の支払いが続いている場合などは、破綻とはみなされないこともあります。慰謝料の減額を主張するには、夫婦関係が不倫以前から実質的に終わっていたことを示す客観的な証拠の積み重ねが重要です。

婚姻関係の破綻については、下記のページで詳しく解説しています。

不倫行為の証拠が不十分である

不倫の事実を裏付ける証拠がない、または不十分な場合には、慰謝料の請求額を減額できる可能性があります。
特に、肉体関係の有無が争点となるため、単なる親しい関係や食事の写真だけでは証拠として不十分とされることが多いです。

有効な証拠には、肉体関係を示すメッセージのやり取り、宿泊を伴う旅行の写真、ラブホテルの利用履歴などがあります。これらが揃っていない場合には不倫行為の証拠が不十分であるとして、慰謝料を減額できる可能性があるでしょう。

慰謝料請求の時効が成立している

不倫慰謝料の請求には消滅時効があり、以下の期間を過ぎると支払いを拒否できる可能性があります。

  • 不倫の事実と相手を知ったときから3年
  • 不倫があった時点から20年

例えば、慰謝料が請求された時点で不倫の事実を知ってから既に3年以上経っている場合、消滅時効の期間が経過している可能性があります。その場合には時効の成立を主張して慰謝料の請求を拒否できるため、慰謝料請求を受けた際には時効を主張できるかどうか確認することが重要です。

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不倫慰謝料の減額交渉の流れ

不倫慰謝料の減額交渉には、法律で定められた明確な手順があるわけではありません。しかし、相手方との不要なトラブルを避けるためにも、冷静かつ段階的に進めることが重要です。

以下では、減額交渉を行う際の基本的な流れについてご説明します。

【不倫慰謝料の減額交渉の流れ】

  1. ①請求内容を確認する
  2. ②相手と話し合いや文書で減額を交渉する
  3. ③合意したら示談書を取り交わす
  4. ④交渉がまとまらない場合は調停や訴訟に進む

①請求内容を確認する

不倫慰謝料を請求されたら、請求金額が妥当か、請求原因はなにかをしっかりと確認するようにしましょう。

慰謝料請求は内容証明郵便などの書面で届くことが多いですが、請求金額が相場よりも著しく高額な場合や慰謝料請求の原因が事実と異なっている場合もあるため、請求内容の確認は慎重に行います。

また、不倫慰謝料の減額が認められるケースかどうかも検討しましょう。
ご自身での判断が難しい場合は、お気軽に弁護士にご相談ください。

②相手と話し合いや文書で減額を交渉する

相手方に対しきちんと謝罪し、反省していることを伝えましょう。
そのうえで、慰謝料を減額したい理由や具体的な希望金額について述べ、話し合います。

話し合いは直接でも構いませんが、難しい場合には、メールなどでも構いませんし、文書のやりとりで交渉することもできます。特に、相手が内容証明郵便で慰謝料請求をしてきた場合は、書面で回答するのが一般的です。

どのように交渉すればいいかわからないといった場合には、弁護士への依頼も検討しましょう。

③合意したら示談書を取り交わす

慰謝料の金額や支払い方法について双方が合意できたら、内容を示談書などの書面にまとめましょう。口頭での約束だけでは、後に「言った・言わない」のトラブルに発展するおそれがあります。

示談書は当事者のどちらが作成しても構いませんが、相手方が作成した場合には、自分に不利な内容が含まれていないか慎重に確認する必要があります。
内容に不安がある場合は、弁護士に相談し、法的な観点からチェックしてもらうといいでしょう。

④交渉がまとまらない場合は訴訟に進む

慰謝料の減額について相手の合意が得られない場合は、最終的に訴訟によって解決を図ることになります。訴訟では、主張や反論を整理した書面の作成や、証拠の提出が必要となり、手続きも複雑で専門的な知識が求められます。

特に、相手方に弁護士がついている場合は、法的な知識や交渉力の差によって不利な状況に陥る可能性もあるため、こちらも弁護士に依頼することが望ましいです。弁護士が間に入れば、冷静かつ法的に適切な対応ができるようになり、結果として納得のいく解決につながる可能性が高まります。

不倫慰謝料の減額交渉をする場合の注意点

不倫慰謝料の減額交渉をご自身で行う場合は、以下の点に注意しましょう。

請求を無視しない

慰謝料の請求を無視していると、相手方が裁判を提起する可能性が高まります。裁判となると、手間と時間がかかり、精神的に大きな負担がかかります。
早期解決のためにも、話し合いの段階で解決するようにしましょう。

反省と謝罪を伝える

不倫相手の配偶者としては、「不倫によって夫婦の絆を壊された」と、深い怒りや悲しみを抱えているケースが多いでしょう。まずは真摯な態度で謝罪し、相手の言い分を聞きながら対応することが大切です。

