女性の離婚で財産分与はどうなる?割合や対象となるもの、請求方法など
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
専業主婦の方や、夫との収入差がある方でも、財産分与を請求できる可能性があります。
離婚を考える女性の中には、「自分に取り分はあるのだろうか」と不安を感じる方も少なくありません。しかし、婚姻期間中に築いた財産は、名義や収入の多さにかかわらず、夫婦の共有財産として財産分与の対象になるのが基本です。
この記事では、女性の離婚における財産分与の基本的な考え方や対象となる財産、請求の進め方などについて、分かりやすく解説します。
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女性の離婚で財産分与はどうなる?
離婚の「財産分与」とは、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産を、離婚時に分け合う制度です。
専業主婦で収入がない、または収入が少ない女性でも、家事や育児を担当することで財産の形成に貢献したと判断されるため、一定割合の財産を受け取れる可能性があります。
財産分与で不利にならないためには、どのような財産が対象となるのか、分与の割合がどのような基準で判断されるのかを事前に理解しておくことが大切です。
財産分与の割合は原則として半分ずつ
財産分与の割合は、基本的に夫婦それぞれが2分の1ずつ取得するものと考えられています。
預貯金や不動産などは名義に関係なく、婚姻期間中に形成された財産であれば、夫婦が協力して得た「共有財産」として財産分与の対象となるのが基本です。
もっとも、分与の割合は必ず半分ずつと決まっているわけではありません。婚姻期間の長さや財産形成への貢献度といった具体的な事情を踏まえ、夫婦の話し合いで柔軟に取り決めることも可能です。
【女性の財産分与はいくらが多い?】
令和6年の司法統計によると、調停成立または調停に代わる審判によって財産分与が決められた件数は8258件でした。そのうち、最も多かった分与額は100万円以下となっています。
| 財産分与額 | 調停、審判の件数 |
|---|---|
| 100万円以下 | 1558件 |
| 200万円以下 | 921件 |
| 400万円以下 | 1056件 |
| 600万円以下 | 707件 |
| 1000万円以下 | 989件 |
| 2000万円以下 | 910件 |
| 2000万円を超える | 507件 |
| 総額が決まらず算定不能 | 1610件 |
専業主婦や共働きでも財産分与の権利はある
専業主婦の場合や、共働きで女性(妻)の収入が少ない場合でも、財産分与を受ける権利は認められています。
婚姻中に形成された財産については、収入を得た側だけの力で築かれたものではなく、家事や育児を担い家庭を支えてきた側も財産形成へ貢献したと評価されるためです。
よって、夫名義の預貯金や不動産であっても、婚姻期間中に取得したものであれば、財産分与の対象となる可能性があります。
専業主婦の財産分与の割合や共働き夫婦の財産分与については、以下の各ページをご参考ください。
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女性の離婚で財産分与の対象となる財産
財産分与の対象となるかは、名義で判断されるものではありません。婚姻中に得た預貯金や不動産、負債などは、夫婦で共有してきた財産と考えるのが基本です。
ここでは、女性の離婚において財産分与の対象となる主な財産を具体的に見ていきます。
- 現金・預貯金
- 不動産
- 退職金
- 貴金属類
- 借金・ローン
- 各種年金
現金・預貯金
婚姻期間中に貯めた現金や預貯金は、基本的に財産分与の対象となります。夫名義の口座であっても、結婚後の給与や生活費の中から貯めたお金であれば、共有財産と判断される可能性が高いです。
そのため、離婚を意識した段階で、夫の通帳や給与明細、源泉徴収票など、収入や預貯金の状況が分かる資料を集めておくことが大切です。あらかじめコピーや写真を残しておくと、話し合いや調停の際に具体的な主張をしやすくなります。
不動産
婚姻期間中に取得した不動産は、名義に関係なく、基本的に財産分与の対象となります。例えば、夫名義の家やマンションであっても、婚姻中に購入し、住宅ローンや維持費を夫婦の収入で支払ってきた場合は、共有財産として扱われる可能性が高いでしょう。
不動産は高額になりやすいため、売却するのか、どちらかが住み続けるのかなどを含めて、早めに話し合っておくことが大切です。
家の財産分与の方法や注意点については、以下のページをご参考ください。
