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離婚後の年金分割手続き|請求期限や必要書類、死亡したケースなど

弁護士法人ALG 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治

監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates

年金分割は、離婚後であっても手続きが可能です。離婚時は何かと慌ただしく、年金分割まで気が回らなかったという方も少なくありません。

ただし、申請できる期間には限りがあり、元配偶者と話し合いができている場合でも、年金事務所での届け出が必要です。

この記事では、離婚後に年金分割を考える際に知っておきたい請求期限や手続きの流れ、注意点などについて、分かりやすく解説します。

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離婚後でも年金分割はできる?

年金分割は、離婚後でも請求できます。将来の生活設計を考えるうえで、重要なポイントになるでしょう。

年金分割とは

婚姻期間中に納めた厚生年金の保険料納付実績を分け合い、それぞれの将来の年金額に反映させる制度です。
離婚しても自動的に行われるわけではないため、日本年金機構での申請が必要になります。
なお、国民年金は年金分割の対象とならないため注意が必要です。

手続きを行わずに放置すると、老後に受け取れる年金額が少なくなるおそれがあります。特に、婚姻期間が長い方や扶養に入っていた期間が長い方は注意が必要です。

高齢期に新たな仕事を探すのは簡単ではなく、生活に不安を感じやすいため、忘れずに行いたい手続きの1つです。

年金分割を利用する条件や方法については、以下のページをご参考ください。

離婚後の年金分割の請求期限はいつまで?

離婚後に年金分割を請求できる期間は、法改正により2年から5年に延長されました。

ただし、すべての方が一律に5年となるわけではありません。離婚した時期によってどちらの期限が適用されるかが異なるため、注意が必要です。

また、やむを得ない事情があれば、期限後でも年金分割の請求が認められるケースもあります。

ここからは、離婚時期ごとの年金分割の請求期限を詳しく確認します。

離婚をした日の翌日から2年以内(2026年3月31日以前に離婚)

2026年3月31日以前に離婚した場合、年金分割の請求期限は離婚した日の翌日から2年以内となります。この期間内であれば、元配偶者との合意分割や3号分割の申請が可能です。

一方、2年を経過すると、基本的に年金分割の請求は認められません。

離婚後すぐに対応するのは難しいかもしれませんが、早めに制度の内容を把握し、必要に応じて年金事務所や弁護士へ相談しましょう。

離婚をした日の翌日から5年以内(2026年4月1日以降に離婚)

2026年4月1日以降に離婚した場合、年金分割の請求期限は離婚した日の翌日から5年以内となります。期間延長の理由としては、従来の2年という期間では検討や手続きが間に合わず、制度を見直すべきだと指摘を受けたことが挙げられます。

期限に余裕が生まれるため、離婚直後に判断できなかった方も、生活が落ち着いてから年金分割を検討できるようになりました。

ただし、5年を経過すると基本的に請求は認められません。ご自身の離婚時期から、どちらの請求期限が適用されるのかを確認し、早めに準備を進めると安心です。

請求期限の延長が認められるケース

次のいずれかに当てはまる場合、例外的に請求期限の延長が認められる場合があります。

  • ①離婚から5年以内に調停または審判を申し立てた
    当事者間で合意できず、離婚後5年以内に家庭裁判所へ調停または審判を申し立てたケースです。調停成立や審判確定のタイミングが「請求期限後」または「期限前6ヶ月以内」であれば、確定日の翌日から6ヶ月以内の請求が可能です。
    ※2026年4月1日より前に離婚した場合は2年
  • ②按分割合(分け方の比率)で争い、判決や和解が成立した
    年金分割の割合について附帯処分を求め、「請求期限後」または「期限前6ヶ月以内」に判決が確定、または和解が成立した場合、確定日等の翌日から6ヶ月以内であれば手続きを行えます。

離婚後の年金分割の手続きと必要書類

離婚後の年金分割は、大きく分けて合意分割3号分割の2種類があります。どの制度で請求するかによって、手続きの流れや必要書類が異なるため注意が必要です。

ここからは、年金分割の具体的な手続きや必要書類について解説します。

合意分割を請求する場合

合意分割とは、離婚した元夫婦が話し合い、婚姻期間中の厚生年金をどの割合で分けるか決めたうえで申請する方法です。

合意分割の主な流れ

  1. ①年金事務所で「年金分割のための情報通知書」を取得
  2. ②元配偶者と按分割合(分け方の比率)を協議
  3. ③合意内容を書面化
  4. ④日本年金機構へ年金分割を請求