誠実な対応によって、相手の被害感情が少しずつ緩和され、慰謝料の減額につながる可能性も高まります。謝罪は単なる形式ではなく、反省の気持ちをしっかり伝えなければなりません。

慰謝料相場を把握して交渉する

不倫慰謝料を請求された場合、まずは冷静に慰謝料の相場を把握しましょう。
一般的な相場は100万〜300万円程度とされており、請求額が相場を大きく超えている場合は、減額交渉の余地があります。交渉の際には、相場を根拠として提示し、支払い能力に応じて分割払いなどの条件を提案することも可能です。

焦って高額な慰謝料に応じてしまうと、後々支払いが困難になり、トラブルに発展するおそれがあります。特に、示談書に一度サインしてしまうと、内容の変更は非常に難しくなるため、合意前に慎重な判断が必要です。

裁判に発展した場合は、過去の判例をもとに相場程度の金額となることが多いです。

示談書に清算条項を入れる

慰謝料の支払いについて合意した場合は、示談書を作成することが一般的ですが、後々のトラブルを防ぐためには「清算条項」を盛り込んでおきましょう。

清算条項とは、「示談書に記載された内容以外には、今後一切請求しない」と双方が確認するための規定です。この条項によって、後から追加請求されるリスクを避けられます。

ただし、清算条項の文言には法的な意味合いや解釈が伴うため、曖昧な表現や不備があると、かえってトラブルのもとになる場合もあります。示談書の作成にあたっては、法律の専門家である弁護士への相談をおすすめします。

不倫慰謝料の減額交渉は自分でできる?弁護士に依頼するメリット

不倫慰謝料の減額交渉は自分でも行えますが、弁護士に依頼することで以下のようなメリットがあります。

  • 感情的な対立を避けられる
    当事者同士の交渉は感情的になりやすく、相場以上の金額で合意してしまうリスクもあるため、第三者の介入が有効です。
  • 適切な慰謝料額の算定とアドバイスが受けられる
    過去の判例や実務経験から適切な慰謝料額を算定し、減額できる要素があるかどうかを的確にアドバイスしてくれます。
  • 冷静かつ法的に有利な交渉が可能になる
    弁護士が間に入ることで、感情に左右されず、法的根拠に基づいた交渉を進められます。

弁護士による再交渉により、一度承諾してしまった不倫慰謝料を200万円以上減額できた事例

事案の概要

依頼者は、男性(相手方夫)が、既婚者と判明した後も関係を続けていたため、男性の妻(相手方)が提示した、慰謝料300万円の示談書にサインしてしまいました。
高額な慰謝料に困り、今後の対応について当事務所に依頼されました。

担当弁護士の活動

担当弁護士がヒアリングを行った結果、下記2点を相手方に内容証明郵便で伝え、適正な慰謝料の支払額や支払方法について交渉しました。

  • ①示談書を一方的に提示され、示談書の内容を十分に確認する余裕がなかったこと
  • ②示談書にある法的用語の理解もできていないままサインをしていること

結果

担当弁護士による交渉の結果、慰謝料70万円の支払い、求償権の放棄などを盛り込んだ内容で示談が成立しました。もともと請求されていた慰謝料は300万円でしたが、最終的には230万円の大幅な減額に成功しました。

多数の証拠を提示された事案で、不倫慰謝料を150万円減額できた事例

事案の概要

依頼者は相手方(不倫相手の妻)から慰謝料300万円を請求されたため、今後の対応について当事務所に相談後、依頼されました。

担当弁護士の活動

依頼者は当初、不倫関係自体を争いたい意向でした。そのため、担当弁護士から、相手方がどのような証拠を持っているかを確認し、証拠の存在により争うのが難しければ慰謝料の減額交渉をすることを提案し、依頼者の了承を得ました。その後、担当弁護士が相手方に対し、交渉で証拠の開示を求めたところ、訴訟を提起されました。

解決結果

訴訟において相手方から不倫関係を推認できる証拠を多数提出されたため、慰謝料減額の提案を行いました。その結果、慰謝料を300万円から150万円に減額することができました。

不倫慰謝料の減額の交渉は経験豊富な弁護士にお任せください

高額な不倫慰謝料を請求された場合は、私たち弁護士法人ALGにご相談ください。
私たちは不倫問題などに詳しい弁護士が多数在籍しているため、不倫慰謝料の減額交渉について熟知しております。
また、相手方が弁護士を立てている場合は、ご自身で交渉を行うと不利になってしまう可能性が高く、弁護士を立てるべきタイミングといえるでしょう。

不倫慰謝料を請求された場合は、まずは焦らず内容を確認しましょう。どう返事をすればいいのか、どのように減額交渉すればいいのか、不安も大きいと思いますが、私たちはご相談者様のお気持ちに寄り添って尽力いたします。
おひとりで悩まず、まずは一度ご相談ください。

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保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)

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