60代女性の離婚後の生活費はいくら?お金を確保する方法やポイント
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
60代で離婚を考え始めたものの、「離婚後の生活費はいくらかかるのか」「年金だけで一人暮らしができるのか」と不安を抱えている方もいらっしゃるでしょう。
しかし、必要な生活費や利用できる制度を把握しておけば、離婚後の生活に備えることは可能です。
本記事では、60代女性の離婚後に必要となる生活費の目安や、生活費を確保する方法などについて解説します。
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60代女性が離婚後の一人暮らしでかかる生活費はいくら?
60代女性が離婚後に一人暮らしをする場合、生活費の目安は月17万円程度です。
総務省統計局「家計調査(家計収支編)2026年1~3月期」によると、60歳以上の単身女性世帯の消費支出は月16万5932円とされています。
しかし、この金額はあくまで平均にすぎません。実際に必要となる生活費は、住まいが「持ち家」か「賃貸」か、家賃・住宅ローンの有無、就業状況、健康状態などによって大きく異なります。
熟年離婚を検討する際は、平均額を参考にしつつ、ご自身の収入や支出に応じて具体的にシミュレーションしておくことが大切です。
業主婦が熟年離婚した場合に必要な生活費については、以下のページもご参考ください。
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60代女性が離婚後の生活費を確保するための方法
離婚後の生活費を確保するためには、受け取れるお金や利用できる制度を正しく知ることが重要です。
ここでは、離婚後の生活費を確保するための方法について解説します。
- ① 財産分与を受け取る
- ② 年金分割の手続きを行う
- ③ 慰謝料を請求する
- ④ 仕事を見つける
- ⑤ 生活保護などの支援を受ける
①財産分与を受け取る
離婚後の生活を安定させるには、「財産分与」を適切に受けることが重要です。
財産分与とは、婚姻中に夫婦が協力して築いた財産を、離婚時に分ける制度です。熟年離婚では婚姻期間が長いため、対象となる財産が多岐にわたる傾向があります。
財産分与の対象となるものは、以下のとおりです。
- 預貯金
- 不動産(自宅・土地など)
- 株式や投資信託などの有価証券
- 生命保険の解約返戻金
- 自動車
- 退職金
特に60代の離婚では、「退職金」が老後の生活を支える重要な財産となります。
離婚時点でまだ受け取っていない場合でも、条件によっては財産分与の対象に含まれることがあります。
もっとも、対象となる財産や評価額をめぐって意見が対立し、協議がまとまらないケースも少なくありません。
納得できる条件で財産分与を進めるためにも、早い段階で弁護士に相談することが有効です。
財産分与については、以下のページもご参考ください。
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②年金分割の手続きを行う
60代で離婚する際は、「年金分割」の手続きを忘れずに行いましょう。
年金分割とは、婚姻期間中の厚生年金の記録を夫婦で分け合う制度です。
特に専業主婦期間が長かった女性にとっては、離婚後の生活基盤を確保するための重要な権利となります。
厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和6年度)」によると、年金分割を行った結果、受け取る側の年金額は平均で月額約3万3000円増加しているというデータもあります。
ただし、実際の増加額は婚姻期間の長さや、婚姻中の相手方の収入状況などによって一人ひとり異なります。
一定の条件を満たしていれば、事前に年金事務所で分割後の見込み受給額を確認できるため、離婚前に試算しておくと安心です。
ただし、年金分割の手続きには期限が設けられているほか、制度も複雑です。将来もらえるはずの年金を損なわないためにも、不安がある場合は早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
③慰謝料を請求する
夫の不貞行為やDV、モラハラなどによって婚姻関係が破綻した場合は、慰謝料を請求できる可能性があります。
慰謝料とは、相手方の不法行為によって受けた精神的苦痛に対する賠償金です。
慰謝料が認められる主なケースは、次のとおりです。
- 不貞行為(肉体関係を伴う浮気・不倫)
- DV(暴力)・モラハラ
- 悪意の遺棄(生活費を支払わない、正当な理由なく一方的に家を出るなど)
- 浪費やギャンブルによる借金など
特に熟年離婚では、長年にわたり夫の問題行動に苦しんできたケースも少なくありません。
長い間苦しみを我慢してきた事実は、慰謝料額を判断する際の要素として考慮される可能性があります。
ただし、慰謝料を請求するためには、夫の行為と精神的苦痛との間の因果関係を示す証拠が重要です。また、夫が請求に応じない場合は、離婚調停や裁判といった法的手続きが必要になることもあります。
適正な慰謝料を受け取るためにも、早めに弁護士へ相談しましょう。
④仕事を見つける
離婚後の生活費を確保するためには、仕事を見つけて継続的な収入を得ることも重要です。
