別居の注意点や離婚に必要な別居期間

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治
この記事の監修
弁護士 谷川 聖治
弁護士法人ALG&Associates 執行役員

別居期間が長いと裁判所に離婚が認められるケースがあることから、離婚を目指して別居に踏み切る方もいらっしゃるかと思います。また、離婚すべきか悩んだ末、とりあえず離婚しないで一旦距離を置こうと、別居を始める場合もあるでしょう。

このように、「別居」は離婚前の選択肢の一つになります。では、離婚が認められるにはどのくらいの別居期間が必要になるのか、別居する際は何に注意すべきなのか、ご存知でしょうか?本ページでは、別居する場合に知っておいてほしい知識について解説していきます。

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この記事の目次

離婚前に別居すべきケースとその目的

離婚前に別居する目的は人によって様々ですが、特に次のようなケースでは別居すべきといえるでしょう。

・相手からDVやモラハラを受けているケース
同居し続けると、身に危険が及ぶおそれがありますし、離婚に向けて対等に話し合うことは難しいでしょう。身の安全を守るためはもちろん、対等に話し合うためにも、まずは相手と離れた方が良いといえます。

・相手が子供を虐待しているケース
子供に暴力を振るうことはもちろん、言葉で子供の心を傷つけることも虐待にあたります。注意しても相手が虐待をやめないようなら、子供を守るために一刻も早く別居すべきです。

・相手が離婚に応じてくれないケース
離婚を頑なに拒否される場合には、離婚を実現するために、別居を検討した方が良いでしょう。意思は固いことが伝わり、相手が離婚に応じてくれるかもしれません。また、裁判になったとき、別居期間の長さから婚姻関係は破綻していると判断され、法律上の離婚原因である「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に当てはまるとして、離婚が認められる可能性もあります。

家庭内別居や単身赴任は別居になる?

家庭内別居や単身赴任は、裁判で婚姻関係の破綻が認められる「別居」にはならない可能性が高いです。

まず家庭内別居の場合、内情はどうであれ、同じ家で一緒に生活しているわけですから、はたから見れば夫婦関係はうまくいっているように見えるでしょう。家庭内別居を「別居」だと主張し、婚姻関係の破綻が認められるには、寝室が別であることや、家事を各自でバラバラに行っていること、家計を別にしていること等を証明していく必要があります。

次に単身赴任の場合、夫婦が離れて暮らしているとはいえ、仕事の都合でやむを得ないものです。そのため、基本的に離婚原因としての「別居」とは認められません。ただし、単身赴任中に離婚の話し合いを始めたケースでは、“離婚したい”と伝えた時点から別居期間にカウントされることがあるように、事情によっては別居と認められる可能性があります。

離婚原因にするために必要な別居期間

別居を離婚原因にするためには、一般的に3~5年程度の別居期間が必要になるでしょう。

性格の不一致で離婚する場合のように、夫婦のどちらにも婚姻関係を破綻させた責任がないとき、裁判所は、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」という法律上の離婚原因があるかどうかを考えます。別居が直ちに離婚原因になるわけではありませんが、別居期間が長くなると、離婚原因として認められることがあります。

平成8年に法制審議会によって出された『民法の一部を改正する法律案要綱』では、「5年以上の継続した別居」を離婚原因にすることが検討されています。また、最近では、3年以上5年未満の別居期間であっても、離婚原因として認められる事案が増えています。したがって、一般的に別居期間が3~5年程度になると、離婚が認められる可能性があると考えられます。

ただし、同居期間や別居に至った経緯など、それぞれの事情を総合的に見て判断されるので、必要な別居期間は違ってくることもあります。十分に留意しておきましょう。

相手が有責配偶者であれば、より短い別居期間で離婚できる可能性も

裁判で離婚が認められるには、最低でも3年の別居期間が必要になるといえます。しかし、もし相手が有責配偶者であれば、3年より短い別居期間で離婚が認められる可能性があります。なお、“有責配偶者”とは、浮気やDVといった、婚姻関係を破綻させるきっかけを作った者のことをいいます。

