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ギャンブル依存症を理由に離婚できる?慰謝料や借金の返済義務を解説

弁護士法人ALG 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治

監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates

ギャンブルによる借金が理由の離婚は可能か

配偶者がパチンコや競馬などのギャンブルにのめり込み、生活費にまで影響が及んでいる場合、離婚を考えるのは無理もない状況といえます。

もっとも、「相手のギャンブル依存を理由に離婚は認められるのか」「婚姻期間中に配偶者がギャンブルで作った借金を自分も返済しなければならないのか」「借金がある場合、慰謝料や養育費は受け取れないのか」といった疑問や不安を抱く方も多いでしょう。

この記事では、配偶者のギャンブル依存を理由とする離婚について、離婚の可否や借金の扱い、慰謝料・養育費への影響などを中心に、わかりやすく解説します。

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夫(妻)のギャンブル依存症を理由に離婚できる?

夫(妻)のギャンブル依存を理由に離婚したい場合、まず重要となるのは、相手と離婚について合意できるかどうかです。話し合いで双方が納得すれば比較的スムーズに離婚できますが、合意が得られない場合には裁判手続きに進む必要があります。

夫婦で合意できれば離婚できる

夫婦の話し合いによって離婚を進める方法として、「協議離婚」や「離婚調停」があります。いずれも当事者間の合意があれば、どんな理由でも離婚を成立させることが可能です。

協議離婚は、夫婦だけで話し合いを行い、離婚の時期や条件を自由に決める方法です。柔軟に決められる一方、当事者同士で折り合いがつかない場合も少なくありません。
そのような場合には、家庭裁判所に離婚調停を申し立て、裁判官や調停委員を交えて話し合いを行います。

調停では当事者が交互に呼び出されるため、相手と直接顔を合わせる必要はありません。第三者の関与により、冷静に話し合いが進みやすくなる点が特徴です。

離婚の方法については、下記ページでも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

裁判では法定離婚事由が必要になる

離婚調停でも合意に至らない場合、裁判へ進みます。離婚裁判では、相手が同意しなくても、民法770条に定められた「法定離婚事由」に該当すれば離婚が認められる可能性が高まるでしょう。

【法定離婚事由(民法770条)】

  • 配偶者に不貞な行為があったとき
  • 配偶者に悪意で遺棄されたとき
  • 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

次のようなケースは、「悪意の遺棄」または「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当するとして、裁判で離婚が認められる可能性があります。

  • 給与の大半をギャンブルに費やし、生活費を渡さない
    正当な理由なく夫婦の扶助義務を放棄している場合には、「悪意の遺棄」に該当する可能性があります。
  • ギャンブルにのめり込み家庭を顧みない
    家庭生活を維持する意思がないと判断され、「悪意の遺棄」「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当する余地があります。
  • ギャンブル依存が原因で長期間に渡り別居が続いている
    夫婦関係の回復が困難と評価され、「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性があります。
  • ギャンブルが原因で犯罪行為に及び、逮捕された
    夫婦関係の信頼が著しく損なわれたとして、「婚姻を継続し難い重大な事由」と判断されることがあります。

法定離婚事由については、下記ページでも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

ギャンブル依存症の配偶者と離婚した方がいいケース

ギャンブル依存症の配偶者との離婚を考える際は、夫婦関係の改善が見込めるかを冷静に判断することが大切です。次のような状況が続いている場合、関係の維持が難しくなっているサインといえます。

  • 借金を完済しても、再びギャンブルによる借入れを繰り返す
  • 生活費や教育費、貯金までギャンブルに使い、家庭生活に支障が出ている
  • 収入を明かさず、自身の浪費を優先して家族を顧みない
  • ギャンブルの問題を指摘すると逆上し、暴言や暴力(身体的・精神的な攻撃)につながる
  • 配偶者の行動により、不眠や抑うつ状態など心身の不調が生じている
  • 医療機関の受診や依存症治療を勧めても応じない

このような状態が長く続き、改善の見通しが立たない場合には、ご自身や子供の生活を守るためにも、離婚を前向きに検討することも一つの選択となるでしょう。

夫(妻)がギャンブルで作った借金の返済義務は自分にもある?