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退職金
夫の退職金は、必ずしも全額が財産分与の対象になるわけではなく、将来どの程度受け取れる見込みがあるかを踏まえて判断されます。例えば、定年が近く退職が現実的であれば、受け取る予定の退職金も婚姻中の貢献度を考慮し、分与の対象となる可能性が高いです。
一方、勤続年数が短い場合や、受給見込みや金額が未確定の場合は、財産分与の対象外と判断されることもあります。
退職金の財産分与については、以下のページもご参考ください。
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貴金属類
指輪やネックレスなどの貴金属類、美術品や骨董品といった動産についても、市場で評価できる価値があれば、財産分与の対象となる可能性があります。
婚姻中に購入したものであれば、使用者や保管場所に関係なく「共有財産」と判断される可能性があるため、購入時期や価格が分かる資料を整理しておくと安心です。
借金・ローン
婚姻期間中に負った借金や住宅ローン、カードローンについても、内容によっては財産分与の対象となる場合があります。住宅の購入費や生活費のための借入れであれば、夫婦が共同で負担すべきだと判断されやすいためです。
もっとも、ローンの名義変更は認められにくいため、実務上は債務をどちらが負担するのか話し合ったり、金銭のやりとりで調整したりする方法が一般的です。
ローンが残っている場合の財産分与や、離婚時に借金がある場合の財産分与については、以下の各ページをご参考ください。
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各種年金
各種年金のうち、厚生年金は「年金分割(婚姻期間中の保険料納付実績を分け合う制度)」の対象となります。専業主婦やパート勤務の方でも請求可能です。
分割方法には、夫婦の話し合いで割合を決める合意分割と、一定の条件を満たせば自動的に2分の1となる3号分割があります。共働き夫婦であっても、年金分割を請求できる点は同様です。
【国民年金は注意が必要】
国民年金には年金分割の制度がないため、財産分与の対象には含まれません。ただし、民間の個人年金については、積み立てた掛金に応じた解約返戻金がある場合、財産分与の対象となる可能性があります。
共働き夫婦の年金分割や専業主婦の年金分割については、以下の各ページをご参考ください。
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女性の離婚で財産分与の対象とならない財産
財産分与の対象は「夫婦の共有財産」なので、次のようなものは基本的に分与の対象外となります。
- 結婚前から個人で保有していた預貯金や不動産
- 相続や贈与によって取得した財産
- 慰謝料請求権など、個人的な権利
これらは「特有財産(婚姻とは無関係に個人で取得した財産)」と位置付けられるため、基本的に財産分与の対象にはなりません。
もっとも、特有財産であっても、婚姻中に夫婦が協力して運用や管理を行い、その結果として価値が増えた部分については、財産分与の対象となる可能性があります。例えば、結婚前に取得した株式や投資信託の運用益などです。
株が財産分与の対象となるかについては、以下のページをご参考ください。
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女性の財産分与の割合が少なくなるケース
財産分与は基本的に公平に行われますが、次のような事情がある場合は、女性側の割合が少なくなる可能性があります。どのような影響が出るのかを知っておくと、事前の備えや対応を検討しやすくなるでしょう。
- 夫が特殊な能力・資格・知名度によって収入を得ている
- 自分が離婚の原因を作った
夫が特殊な能力・資格・知名度によって収入を得ている
夫が医師や弁護士、スポーツ選手、芸能人など、特殊な能力や専門資格、知名度によって高収入を得ている場合、その事情が財産分与の割合に影響することがあります。
こうした収入は、夫個人の努力や才能によるものと評価され、一般的なケースと比べて夫婦で協力して築いた部分が相対的に少ないと判断されることがあるためです。
ただし、結婚生活の中で妻が家庭を支えてきた事情も考慮されるため、具体的な割合はケースバイケースといえます。
自分が離婚の原因を作った
女性側が離婚の原因を作った場合、財産分与の割合に影響が及ぶ可能性があります。
例えば、妻の不貞行為(浮気・不倫)が認められた場合、婚姻関係を破綻させた責任が考慮され、分与割合が調整されるケースは少なくありません。
不貞行為をした場合、財産分与とは別に慰謝料も請求されるのが一般的です。話し合いによっては、慰謝料と財産分与を合わせて全体の金額を調整するケースもあります。
