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求償権とは?不倫慰謝料で行使できない場合や放棄などわかりやすく解説

弁護士法人ALG 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治

監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates

浮気や不倫など、不貞行為の慰謝料請求において、当事者間で「求償権(きゅうしょうけん)」が問題となることがあります。求償権とは、民法第442条に定められた権利で、責任者のひとりが本来の負担を超えて支払った金銭について、他の責任者にその分を請求できる制度です。

この記事では、不倫慰謝料における求償権の基本的な仕組みや、求償権の負担割合の決め方、求償権の請求の仕方などについて、詳しく解説していきます。

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不貞行為(不倫・浮気)の慰謝料における求償権とは?

不貞行為の慰謝料における求償権とは、不倫・浮気によって精神的損害を受けた配偶者が加害者に慰謝料を請求した際、一方の加害者(不貞配偶者または不倫相手)が全額を支払った場合に、もう一方に対して責任割合に応じた金額を請求できる権利です。

不貞行為は民法719条の「共同不法行為」に該当します。したがって、慰謝料を支払った側は、もう一方に対して法的に求償請求が可能となり、負担の公平性を図ることができます。

【具体例】
例えば、被害者である妻が夫の不貞相手に対して慰謝料200万円を請求し、夫には請求しないとします。この場合、不倫慰謝料の支払い責任は「夫」と「不貞相手」にあるため、不貞相手は夫に対して、慰謝料の一部、基本的には半分の100万円を請求できます。

求償権を行使するタイミング

不倫慰謝料の求償権を行使するタイミングには、主に次の2つがあります。

① 不倫慰謝料を支払ったあと
一方が不倫慰謝料を全額または自己負担分を超えて支払った場合、その支払い後に「本来の責任割合に応じて他方にも負担してほしい」として求償権を行使できます。

例:不貞相手が慰謝料200万円を支払った後、「夫側にも責任がある」として、100万円の求償を請求するケース

② 不倫慰謝料の請求を受けたとき
被害者から不倫慰謝料の請求を受けた際、「自分だけが責任を負うのは不公平ではないか」と考え、求償権を踏まえて慰謝料の減額を主張します(求償権は慰謝料を支払った時点で発生するので、厳密にはまだ発生していません)。

被害者と不貞配偶者が離婚するケースでは①、離婚しないケースでは②のパターンがよく見られます。

求償権を行使できない場合はある?

求償権を行使できないケースは以下の2つです。

● 求償権を放棄した場合
求償権の放棄とは本来ほかの責任者に請求できるはずの負担分について、「請求しない」と明確に意思表示することを指し、一度放棄すると基本的に撤回できません。示談書や合意書などに「求償権を行使しない」旨を記載し、当事者間の合意をもって成立します。

● 求償権の時効が成立した場合
不貞慰謝料を支払った日から5年が経過すると、時効により求償権が消滅します。
時効が成立すると、たとえ相手に責任があっても法的に請求することはできません。

求償権の放棄とは?

求償権の放棄とは、不貞慰謝料を支払った側が、不貞相手に対して、将来的に費用の負担を求めないと合意することを指します。
この求償権の放棄は、合意書や公正証書に明記することで法的効力を持ちます。したがって、求償される可能性のある側は、「求償権を放棄する」旨を条項として記載することで求償権の行使を防ぐ手段となります。

〈求償する側は安易に求償権を放棄しない〉
求償権を放棄すると、慰謝料を全額自己負担することになり、経済的な負担が大きくなる可能性があります。
そのため、合意書を作成する際には、求償権の放棄に関する条項が含まれていないかを確認し、不安がある場合は弁護士に相談することが重要です。

求償権の時効は何年?

