不倫相手が妊娠したらどうすればいい?とるべき行動や慰謝料について

監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
不倫は、相手が妊娠してしまうケースも少なくありません。不倫相手から「妊娠した」と告げられた場合には、今後の対応について慎重に検討する必要があります。
どのような選択をするにしても不倫相手や配偶者と話し合うことが大切ですが、そのためには、妊娠や中絶、子供の認知や慰謝料などについて理解しておくことが大切です。
この記事では、不倫相手の妊娠が発覚した場合にすべきことや、不倫相手が妊娠した場合に考えられる選択肢などについて解説していきます。ぜひご参考ください。
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不倫相手の妊娠が発覚したときにまず行うべきこと
「生理が遅れている」、「妊娠検査薬で陽性が出た」など不倫相手から「妊娠した」と告げられた場合、とても焦ってしまうかもしれませんが、まずは落ち着いて、以下の点について確認しましょう。
- ① 病院で妊娠の事実を確認する
- ② 不倫相手と子供について話し合う
病院で妊娠の事実を確認する
まずは病院で本当に不倫相手が妊娠しているかを確認しましょう。
不倫相手が妊娠していると話していても、勘違いや思い込みの可能性があります。また、「奥さんと別れてほしい」といった目的で、妊娠したと嘘をついているケースも考えられます。
事実を正しく把握するためにも、不倫相手と一緒に病院へ行き、検査を受けて医師の診断を直接確認することが大切です。
不倫相手と子供について話し合う
不倫相手の妊娠が確認できたら、子供について話し合いを行いましょう。
具体的には、子供を産むのか、認知するのか、養育費はどうするのかなどを話し合います。
不倫相手の妊娠が分かったとき、責任逃れから不倫相手との連絡を絶ってしまう男性もいますが、その対応は良くありません。
連絡を絶ったり、逃げたりしてしまうと、不倫相手が職場や家庭に直接訪れたり、不倫相手から慰謝料を請求される可能性もあります。
また、不倫相手がひとりで出産し、あとで認知や養育費を求められたりするなど、泥沼のトラブルに発展するおそれもあります。
「不倫相手が妊娠した」という状況から逃げ出したくなる気持ちはわかりますが、感情的にならず、しっかりと誠実に対応することが大切です。
不倫相手が妊娠した場合に考えられる選択肢
不倫相手が妊娠した場合、考えられる選択肢は以下の3つです。
- 子供を産む
- 子供を認知する
- 中絶する
どのような方法をとっても、不倫相手や妻を悲しませてしまうでしょう。
以下でそれぞれについて詳しく解説していきますので、ご参考ください。
子供を産む
まずは、妻と離婚し、不倫相手と再婚して子供を産む方法です。
離婚は、話し合いでお互いが同意すればどのような理由でも離婚できます。しかし、配偶者が離婚に応じない場合は、調停や裁判の手続きに移行します。
ただし、不倫は不貞行為であり民法上の不法行為に該当します。不貞行為を行った側は有責配偶者となり、基本的に有責配偶者からの離婚請求は認められません。
そのため、妻が離婚に応じない場合、離婚することは難しいでしょう。
妻が離婚に応じた場合でも、不貞行為の慰謝料を請求される可能性が高いでしょう。不貞行為だけでなく、不倫相手が妊娠したケースでは慰謝料の相場が高くなる傾向にあります。
なお、配偶者との間に未成年の子供がいれば、慰謝料だけでなく養育費の支払い義務も生じます。
子供を認知する
次に、不倫相手と再婚せず、子供の認知のみを行う場合です。このケースでは、妻と離婚するかどうかも考えなければなりません。
「認知」とは、婚姻関係にない男女の間に生まれた子供を、自分の子供であると認める手続きです。
認知届を提出すると父の戸籍に「認知した子」として子供の情報が載ります。
認知しても子供が父親の戸籍に入るわけではありませんが、認知の事実は戸籍に記載されるため、妻に知られる可能性があります。
このことから、認知したことが妻に発覚し、後のトラブルに発展する可能性があります。
また、任意に認知をしなくても、出産してから不倫相手が子供の強制的な認知を求めてくる可能性もありますので、慎重に決めなければなりません。
非嫡出子の認知については、以下のページで詳しく解説しています。ご参考ください。
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養育費の支払い義務が発生する
子供を認知すると、法律上の父子関係が成立するため、扶養義務が生じ、養育費の支払い義務が発生します。
養育費は父母の話し合いによって自由に取り決めることができます。養育費の有無や支払金額、支払い方法などについて話し合い、合意した内容を「合意書」や「公正証書」として残しておくことで、「言った・言わない」のトラブルを防ぐことができるでしょう。
また、認知された子供は父親の法定相続人となります。父親の相続に関しては、妻との子供と同じ割合で相続することが基本ですので、相続についても考えておかなければなりません。
養育費については、以下のページで詳しく解説しています。ご参考ください。
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中絶する
不倫相手と話し合った結果、子供を産まないという選択をした場合は、妊娠中絶手術を受けてもらうことになります。ただし、中絶手術を強制することはできません。無理に求めると、脅迫罪や強要罪に問われる可能性もあるため、注意が必要です。
中絶手術は、不倫相手の女性にとって身体的にも精神的にも大きな負担となります。
トラブルを避けるためにも、相手の気持ちに十分配慮しながら、冷静に話し合いを進めることが大切です。
中絶できる期間は限られている
中絶できる期間は、21週6日までと限られており、それ以上妊娠を継続していると中絶できません。
中絶は、妊娠週数によって「初期妊娠中絶手術(妊娠12週未満)」と「中期中絶手術(妊娠12週~22週未満)」に分けられます。中期中絶手術は、薬剤を使用して出産形式で中絶することになるため、入院が必要となります。
体の負担をなるべく少なくして中絶するためにも、早めに対応するようにしましょう。
中絶費用の負担はどうなるか?