もっとも、60代で新たに仕事を探すのは容易ではなく、希望に合う職場がすぐに見つかるとは限りません。
まずは、パートやアルバイトなど無理なく始められる仕事を検討するとよいでしょう。ハローワークでは、求人紹介に加え、職業相談や就職支援も受けられます。また、知人や友人に相談することで、仕事を紹介してもらえる場合もあります。
働く選択は、生活費を補えるだけでなく、社会とのつながりを保てるという利点もあります。健康状態や生活スタイルに合わせて、無理なく続けられる仕事を選ぶことが大切です。
⑤生活保護などの支援を受ける
熟年離婚後に生活費を確保できず、貯蓄も十分にないなど生活に困窮する場合は、「生活保護」の支援を受けることもできます。
生活保護は、資産や収入を活用しても最低限度の生活を維持できない場合に受給できる制度です。
また、年金を受給している高齢者であっても、年金収入が国の定める最低生活費を下回る場合は生活保護の対象になります。離婚後の生活が厳しい状況において、年金受給を理由に受給を諦める必要はありません。
さらに、65歳以上の方で、退職後に一定の要件を満たす場合には、「高年齢求職者給付金」を受給できる可能性もあります。利用できる公的支援制度は個々の状況によって異なるため、まずは自治体の福祉窓口やハローワークに相談し、ご自身が利用できる支援を確認することが大切です。
60代女性が離婚後の生活で困らないためのポイント
60代女性が離婚後の生活で困らないためには、生活費の確保だけでなく、住まいや各種請求の期限、別居中の生活費についても事前に確認しておくことが大切です。ここでは、離婚前に押さえておきたいポイントを解説します。
- ① 離婚後の住まいを確保しておく
- ② 財産分与・慰謝料・年金分割は期限内に請求する
- ③ 離婚前に別居する場合は婚姻費用を請求できる
離婚後の住まいを確保しておく
離婚後の生活で困らないためには、住まいを確保しておくことが重要です。
離婚後の住まいとしては、財産分与によって自宅を確保する、実家に戻る、賃貸物件を契約するなどの方法が考えられます。
ただし、60代になると年齢や収入状況などを理由に賃貸借契約の審査が難しくなるケースもあります。そのため、離婚が成立した後に慌てて住居を探すのではなく、離婚前から住まいの確保について検討しておくことが大切です。
財産分与・慰謝料・年金分割は期限内に請求する
離婚後の生活費を確保するためには、財産分与・慰謝料・年金分割などの権利を適切に請求することが重要です。
ただし、これらの請求には期限があるため注意しなければなりません。
| 財産分与 | 離婚成立日から5年以内 (※法改正により、2026年4月1日前に離婚をした場合は2年以内) |
|---|---|
| 離婚慰謝料 | 離婚成立日から3年以内 |
| 不法行為による慰謝料 (不貞行為・DV・モラハラなど) |
損害および加害者を知った時から3年 または不法行為の時から20年のいずれか早い方 |
| 年金分割 | 離婚成立日から5年以内 (※法改正により、2026年4月1日前に離婚をした場合は2年以内) |
期限を過ぎると、本来受け取れるはずの金銭や権利を、請求できなくなるおそれがあります。
特に熟年離婚では、財産分与や年金分割が離婚後の生活に大きな影響を与えます。生活費や老後資金への不安を解消するためにも、できるだけ早く必要な手続きを進めることが大切です。
離婚前に別居する場合は婚姻費用を請求できる
離婚前に別居する場合でも、離婚が成立するまでの間は、収入が少ない配偶者から収入が多い配偶者に対して婚姻費用を請求できる可能性があります。
「婚姻費用」とは、夫婦が婚姻している間の生活費を指します。具体的には、日々の食費や光熱費、住居費、医療費などが含まれます。
民法752条では、「夫婦には婚姻期間中、互いに扶助し協力する義務」が定められています。したがって、夫婦が別居している状態であっても、離婚が成立するまでの期間は、生活費を分担しなければなりません。
特に専業主婦や離婚後の生活基盤が整っていない方にとって、婚姻費用は別居中の生活を支える重要な制度といえるでしょう。
婚姻費用については、以下のページで詳しく解説しています。
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熟年離婚後の生活で困らないためにも弁護士にご相談ください
離婚後の生活を安定させるためには、婚姻費用や財産分与、年金分割、慰謝料などの権利を適切に請求することが重要です。
【弁護士に相談するメリット】
- 適切な婚姻費用の算定や請求ができる
- 財産分与や年金分割、慰謝料について有利な条件で解決できるよう交渉を任せることができる
- 個々の事情に応じた法的アドバイスを受けられる
- 見落としがちな財産を調査し、適切な財産分与につなげられる
熟年離婚は、離婚後の生活への影響が大きいからこそ、事前の準備が欠かせません。不安や疑問がある場合は、一人で抱え込まず、弁護士法人ALGへご相談ください。
まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います

- 監修:福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates
- 保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)











