重婚的内縁|法律上の扱いと解消の際の財産分与について
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
内縁関係のなかには、男女の一方または双方が法律上で婚姻している配偶者が別にいる重婚的内縁関係にある方もいらっしゃるかと思います。
日本において重婚自体は禁止されていますが、重婚的内縁関係にある場合は、通常の内縁関係と同様に、法律婚をしている夫婦に準じる法律上の保護を受けられるのでしょうか?
本記事では、“重婚的内縁は法律上の保護を受けられるのか”、“重婚的内縁を解消したときの慰謝料・財産分与などのお金に関する問題”などをわかりやすく解説していきます。
重婚的内縁関係にある方は、ぜひご参考ください。
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重婚的内縁とは
重婚的内縁とは、内縁関係にある男女の双方または一方に法律上の配偶者がいる状態を指します。
● 重婚とは
配偶者のいる者がほかの異性と重ねて婚姻することです。日本は「一夫一婦制」のため、重婚は犯罪行為として禁止されています。
● 内縁とは
男女双方が婚姻の意思を持ちながら婚姻届を提出せずに、夫婦同然の関係で生活している関係をいい、「事実婚」とも呼ばれます。
つまり、重婚と内縁を合わさった状態が重婚的内縁となります。
重婚的内縁は法律上の保護を受けられるのか?
日本では、法律上で重婚が禁止されているため、外観上重婚同様の関係にある重婚的内縁は基本的に法律上での保護を受けることはできません。
重婚を禁止する民法の規定から、公序良俗に反すると考えられるためです。
ただし、法律上の夫婦関係が破綻している、あるいは形骸化しているといった、一定の要件を満たしている場合は、例外的に保護を受けられることもあります。
重婚的内縁が保護対象となるための要件
重婚的内縁が法律上の保護対象となるには、法律上の婚姻関係にある配偶者との関係がすでに破綻または形骸化している必要があり、以下の要素を総合的にみて判断します。
- 別居の理由・経緯
- 別居の期間
- 婚姻関係を維持・修復するための努力の有無
- 別居後の経済的依存の状態
- 別居後の当事者の音信および訪問の状態
- 重婚的内縁関係の継続性 など
また、内縁関係にあった事実も証明しなければいけません。
内縁関係の証明に関しては、下記ページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
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重婚的内縁を解消するとどうなる?
重婚的内縁を解消するときに、法律上の婚姻関係にある配偶者との関係が破綻・形骸化しており、例外的に保護される場合は、一般的な内縁関係の解消のときと同様の法的保護が与えられます。
慰謝料、財産分与、養育費、婚姻費用について次項で解説していきます。
慰謝料
重婚的内縁を解消されて、精神的苦痛を被った場合は、慰謝料請求ができる可能性があります。
一般的に、慰謝料請求の対象となり得るのは、次のような理由が挙げられます。
- 不貞行為(浮気・不倫)
- DV・モラハラ
- 悪意の遺棄(勝手に家を出て帰らない、理由なく家を追い出された、生活費を支払わないなど)
- セックスレス など
上記のなかでも、「不貞行為」においては、内縁関係中にパートナーが他の人と肉体関係をもった場合は、不貞行為に該当するとして、内縁関係を解消していなくても精神的苦痛を受けたとして慰謝料請求が可能です。
内縁関係にあるパートナーだけでなく、浮気相手に対しても、故意または過失(不貞行為をした際に内縁関係にあるパートナーがいると知っていたこと、あるいは不注意で知らなかったこと)があれば請求できます。
ただし、法律上の夫婦に比べて、「内縁関係にあるパートナーがいるとは知らなった」という浮気相手の言い分が認められやすい可能性が高いです。
内縁関係の解消・破棄による慰謝料については、下記ページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
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財産分与
重婚的内縁を解消する際は、法律婚の夫婦が離婚するときと同様に、財産分与を請求できる可能性があります。
財産分与は、内縁関係期間中に双方が協力して築き上げた財産が対象となります。
ただし、内縁関係の場合は、「内縁関係はいつから開始したか」を証明することが難しいため、例外的に法的な保護が認められても、いつからいつまでの財産が財産分与の対象となるかが争点となりやすいのが特徴です。