配偶者がギャンブルで作った借金は、必ずしも自分が返済義務を負うとは限りません。借金の性質や契約内容によって扱いが異なるため、「どのような借入れか」を見極めることが重要です。

ここからは、返済義務の有無が分かれる具体的なケースを解説します。

離婚後に返済しなくてもよい借金

配偶者がギャンブルや趣味など、個人的な目的で負担した借金は、基本的に他方配偶者に返済義務はありません。民法上、夫婦が連帯して責任を負うのは「日常生活に必要な費用」のみであり、ギャンブルや高額な嗜好品の購入は含まれないと考えられています。

【返済義務のない借金の具体例】

  • ギャンブル(競馬・パチンコなど)による借金
  • 趣味(釣り・ゴルフなど)のための借金
  • エステやカルチャースクール費用の借金
  • 宝石やドレスなど高額な嗜好品の購入による借金

このように、借金の目的が家庭の維持とは無関係である場合には、配偶者が負担する必要はないと判断されます。

生活に必要な借金は配偶者にも返済義務がある

家庭生活を維持するために必要な借入れについては、配偶者にも返済義務が生じる場合があります。民法761条では、「日常家事債務」について、夫婦が連帯して責任を負うと定められています。

【返済義務がある借金の具体例】

  • 生活費補填を目的とした借入れ
  • 子供の教育費
  • 住宅ローン
  • 自動車ローン

上記の借金は、たとえ配偶者の名義で契約していたとしても、他方配偶者も返済義務を負う可能性が高いです。したがって、借金の目的が「家庭の維持に関わるものかどうか」という点が重要になります。

連帯保証人になっている場合は離婚後も返済義務は残る

配偶者の借金について「連帯保証人」になっている場合、離婚しても返済義務はなくなりません。借入れの目的がギャンブルであったとしても、保証契約に基づく責任は継続します。

そのため、配偶者が返済を怠った場合には、債権者から直接、連帯保証人に請求がなされます。離婚の有無は影響しないため、安易に保証人とならないよう、将来的なリスクを十分に理解することが必要です。

ギャンブル依存症による離婚で慰謝料は請求できる?

ギャンブル依存症そのものだけで慰謝料請求が認められるとは限りません。しかし、その行為が「悪意の遺棄」や「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたる場合には、請求が認められる可能性があります。

具体的には、ギャンブルによって過大な借金を繰り返し生活費の支払いを怠る、金銭を巡って暴言やDVに及ぶといった事情があれば、不法行為と判断される可能性が高く、精神的苦痛への賠償として慰謝料を請求できる可能性が高いでしょう。

慰謝料の金額は一律ではありませんが、一般的な相場は数十万〜300万円程度とされます。もっとも、婚姻期間の長さ、子供の有無、被害の程度、別居期間などの事情によって増減します。話し合いで合意できれば、相場にとらわれず柔軟に金額を定めることも可能です。

離婚慰謝料の相場については、下記ページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

ギャンブル依存症の離婚で子供の親権や養育費はどうなる?

離婚する際、夫婦の間に未成年の子供がいる場合は、「親権」を決める必要があります。

民法の改正により共同親権を選択できるようになりましたが、あくまで子供の利益が最優先とされ、これまでの監護状況や生活環境の安定性が重視されます。
そのため、ギャンブル依存症によって生活費を浪費している、安定した養育環境を確保できないといった事情がある場合には、親権争いにおいて不利に働く可能性が高いです。

また、養育費はギャンブル依存の有無にかかわらず請求できます。仮に相手が借金を抱えていても、支払義務が直ちに否定されるわけではありません。

養育費については、取り決めをしなくても離婚自体は成立しますが、後のトラブルを防ぐためにも、親権を決めるタイミングとあわせて話し合っておくことが望ましいでしょう。

養育費の相場や親権については、下記ページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

ギャンブル依存症の夫(妻)と離婚する際の注意点

ギャンブル依存症の配偶者と離婚する場合、借金や支払いに関する問題が後々の生活に影響するおそれがあります。離婚後に不利益を受けないためにも、事前に注意点を把握し、適切な対策を検討しておくことが重要です。

  • 離婚を切り出す前に証拠を確保する
  • 慰謝料や養育費の不払いに備えて公正証書を作成する

離婚を切り出す前に証拠を確保する

ギャンブル依存症を理由に離婚を進める場合、まず重要となるのが証拠の確保です。離婚の意思を伝える前に、相手のギャンブル依存症の実態を裏付ける資料を集めておくことが望ましいでしょう。

【ギャンブル依存症の証拠例】

  • 借入明細や通帳の履歴
  • クレジットカードの利用明細
  • 督促状・催告状
  • ギャンブル施設への出入りがわかる記録

加えて、DVやモラハラ、不貞行為がある場合には、それらの証拠も併せて集めておくと有効です。これらは、調停や裁判で離婚原因や慰謝料請求を立証する際に重要な資料となります。

なお、離婚を切り出した後では、証拠を隠されたり廃棄されたりするおそれがあります。そのため、事前に十分な証拠を確保したうえで対応を進めることが大切です。

DV、モラハラの証拠については、下記ページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

慰謝料や養育費の不払いに備えて公正証書を作成する

ギャンブル依存症の配偶者と離婚する場合、慰謝料や養育費について取り決めをしても、約束どおりに支払われないリスクを見据えた対策が欠かせません。将来的な不払いに備え、法的に強制力のある形で合意内容を残しておくことが重要です。