裁判所が離婚を認めるかどうか決めるとき、考慮するのは別居期間だけではありません。そのほかの事情もすべて踏まえたうえで判断を下します。相手が有責配偶者の場合は、相手のした有責行為(浮気やDV等)が離婚原因として認められることが期待できるでしょう。加えて、短い期間だったとしても別居の事実があることで、「婚姻関係は破綻している」と判断されやすくなります。その結果、裁判で離婚が認められるケースがあります。

離婚前に別居することのリスク

離婚前に別居することにはリスクもあります。まず考えられるのが、「悪意の遺棄により不利な状況になるおそれがある」ということです。

“悪意の遺棄”とは、法律上の離婚原因の一つで、正当な理由もなく夫婦の同居・協力・扶助義務を果たさないことをいいます。相手に何も言わずに勝手に家を出て行くと、同居義務に違反するとして、悪意の遺棄に該当すると判断されてしまうことがあります。そうなると、自身が婚姻関係を破綻させた有責配偶者となってしまい、離婚で不利な状況になる可能性は否めません。

また、「証拠集めが難しくなる」というリスクも考えられます。相手の浮気やDV等の証拠を集めたくても、別居してからでは難しくなるでしょう。相手に証拠となるものを隠されてしまうおそれもあります。

そのほか、「元の夫婦生活には戻れない可能性がある」というのも、別居のリスクになるでしょう。離れてから相手の大切さに気づいてやり直したいと思っても、相手の心はすでに離れているかもしれません。別居する前の元の夫婦生活に戻るというのは、現実的には難しいことが予想されます。

離婚時に不利にならないために…別居の注意点

早く相手のもとから離れたいと思っても、焦りは禁物です。注意しないと、別居したことで離婚時に不利な状況になってしまうおそれがあります。別居する際の注意点について、確認していきましょう。

別居するには正当な理由が必要

民法では、夫婦には同居義務があると定められているため、別居するには正当な理由が必要になります。正当な理由があれば、自ら家を出て行ったとしても、離婚に向けての交渉で不利になることはありません。

なお、正当な理由とは、誰が聞いても「別居するのは仕方がない」と思えるような理由のことをいい、例えば次のようなものが挙げられます。

  • 相手が不貞行為(肉体関係のある浮気・不倫)をした
  • 相手からDVやモラハラの被害を受けている
  • 相手が生活費を一切払おうとしない
  • 相手が重度のアルコール依存症である
  • 相手が多額の借金を隠していた
  • 相手が遊び歩いてばかりで家庭を顧みない

相手に別居することの同意を得ておく

別居する際には理由を明らかにして、相手の同意を得ておきましょう。なぜなら、正当な理由なく一方的に別居すると、同居義務違反だとして、「悪意の遺棄」という法律上の離婚原因にあたるおそれがあるからです。悪意の遺棄にあたるとみなされてしまったら、婚姻関係を破綻させた有責配偶者となり、離婚請求が認められなかったり、相手に慰謝料を支払わなければならなくなったりする場合があります。

可能であれば、相手も別居に同意しているという事実を書面に残しておくと良いですが、メールやSNS等でのやりとりでも証拠になり得ます。

相手のDVやモラハラがひどく話し合いができない場合は、手紙等で伝えておいても良いでしょう。

親権を獲得したい場合は子供と一緒に別居する

離婚時に親権を獲得したい場合は、なるべく子供と一緒に別居するようにしましょう。裁判で親権を決めるときは、“どちらの親に親権を持たせた方が子供の利益になるか”という点が重視されます。

そのほかの事情にもよりますが、基本的には、長い間子供と一緒にいて面倒を見ていた親に、親権が認められることが多い傾向にあります。現状維持することが、子供の利益になると考えられているためです。したがって、親権の獲得を望んでいるのなら、子供と一緒に別居して、子育ての実績を積み上げていくことをおすすめします。

ただし、相手との話し合いが可能な状況にもかかわらず、無理やり子供を連れて別居すると、かえって親権獲得に不利になってしまうおそれがあるので気をつけましょう。

下記のページでは、子の連れ去りが親権獲得に与える影響について解説していますので、参考にしてみてください。

共有財産の確認をしないと損する可能性あり

別居する際は、相手が持っている財産を調べ、共有財産の確認をしておいた方が良いです。“共有財産”とは、夫婦が婚姻中に協力して築いた財産のことをいい、どちらの名義になっているかは関係ありません。そして、共有財産は離婚する際に財産分与して、夫婦で分け合うことができます。

