母子家庭(ひとり親)の医療費助成金とは?条件や申請方法を解説
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
母子家庭をはじめとするひとり親家庭では、生活費や教育費に加え、子供やご自身の医療費が家計の負担になるケースも少なくありません。健康保険によって医療費の自己負担は軽減されますが、継続的な通院や治療が必要な場合は大きな支出となる可能性があります。
こうしたひとり親家庭の経済的負担を和らげるために設けられたのが、ひとり親家庭等医療費助成制度です。
この記事では、制度の概要や申請方法、あわせて活用したい医療費助成金制度などについて、わかりやすく解説します。
まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います
離婚問題ご相談予約受付来所・オンライン法律相談30分無料
※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。
※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。
お電話でのご相談受付
0120-979-164
24時間予約受付・年中無休・通話無料
メールでのご相談受付
メール相談予約受付ひとり親家庭等医療費助成制度とは?
ひとり親家庭等医療費助成制度とは、母子家庭や父子家庭などのひとり親家庭を対象に、医療機関で支払う医療費の自己負担額の全部または一部を自治体が助成する制度です。
公的医療保険制度では、一般的に小学校入学後から70歳未満の方は、医療費の3割を自己負担して保険診療を受けます。
しかし、ひとり親家庭では生活費や教育費などをひとりで賄う場合も多く、医療費が家計の負担となるケースは少なくありません。
そこで、多くの自治体では、18歳に達した日以後の最初の3月31日までの児童と、その児童を監護・養育するひとり親などを対象に医療費助成を行っています。
対象となる人
ひとり親家庭等医療費助成制度の対象者は自治体によって異なりますが、一般的には次のような方が対象です。
- ひとり親家庭の母または父
- ひとり親家庭で養育されている児童
- 両親がいない児童
- 両親がいない児童を養育している養育者
ひとり親家庭となった理由は問われない場合が多く、離婚のほか、配偶者との死別、未婚による出産、配偶者の生死が明らかでないケースなども対象となる場合があります。
ただし、具体的な対象者の範囲や認定要件は自治体ごとに異なるため、お住まいの自治体の案内を確認しておくとよいでしょう。
対象にならない人
ひとり親家庭等医療費助成制度は、ひとり親家庭であれば誰でも利用できるわけではありません。自治体によって条件は異なりますが、次のような場合は助成の対象外となることが多いです。
- 母子家庭や父子家庭であっても、一定額以上の所得がある
- 生活保護を受給している
- 子供が児童福祉施設に入所している
- ひとり親および児童が健康保険に加入していない
- 事実婚の状態にある場合や、離婚せずに別居しているだけで、法律上・制度上のひとり親と認められない
利用できる支援の内容や要件は自治体ごとに異なるため、事前に確認することが大切です。
対象となる医療費
ひとり親家庭等医療費助成制度では、健康保険が適用される保険診療にかかる自己負担額が助成の対象となります。
具体的には、次のような医療費です。
- 医療機関での診察料
- 入院費
- 健康保険が適用される処置・手術費
- 処方された薬剤費
また、交通事故によるケガであっても、公的医療保険を利用して受診した場合は助成対象となるケースがあります。
制度を利用することで、ひとり親家庭の医療費負担が軽減され、必要な診療や治療を受けやすくなるでしょう。
対象にならない医療費
ひとり親家庭等医療費助成制度では、すべての医療費が助成対象となるわけではありません。一般的に、次のような費用は対象外となります。
-
公的医療保険が適用されない診療
(差額ベッド代、予防接種、健康診断、薬の容器代、紹介状を持たずに受診した200床以上の病院などの初診料、美容整形手術やレーシック・歯列矯正などの自由診療) - 入院時食事療養・生活療養標準負担額
- 高額療養費・家族療養附加金などの該当分
- 他の公費医療で助成される医療費
なお、対象となる医療費の範囲は自治体によって異なります。
自治体によっては、上記の費用であっても助成の対象となる可能性があるため、詳しくはお住まいの自治体の案内をご確認ください。
ひとり親家庭等医療費助成制度の所得制限はいくら?