※話し合いで合意できない場合、家庭裁判所に調停や審判を申し立て、裁判所を通じて按分割合を決める方法もあります。

主な必要書類

  • 標準報酬改定請求書
  • マイナンバーカード、基礎年金番号通知書または年金手帳
  • 1ヶ月以内に取得した戸籍謄本、戸籍抄本または住民票(請求書にマイナンバーを記入すれば省略可)
  • 年金分割の割合を明らかにすることができる書類

合意分割について詳しくは、以下のページもご参考ください。

3号分割を請求する場合

3号分割とは、婚姻期間中に第3号被保険者だった方が、元配偶者の同意を得ずに厚生年金の一部を分割できる制度です。

対象となるのは、2008年4月以降の第3号被保険者期間に限られ、分割割合は2分の1です。

3号分割の手続きの流れ

  1. ①離婚後、日本年金機構で3号分割の要件を確認
  2. ②年金分割のための情報通知書を取得
  3. ③必要書類をそろえて年金事務所へ請求

主な必要書類

  • 標準報酬改定請求書
  • マイナンバーカード、基礎年金番号通知書または年金手帳
  • 1ヶ月以内に取得した戸籍謄本、またはそれぞれの戸籍抄本(相手の分のみで可)
  • 本人確認書類
  • 委任状、代理人の本人確認書類(代理人が提出する場合)

3号分割について詳しくは、以下のページもご参考ください。

離婚後に年金分割を請求する場合の注意点

離婚後に年金分割を請求する際は、注意すべき期限や要件があります。知らずに進めると不利益が生じる場合もあるため、留意しましょう。

ここからは、離婚後に年金分割を請求する際の注意点を解説します。

  • 相手が死亡した場合は1ヶ月以内に手続きが必要
  • 年金分割をしても受給資格がないと受け取れない
  • 年金分割を拒否される場合がある

相手が死亡した場合は1ヶ月以内に手続きが必要

合意や家庭裁判所の調停・審判によって年金分割の按分割合が決定しても、年金分割の手続きを終える前に相手が亡くなる可能性もあります。

相手が死亡した場合、死亡した日から1ヶ月以内に年金分割の請求を行わなければなりません。
離婚後の請求期限内であっても、相手が死亡してから1ヶ月が過ぎると、年金分割の手続きができなくなってしまうため注意が必要です。

離婚後は戸籍上他人になるので、元配偶者が死亡しても自身に連絡が入るとは限りません。
死亡の事実を知らないまま1ヶ月が経過し、手続きができなくなるリスクもあるため、離婚後はできるだけ速やかに手続きをするのがおすすめです。

年金分割をしても受給資格がないと受け取れない

年金を受け取るためには、原則として保険料の納付期間などの合計が10年以上必要です。この受給資格を満たしていない場合、年金分割を行っても将来年金を受け取ることはできません。

つまり、年金分割を受ける側の加入期間が10年未満の場合、分割によって記録が加算されても、受給資格そのものがないため年金は受給できません。

もっとも、65歳以降も保険料を納め続け、加入期間が10年を超えれば、将来的に年金を受け取れる可能性があります。

年金分割を拒否される場合がある

離婚後に年金分割を請求しようとしても、相手が拒否したり、話し合いに応じなかったりする場合があります。年金分割は、分割する側にとって利益が生じにくいため、消極的な対応を取られるケースも少なくありません。

相手が年金分割に応じない場合は、家庭裁判所に調停または審判を申し立て、裁判所で年金分割の按分割合を決めることになります。裁判官や調停委員を交えて話し合うため、スムーズに解決できる可能性が高まるでしょう。

一方、調停や審判でも相手が強く拒み続ける場合は、手続きが長引くおそれがあります。ご自身での対応に不安を感じたときは、弁護士に依頼して進めるのが有用です。

離婚後の年金分割を拒否できるのかについては、以下のページもご参考ください。

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離婚後の年金分割を弁護士に依頼するメリット

離婚後の年金分割を弁護士に依頼すると、次のようなメリットが受けられます。

  • 直接話し合いたくない相手と代わりに交渉してもらえる
  • 弁護士が相手と交渉することで、希望に近い結果となる可能性が高まる
  • 複雑な年金分割の制度を分かりやすく教えてくれる
  • 調停や審判などでも、書面の作成や提出、裁判所とのやりとり、出廷などを一任できる
  • 公正証書を作成する際、適正な公正証書の作成、公証役場とのやりとりなどをしてもらえる
  • 年金分割に必要な書類の収集や手続きをサポートしてもらえる

離婚後の年金分割に関するQ&A

Q:

離婚後の年金分割の手続きは1人で行えますか?