民法改正(2020年4月施行)以降、求償権は代位弁済(肩代わり支払い)をした日から5年で時効が成立すると定められています。

ただし、時効は単に期間が経過するだけでは成立しません。求償される側が、「期間経過により時効が完成しました、だから返済しません」と意思表示をする必要があります(時効の援用)。

一方で、時効期間が経過した後に、求償を受ける側が一部でも支払いをすると、時効が更新され、再度、時効期間がスタートすることになります。

求償権の負担割合の決め方

求償権の負担割合は、基本的に当事者間の話し合いや、合意が得られない場合には、訴訟などの法的手続きを通じて決定されます。

〈負担割合を決める際に考慮される事情〉
● 不貞を積極的に誘ったのはどちらか
不貞関係において、積極的に誘ったり、関係を継続させたりした側は、より高い割合で負担を負うと判断されることがあります。

● 年齢差や立場の違い
社会的・経済的に優位な立場にある者が関係を主導した場合、その影響力の大きさから、責任が重くなる可能性があります。

求償権の請求の仕方

求償権の請求は、一般的に以下のように進めていきます。

  1. ① 相手に求償権を行使する意思を伝える
    まずは、慰謝料を支払った後に、相手に対して求償権を行使する意思を明確に伝えることが重要です。この通知は口頭でも可能ですが、内容証明郵便などの書面で通知することで証拠性が高まり、後のトラブルを防ぐことができます。
  2. ② 適切な負担割合について相手に支払うよう請求する
    求償請求では、責任の程度に応じた金額を支払うよう求めることが重要です。負担割合は、不貞を主導したかなどの事情を踏まえて判断します。
  3. ③ 求償について合意できたら合意書を作成する
    交渉の結果、求償について合意できた場合は、合意書を作成し、以下の内容を記載しましょう。
    ・ 支払い金額と支払い期限
    ・ 分割払いの場合は支払いスケジュール
    ・ 遅延時の対応(遅延損害金など)
    ・ 清算条項(必要に応じて)

    可能であれば、「強制執行認諾文言付き公正証書」にすることで強制執行が可能となり、支払いの確実性が高まります。
  4. ④ 交渉が決裂した場合は裁判を起こして求償請求する
    交渉で合意に至らない場合は、裁判を起こして裁判所に判断を仰ぐことになります。裁判では、慰謝料を支払った証拠や、相手との関係性や不貞行為の証拠、負担割合を示す根拠などの準備が必要です。

求償権を行使する際の内容証明の文例

不貞慰謝料の求償は、内容証明郵便などの文書で行われるのが一般的です。そのため、ここでは「慰謝料を支払った後に求償を行う場合」の内容証明郵便の文例をご紹介します。

通知書

(相手の住所)
(相手の氏名)殿
(自分の住所)
(自分の氏名)

冠省

私は令和〇年〇月〇日、貴殿との不貞行為に関して、貴殿の配偶者●●●●様に対し、慰謝料として金200万円を支払いました。

この支払いは、私と貴殿の共同不法行為に基づく損害賠償責任の一部を負担したものであり、民法第442条に基づき、貴殿に対して相応の負担割合に応じた金額の求償を請求いたします。

本件不貞行為については、貴殿と私にそれぞれ等しく責任があるものと思料しますので、慰謝料200万円のうち、金100万円の支払いを請求いたします。
つきましては、本書面到着後14日以内に下記口座にお振込みくださいますようお願いいたします。

【振込先】
銀行名:●●銀行 ●●支店
口座番号:普通 〇〇〇〇〇〇
口座名義:●●●●

なお、上記期限までにお支払いいただけない場合は、法的措置を講じることも検討いたしますので、あらかじめご了承願います。

以上

求償権請求に応じてもらえない・無視された場合の対処法

求償請求に相手が応じない場合や無視された場合は、裁判所に訴えを起こすなどの法的手段を講じることが有効です。

ただし、訴訟の過程で、相手が誠意を示しているものの支払い能力が乏しい場合などには、分割払いの交渉に応じるなど、画一的な対応ではなく、状況に応じた柔軟な対応が求められます。

訴訟以外の法的手段について

以下のような法的手段も、訴訟と併せて検討することができます。

● 仮差押え
訴訟前に、相手の財産(現金・不動産など)を仮に差し押さえる手続きのことで、支払い逃れを防止できる可能性があります。
また、相手に対して心理的なプレッシャーを与えることで、任意の支払いを促す手段としても有効です。

● 強制執行
支払いの約束があるにも関わらず、金銭の支払いがされない場合には、裁判所に強制執行を申し立てることで、相手の給与や預金などを差し押さえて回収することができます。
ただし、強制執行を行うには認諾文言付き公正証書や判決書などの債務名義が必要です。

不倫慰謝料の求償権に関するトラブルを防ぐには?

