【2025年3月施行】オンラインの離婚調停とは?弁護士が詳しく解説
		      監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
2025年3月1日より、離婚調停をオンラインで行える制度が正式に施行されました。これにより、裁判所へ出向かなくても、自宅などからウェブ会議を通じて調停に参加できるようになり、移動の負担や精神的ストレスを大きく軽減することが可能になります。
この記事では、オンライン離婚調停の制度概要やメリット・デメリット、必要な手続きなどを詳しく解説していきます。
「離婚調停をしたいけれど、裁判所に行くのは不安」「遠方に住んでいて移動が大変」
そんな方にとって、オンライン化がどのような助けになるのか、参考にしていただければ幸いです。
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【2025年3月1日施行】オンラインの離婚調停とは?
2025年(令和7年)3月1日より、離婚調停はウェブ会議システムを利用して、オンラインで実施できるようになりました。これにより、裁判所に直接出向くことなく、映像と音声を通じて調停に参加することが可能になります。
これまでの対面式調停と同様に、調停委員を交えた話し合いが行われますが、遠方に住んでいる方や、外出が困難な方にとっては、移動の負担や精神的なストレスが軽減されるなど、大きなメリットがあります。
オンライン離婚調停は、裁判手続きのデジタル化の一環として導入されたもので、離婚手続きの新しい選択肢として注目されています。
離婚調停がオンライン化された背景
離婚調停のオンライン化は、裁判手続きのデジタル化を推進する国の方針と、新型コロナウイルス影響による「非接触型手続き」へのニーズの高まりを背景に導入されました。
これまでの対面式の調停では、裁判所への出頭や長時間の待機が必要でしたが、オンライン離婚調停では、自宅などからウェブ会議を通じて参加できるため、身体的・精神的負担の軽減が期待されています。
特に、遠方に住んでいる方や、DVの被害を受けている方など、対面での調停が難しいケースでは、安全で柔軟な選択肢として、オンライン離婚調停が注目されています。
オンラインによる離婚調停の3つのメリット
離婚調停をオンラインで行うことには、これまでの対面式にはない、以下のようなメリットがあります。
- ① 移動時間・交通費などの負担が軽減される
 - ② ウェブ上で資料閲覧や提出などができる
 - ③ 心理的な安心感がある
 
ここからは、上記の3つのメリットについて、具体的な事例を交えながら解説していきます。
①移動時間・交通費などの負担が軽減される
離婚調停をオンラインで行えるようになったことで、裁判所までの移動にかかる時間や交通費、場合によっては宿泊費などの負担を大幅に減らすことができます。
離婚調停は通常、平日の日中に複数回行われ、平均して6ヶ月~1年程度の期間がかかります。そのたびに裁判所へ出向く必要があり、時間的にも経済的にも大きな負担がかかっていました。
オンライン離婚調停では、自宅や弁護士事務所などから参加できるため、時間的・経済的な負担が軽減され、より柔軟な対応が可能になります。
②ウェブ上で資料閲覧や提出などができる
オンライン離婚調停では、資料を画面共有で確認したり、必要書類をデータで提出したりすることが可能です。
これにより、紙の資料を郵送したり裁判所へ持参したりする手間が省け、調停の準備や進行がスムーズになります。
ただし、すべての書類がオンライン対応という訳ではありません。一部の書類は紙での提出が必要な場合もあるため、事前に裁判所に確認するようにしましょう。
また、デジタル化によって調停の効率性が向上する一方で、個人情報の取り扱いや通信の安全性など、セキュリティ面への配慮が必要です。
③心理的な安心感がある
自宅などの安心できる環境から離婚調停に参加できることで、精神的な負担が軽減され、冷静に話し合いに臨みやすくなります。
特に、DV被害などの事情で、相手と直接顔を合わせることが難しいケースでは、オンライン離婚調停が心理的安全を確保する有効な手段となるでしょう。
たとえ画面越しであっても、調停委員の仲介により、適切な距離感を保ちながら話し合いを進めることが可能です。
オンラインによる離婚調停の4つのデメリット
オンライン化によって利便性が向上した一方で、以下のような注意すべきデメリットも存在します。
- ① 情報漏洩のリスクやプライバシー確保の難しさ
 - ② 第三者の同席・なりすまし
 - ③ 基本的なITスキルが必要
 - ④ 意思疎通の齟齬や誤解が生じやすくなる
 