具体的には、当事者間の話し合いで離婚条件を決めた場合、「強制執行認諾文言付き公正証書」を作成しておく方法が有効です。支払いが滞った際には、裁判を起こすことなく、相手の給与や預貯金を差し押さえる手続きに進めます。

また、離婚調停や審判、裁判といった裁判所の手続きを利用すれば、「調停調書」や「判決書」などが作成され、同様に強制執行の根拠として利用できます。いずれの方法でも、確実に回収できる体制を整えておく点が大切です。

公正証書の必要性や作り方については、下記ページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

ギャンブル依存症の配偶者との離婚を弁護士に相談するメリット

ギャンブル依存症の配偶者と離婚する場合、借金や養育費など金銭面で争いが生じやすく、当事者同士では冷静な話し合いが難しくなる傾向があります。弁護士に相談すれば、代理人として配偶者と交渉を行い、離婚条件の整理や優先順位付けをしながら、法的な根拠に基づいて適切な内容で合意を図ることが可能です。

また、慰謝料や養育費の不払いに備えるためには、「強制執行認諾文言付き公正証書」の作成が重要となります。弁護士に依頼することで内容の不備を防ぎ、実効性の高い書面を整えられます。

さらに、調停や裁判に進んだ場合でも、書面作成や裁判所とのやり取り、出廷対応まで一任できるため、ご自身の負担を大きく軽減できる点も大きなメリットです。

ギャンブルによる離婚でよくある質問

Q:

ギャンブル依存症の離婚率は高いですか?

A:

令和3年度の法務省の調査によると、協議離婚の理由として「ギャンブル」を挙げた割合は約10.5%とされています。この数字からも分かるとおり、一定数の夫婦がギャンブル問題をきっかけに離婚に至っている実情があります。

特に、ギャンブルや浪費といった経済的問題は、生活費の不足や借金トラブルを招きやすく、夫婦関係の悪化に直結しやすい要因です。そのため、離婚理由として決して珍しいものではないといえるでしょう。

Q:

ギャンブルによる借金は財産分与の対象になりますか?

A:

財産分与とは、婚姻中に夫婦が協力して築いたプラスの財産を、離婚時に公平に分ける制度をいいます。
もっとも、ギャンブルによる借金は、本人の嗜好や浪費によって生じたものであり、夫婦共同の生活とは無関係とされるのが一般的です。

一方、住宅ローンや子供の教育費のための借入れなど、家庭生活の維持に必要な債務については、夫婦の共有財産と密接に関連するため、財産分与の中で考慮される場合があります。

財産分与の流れや借金がある場合については、下記ページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

Q:

ギャンブル依存症の配偶者との親子交流(面会交流)は拒否できますか?

A:

親子交流(面会交流)とは、離れて暮らす親と子供が定期的に会ったり連絡を取り合ったりすることをいい、子供の健全な成長のためにも重要な機会です。配偶者がギャンブル依存症でも、それだけで親子交流(面会交流)が認められなくなるわけではありません。

もっとも、ギャンブル依存症によって十分な監護が期待できない、金銭トラブルや暴力などにより子供へ危険が及ぶおそれがある場合には、第三者(親族や支援機関)の立ち会いなどが検討されます。

親子交流(面会交流)については、下記ページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

Q:

離婚しても子供が親の借金を相続することはありますか?

A:

離婚後であっても、子供が親の借金を相続する可能性はあります。
離婚により夫婦間の相続関係は解消されますが、親子関係は継続するため、子供は引き続き法定相続人(法律上、相続する権利を持つ者)の立場にあるからです。

そのため、親が亡くなった場合には、預貯金や不動産といったプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含めて相続の対象となります。

もっとも、子供に借金を負担させないための手段として、「相続放棄」や「限定承認」を選択することが可能です。ただし、いずれも期限があるため、早めに対応を検討することが重要です。

ギャンブル依存症による離婚で後悔しないためにも弁護士にご相談ください

ギャンブル依存症の配偶者との離婚は法律面・金銭面ともに複雑になりやすいため、早い段階で弁護士への相談を検討することが重要です。ギャンブルに依存している場合、借金問題が絡むケースが多く、適切に対応しなければ、離婚後もご自身やお子さまの生活に影響が及ぶおそれがあります。

弁護士法人ALGでは、これまで多数の離婚問題を取り扱ってきた実績があり、ギャンブルや借金が絡む案件についても状況に応じた解決策をご提案しています。また、慰謝料や養育費についても、不払いリスクを見据えた公正証書の作成や強制執行の準備など、実効性を重視した対応が可能です。

ギャンブル依存症の配偶者との離婚でお悩みの場合は、まずはお気軽にご相談ください。

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弁護士法人ALG 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治
監修:福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates
保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)

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