なお、不貞行為をしたからといって、直ちに財産分与が大幅に減額されるわけではありません。婚姻期間の長さや家事・育児への関わり、財産形成への貢献など、さまざまな事情を総合的に考慮したうえで判断されます。
女性の財産分与の割合が多くなるケース
離婚時の財産分与では、夫婦それぞれの事情が考慮され、女性側が多く受け取れる場合もあります。
分与の割合が増える具体的なケースを知っておくと、今後の対応を考える手がかりになります。
- 夫がギャンブルや浪費によって財産を減らした
- 夫が離婚の原因を作った
夫がギャンブルや浪費によって財産を減らした
夫がギャンブルや過度な浪費によって共有財産を減らした場合は、その事情が考慮され、女性側の財産分与の割合が多くなる可能性があります。
適切な割合を主張するためには、浪費の内容や時期、実際に使われた金額が分かる資料を準備しておくことが重要です。通帳の取引履歴やクレジットカードの利用明細などを整理し、財産が減った理由を具体的に説明できれば、有力な証拠となり得ます。
夫が離婚の原因を作った
夫側が不貞行為(浮気・不倫)やモラハラ・DVなど、離婚に至る重大な原因を作った場合は、結婚生活への影響や責任の度合いが考慮され、財産分与の内容に反映されることがあります。
夫の不貞行為やDVが認められれば、財産分与と慰謝料請求をあわせて検討できるため、結果として女性側に有利な分与割合となるケースも見られます。
行為の内容や期間、生活への影響を整理しておくと、話し合いの際に役立つでしょう。
女性の離婚で財産分与を請求する方法
財産分与を受けるには、状況に応じた手続きを選ぶことが重要です。夫婦の話し合いでまとまる場合もあれば、第三者を交えて進める場面もあります。
自身の状況に合った手続きを知っておくと、不利な条件で合意してしまうリスクを減らすことができます。
- ①夫婦間の協議
- ②離婚調停
- ③離婚裁判
- ④財産分与請求調停・審判
①夫婦間の協議
財産分与は、まず夫婦間の話し合い(協議離婚)の中で請求するのが一般的です。双方が納得できれば、自由に内容を取り決められます。
ただし、感情的になりやすい方法でもあるため、冷静に話し合い、自分の考えを整理して伝える姿勢が重要です。
協議離婚では、あらかじめ財産に関する資料をそろえておくと、話し合いが進みやすくなります。
一方、夫が財産分与を拒否する場合や、協議が難航しそうなときは、早めに弁護士へ相談すると安心です。
協議離婚の進め方については、以下のページをご参考ください。
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②離婚調停
夫婦間の話し合いで合意に至らない場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てる方法があります。調停では、調停委員が間に入り、双方の意見を聞きながら話し合いをサポートしてくれます。
財産分与を求める際は、夫の資産状況や収入を示す資料を提出し、請求内容が妥当であることの証明が必要です。申立手続きや主張の整理にも手間がかかるため、弁護士への依頼をおすすめします。
弁護士に依頼すれば、仮に裁判に発展しても引き続き対応を任せることができます。
③離婚裁判
離婚調停が成立しなかった場合には、家庭裁判所で離婚裁判を起こし、裁判で争う流れとなります。
裁判は、夫婦それぞれが主張や証拠を提出し、財産分与を含む離婚条件について裁判官が判断を下す手続きです。
これまでの話し合いとは異なり、法律や証拠に基づいた判断が中心となるため、準備の負担は一層大きくなります。財産分与に関する主張や立証についても、弁護士と協力しながら進めるのが望ましいでしょう。
離婚裁判の流れについては、以下のページをご参考ください。
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④財産分与請求調停・審判
離婚自体は成立しているものの、財産分与について合意に至らない場合は、家庭裁判所に財産分与請求調停を申し立てる方法があります。
この調停は、その他の条件や離婚原因とは切り離し、財産分与のみを目的として話し合う手続きです。調停委員が間に入り、双方の主張や資料を確認しながら、現実的な解決を目指します。
それでも合意できなかったときは、家庭裁判所が審判(裁判官が職権で判断する手続き)によって、財産分与の内容を決定します。話し合いが進まなくても、最終的に判断を示してもらえるのが特徴です。
調停や審判では、適切な主張や資料の提出が重要なため、弁護士のサポートを受けながら進めると安心です。
女性が財産分与する際に知っておくべきこと