ここからは、離婚調停をウェブ会議で行う際に生じやすい、上記4つのデメリットについて見ていきましょう。
①情報漏洩のリスクやプライバシー確保の難しさ
オンライン離婚調停では、インターネットを通じて行われるため、第三者による盗聴や不正な録音・録画のリスクが伴います。特に自宅から参加する場合、家族や同居人に会話内容が漏れてしまう可能性もあり、プライバシーの確保が課題となります。
離婚調停では、非常にセンシティブな内容が話し合われるため、参加場所は静かでプライバシーが守られる個室を選ぶようにしましょう。また、使用するパソコンやスマートフォンには、パスワード設定やウイルス対策ソフトの導入など、セキュリティ対策をしっかり行うことが求められます。
②第三者の同席・なりすまし
オンライン離婚調停では、画面に映らない場所に第三者が同席していたり、本人になりすまして参加するなどの不正行為が発生する可能性があります。
離婚調停は、当事者同士の信頼関係と公正性が求められる場であり、こうした不正介入は、調停の成立に大きな影響を及ぼすおそれがあります。
そのため、裁判所では本人確認のために身分証の提示や事前の接続テストを求める場合もあります。弁護士が同席することで、本人確認や不正防止のサポートが可能となり、より安心して調停に臨むことができるでしょう。
③基本的なITスキルが必要
オンライン離婚調停に参加するには、パソコンやタブレット、スマートフォンなどの機器操作に加え、ウェブ会議システムの基本的な使い方を理解している必要があります。
通信環境が不安定な場合、映像や音声が途切れたり、接続が切れたりするトラブルが発生し、調停の進行に支障をきたすことがあります。そのため、裁判所によっては、事前に接続テストを実施するよう案内されることもあります。
参加前には、使用する機器やネット環境をしっかり確認し、不安がある場合は弁護士に相談するのも良いでしょう。
④意思疎通の齟齬や誤解が生じやすくなる
ウェブ会議では、相手の表情や声のトーン、場の空気感などが伝わりにくく、微妙なニュアンスが誤解されることがあります。
特に、感情的な話し合いになりやすい離婚調停では、言葉の選び方や話すタイミングが非常に重要です。対面であれば察することができる情報が欠けることで、意思疎通にズレが生じる可能性もあります。
こうした場面では、調停委員の進行力や、当事者の冷静な対応が求められます。
離婚調停をオンラインで行う際の手続き
離婚調停をオンラインで行う場合、これまでの対面式とは異なる点がいくつかあります。特に重要なのは、対応している裁判所の確認や必要書類の準備、そして申立時の注意点です。オンライン離婚調停は非常に便利な制度ですが、事前の準備を怠るとスムーズに進行できない可能性もあります。
ここでは、オンライン離婚調停を円滑に進めるために押さえておくべき基本的な手続きについて詳しく解説していきます。
オンライン離婚調停が利用できる裁判所を確認する
オンライン離婚調停は、基本的にすべての家庭裁判所で実施可能となっています。ただし、すべての事件が自動的にオンラインで行われるわけではなく、裁判所が適切と判断した場合に限り利用できます。事前に以下の方法で確認しましょう。
- 裁判所の公式ウェブサイト:各裁判所のページに、オンライン離婚調停の対応状況が記載されている場合があります。
 - 電話での問い合わせ:直接裁判所に連絡し、オンライン離婚調停の可否や必要な手続きについて確認するのが確実です。
 
