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親子交流(面会交流)を拒否できる正当な理由とは?具体例や認められないケースなど

弁護士法人ALG 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治

監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates

親子交流(面会交流)は、子供の健やかな成長に必要と考えられているため、基本的に実施されるべきものです。ただし、子供の安全や心身の安定を損なうおそれがある場面では、例外的に拒否が認められます。一方で、養育費の未払いへの不満や単に「会わせたくない」などの理由だけでは、正当な理由とは扱われません。

この記事では、親子交流(面会交流)を拒否できる正当な理由や注意すべきポイントをわかりやすく解説します。

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親子交流(面会交流)を拒否できる正当な理由とは

親子交流(面会交流)は、子供の成長にとって望ましいと考えられているため、基本的には拒否できません。ただし、実施により子供の安全や心身の安定が損なわれるおそれがある場合は、例外的に拒否が認められる可能性があります。

【親子交流(面会交流)を拒否できる正当な理由の具体例】

  • ①子供が親子交流(面会交流)を拒否している場合
  • ②監護親の精神的負担が大きい場合
  • ③相手が子供を虐待するおそれがある場合
  • ④子供を連れ去るおそれがある場合
  • ⑤両親の感情的対立が激しい場合

これらはすべて「子供の利益」を最優先して判断されます。ここからは、上記のケースについて、どのような事情が重視されるのかを詳しく解説します。

①子供が親子交流(面会交流)を拒否している場合

子供が親子交流(面会交流)をはっきりと嫌がっている場合、その気持ちは裁判所でも慎重に受け止められます。特に10歳くらいになると、自分の考えをある程度言語化できるため、子供の意思がより尊重されやすくなります。

ただし、「なんとなく嫌だ」という一時的な気分なのか、本当に心の負担になっているのか、丁寧な見極めが大切です。家庭裁判所調査官による意向調査では、子供の普段の様子や気持ちをゆっくり聞き取り、面会に対してどのような不安があるのかを確認していきます。調査の結果、強い抵抗感が認められれば、親子交流(面会交流)を控える判断がされる可能性もあります。

親子交流(面会交流)を子供が拒否している場合については、以下のページもご参考ください。

②監護親の精神的負担が大きい場合

監護親が強いストレスを抱えているときは、親子交流(面会交流)を続けるのが難しいと判断される場合があります。特に、夫婦間でDVがあったケースでは、相手と会うことを想像するだけで気持ちが落ち着かなくなったり、体調を崩したりする場合もあり、親子交流(面会交流)が生活に大きな負担になる傾向があります。

こうした状況を裁判所に理解してもらうには、DVの記録や相談履歴、これまでの生活状況などをできる範囲で示すことが大切です。また、家庭裁判所調査官の調査で、監護親や子供が抱えている不安が確認されれば、親子交流(面会交流)の方法を見直したり、一時的に控える判断が取られることもあります。

DVがあった場合の親子交流(面会交流)については、以下のページもご参考ください。

③相手が子供を虐待するおそれがある場合

別居親から暴力を受けた経験や、言動に強い威圧感があり子供が恐怖を抱いている場合、親子交流(面会交流)を続けるのは子供の心身に悪影響を及ぼすおそれがあります。こうした状況では、親子交流(面会交流)を拒否する理由として認められる可能性が高いといえます。

裁判所に理解してもらうには、実際の暴力や精神的な危害がどの程度あったのかを客観的に示すことが欠かせません。

【証拠の具体例】

  • 怪我の写真
  • 診断書
  • 児童相談所への相談記録 など

また、家庭裁判所調査官による意向・心情調査を求め、子供が抱えている不安や恐怖の背景を明らかにするのも重要です。状況が具体的に示されれば、親子交流(面会交流)の制限や一時中止が選択される可能性があります。

④子供を連れ去るおそれがある場合

別居親に子供を無断で連れ去る可能性がある場合、親子交流(面会交流)を続けるのは子供の生活を大きく乱し、安心して過ごす環境を奪うおそれがあります。このような状況では、親子交流(面会交流)を一時的に控える判断が認められるでしょう。

連れ去りのリスクを示すためには、これまでの約束を守らなかった事実や、実際に引き渡しの際に子供を返さなかった、あるいは連れ去りを試みたといった具体的な出来事を示すことが重要です。こうしたリスクが明らかになれば、親子交流(面会交流)の方法を慎重に見直したり、第三者を介入させる形が認められる場合があります。

子供の連れ去りの対処法や親権への影響については、以下のページをご参考ください。

⑤両親の感情的対立が激しい場合

父母の感情的な対立があるという理由だけでは、親子交流(面会交流)を拒否する根拠にはなりません。
ただし、対立が激しく、子供がその間で気を遣いすぎて不安定になっている場合は話が別です。親同士の衝突を見る場面が増えると、子供が強いストレスを抱え精神面に影響が出ることもあり、親子交流(面会交流)を慎重に考える必要があります。