財産分与を進めるにあたっては、制度の知識だけでなく、事前の準備や注意点を押さえておくことも重要です。ここでは、女性が財産分与を考える際に意識しておきたいポイントを解説します。
- 財産隠しを防ぐため夫の財産を把握しておく
- 生活が苦しい場合は扶養的財産分与を主張する
財産隠しを防ぐため夫の財産を把握しておく
財産分与を適切に行うためには、離婚を切り出す前から準備を進め、夫の財産を把握しておくことが重要です。
夫名義の預貯金や保険、投資商品、不動産などについて、妻がすべてを把握できていないケースは少なくありません。また、離婚の話が出た後に、口座を移す、現金を引き出すといった形で、夫が財産を隠そうとする例も見られます。
財産隠しが行われると、本来分与の対象となる財産を見落とし、妻が受け取れる金額が少なくなってしまうおそれがあります。
そのため、可能な範囲で次のような財産の資料を確認し、コピーや写真で残しておくと安心です。
- 夫名義の通帳や残高が分かる資料
- 給与明細
- 源泉徴収票
- 保険証券
- 不動産関係書類
すべてを集められなくても、客観的な資料があれば、話し合いや調停で有利にはたらく可能性があります。
生活が苦しい場合は扶養的財産分与を主張する
扶養的財産分与とは、離婚後すぐに安定した生活を送るのが難しい配偶者に対し、一定期間の生活を支える目的で行われる財産分与のことです。
専業主婦やパート勤務などで収入が限られている方は、離婚直後に十分な生活費を確保できないケースも少なくありません。そこで、生活が安定するまでの猶予期間を支えるため、扶養的財産分与が検討されます。
【扶養的財産分与が認められやすい主な事情】
- 離婚後の生活が不安定である
- 就労までに時間を要する
- 婚姻期間が比較的長い
- 夫側に十分な支払能力がある
扶養的財産分与については、法律上明確な基準が定められておらず、金額や支払期間もケースごとに異なります。そのため、夫婦間の話し合いで状況に応じた柔軟な取り決めが可能です。
女性の財産分与に関するよくある質問
- Q:
浮気を理由に財産分与の割合を増やすことは可能ですか?
- A:
- 夫が浮気(不貞行為)をしたからといって、直ちに財産分与の割合が増えるとは限りません。
離婚の原因が夫の浮気である場合、「財産を多く受け取りたい」と考えるのは自然な気持ちでしょう。しかし、裁判における財産分与では、民法768条に基づき、夫婦が婚姻中に協力して築いた財産を清算する点が重視されます。浮気による精神的苦痛については、財産分与とは別に慰謝料請求として相手に求めることが可能です。
一方、夫婦の話し合いでは、双方が合意すれば浮気を考慮して分与割合を調整できます。慰謝料と財産分与をあわせて全体の金額を調整し、折り合いをつけるケースも少なくありません。
- Q:
確定拠出年金の財産分与はどうなりますか?
- A:
確定拠出年金は、年金分割の対象にはなりませんが、内容によっては財産分与の対象となる可能性がある財産です。企業型確定拠出年金やiDeCoについては、婚姻期間中の収入から掛金が拠出されていれば、夫婦が協力して築いた財産と評価される傾向があります。
確定拠出年金そのものを分けるのではなく、婚姻期間に対応する積立額や評価額を算定し、他の財産とあわせて調整する方法が一般的です。確定拠出年金をどのように扱うかは、積立額や受給までの期間、夫婦の年齢や生活状況によって異なるため、個別の事情を踏まえた判断が重要になります。
確定拠出年金の財産分与について詳しくは、以下のページをご参考ください。
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女性の離婚で財産分与に不安がある場合は弁護士にご相談ください
離婚における財産分与では、女性の立場やこれまでの生活状況によって、予想よりも多くの財産分与を受けられる可能性があります。
弁護士に相談することで、どの財産が分与の対象となるのか、分与の割合はどの程度が見込まれるのかといった点を、具体的に把握することが可能です。
弁護士法人ALGでは、女性の離婚・財産分与に関する豊富な相談実績を踏まえ、一人ひとりの状況に応じた見通しや対応方針を丁寧にご説明しています。財産の整理や資料収集、主張の組み立て、交渉まで、一貫したサポートを任せられます。
財産分与について少しでも不安を感じている方は、まずは一度、お気軽にご相談ください。
まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います

- 監修:福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates
- 保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)











