障害児の介護と離婚について|養育費など話し合うべきことを解説
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
介護や将来への不安から、障害のある子供を持つ夫婦は離婚率が高いといわれています。
障害児の介護が関係する離婚では、親権や養育費、離婚後の介護体制など、慎重に決めるべき事項が多くあります。そのため、目の前の負担だけで判断するのではなく、子供や自身の将来も見据えながら慎重に検討することが大切です。
この記事では、障害のある子供の介護を理由に離婚できるのか、離婚時に話し合うべきポイントなどについてわかりやすく解説します。
まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います
離婚問題ご相談予約受付来所・オンライン法律相談30分無料
※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。
※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。
お電話でのご相談受付
0120-544-064
24時間予約受付・年中無休・通話無料
メールでのご相談受付
メール相談予約受付障害のある子供の介護を理由に離婚できるのか?
夫婦間で合意していれば、障害のある子供の介護を理由に離婚することは可能です。
一方、夫婦間で合意できない場合は裁判で離婚を認めてもらう必要がありますが、そのためには民法770条に定められた「法定離婚事由」が必要です。
障害のある子供の介護そのものは法定離婚事由にあたらないため、それだけを理由に離婚が認められるケースは多くありません。
ただし、介護負担をきっかけにDVやモラハラ、不貞行為などが生じて夫婦関係が破綻した場合には、離婚が認められる可能性があります。
協議や調停であれば離婚できる可能性がある
協議離婚や離婚調停の場合、夫婦双方が離婚に合意していれば、基本的に離婚理由は問われません。
そのため、障害のある子供の介護負担や将来への不安、介護に対する考え方の違いなどから夫婦関係の修復が難しくなった場合は、協議や調停によって離婚が成立する可能性があります。
ただし、障害のある子供がいる場合は、離婚後の親権や養育費だけでなく、療育への対応や介護の分担についても十分に話し合わなければなりません。
特に長期的な支援が必要なケースでは、子供の利益を最優先に考えながら、将来を見据えて離婚条件を決めることが大切です。
協議離婚や離婚調停について、詳しくは以下の各ページをご覧ください。
合わせて読みたい関連記事
裁判では障害児の介護だけを理由に離婚するのは難しい
裁判で離婚するためには、民法770条に規定された法定離婚事由に該当しなければなりません。
法定離婚事由には、次のものがあります。
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 3年以上の生死不明
- その他婚姻を継続し難い重大な事由
子供に障害があり、介護に大きな負担が生じているという事情だけでは、法定離婚事由があるとは認められません。子供の障害は夫婦間の問題そのものではないため、介護負担があるというだけで、婚姻生活の継続が困難であるとは判断されにくいでしょう。
もっとも、介護負担が原因で夫婦関係が悪化し、夫婦関係の回復が見込めない状態に至った場合は、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」にあたる可能性があります。
そのため、裁判では障害児の介護そのものではなく、介護によって夫婦関係が破綻した旨を具体的に主張することが重要です。
法定離婚事由や離婚裁判について、詳しくは以下の各ページをご覧ください。
障害のある子供がいる夫婦が離婚時に話し合うこと
障害のある子供がいる夫婦が離婚する際は、通常の離婚と同様に、親権や養育費、財産分与、慰謝料などについて話し合う必要があります。
さらに、障害の特性や介護の状況に応じて、今後の介護体制や医療・福祉サービスの利用方法についても検討しなければなりません。
離婚後も子供が安定した生活を送れるよう、将来を見据えて十分に協議することが大切です。
①親権をどうするのか
未成年の子供がいる場合は、離婚時に親権者を決める必要があります。現在は共同親権を選択できますが、父母の事情や子供の状況に応じて単独親権を選ぶことも可能です。
親権を決める際は、「これまでどちらが主に子供の介護や療育を担ってきたか」、「今後も安定した養育を継続できるか」といった事情が重視されます。