不倫慰謝料の求償権に関するトラブルを防ぐためには、以下の点に注意しましょう。

● 法的な観点から適切に検討を行う
求償権は、共同不法行為に基づく責任分担が前提のため、負担割合や支払済みの慰謝料額、相手の関与の程度などを客観的に整理し、請求の根拠を明確にしておくことが重要です。
これにより、相手からの反論や不当な拒否を防ぎ、後の紛争を防ぐことができます。

● できる限り穏便に交渉する
不貞に関する問題は感情的な対立を招きやすいため、冷静に話し合うことが円滑な解決につながります。直接のやりとりが難しい場合は、弁護士など第三者を介して交渉することで、感情的な衝突を避けながら、法的にも適切な対応が可能になります。

不倫慰謝料の求償権について弁護士に相談するメリット

求償を受ける側

不倫(不貞)慰謝料の求償を受ける側が弁護士に依頼するメリットは以下のとおりです。

● 求償権の主張や慰謝料の減額請求について法的な観点から判断できる
不貞行為に関する責任の有無や程度、負担割合の妥当性、求償権の行使が可能かどうかなど、複雑な法的要素を専門的に整理し、相談者にとって最も適切な対応方法を導いてくれます。感情的な判断や誤った対応による不利益を避けることができるでしょう。

● 相手方との交渉を任せられる
不倫に関する問題は当事者間で直接やり取りをすると感情的な対立に発展しやすく、冷静な話し合いが困難になることもあります。弁護士が代理人として交渉を行うことで、法的根拠に基づいた冷静かつ適切な対応が可能となり、精神的な負担も軽減されます。

求償権を行使する側

不倫慰謝料の求償権を行使する側が弁護士に相談するメリットは、法的な交渉力と手続きの確実性を高められる点にあります。

● 求償権を考慮した慰謝料の減額を主張しやすくなる
弁護士に相談することで、不貞行為に関する責任の分担や相手方との関係性などを法的に整理し、合理的な負担割合を提示することができます。その結果、交渉の場で説得力を持った主張が可能となり、実際に支払う慰謝料の金額を抑えられる可能性が高まります。

● 求償の手続きや慰謝料の減額交渉を任せられる
弁護士に求償の手続きや慰謝料の減額交渉を任せることで、煩雑なやりとりや感情的な対立を避けることができます。相手方との交渉がスムーズに進むだけでなく、必要に応じて訴訟などの法的手段にも迅速に移行することが可能です。

求償権について弁護士に依頼した場合の費用

求償権について弁護士に依頼した場合にかかる費用は、依頼内容や弁護士事務所によって異なりますが、一般的には以下のような費用が発生します。

費目 内容 金額
法律相談料 弁護士に法律に関する相談をする際にかかる費用です。 5000円/30分~1時間
※無料相談を行っている事務所もある
着手金 弁護士に正式に依頼する際に事件や案件を開始するために支払う費用のことです。これは、結果の成否にかかわらず、依頼時点で発生する費用であり、弁護士が業務に着手する対価として支払われます。 10万~30万円程度
※弁護士事務所によって異なる
成功報酬 弁護士に依頼した案件が一定の成果を得た場合に支払う報酬のことです。 回収額の10%~20%程度
※弁護士事務所によって異なる
実費 弁護士に依頼した際に発生する手続きに必要な実際の費用のことです。 数千円〜数万円程度
日当 弁護士が依頼された業務のために事務所を離れて外出・出張する際に発生する費用のことです。 半日:3万~5万円程度
全日:5万~10万円程度

求償権のトラブルは離婚問題に詳しい弁護士にご相談ください

不貞慰謝料の求償権は、当事者間の感情的な対立や、責任の分担に関する複雑な法的判断が絡むため、ご自身で対応するには難しいケースが多く見られます。求償される側にとっては、突然の請求に戸惑い、どこまで支払う義務があるのか判断がつかないこともあります。一方で、求償権を行使したい側にとっても、適切な負担割合の主張や、慰謝料の減額交渉を進めるには、法的根拠と冷静な対応が求められます。

求償権のトラブルについては、私たち弁護士法人ALGにご相談ください。離婚や男女問題に詳しい弁護士が求償権の有無や妥当性を精査し、適切な解決を目指してサポートいたします。
求償権に関するトラブルを円滑に解決するためにも、まずは一度私たちにお話をお聞かせください。

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監修:福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates
保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)

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