DVがある場合の共同親権はどうなる?回避するための対処法を解説
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
共同親権とは、離婚後も子供の父母双方が親権を持つ制度であり、2026年4月から導入されました。
しかし、DV(家庭内暴力)の被害を受けている方の中には、「DVがあっても共同親権になるのか」「離婚後も相手と関わり続けなければならないのか」など、不安を抱えている方も多いでしょう。
本記事では、DVがある場合の共同親権の取扱いや、回避するための対処法などについて、詳しく解説します。
まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います
離婚問題ご相談予約受付来所・オンライン法律相談30分無料
※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。
※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。
お電話でのご相談受付
0120-979-164
24時間予約受付・年中無休・通話無料
メールでのご相談受付
メール相談予約受付この記事の目次
DVがある場合の共同親権はどうなる?
配偶者からDVを受けており、裁判所でその事実が認められた場合は、共同親権ではなく、単独親権と判断されます。
改正民法(819条7項)では、次のような事情がある場合、裁判所は単独親権を定めなければならないとされています。
- 父または母が、子供の心身に害を及ぼすおそれがある
- 父母の一方が、他方から暴力や有害な言動を受けるおそれがあり、共同して親権を行うことが難しいと認められる
裁判所は、離婚後の親権を判断するにあたり、「子の利益」を最も重視します。
DVがあると、父母が対等な立場で話し合うことが難しく、子供の進学や医療などの重要事項を共同で決めるのは困難と判断されやすいことから、配偶者からのDVが認められる場合、子供の安全と健やかな成長を守るため、裁判所は共同親権ではなく単独親権を選ぶことになります。
DVがあっても共同親権になる可能性があるケース
DVがある場合、単独親権が原則です。
しかし、父母双方が共同親権に合意した場合や、DVの事実を裏付ける証拠が不十分で、DVの存在を認定できない場合には、共同親権となる可能性があります。
DVがあるにもかかわらず共同親権となった場合、次のような問題が生じるおそれがあります。
- 子供に関する重要事項について円滑な意思決定ができない
- DV加害者との関係を完全に断ち切ることが難しくなる
- 子供が父母の対立に巻き込まれるおそれがある
- DV相手との接触が続き、身体的・精神的な負担が大きくなる
DV被害を受けている場合、安易に共同親権へ同意しないことが重要です。
診断書や写真、録音データ、警察への相談記録などの客観的な証拠を収集し、裁判所にDVの事実を適切に主張しましょう。
DVがある場合に共同親権を回避するための対処法
DVがある場合に共同親権となるのを防ぐためには、DVの事実を客観的に示し、被害の状況を的確に伝えることが大切です。
特に、次の対応は早めに進めておくとよいでしょう。
- DVを認めてもらうための証拠を準備する
- 警察・相談機関への相談実績を作る
- 身の安全を確保し、相手と直接交渉しない
DVを認めてもらうための証拠を準備する
単独親権となるためには、裁判所にDVの事実を認めてもらうことが重要です。
そのため、客観的な証拠はできるだけ多く集めておきましょう。
- 医師の診断書やケガの写真
- 暴言や脅迫が記録されたLINE・メール
- 会話や暴力の状況を記録した録音データ
- DVの発生日時や内容を記載した日記・メモ
証拠は一つだけでなく、複数を組み合わせることで信用性が高まります。DV被害を受けた際は、その都度記録を残し、後で提出できるよう整理して保管しておくことが大切です。
DVの証拠について、以下のページで詳しく解説しています。
合わせて読みたい関連記事
警察・相談機関への相談実績を作る
DV被害を受けている場合、警察や配偶者暴力相談支援センターなどの相談機関へ早めに相談することが大切です。
相談記録は、後に裁判所でDVの事実を裏付ける客観的な証拠として扱われる可能性があります。
たとえば、次のような機関への相談実績や利用記録は、DVの事実を裏付ける重要な資料となります。
- 警察への相談記録
- 配偶者暴力相談支援センターへの相談記録
- 一時保護やシェルターの利用記録
- 行政機関や支援団体への相談履歴
第三者機関が関与している事実は、DV被害を裏付ける客観的な事情として重視されるでしょう。被害を受けたときは一人で抱え込まず、早めに相談することが大切です。
身の安全を確保し相手と直接交渉しない
ご自身と子供の安全確保を最優先にし、相手と直接話し合うことは避けましょう。
相手と直接交渉しようとすると、暴力がエスカレートしたり、恐怖心から不当な条件(望まない共同親権など)を無理やり承諾させられたりする危険性が高いためです。
まずは、必要に応じて速やかに別居やシェルターへの避難を行い、物理的な距離を確保することが重要です。そのうえで、離婚や親権の交渉を弁護士へ依頼し、窓口になってもらうことをおすすめします。
弁護士が間に入ることで、相手と接触することなく安全に手続きを進められます。
離婚前の別居について、下記のページで詳しく解説しています。
合わせて読みたい関連記事
DVで共同親権を避けたい場合に弁護士に相談するメリット
相手との直接交渉を避けられる
親権について当事者同士で話し合うことは、大きな負担になりがちです。
相手の威圧的な言動や不当な要求により、冷静な判断が難しくなることもあります。
弁護士に依頼すれば、相手との連絡や交渉を任せられるため、直接やり取りする必要がなくなります。結果、相手と物理的・心理的な距離を取りやすくなり、精神的負担や二次被害の防止につながります。
また、安全な環境で親権や離婚条件を検討できるため、ご自身や子供の利益を守りながら手続きを進めやすくなります。
安全確保を最優先に対応してもらえる
DVがある場合、ご自身や子供の安全確保を最優先にすることが重要です。
弁護士に相談すれば、別居先や避難先の確保、一時保護の利用など、安全な生活環境へ移るための対応について助言を受けられます。
また、危険性が高い場合は、警察や関係機関と連携しながら迅速な対応を検討できます。必要に応じて、裁判所へ保護命令を申し立て、加害者に対する「接近禁止命令」や「子供への接触制限」などの法的措置をとることも可能です。
接近禁止命令の申立てについては、以下のページで詳しく解説しています。
合わせて読みたい関連記事
調停や裁判にも対応できる
親権について話し合いで解決できない場合は、家庭裁判所での調停や裁判に進むことがあります。
その際は、証拠に基づいてDVの事実を適切に主張し、裁判所へ正確に伝えることが重要です。
弁護士であれば、診断書や録音データ、相談記録などの証拠を整理したうえで、DVが親子関係や親権の行使に与える影響を、法的な観点から主張できます。
また、調停や裁判の手続き、主張立証も任せられるため、精神的な負担の軽減にもつながります。
DVの実態を適切に伝えられれば、単独親権が認められる可能性を高められるでしょう。
離婚調停・離婚裁判で親権を獲得するポイントについては、以下のページで詳しく解説しています。
DVと共同親権に関するよくある質問
- Q:
DVを理由に共同親権を拒否できますか?