特に障害のある子供は、日常的な介護や医療機関への通院、福祉サービスの利用など、継続的なサポートが必要となることも少なくありません。
そのため、親の希望だけでなく、子供の利益を最優先に、より適切な養育環境を整えられる親が親権者として選ばれるでしょう。
親権や共同親権について、詳しくは以下の各ページをご覧ください。
合わせて読みたい関連記事
②親子交流(面会交流)をどうするのか
離婚時は、子供と離れて暮らす親との親子交流(面会交流)の方法や頻度についても話し合っておく必要があります。
障害のある子供は、環境の変化に強い不安を感じたり、移動や長時間の交流が負担になったりするケースもあるため、子供の特性に配慮した無理のない取り決めが重要です。
例えば、最初はビデオ通話や電話などの間接的な交流から始め、子供の様子を見ながら対面での交流へ移行する方法が考えられます。また、交流時間を短めに設定し、子供が慣れている場所で実施することも有効でしょう。
親子交流(面会交流)について、詳しくは以下のページをご覧ください。
合わせて読みたい関連記事
③介護に必要な養育費をいくらにするのか
養育費とは、子供が経済的・社会的に自立するまでに必要な生活費や教育費のことで、子供と別居する親も負担する義務があります。
養育費の金額は夫婦の合意によって自由に決められますが、家庭裁判所の「養育費算定表」を参考に、父母それぞれの収入や子供の人数・年齢を踏まえて決定するのが一般的です。
なお、「障害がある」という理由だけで養育費が自動的に増額されるわけではありません。
ただし、継続的な治療費や通院費、リハビリ費用、特別支援学校への通学費、福祉サービスの利用料、施設入所費など、通常より多くの支出が見込まれる場合は、それらの事情を考慮して養育費の増額が認められる可能性があります。
離婚時には現在の介護費用だけでなく、将来必要となる医療費や支援費用も見据えながら、養育費を検討することが大切です。
養育費の相場について、詳しくは以下のページをご覧ください。
合わせて読みたい関連記事
④財産分与をどうするのか
財産分与とは、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産を、離婚時に分け合う制度です。対象となる財産には、預貯金や不動産、保険、退職金などがあります。
財産分与は、基本的に夫婦の共有財産を公平に分けることを目的としているため、障害のある子供の介護を担うからといって、自動的に多くの財産を受け取れるわけではありません。
ただし、どの財産をどのように分けるかは、夫婦の話し合いによって決めることができます。そのため、離婚後に介護や療育の負担が大きくなることを踏まえ、介護を担う親が多めに財産を取得する内容で合意することも可能です。
財産分与について、詳しくは以下のページをご覧ください。
合わせて読みたい関連記事
⑤慰謝料を請求するのか
慰謝料とは、不貞行為やDV、モラハラなどの“不法行為”によって精神的苦痛を受けた場合に請求できる損害賠償金です。そのため、障害のある子供の介護を担うという事情だけでは、基本的に慰謝料は発生しません。
もっとも、配偶者に婚姻関係を破綻させた責任がある場合には、慰謝料を請求できる可能性があります。例えば、以下のようなケースです。
- 不貞行為をしていた
- 介護や育児を一切行わず、悪意の遺棄にあたる状態が続いていた
- 介護に関して暴言や人格否定などのモラハラを繰り返していた
- 身体的な暴力やDVを行っていた
- 障害のある子供の介護を相手に押し付け、長期間にわたり家庭を顧みなかった
離婚慰謝料を請求できるケースについて、詳しくは以下のページをご覧ください。
合わせて読みたい関連記事
まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います
離婚問題ご相談予約受付来所・オンライン法律相談30分無料
※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。
※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。
お電話でのご相談受付
0120-544-064
24時間予約受付・年中無休・通話無料
メールでのご相談受付
メール相談予約受付障害のある子供の介護をしながら離婚する手順
障害のある子供の介護をしながら離婚を進める場合、親権や養育費、今後の介護体制など、一般的な離婚よりも慎重に検討すべき事項が多くあります。
ここからは、障害のある子供の介護をしながら離婚する際の具体的な手順について解説します。