養育費
重婚的内縁関係にあるパートナー(夫)が子供を認知することで法律上の父子関係が成立し、父の子に対する扶養義務が発生します。
よって、重婚的内縁関係にある夫に養育費を請求することができます。
重婚的内縁にある夫婦の養育費の請求は、重婚的内縁が保護されるか否かを問わず、認知の有無により決せられます。
もし、認知をしていない場合は、話し合いで認知してもらう「任意認知」か、調停や裁判といった裁判所を通じて認知してもらう「強制認知」の方法を行って、認知をしてもらってから養育費を請求することになります。
内縁の夫と子供の養育費について、下記ページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
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婚姻費用
婚姻費用とは、婚姻関係にある期間に必要となる生活費や子供の養育費などを指します。
法律婚の夫婦の場合は、別居した場合に夫婦のうち収入が少ない方が、収入が多い方に請求できる費用です。
しかし、法律婚の夫婦とは異なり、内縁関係は別居をした時点で、共同生活の実態がなくなり、そもそも内縁としての法律上の保護を受けることができなくなります。
よって、内縁関係の場合は、別居後の婚姻費用を請求することは困難といえます。
内縁関係で別居した際のお金の問題は、下記ページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
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重婚的内縁に関するQ&A
- Q:
既婚者だと知らず重婚的内縁になってしまった場合、相手に慰謝料請求することはできますか?
- A:
婚姻の有無に関わらず、誰しもが性的関係を持つ相手を自由に決める権利、いわゆる貞操権を有しています。
相手が既婚者だと知らなければ、内縁関係となって性的関係を持つことはなかったと考えられます。したがって、相手から婚姻しているという事実を隠され、後になって重婚的内縁になってしまっていることが判明した場合、貞操権を侵害されたとして、相手に慰謝料を請求できる可能性があります。
なお、裁判所に慰謝料請求を認めてもらえるかどうかは、内縁関係となった経緯や当時の年齢、相手が既婚者であると気づける余地の有無等、個別の事情によって異なります。
- Q:
重婚的内縁関係は重婚罪になりますか?
- A:
重婚的内縁関係は、重婚罪にはなりません。
刑法上の重婚罪は、法律上の婚姻、つまり婚姻届の提出を重ねて行った場合に成立するものと考えられています。
したがって、重婚的内縁は、内縁関係にある者と婚姻届の提出をしていませんので罪に問われません。しかし、日本では、一夫多妻制が認められていません。
よって、重婚的内縁は、同居・協力・扶助義務、貞操義務など通常の内縁関係のときと同じように法律上扱われるとは限らない点に注意が必要です。
重婚的内縁についてご不安なことがある場合は、弁護士にご相談ください
一般的な内縁関係の場合は、婚姻に準ずる関係として、法律婚と同様の法律上の保護を受けられます。
しかし、重婚的内縁関係は、基本的に法律上の保護は受けられません。
ただし、例外的に一定の条件を満たせば、重婚的内縁でも法律上の保護を受けられます。
重婚的内縁を解消したい、もしくは解消したいと言われた場合に、ご自身の状況が法律上の保護を受けられるかどうかを判断できないケースもあるでしょう。
その判断には専門的知識が必要となります。
重婚的内縁に関して、不安なことがある場合は弁護士にご相談ください。
弁護士にご相談・ご依頼いただければ、個別の事情を丁寧にお伺いして、適切なアドバイスをいたします。
また、法律上の保護を受けられることとなり、重婚的内縁関係を解消する際は、慰謝料、財産分与、養育費などで相手と激しく争いが生じる場合があります。
相手と争いが生じたときは、弁護士が対応を一任することで、有利に解決できる可能性が高まります。
1人で悩みを抱え込まずに、まずはお気軽に弁護士法人ALGにお問合せください。
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- 監修:福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates
- 保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)