- A:
DVを理由に共同親権を拒否することは可能です。
DVによる恐怖心やトラウマが残っていると、父母が対等な立場で話し合うことは難しく、共同で親権を行使するのも困難になります。
また、相手による支配や威圧が続いている場合も、共同親権が適さない事情として考慮されます。ただし、相手が共同親権を希望している場合、一方が拒否しただけで直ちに単独親権となるわけではありません。その場合は、DVの有無や、父母が共同して親権を行えるか、子供への影響などを踏まえ、家庭裁判所が「子の利益」を最優先に判断します。
- Q:
DV相手から共同親権に合意するなら離婚すると言われた場合、どうすればいいですか?
- A:
DV相手から「共同親権に合意するなら離婚する」と言われたとしても、安易に合意することは避けるべきでしょう。
共同親権は、離婚後も子供の進学や医療、転居などの重要な事項について、父母が協力して意思決定を行う必要があります。そのため、共同親権に合意すると、離婚後も継続的に連絡や協議をしなければならず、精神的な負担や新たなトラブルにつながるおそれがあります。
DV相手から強い要求や圧力を受けている場合は、一人で対応しようとせず、早めに弁護士へ相談したうえで、適切な対応を検討することが大切です。
- Q:
共同親権になったら離婚後もDV相手と連絡を取らなければいけませんか?
- A:
共同親権であっても、必ずDV相手と直接連絡を取り続ける必要はありません。
弁護士を窓口にしたり、家庭裁判所の調停手続きや第三者機関を利用したりすることで、相手との連絡手段や接触を最小限に抑えられる場合があります。
また、共同親権であっても、日常的な子供の世話や緊急時の対応などは、子供と同居する親が単独で判断できます。そのため、全ての場面で相手との協議が必要になるわけではありません。
ただし、子供の進学や居住地の変更など重要事項については協議が必要となるため、不安がある場合は事前に弁護士へ相談することをおすすめします。
- Q:
モラハラ(精神的DV)の場合も共同親権は認められませんか?
- A:
モラハラ(精神的DV)の場合でも、共同親権が認められない可能性があります。
改正民法では、身体的暴力の有無だけでなく、父母が共同して親権を行使できる関係にあるかどうかも考慮されます。そのため、相手に対する恐怖心があり、対等な立場で話し合うことが難しい場合は、共同親権が「子の利益」に反すると判断される可能性が高いです。
ただし、モラハラは身体的DVと異なり、ケガなどの目に見える証拠が残りにくい傾向があります。
暴言や脅迫的な発言が記録されたLINE、録音データ、日記や相談記録などを保管し、モラハラの実態を客観的に示せるようにしておきましょう。
- Q:
DVを理由に既に離婚した場合も共同親権になる可能性はありますか?
- A:
DVを理由に離婚している場合、後から共同親権になる可能性は低いでしょう。
離婚時に単独親権となっている場合、共同親権へ変更するには、元配偶者が家庭裁判所に申し立てを行い、その変更が「子の利益」にかなうと認められなければなりません。
過去にDVがあった場合、共同親権への変更は認められにくい傾向があります。特に、DVによる被害や子供への影響が認められるケースでは、単独親権が維持される可能性が高いでしょう。
DVと共同親権の問題は一人で悩まず弁護士へご相談ください
DVが関係する親権問題は、親権の判断だけでなく、ご自身や子供の安全確保も重要な課題となります。特に、共同親権に関する話し合いは、DV相手からの圧力や威圧的な言動によって、不利な条件で合意してしまうおそれがあります。
また、当事者同士で直接交渉を続けることで、精神的負担が大きくなったり、トラブルが深刻化したりするケースも少なくありません。DVがある場合は、できるだけ早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士法人ALGでは、DV事案や親権問題を数多く取り扱っており、証拠収集のアドバイスから交渉・調停・裁判対応まで幅広くサポートしています。DVと共同親権の問題でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います

- 監修:福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates
- 保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)