- 夫婦で話し合う
- 調停や裁判を申し立てる
夫婦で話し合う
障害のある子供の介護をしながら離婚する場合は、まずは夫婦で話し合いを行います。
話し合う内容は、養育費や親子交流(面会交流)、親権のほか、財産分与や慰謝料などの離婚条件についてです。
離婚条件について合意できたら、その内容を「離婚協議書」として書面に残しておきましょう。口約束のままでは、後に「言った・言わない」のトラブルに発展するおそれがあるためです。
特に、養育費や親子交流(面会交流)、財産分与などの重要事項については、「公正証書」を作成しておくと、離婚後の紛争防止に効果的です。
離婚条件の取り決めがまとまったら、離婚届を市区町村役所に提出し、受理されると離婚が成立します。
協議離婚の進め方や離婚協議書について、詳しくは以下の各ページをご覧ください。
合わせて読みたい関連記事
調停や裁判を申し立てる
夫婦の話し合いで離婚条件について合意できない場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。
調停では、調停委員会が双方の間に入り、離婚や条件について話し合いを進めます。
障害のある子供がいるケースでは、子供の養育環境や今後の支援体制などを重点的に確認される場合も多いでしょう。
調停でも合意に至らない場合は、離婚裁判を起こすことになります。
ただし、裁判で離婚を認めてもらうためには「法定離婚事由」が必要なため、障害のある子供の介護負担だけを理由に離婚を認めてもらうのは容易ではありません。
裁判では、介護をめぐる対立によって夫婦関係が破綻している旨を具体的に主張・立証することが重要です。
離婚調停で聞かれることや離婚裁判の流れについて、詳しくは以下の各ページをご覧ください。
合わせて読みたい関連記事
障害児の介護を理由に離婚する場合は弁護士に相談すべき?
障害のある子供の介護を理由に離婚を検討している場合は、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。
障害児のいる家庭の離婚では、親権や養育費だけでなく、離婚後の介護体制や医療・福祉サービスの利用方法など、話し合うべき事項が多岐にわたります。そのため、離婚までに長期間かかるケースも少なくありません。
弁護士に相談すれば、離婚条件の検討や相手方との交渉、調停・裁判への対応を代理人として任せられるため、精神的・時間的な負担の軽減につながります。
子供の将来を見据えながら、納得できる形で離婚を成立させるためにも、弁護士への相談を検討するとよいでしょう。
離婚問題を弁護士に依頼するメリットについて、詳しくは以下のページをご覧ください。
合わせて読みたい関連記事
障害のある子供を持つ夫婦が離婚を回避したいと思ったら
障害のある子供を持つ夫婦が離婚を回避したい場合、まずは夫婦で子供の障害や今後の支援についてしっかり話し合うことが大切です。
介護・療育の負担や不安、悩みを共有し、お互いの考えを理解することで、関係の改善につながる場合もあります。
また、介護や育児の負担を夫婦だけで抱え込まないことも重要です。親族の協力を得たり、行政の支援制度や福祉サービスを積極的に利用したりすることで、心身の負担を軽減できる可能性があります。
さらに、在宅での介護が難しい場合は、障害福祉サービスや施設を利用する選択肢もあります。
無理を重ねて夫婦関係が悪化する前に、利用できる支援を積極的に活用しながら、家族にとって最善の方法を考えることが大切です。
障害のある子供の支援制度
障害のある子供の介護では、経済的な負担が夫婦関係に影響を与えるケースもあるため、利用できる公的支援制度を把握しておくことが重要です。
主な支援制度として、次のようなものがあります。
- 特別児童扶養手当
20歳未満の障害のある子供を養育する父母等に支給される手当です。令和8年度の支給額は、1級が月額5万8450円、2級が月額3万8930円となっています。なお、受給資格者や扶養義務者の所得が一定額を超える場合は支給されません。 - 障害児福祉手当
日常生活において常時介護を必要とする重度の障害がある20歳未満の子供に支給されます。令和8年度の支給額は月額1万6560円です。なお、本人や扶養義務者等の所得が一定額を超える場合は支給対象外となります。 - 障害基礎年金
一定の障害等級に該当する場合に支給される年金です。令和8年度の支給額は、1級が年額105万9125円、2級が年額84万7300円となっています。
障害のある子供の介護と離婚についてのQ&A
- Q:
離婚時に障害児を引き取りたくない場合はどうすればいいですか?