医療機関によってさまざまですが、妊娠初期(妊娠12週未満)で大きな手術が必要でなければ、中絶費用は10万~20万円程度でしょう。
妊娠中期(妊娠12週~22週)になると、手術費用だけでなく、入通院費用もかかるため、30万~50万円程度かかる場合もあります。
中絶の費用は、どちらが負担しなければならないという決まりはありません。妊娠中絶を決めた当事者双方が半額ずつ負担するケースが一般的でしょう。
しかし、妊娠や中絶は女性しかできないため、不倫相手の女性には身体的・精神的な負担がかかります。そのため、中絶費用の負担の他にも、休業損害や慰謝料を渡すことを検討してもよいでしょう。
不倫相手が妊娠したら慰謝料を請求されてしまうのか?
不倫相手が妊娠した場合、以下のようなケースで慰謝料を請求される可能性があります。
- 妻から不倫した夫への慰謝料請求
- 妻から不倫相手への慰謝料請求
- 不倫相手からの慰謝料請求
- ダブル不倫だった場合の慰謝料請求
では、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
妻から不倫した夫への慰謝料請求
妻から不倫した夫へ「不貞行為」を理由に慰謝料を請求される可能性があります。不貞行為の慰謝料は離婚しない場合にも請求することができ、主な相場は以下の表のとおりです。
離婚した場合 | 200万~300万円程度 |
---|---|
離婚しない場合 | 50万~100万円程度 |
夫婦間に未成年の子供がいる場合や不貞期間が長い場合には、慰謝料の増額要素となります。また、不倫相手が妊娠したことも不貞の悪質性が高いと判断され、慰謝料が相場よりも高額になるでしょう。
不貞行為や不倫相手の妊娠によって妻と離婚する場合には、慰謝料のほかにも、財産分与や養育費などの支払いが必要です。
妻から不倫相手への慰謝料請求
不倫(不貞行為)は、配偶者と不倫相手の双方による共同の不法行為とされ、2人には連帯して慰謝料を支払う責任が生じます。
そのため、被害者である妻は、慰謝料の請求先として「配偶者のみ」「不倫相手のみ」「両方」のいずれかを選ぶことができます。
特に離婚しない場合は、不倫相手のみに慰謝料を請求するケースも少なくありません。
ただし、不倫相手だけが慰謝料を支払った場合には「求償権」に注意が必要です。
たとえば、慰謝料が100万円だった場合、本来は配偶者と不倫相手が連帯して支払うべきですが、不倫相手のみが支払った場合は、その分を配偶者に請求できる権利(求償権)が発生します。
このようなトラブルを防ぐためにも、示談書や合意書には「求償権を放棄する」旨を明記しておくことが重要です。
浮気相手への慰謝料請求については、以下のページでも詳しく解説しています。ご参考ください
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不倫相手からの慰謝料請求
不倫関係で生じた妊娠・中絶は当事者双方に責任があると考えられるため、双方納得の上で肉体関係を持ったのであれば、基本的に慰謝料を支払う義務はありません。
しかし、以下のようなケースでは、慰謝料を請求される場合もあります。
- 不誠実な対応をとる
男性が、子供の父親として母親である不倫相手の女性を肉体的・精神的に配慮せずに、妊娠発覚後、不倫相手との話し合いを避け、何も協力しないなど不誠実な対応をとった場合には、不法行為に当たり、慰謝料が認められる可能性があります。 - 中絶の強要をする
不倫相手の気持ちを無視し、一方的に女性を脅迫する、暴力を振るうなどで中絶を強要した場合は不法行為に当たり、慰謝料の支払い義務が生じる可能性があります。
ダブル不倫だった場合の慰謝料請求
不倫相手も既婚者で、「ダブル不倫」だった場合の慰謝料は、双方の夫婦が離婚するのかどうかによって以下のようになります。
- 双方の夫婦が離婚しない場合
この場合、妻が不倫相手に慰謝料を請求しても、不倫相手の夫からも配偶者に対して慰謝料を請求されてしまうため、「慰謝料なし」と取り決める場合もあります。 - 双方の夫婦が離婚する場合
妻からは離婚慰謝料、不倫相手の夫からは不倫慰謝料を請求され、慰謝料の支払いが二重苦になる可能性があります。
不倫相手を妊娠させてしまった場合はなるべく早く弁護士にご相談ください
不倫相手を妊娠させてしまった場合、不安や動揺もあるでしょう。しかし、迅速かつ誠実に対応することが大切です。感情的になってしまえば、スムーズな話し合いができず、トラブルに発展するおそれもあります。
不倫相手の妊娠については、私たち弁護士法人ALGへご相談ください。離婚や夫婦問題に詳しい弁護士が、今後の対応について一緒に考えながらアドバイスしていきます。また、あなたの代わりに不倫相手や配偶者との話し合いも行うことができます。
不倫相手を妊娠させてしまい、これからどうしたらいいのかご不安な場合は、私たちにお話をお聞かせください。
まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います

- 監修:福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates
- 保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)