A:

離婚後の年金分割は、選択する制度や準備状況によっては1人でも進められます。
3号分割のみを行う場合、元配偶者の同意は不要とされているため、要件を満たしていればご自身のみで年金事務所に申請が可能です。

合意分割についても、一定の条件を満たせば単独で申請が可能です。
たとえば、年金分割の割合について合意しており、その内容を公正証書や私文書認証(公証人が内容を確認した書面)にまとめている場合、基本的に相手の同席は求められません。

また、家庭裁判所で分割割合を決めたときも、調停調書審判書を提出すれば1人で手続きを行えます。

Q:

離婚後に年金分割の手続きをした場合、いつからもらえますか?

A:

年金分割によって振り分けられた年金は、受給する本人の生年月日に応じた支給開始年齢(原則65歳)から受け取ることができます。

年金分割の手続きを離婚前に行っても、離婚後に行っても、支給開始の時期自体に違いはありません。

受給開始時期は、希望に応じて60歳からの繰り上げ受給を選ぶ方法や、75歳までの繰り下げ受給を選択する方法も用意されています。

繰り上げの場合は受給額が抑えられ、繰り下げの場合は将来の受給額が増える仕組みです。

Q:

婚姻期間20年の年金分割の金額はいくらになりますか?

A:

年金分割の金額は、婚姻期間中の厚生年金保険料の納付実績に基づいて決まります。

離婚後であっても、期限内に請求すれば、金額は離婚時に請求した場合と変わりません。手続きの時期によって不利になる仕組みではない点は安心材料です。

下表は一例として、夫が会社員で婚姻期間が20年(厚生年金加入期間20年)、年収500万円(対象期間標準報酬総額1億円)のケースを想定した目安です。

婚姻期間20年の年金分割の金額はいくらになりますか?
婚姻期間20年の年金分割の金額はいくらになりますか?

※実際の金額は個別の記録により異なります

Q:

再婚したら年金分割の受給額に影響はありますか?

A:

離婚後に年金分割で確定した受給額は、将来再婚しても変わりません。

年金分割は、あくまで婚姻期間中に納めた厚生年金の保険料納付実績を基準に年金額を調整する制度です。離婚後の働き方や再婚の有無、新たな配偶者の収入状況などは、すでに決まった年金分割の結果に影響しません。

そのため、年金分割後に再婚しても、分割によって加算・減額された年金額はそのまま維持されます。

Q:

熟年離婚後でも年金分割はできますか?

A:

熟年離婚であっても、条件を満たせば年金分割は可能です。離婚時点ですでに年金を受給している場合でも、離婚後5年以内に年金分割の手続きを行えば、分割後の内容が反映された年金を受け取れます。

年金分割によって影響を受けるのは、老齢厚生年金です。分割を行うと、分割する側の年金額は減り、分割を受ける側の年金額は増える形になります。

もっとも注意したいのが、振替加算(専業主婦などが一定条件で受け取れる老齢基礎年金の加算)との関係です。
振替加算を受けている方が年金分割を行い、分割後の厚生年金加入期間と自分の加入期間を合算して240ヶ月以上になる場合、振替加算が受けられなくなる可能性があります。

離婚後の年金分割についてお悩みの方は、弁護士にご相談ください

離婚後の年金分割は、老後の生活に直結する重要な手続きです。離婚時に取り決めをしていなくても、一定の条件を満たせば離婚後に請求できる制度が用意されています。

ただし、請求期限があったり、ご自身の加入状況によっては年金額が増えない場合があったりと、判断を誤ると不利益につながるリスクもあります。

離婚後の年金分割について不安や迷いがある場合は、弁護士法人ALGにご相談ください。
弁護士が代理人となれば、元配偶者との交渉を任せられるほか、話し合いが難しい場合でも、調停や審判といった裁判所の手続きを見据えた対応が可能です。

年金分割は将来を見据えた生活設計の一部です。早い段階で弁護士に相談することが安心につながります。

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弁護士法人ALG 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治
監修:福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates
保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)

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