- A:
離婚時に障害のある子供を引き取りたくないと考えた場合、まず父母の間で十分に話し合うことが大切です。
もっとも、離婚に伴って親権を放棄できる制度はありません。そのため、父母のいずれか、または双方が親権者となり、子供を養育する必要があります。
話し合いで合意できない場合は、家庭裁判所に調停や審判を申し立てることが可能です。
ただし、親権は親の希望だけで判断されるわけではなく、これまでの介護状況や今後の支援体制などを踏まえ、子供の利益を優先して決定されます。親権の放棄について、詳しくは以下のページをご覧ください。
合わせて読みたい関連記事
- Q:
障害児を置いて夫が逃げた場合、どのように離婚を進めればいいですか?
- A:
夫が障害のある子供を残して家を出てしまった場合は、まず相手の居場所や連絡先を確認し、生活費である婚姻費用の分担を請求しましょう。
相手と連絡が取れれば、離婚や親権、養育費について話し合いを進めます。話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てるのが一般的です。
一方、夫の居場所が分からず連絡も取れない場合は、「公示送達(裁判所の掲示によって書類を送達したものとみなす制度)」を利用して離婚裁判を進めることが可能です。
なお、相手方の所在調査や裁判手続きには専門的な知識が必要となるため、ご自身での対応が難しい場合は、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
婚姻費用分担請求の方法について、詳しくは以下のページをご覧ください。
合わせて読みたい関連記事
- Q:
離婚後、障害児の養育費はいつまで請求できますか?
- A:
養育費は、子供が社会的・経済的に自立するまで支払われるものなので、成人や大学卒業時までを支払期間として取り決めるのが一般的です。
もっとも、成人後も障害の影響によって就労や自立した生活が難しい場合は、親の扶養義務が継続すると考えられ、引き続き養育費を請求できる可能性があります。
ただし、「障害がある」という理由だけで当然に延長が認められるわけではありません。
障害の程度や就労能力、収入状況、日常生活における支援の必要性などを踏まえ、経済的な自立が困難であることを示す必要があります。また、成人後の養育費受け取りや、長期間の支払いについて合意する場合は、後のトラブルを防ぐため、離婚時に公正証書などの書面で明確に取り決めておくとよいでしょう。
養育費を公正証書で残すべき理由について、詳しくは以下のページをご覧ください。
合わせて読みたい関連記事
障害のある子供の介護をしながら離婚する場合は弁護士に相談しましょう
障害のある子供がいる家庭では、親権や養育費だけでなく、離婚後の介護体制や将来の生活についても慎重に検討する必要があります。そのため、夫婦だけで話し合いを進めようとしても、意見が対立して解決が難しくなるケースは少なくありません。
弁護士法人ALGでは、離婚問題に詳しい弁護士が、ご相談者様一人ひとりの状況に合わせた解決策をご提案しています。交渉や調停、裁判への対応はもちろん、障害のある子供の将来を見据えながらサポートいたします。
離婚を考えているものの、何から始めればよいかわからない方や、今後の生活に不安を感じている方は、一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。
まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います

- 監修:福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates
- 保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)
- 福岡県弁護士会所属。私たちは、弁護士131名、スタッフ240名を擁し(※2026年4月1日時点)、東京、札幌、宇都宮、埼玉、千葉、横浜、名古屋、大阪、神戸、姫路、広島、福岡、タイの国内外13拠点を構え、全国のお客様のリーガルニーズに迅速に応対することを可能としております。