ひとり親家庭等医療費助成制度を利用するには、一定の所得制限を満たす必要があります。
所得制限の基準額は自治体によって異なりますが、ひとり親家庭であっても、世帯の前々年度の所得が一定額を超える場合は助成を受けられない可能性があります。
なお、審査の対象となる「所得」とは、給与収入や事業収入などの総収入額ではありません。「給与所得控除」や「必要経費」など、各種所得控除を差し引いた後の金額を指します。
例えば、東京都中央区では、以下の所得制限が設けられています。
| 扶養親族等の人数 | 本人(請求者)の所得制限 | 被扶養義務者・配偶者の所得制限 |
|---|---|---|
| 0人 | 208万円 | 236万円 |
| 1人 | 246万円 | 274万円 |
| 2人 | 284万円 | 312万円 |
| 3人 | 322万円 | 350万円 |
| 4人以降 | 扶養が1人増すごとに38万円加算 | |
ひとり親家庭等医療費助成制度の申請方法
ひとり親家庭等医療費助成制度を利用するには、以下の流れで申請手続きを行う必要があります。
-
①制度の対象となるか確認する
まずは、年齢要件や家族状況、所得制限などの受給条件を満たしているか確認します。 -
②必要書類を準備する
戸籍謄本や健康保険証、本人確認書類など、自治体が指定する書類を用意します。 -
③自治体の担当窓口で申請する
市区町村役場の児童福祉担当窓口などで申請手続きを行います。 -
④医療証(受給者証)が交付される
審査の結果、要件を満たしていると認められれば、医療証(受給者証)が交付されます。
必要書類
ひとり親家庭等医療費助成制度の申請では、一般的に次のような書類の提出が求められます。
- ひとり親家庭等医療費助成申請書
- 申請者および児童の戸籍謄本
- マイナンバー確認書類
- 申請者および児童の健康保険証
- 申請者の本人確認書類
- 申請者の口座がわかるもの
- 世帯の所得証明書
- 障害認定診断書(親または児童に障害がある場合)
- 児童扶養手当証書(児童扶養手当を受給している場合)
必要書類に不足があると手続きに時間を要する場合があるため、申請前に自治体の窓口やホームページで確認し、あらかじめ準備しておくとスムーズです。
手続きにかかる期間
申請から医療証の交付までにかかる期間は、自治体や申請状況によって異なりますが、一般的には1ヶ月~数ヶ月程度が目安となります。
また、医療証の交付前に受診した医療費についても、後日、所定の手続きを行うことで払い戻しを受けられる場合があります。そのため、申請中に受診した際の領収書は大切に保管しておきましょう。
ひとり親医療証の使い方と助成の受け方
医療機関や薬局を利用する際は、健康保険証と医療証を窓口で提示することで、医療費の助成を受けられます。
なお、医療証を使用できるのは、基本的に医療費助成の申請を行った市区町村がある都道府県の医療機関等に限られるため、注意が必要です。
医療費の助成方法
- 現物給付・・・医療機関の窓口で健康保険証と医療証を提示し、助成分を差し引いた金額のみを支払う方法
- 償還払い・・・いったん医療費を窓口で支払い、その後、自治体へ申請することで助成対象額の払い戻しを受ける方法
多くの自治体では「現物給付」を行っていますが、都道府県外で受診した場合や医療証を提示しなかった場合などは、償還払いによる手続きが必要になることがあります。
受給者の負担額
ひとり親家庭等医療費助成制度で受けられる助成の内容や自己負担額は、自治体によって異なります。
また、住民税課税世帯か非課税世帯かによって、助成内容が変わる場合も珍しくありません。
例えば、東京都と福岡市での自己負担額は、次のような違いがあります。
東京都
- 住民税非課税世帯…自己負担なし
- 医療費…1割負担
- 通院…1ヶ月1万8000円(年間上限14万4000円まで)
- 入院…1ヶ月5万7600円(多数回該当の場合は1ヶ月4万4400円まで)
福岡市
-
通院…18歳に達する日以後最初の3月31日までは1医療機関あたり1ヶ月500円まで
※それ以外(親を含む)は1医療機関あたり1ヶ月800円まで -
入院…18歳に達する日以後最初の3月31日までは自己負担なし
※それ以外(親を含む)は1医療機関あたり1日500円(月7日まで) - 薬局…自己負担はなし
このように、助成内容は自治体によってさまざまです。
医療費の払い戻し
次のような場合、医療機関の窓口では助成を受けられず、後日、自治体に申請して払い戻しを受ける手続き(償還払い)が必要になることがあります。
- 申請した市区町村や都道府県以外の医療機関を利用した場合
- 受診時に医療証を提示しなかった場合
- その他、自治体の助成制度を利用できない方法で受診した場合