別居している場合は、通常、「離婚時」ではなく「別居を始めた時」に持っていた財産が財産分与の対象になります。そのため、別居を始めた時点で相手がどれだけ財産を持っているのか、きちんと把握できていないと、財産分与で損してしまう可能性があります。

別居してからでは調べにくくなってしまうので、別居する前に、相手の預貯金通帳や源泉徴収票、給与明細書、確定申告書、保険証券といったものを探し、控えをとっておきましょう。

相手が浮気していた場合は証拠を確保しておく

相手が浮気していた場合、相手が浮気相手と肉体関係を持っていたことを証明できれば、不貞行為だとして、裁判で離婚が認められやすくなります。さらに、慰謝料請求が認められる可能性も高くなります。

ただ、別居してしまうと相手の行動を把握しづらくなり、証拠を集めることが難しくなってしまうでしょう。そのため、別居する前に集められるだけの証拠は集め、確保しておくことをおすすめします。

5 子供を連れて別居する際は特に注意が必要

子供を連れて別居する際は、学校やお金に関することで手続きが必要になることもあるので、特に注意しましょう。例えば、子供の転園・転校の手続き、児童手当の受給者変更の手続きなどが考えられます。

また、場合によっては、「児童扶養手当」というひとり親家庭に向けた支援制度を利用できることもあります。経済的に苦しいときなどは、こうした国の支援制度の利用を検討することになるでしょう。

なお、相手の同意なく勝手に子供を連れて別居した場合、「子の連れ去り」だとみなされて、親権争いで不利な状況に立たされるおそれがあります。子供を連れて別居する際は、連れて行き方にもご注意ください。

子供を連れて別居する際の注意点について、もっと詳しく知りたいという方は、下記のページをご覧ください。

別居後の生活費は請求できる?

別居後の生活費は、「婚姻費用」として相手に請求できることがあります。基本的に、相手の収入の方が多いケースでは請求できるでしょう。

というのも、夫婦間には、それぞれが同じ生活レベルを送れるようにする義務があるからです。別居しているとはいえ夫婦であることに変わりはないので、お互いの収入や財産等に応じて、婚姻費用を分担していかなければなりません。

ただし、自身が浮気やDV等をしたため婚姻関係が破綻し、別居している場合には、子供の養育費分を除いて、婚姻費用の請求は認められない可能性が高いです。

婚姻費用についての詳しい内容は、下記のページをご覧ください。

離婚までの別居期間が長期に及ぶケース

次のようなケースでは、離婚が成立するまでに時間がかかりやすく、別居期間が長期に及ぶ可能性があります。

別居期間が長引けば長引くほど、別居中の生活に困ってしまったり、離婚できるかどうか不安になってしまったりするでしょう。お悩みの際は弁護士に相談し、アドバイスやサポートを受けることをおすすめします。

ただの夫婦喧嘩の場合(性格の不一致)

性格の不一致等がきっかけで夫婦喧嘩となり、その延長線上で別居に至っている場合、どちらか一方が悪いとはいえません。この状況において裁判で離婚を成立させるためには、別居期間が長いことを理由に、婚姻関係が破綻していると判断してもらうという方法が考えられます。

したがって、目安としては3~5年程度、個別の事情によってはさらに長期の別居期間が必要になるでしょう。

そもそも相手が離婚に同意しない場合も長くかかる

相手が離婚に同意してくれれば、あとは離婚届を役所に提出すれば良いだけです。受理されたら「協議離婚」のかたちで離婚が成立します。裁判所の手続きを利用せずに済むので、別居してから早期に離婚することが可能です。

しかし、相手がなかなか離婚に応じてくれない場合、離婚するためには「離婚調停」や「離婚裁判」を行うことになります。離婚調停が終わるまでには4~6ヶ月程度、離婚裁判が終わるまでには1年以上かかるケースが多く、解決までに時間を要するため、その分別居期間は長期化します。

