離婚訴訟の口頭弁論がオンラインで可能に!メリットや流れなど解説
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
令和6年の法改正により、離婚訴訟の「口頭弁論」もウェブ会議による参加が可能となりました。
これまで、法廷で行われる口頭弁論は裁判所への出頭が必要でしたが、遠方に住む方や育児・仕事で時間が取れない方でも、裁判所に行かずに口頭弁論に参加できるようになります。
この記事では、オンライン口頭弁論の概要やメリット・デメリット、実際の流れなど、離婚訴訟を検討されている方に向けてわかりやすく解説します。
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離婚訴訟の口頭弁論がオンラインで可能に!
令和6年3月1日より、離婚訴訟における「口頭弁論」もウェブ会議で参加できるようになりました。これは、民事訴訟法等の一部を改正する法律によるもので、裁判手続きのIT化を進める一環として導入された制度です。
【口頭弁論とは?】
裁判所の公開法廷で、原告・被告双方が裁判官の前で主張や証拠を提出する正式な審理手続きです。民事訴訟の中心的な場面であり、裁判官が当事者の主張を確認し、争点を整理する重要な機会です。
【従来の対応と今回の改正の違い】
これまでも弁論準備手続や和解期日などは、電話会議やウェブ会議で対応可能でしたが、「口頭弁論」は裁判所へ出頭する必要がありました。
今回の改正によって、口頭弁論へのオンライン参加が可能となり、柔軟に対応できる環境が整いました。
離婚訴訟でオンライン口頭弁論が適用できるケース
離婚訴訟において口頭弁論をオンラインで行うには、裁判所が当事者の事情を確認し、オンラインでの実施が適切と判断する必要があります。希望すれば誰でもオンライン参加できるわけではなく、裁判所の判断が重要なポイントです。
例えば、当事者が遠方に住んでいる、育児や介護などで移動が困難な事情がある場合などは、オンライン対応が認められやすい傾向があります。また、弁護士が代理人として出席する場合にも、オンラインでの進行がスムーズに行えるかどうかが考慮されます。
離婚訴訟の口頭弁論をオンラインで行うメリット
遠方に住んでいる方や、育児・介護・仕事などで移動が難しい方にとって、口頭弁論のオンライン化は大きな利便性をもたらします。離婚訴訟の口頭弁論をオンラインで行うメリットは、以下のとおりです。
- 遠方からでも参加しやすい
- 訴訟記録の閲覧・謄写が容易になる
遠方からでも参加しやすい
離婚訴訟は、基本的に夫婦どちらかの住所地を管轄する家庭裁判所で行われます。
しかし、すでに別居している場合や、相手が遠方に住んでいるケースでは、裁判所までの移動が大きな負担となることも少なくありません。
こうした物理的な距離の問題も、オンラインで口頭弁論に参加できるようになったことで大きく改善されました。
交通費や宿泊費の削減につながるだけでなく、育児や介護、仕事などで時間に制約のある方でも、自宅や職場から裁判に参加できるため、より柔軟な対応が可能になります。
訴訟記録の閲覧・謄写が容易になる
オンライン口頭弁論の導入により、訴訟記録の閲覧や謄写がこれまで以上にスムーズになります。
従来は裁判所に出向いて訴訟記録を確認したり、謄写申請を行う必要がありましたが、オンライン化によってデジタル形式での記録管理が進むため、必要な情報を迅速に把握できるようになります。
過去の弁論内容や提出された証拠資料なども、遠隔からアクセス可能なケースが増えており、訴訟準備の効率化が期待されます。
特に、複数回にわたる期日で争点が整理される離婚訴訟においては、記録を正確に把握することが重要であり、オンライン化のメリットは非常に大きいといえるでしょう。
離婚訴訟の口頭弁論をオンラインで行うデメリット
離婚訴訟における口頭弁論のオンライン化は、利便性を高める一方で、当事者の心理的負担や証言の信頼性、手続きの公平性に影響を及ぼす可能性もあります。ここではオンライン化の主なデメリットを整理します。
- 感情や意思疎通が難しい
- 通信環境や機器トラブルのリスクがある
- プライバシーの確保が難しい
感情や意思疎通が難しい
離婚訴訟でオンライン口頭弁論を行う場合、画面越しのやり取りでは、表情や声のトーンが伝わりにくく、誤解を招くおそれがあります。
対面であれば、裁判官が当事者の態度を直接確認できるため、微妙なニュアンスも汲み取りやすくなりますが、オンラインではその判断が難しくなる場面も想定されます。