このような場合は、いったん医療費の自己負担額を支払ったうえで、後日、市区町村役場に助成費の申請を行います。一般的に必要となる書類は次のとおりです。
- ひとり親家庭等医療費助成費支給申請書
- 領収書の原本
- 医療証
- 健康保険証
- 受給者名義の振込口座がわかるもの
払い戻しの申請や審査には期限が設けられている場合もありますので、できるだけ早めに手続きを行いましょう。
ひとり親家庭等医療費助成制度の受給資格がなくなるケース
ひとり親家庭等医療費助成制度の受給資格がなくなるケースとして、次のようなものが挙げられます。
-
子供が対象年齢に達したとき
子供が18歳に達した日以後の最初の3月31日を迎えると、受給資格を失う場合があります。 -
所得が制限額を超えたとき
所得審査の結果、基準額を上回った場合、助成を受けられなくなることがあります。 -
児童が施設や里親に預けられたとき
児童が児童福祉施設に入所した場合や里親に養育されることになった場合は、制度の対象外となるのが一般的です。 -
再婚や事実婚によりひとり親でなくなったとき
法律上の婚姻だけでなく、事実婚の場合にも受給資格を失うことがあります。 -
他の市区町村へ転出したとき
引き続き制度を利用するには、転出先で申請手続きが必要です。 -
医療証の有効期限を過ぎたとき
医療証の更新手続きが必要な場合、手続きを行わないと受給資格が喪失します。
まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います
離婚問題ご相談予約受付来所・オンライン法律相談30分無料
※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。
※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。
お電話でのご相談受付
0120-979-164
24時間予約受付・年中無休・通話無料
メールでのご相談受付
メール相談予約受付その他の母子家庭が受けられる医療費の助成金制度
ひとり親家庭等医療費助成制度の他にも、「こども医療費助成制度」や「高額療養費制度」、「国民健康保険料の減免」など、医療費負担を軽減するさまざまな制度があります。
ここからは、それぞれの制度の内容や、ひとり親家庭等医療費助成制度との関係について解説します。
こども医療費助成制度
こども医療費助成制度は、ひとり親家庭に限らず子供を養育しているすべての家庭を対象に、医療費の負担を軽減するための制度です。
この制度を利用すると、子供が保険診療を受けた際の自己負担額の一部または全額について、助成を受けることができます。
対象年齢や助成内容は自治体によって異なりますが、一般的には「0歳~中学校3年生(15歳に達した日以後の最初の3月31日まで)」または「0歳~18歳(18歳に達した日以後の最初の3月31日まで)」としている地域が多いです。
なお、「ひとり親家庭等医療費助成制度」と「こども医療費助成制度」の両方が対象となる場合でも、同じ医療費について重複して助成を受けることは基本的にできません。
高額療養費制度
高額療養費制度とは、医療機関で支払った1ヶ月の医療費が一定の自己負担限度額を超えた場合、その超過分の払い戻しを受けられる制度です。自己負担部分は、年齢や所得などに応じて定められています。
流れとしては、まず高額療養費制度が適用され、その後に残った自己負担額について、ひとり親家庭等医療費助成制度による助成が行われるのが一般的です。
そのため、ひとり親家庭等医療費助成制度を利用している場合でも、高額な医療費が発生した際は、高額療養費制度の対象となる可能性があります。
高額療養費制度の詳細については、以下の厚生労働省のサイトも併せてご確認ください。
国民健康保険料の減免
ひとり親家庭等医療費助成制度は、国民健康保険料の減免制度と併用できます。
国民健康保険の減免制度とは
倒産・解雇・病気による離職や、自然災害による被害などによって収入が大きく減少し、保険料の納付が困難になった場合、申請により国民健康保険料の減額や免除、納付猶予を受けられる制度です。
国民健康保険料の減免を受けているからといって、ひとり親家庭等医療費助成制度を利用できなくなるわけではありません。
そのため、それぞれの制度の要件を満たしていれば、国民健康保険料の減免と医療費助成の両方を受けることができます。
減免の条件や内容、申請方法などは、お住まいの自治体にご確認ください。
また、以下の記事でも、国民健康保険料の減免制度について紹介しています。併せてご覧ください。
合わせて読みたい関連記事
母子家庭の医療費の助成金に関するよくある質問
- Q:
母子家庭の医療費が無料になるのはいつまでですか?