必要書類と費用
オンライン離婚調停を希望する場合、通常の申立書に加え、オンライン利用を希望する旨を記載する必要があります。
裁判所によっては、以下のような書類の提出が求められることがあります。
| 必要書類 | 解説 | 
|---|---|
| 申立書 | 離婚調停を申し立てる際に必須の書類。オンライン離婚調停を希望する場合は、その旨を明記する欄があるか、備考欄に記載する。 | 
| 添付書類 | 戸籍謄本、住民票、婚姻関係証明書など。通常の調停と同様に、紙での提出が求められることが多い。 | 
| ウェブ会議利用希望書 | 一部の裁判所では、オンライン参加を希望する理由や通信環境の確認事項を記載した書面の提出が必要。裁判所の指定様式がある場合もあるため、事前確認が重要。 | 
なお、オンライン離婚調停に関する追加の手数料は不要ですが、インターネット通信費や機器の準備は自己負担となります。
通信環境が不安な場合は、調停が中断されるおそれもあるため、事前に環境整備をしておきましょう。
オンライン離婚調停の進め方
オンラインで離婚調停を行う場合、対面で行う場合と比べて準備や進行の方法にいくつかの違いがあります。特に、使用する機器や通信環境、当日の進行手順について事前に理解しておくことで、トラブルを避け、調停を円滑に進めることが可能です。
ここでは、オンライン離婚調停を行う際の「事前準備」と「当日の流れ」について詳しく解説します。
事前準備
オンライン離婚調停に参加するには、まず使用する機器と通信環境を整えることが大切です。基本的にはパソコンの使用が推奨されていますが、スマートフォンやタブレットでも参加可能です。
ウェブカメラやマイクは内蔵型でも問題ありませんが、外付けの機器を使うと、音声や映像の品質が安定しやすくなります。インターネット接続は、できるだけ安定した環境を整え、可能であれば有線接続を利用することで通信トラブルを防ぐことができます。
また、裁判所が指定するウェブ会議システムを事前にインストールし、操作方法を確認しておくことも重要です。
調停に参加する場所は、第三者に会話内容が聞かれないような静かな個室を選びましょう。背景が整理されていて、顔がはっきり映るような明るい環境であることも、調停委員との円滑なコミュニケーションを図るのに役立ちます。
当日の流れ
オンライン離婚調停の当日の流れは、基本的には対面での調停と大きく変わりはなく、以下のような手順で進行します。
- ① 指定された時間に、裁判所から案内されたウェブ会議システムにログインする
 - ② 裁判所職員による本人確認と接続確認
 - ③ 調停委員との個別面談(当事者双方が交互に行う)
 - ④ 必要に応じて、当事者の意見を踏まえた再度の個別面談
 - ⑤ 合意に至った場合は調停成立の確認と記録
 - ⑥ 調停が成立しなかった場合は、次回期日の調整または不成立の確認
 
開始前には機器や通信環境を再確認し、静かな環境で落ち着いて参加することが大切です。
離婚調停をオンラインで行う際の注意点
オンラインで離婚調停を行う場合、対面式とは異なる注意点があります。
調停の公正性と安全性を守るためにも、以下のようなルールを正しく理解し、適切に対応することが求められます。
- 録音や録画は禁止
オンライン離婚調停でも調停内容の録音や録画は禁止されています。ウェブ会議であっても、記録を残す行為は調停の公正性を損なうだけでなく、法的な問題に発展する可能性もあります。 - 弁護士以外の第三者の立ち合いは禁止
自宅などから参加する場合でも、家族や知人が同席することはできません。画面に映っていない場所に第三者がいると、調停の公正性が損なわれるため、裁判所から厳しく指導されることがあります。 - 証拠資料は事前提出が原則
オンライン離婚調停では、事前に提出された資料をもとに話し合いが進められます。当日に新たな証拠を提示しても、調停委員が確認できないことがあるため、必要な資料は事前に裁判所に提出しておきましょう。 
離婚調停をオンラインで行うか検討している場合は弁護士にご相談ください
オンラインで離婚調停を行う制度は、利便性が高く、多くの方にとって有効な選択肢となります。
しかし、調停の進め方や必要書類、通信環境の整備、調停委員とのやり取りなど、初めての方にとっては不安や疑問が多いのが実情です。
そのようなときは、ぜひ弁護士にご相談ください。
私たち弁護士法人ALGは、離婚問題に精通した経験豊富な弁護士が多数在籍しております。
申立書の作成や必要書類の準備、裁判所とのやり取り、調停当日のサポートまで、ご相談者様の状況に寄り添った丁寧な支援を行っています。
オンライン離婚調停を安心して進めるためにも、まずは一度私たちにお話をお聞かせください。
まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います

- 監修:福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates
 - 保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)
 

			