さらに、感情が高ぶった際に冷静さを失い、自分の主張ばかりを述べてしまい、相手の話に耳を傾けられなくなることも考えられます。
通信環境や機器トラブルのリスクがある
オンライン口頭弁論に参加する際には、通信環境や使用機器の不具合によって思わぬトラブルが起こる可能性があります。
例えば、インターネット接続が不安定だと音声や映像が途切れ、裁判官や相手方に発言が正確に伝わらないおそれがあります。
また、パソコンやカメラ、マイクなどの機器が正常に作動しない場合、手続きが中断される可能性も否定できません。
こうした技術的な問題は、裁判の進行に支障をきたすだけでなく、当事者の主張が十分に伝わらないリスクにもつながります。
プライバシーの確保が難しい
オンライン口頭弁論に参加する場合、多くは自宅などのプライベートな空間から接続することになります。
しかし、家族や同居人が近くにいる環境では、発言内容が漏れてしまう可能性があり、プライバシーの確保が難しくなるケースもあります。
特に、DVやモラハラといった事情が関係する離婚訴訟では、安心して発言できる環境が整っていないと、当事者にとって大きな心理的負担となりかねません。
また、裁判所のような公的な空間とは異なり、第三者による介入や盗聴といったリスクも完全には排除できない点にも注意が必要です。
離婚訴訟のオンライン口頭弁論の流れ
口頭弁論をオンラインで行う場合でも、基本的な流れは対面と同様です。ただし、ウェブ会議システムを利用するため、事前の準備や接続確認が重要になります。以下に、一般的な進行の流れをまとめました。
- ●第1回口頭弁論
- ①裁判所から指定された日時にウェブ会議で接続
- ②原告が訴状の内容を陳述
- ③被告が答弁書を提出・陳述
- ④双方が証拠を提出(書面や画像データなど)
- ⑤次回期日の調整
- ●第2回以降の口頭弁論
- ①反論や追加主張の陳述
- ②新たな証拠資料の提出
- ③争点の整理(裁判官が論点を明確化)
- ④必要に応じて和解の打診
- ●第3回・第4回以降(判決に至らない場合)
- 1ヶ月ごとに期日が設定されることが多い
- 証人尋問や本人尋問が行われる場合も
- 最終的に判決が言い渡される
オンラインで行う離婚訴訟の口頭弁論に関するQ&A
- Q:
ウェブ会議のカメラ機能をオフにした状態で参加できますか?
- A:
口頭弁論にウェブ会議で参加する場合、基本的にカメラ機能をオンにすることが求められます。
これは、本人でない者による当事者等へのなりすましを防ぎ、第三者からの不当な影響を排除するためです。
裁判所は、映像と音声の両方を通じて、当事者の表情や態度を確認しながら、発言の真意や信頼性を判断することになります。ただし、DVや精神的な負担など、特別な事情がある場合には、事前に裁判所へ申し出ることで、配慮がなされるケースもあります。
- Q:
離婚訴訟の口頭弁論に電話で参加することはできますか?
- A:
離婚訴訟の口頭弁論に電話で参加することは、認められていません。
民事訴訟法の改正により、ウェブ会議システムを利用したオンライン参加が可能となりましたが、その際には映像と音声の両方をリアルタイムで送受信できる環境が必要です。電話は音声のみの通信手段であるため、裁判官が当事者本人であるかどうか、また当事者の表情や態度を確認できず、適切な審理が困難になると判断される可能性があります。
本人確認や意思表示の正確性を確保するためにも、映像の使用は不可欠とされていますので、ご注意ください。
オンラインで離婚訴訟の口頭弁論を行う際は離婚問題に詳しい弁護士にご相談ください
離婚訴訟をオンラインで進める制度は、利便性が高い一方で、裁判所との調整や技術的な準備、法的な判断が求められる場面も少なくありません。
「口頭弁論をオンラインで行いたいけれど、手続きに不安がある」と感じている方は、私たち弁護士法人ALGにご相談ください。
離婚問題に詳しい弁護士が、制度の活用方法から裁判所とのやり取りまで、丁寧にサポートいたします。
弁護士が代理人として対応することで、オンライン訴訟でも安心して臨むことができ、精神的な負担も大きく軽減されるでしょう。
オンライン口頭弁論についてお悩みの方は、まずは一度私たちにお話をお聞かせください。
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- 監修:福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates
- 保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)