- A:
ひとり親家庭等医療費助成制度は、基本的に子供が18歳に達した日以降の最初の3月31日まで受けられます。
子供だけでなく、ひとり親である父または母についても、所得制限などの要件を満たしている場合は、同じ期間にわたって医療費助成の対象となるのが一般的です。
ただし、対象年齢や助成内容、所得制限の基準は自治体によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
- Q:
18歳以上でも母子家庭の医療費助成制度は受けられますか?
- A:
自治体によっては、18歳以上でも助成を受けられる場合があります。例えば、次のようなケースです。
- 子供に中等度以上の障害がある場合・・・20歳未満まで助成の対象となることがあります。
- 自治体が独自に対象年齢を拡大している場合・・・高校生や大学生など、20歳未満の学生まで助成対象としている自治体もあります。
ただし、対象年齢や延長の要件は自治体ごとに異なります。そのため、18歳以上の子供がいる場合は、お住まいの市区町村の制度内容を確認することが大切です。
- Q:
ひとり親家庭等医療費助成の更新手続きは必要ですか?
- A:
ひとり親家庭等医療費助成制度の更新手続きが必要かどうかは、自治体によって異なります。
自動的に資格が更新される場合もありますが、自治体によっては、引き続き助成を受けるために現況届などの提出が必要となるケースもあります。更新手続きを行わないと、要件を満たしていても医療証が更新されず、助成を受けられなくなるおそれがあるため注意が必要です。
そのため、制度を利用する際は、次の点をあらかじめ確認しておきましょう。- 更新手続きが必要か
- 自動更新か申請制か
- 現況届などの提出書類があるか
- 更新期限はいつか
定期的に送付される案内を確認し、期限内に手続きを行うことが大切です。
- Q:
医療費助成以外にも母子家庭に向けた公的支援制度はありますか?
- A:
ひとり親家庭が利用できる公的支援制度は、医療費助成制度以外にも次のようなものがあります。
-
経済的支援
児童扶養手当、児童育成手当、特別児童扶養手当、ひとり親家庭住宅手当 など -
生活負担を軽減する制度
ひとり親控除、国民年金や国民健康保険料の免除・納付猶予、保育料の免除・減免、水道・下水道料金の減免 など -
就業・相談支援
母子父子寡婦福祉資金貸付金制度、就業支援・相談支援 など
利用できる制度や要件は自治体によって異なるため、事前に制度内容を確認しておくことをおすすめします。
-
経済的支援
母子家庭の医療費の助成金について不明な点は弁護士法人ALGにご相談ください
ひとり親家庭等医療費助成制度は、自治体によって対象者や助成内容、申請方法が異なります。そのため、「自分や子供が対象になるのかわからない」「離婚後にどのような手続きが必要なのかわからない」といった不安や疑問を抱える方も少なくありません。
弁護士法人ALGでは、離婚問題に関する豊富な知識と経験を活かし、ひとり親家庭の方が利用できる医療費助成制度についてアドバイスが可能です。また、各種公的支援制度や必要な手続きについてもアドバイスを行っています。
また、離婚後の生活や子育てに関する不安やお悩みについても、状況に応じたサポートが可能です。
医療費助成制度や離婚後の生活に不安を抱えている場合は、おひとりで悩まずお気軽にご相談ください。
まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います

- 監修:福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates
- 保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)
- 福岡県弁護士会所属。私たちは、弁護士131名、スタッフ240名を擁し(※2026年4月1日時点)、東京、札幌、宇都宮、埼玉、千葉、横浜、名古屋、大阪、神戸、姫路、広島、福岡、タイの国内外13拠点を構え、全国のお客様のリーガルニーズに迅速に応対することを可能としております。