こうした状況が見られると、子供を守るために親子交流(面会交流)の調整や一時的な制限が認められる可能性があります。

親子交流(面会交流)を拒否する正当な理由に該当しないケース

親子交流(面会交流)を拒否したいと思っても、裁判所が正当と認めない理由はいくつかあります。
代表的なものは次のとおりです。

  • 元配偶者と関わりたくない
    離婚後に相手と距離を置きたい気持ちがあっても、それだけでは子供と別居親の関係を断つ理由にはなりません。親同士の感情と、子供にとっての利益は分けて考える必要があります。
  • 元配偶者が養育費を支払ってくれない
    養育費の未払いは大きな問題ですが、親子交流(面会交流)と養育費は別の問題として扱われます。支払いが滞っていても、それを理由に面会を止めるのは認められにくいでしょう。未払いへの対応は、強制執行や調停など別の手続きを検討するのが適切です。

相手が養育費を支払わない場合の親子交流(面会交流)については、以下のページをご参考ください。

再婚は親子交流(面会交流)を拒否する正当な理由になる?

再婚したという理由だけでは、親子交流(面会交流)を拒否する理由にはなりません。新しい家庭環境に配慮したいという気持ちは分かりますが、子供と別居親との関係は維持されるべきものと考えられており、再婚そのものは親子交流(面会交流)に影響しないとされています。また、再婚相手が親子交流(面会交流)を嫌がっている場合であっても、それだけでは正当な理由にはなりません。

ただし、別居親が不倫相手と再婚した場合などは、子供の心身に悪影響が生じる可能性があり、例外的に親子交流(面会交流)が制限される可能性があります。

再婚後の親子交流(面会交流)や再婚相手が親子交流(面会交流)を嫌がる場合については、以下のページをご参考ください。

正当な理由なく親子交流(面会交流)を拒否し続けたらどうなる?

正当な理由がないまま親子交流(面会交流)を拒み続けると、親同士の関係だけでなく、子供の生活や法的な手続きにも影響が及ぶ場合があります。ここからは、その代表的な影響を解説します。

  • 養育費が支払われなくなるおそれがある
  • 損害賠償(慰謝料)を請求される可能性がある
  • 親権変更を申立てられる可能性がある
  • 履行勧告や間接強制を受けるおそれがある
  • 子供に悪影響が出ることがある

養育費が支払われなくなるおそれがある

正当な理由がないまま親子交流(面会交流)を拒み続けると、別居親の不満が高まり、養育費の支払いに影響が出る場合があります。

本来、親子交流(面会交流)の実施と養育費の支払いは別の問題であり、親子交流(面会交流)を拒否したからといって、支払義務がなくなるわけではありません。それでも、子供に会えない状況が続くと、支払う意欲が低下したり、関係悪化を理由に減額を求められたりする可能性があります。

実際に、感情的な対立から一方的に支払いを止めてしまうケースも少なくありません。養育費が途絶えると、子供の生活に直接影響が及ぶため、親子交流(面会交流)を拒む場合には、こうしたリスクも十分考えておく必要があります。

損害賠償(慰謝料)を請求される可能性がある

正当な理由なく親子交流(面会交流)を拒み続けると、別居親から損害賠償(慰謝料)を請求される可能性があります。親子交流(面会交流)は子供の成長にとって重要とされているため、一方的な拒否が相手に精神的苦痛を与えたと判断されるケースもあります。

ただし、拒否に至った事情に正当性があれば、慰謝料の支払いを命じられることは通常ありません。もし請求を受けた場合、対応を誤ると不利な結果につながる可能性があるため、放置せず弁護士に相談して、適切な対処を検討することが大切です。

親権変更を申立てられる可能性がある

正当な理由がないまま親子交流(面会交流)を拒み続けていると、別居親から親権や監護権の変更を申し立てられる可能性があります。

親子交流(面会交流)は子供と別居親との関係を保つうえで重要とされており、実施できていない状況が続くと、「子供にとってより安定した環境を整えられていない」と判断されるおそれがあるためです。

ただし、拒否に至った背景に正当な事実がある場合は、親権の変更が認められる可能性は低いといえます。もし親権変更を申し立てられた場合は、対応を怠ると不利な結果につながる可能性があるため、早い段階で弁護士に相談し、事実関係の整理や適切な主張立証の準備が重要です。

履行勧告や間接強制を受けるおそれがある

調停や審判で親子交流(面会交流)の内容が決まったにもかかわらず、正当な理由なく拒否を続けると、裁判所から次のような働きかけを受ける可能性があります。

【履行勧告】
家庭裁判所が決められた親子交流(面会交流)を実施するよう促す制度です。罰則はありませんが、裁判所から正式に注意を受けるため、無視を続けると「協力的でない」と判断され、後々の手続きに影響するおそれがあります。

【間接強制】
履行勧告でも改善が見られない場合、裁判所が金銭的な制裁を科して親子交流(面会交流)の実施を促す措置です。具体的には、親子交流(面会交流)に応じないごとに一定額の支払いを命じられることがあり、拒否を続けると金銭的負担が増えていきます。