自分が有責配偶者で離婚したいと思っている場合

浮気やDV等をして離婚原因を作った、有責配偶者からの離婚請求は、裁判で認められることは難しいです。しかし、一定の条件を満たすことで認められるケースはあります。その条件の一つとして「相当長期の別居期間」があり、この場合の別居期間の目安は10年と考えられています。

ただし、個別の事情を総合的に見たうえで判断されるため、相当長期だと判断される別居期間は、場合によって違ってくることがあります。とはいえ、最低でも7年は必要になるでしょう。

したがって、自分が有責配偶者で離婚したいと思っている場合、離婚を成立させるには、通常の離婚請求時よりも長い別居期間が必要になることが予想されます。

有責配偶者からの離婚請求について、詳しくは下記のページをご覧ください。

別居を決めたら持ち出しておくべきもの

一度家を出て行くと、なかなか荷物を取りに戻れなくなるでしょう。別居を決めたら、少なくとも貴重品やしばらく生活できるだけの生活用品は持ち出しておくべきです。

具体的には、財布・預貯金通帳・クレジットカード・運転免許証・携帯電話・充電器・常備薬・当面の衣類・子供が学校で使う教材などです。

また、家に置いてきてしまった荷物は、相手に勝手に処分されるおそれもあります。子供の思い出の品など、捨てられたくないものも念のため持ち出しておくと安心です。

そのほか、離婚の手続きに進んだときに備えて、相手の浮気の証拠や財産分与に関する資料等、必要になりそうなものは持ち出しておくべきです。ただし、財産分与に関する資料といっても、相手名義のものは、勝手に持ち出すとトラブルになりかねません。現物ではなくコピーしたものを持ち出すようにしましょう。

別居に伴う手続き

別居に伴い、様々な手続きが必要になることがあります。

出て行く側は住まいが変わるので、まずは「住民票の異動」が必要です。住民票は、引っ越してから14日以内に移さなければなりません。なお、DVを受けている等で相手に引越し先を知られたくない方は、住民票を移す際に役所に相談し、閲覧制限をかけてもらうと良いでしょう。

また、別居中の生活費を確保するため、「婚姻費用の請求」が必要になる方もいらっしゃいます。別居中でも、生活に必要な費用は「婚姻費用」として、夫婦それぞれの収入や財産等に応じて分担しなければなりません。専業主婦(主夫)に限らず、共働き夫婦であっても、自分より相手の方がたくさん収入を得ているなどの場合は、婚姻費用を請求しましょう。

なお、婚姻費用を請求する際に、相手の『課税証明書』という書類を使用することがあります。相手の課税証明書は、住民票を移す前でないと取得するのが難しくなるのでご注意ください。

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別居と離婚に関するQ&A

Q:

離婚しないで別居しても養育費はもらえますか?

Q:

別居して1ヶ月後に夫が不貞をしました。慰謝料は請求できますか?

Q:

1年くらい冷却期間として別居を考えています。住民票は移した方が良いのでしょうか?

Q:

別居して10年。別居後に購入したマンションは財産分与の対象になりますか?

別居をお考えの方や別居に踏み切れずお悩みの方は、離婚に強い弁護士にご相談ください

別居する際には、気をつけなければならないことが多くあります。離婚を視野に入れて別居しようと考えている方は、特に注意しましょう。

場合によっては、離婚する際に不利な状況になる、相手から慰謝料を請求される、子供の親権が獲得できなくなる等、思いもよらない事態が起こることがあります。まずは弁護士に相談し、別居のタイミングや方法、事前に準備しておいた方が良いこと等について、適切なアドバイスを受けると良いでしょう。

また、別居後の生活が心配であること等を理由に別居に踏み切れず、お悩みの方もいらっしゃるかと思います。弁護士にご相談いただければ、別居後の生活費をどう確保していったら良いのか等、ご相談者様にとっての最善の解決方法を考えて提案いたします。

不安やお悩みをひとりで抱えている状況は、とてもつらいものです。心の負担を軽くするためにも、別居をお考えの方や、別居に踏み切れずにお悩みの方は、離婚問題を得意とする弁護士にご相談ください。

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