このように、正当な理由なく親子交流(面会交流)を拒むことには大きなリスクが伴う点を理解しておく必要があります。

子供に悪影響が出ることがある

親子交流(面会交流)は、子供が両親それぞれとの関係を保つうえで重要とされており、健全な成長にも良い影響があると考えられています。そのため、正当な理由なく面会拒否が続くと、子供が不安を抱えやすくなり、不登校や情緒の不安定といった問題につながる場合があります。また、一方の親との関係が断たれることで、自己肯定感の低下や人格形成への影響が生じることもあります。

親子交流(面会交流)を拒否する場合の流れ

親子交流(面会交流)を拒否したい事情がある場合でも、自己判断で対応すると後のトラブルにつながることがあります。まずは適切な手順を踏み、必要に応じて裁判所の手続を利用しながら進めるのが重要です。

ここでは、親子交流(面会交流)を拒否する際の基本的な流れを解説します。

  1. 当事者同士で話し合う
  2. 親子交流(面会交流)調停を申し立てる

当事者同士で話し合う

親子交流(面会交流)をめぐる問題が生じたときは、まず当事者同士で冷静に話し合うことが重要です。感情的なやり取りになると対立が深まり、解決が難しくなるため、次の点を意識しましょう。

  • 「会わせたくない」「子供が嫌がっている」など感情的・抽象的な理由だけを伝えない
  • 子供の様子や背景など、親子交流(面会交流)を控えたい理由を具体的に説明する
  • 完全拒否ではなく、拒否したい期間や条件を提示する
    (例:一定期間の見合わせ、第三者の同席 など)
  • 相手の意見にも耳を傾け、双方が納得しやすい形を探る姿勢を持つ

こうした工夫を取り入れることで、相手も状況を理解しやすくなり、不要な対立を避けながら話し合いを進められる可能性が高まります。

親子交流調停(面会交流調停)を申し立てる

当事者同士の話し合いでは解決が難しい場合、家庭裁判所に「親子交流調停(面会交流調停)」を申し立てる方法があります。

親子交流調停(面会交流調停)は、調停委員が父母双方の意見を聞きながら、子供の利益を最優先に親子交流(面会交流)の方法や頻度を話し合う手続きです。必要に応じて、家庭裁判所調査官による調査が行われ、親子交流(面会交流)を控えるべき事情があるか、どのような条件であれば実施できるかなどが確認されます。

調停で合意に至らない場合は審判に移行し、裁判所が最終的な判断を示すことになります。審判の結果に納得できないときは、「即時抗告」による不服申立てが可能ですが、審判の告知から2週間以内という期限があるため、早めの対応が必要です。

親子交流(面会交流)を拒否する正当な理由についてよくある質問

Q:

中学生の子供が親子交流(面会交流)を拒否する場合、正当な理由になりますか?

A:

中学生の子供が親子交流(面会交流)を強く拒んでいる場合、その意思は判断の際に十分考慮されます。

中学生は自分の気持ちを言語化しやすく、何を不安に感じているのか、なぜ面会を避けたいのかを具体的に説明できる年齢といえます。そのため、子供の拒否が一時的な感情ではなく、継続的なストレスや別居親への恐怖心に基づくものだと確認できれば、親子交流(面会交流)を控える正当な理由として扱われる可能性があります。

ただし、親の影響や思い込みによる拒否かどうかを慎重に見極めるため、必要に応じて家庭裁判所調査官の意向調査が行われます。

Q:

親子交流(面会交流)の拒否が正当な理由だと認められるには診断書が必要ですか?

A:

親子交流(面会交流)の拒否が正当と判断される場面では、診断書が大きな助けになるケースが多いといえます。診断書は、DVによる精神的ダメージや体調不良、強い不安など、当事者の心身に現れている影響を客観的に示す資料となるため、説得力のある根拠として扱われます。

ただし、診断書が必ず必要というわけではなく、児童相談所の記録や相談履歴、写真、録音データなど、状況を裏付ける別の証拠でも正当性が認められることがあります。重要なのは、親子交流(面会交流)が子供や監護親の心身にどのような負担を与えているのかを、客観的に示せる資料を揃えることです。

親子交流(面会交流)を拒否する正当な理由について判断に迷う場合は弁護士に相談しましょう

親子交流(面会交流)を拒否すべきか迷う場面では、独自の判断だけで進めると後に大きなトラブルへ発展する可能性があります。親子交流(面会交流)の可否は「子供の利益」を中心に判断されますが、実際には家庭ごとに事情が異なり、どのようなケースが正当と認められるか判断が難しい場合も少なくありません。

弁護士法人ALGでは、親子交流(面会交流)に関する多数の相談・対応実績があり、DVや虐待の有無、子供の気持ちなどを踏まえて、最適な対応方針をご提案いたします。調停や審判の対応、調査官調査への準備などサポートも可能ですので、一人で抱え込まずにご相談ください。状況に応じた適切な判断と手続が、お子様とご自身を守ることにつながります。

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弁護士法人ALG 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治
監修:福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates
保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)

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