勝手な別居は要注意 | 別居のメリット・デメリット

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治
この記事の監修
弁護士 谷川 聖治
弁護士法人ALG&Associates 執行役員

夫婦関係が悪化したために、離婚を視野に入れて別居するという方は多くいらっしゃいます。しかし、別居する際には気を付けなければならない点がいくつかあり、よく考えないままに焦って行動に移すと、離婚の交渉で自分が不利になってしまうおそれがあります。

このページでは、離婚に向けて別居する場合に必要な知識について解説していきます。

まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います

離婚問題ご相談受付来所相談30分無料

※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。

お電話でのご相談受付

0120-979-164

24時間受付・年中無休・通話無料

メールでのご相談受付

メールで相談する

この記事の目次

別居をするには正当な理由が必要

民法では、夫婦には同居の義務があると定められているため、別居をするには正当な理由が必要になります。正当な理由があれば、自ら家を出て行ったとしても離婚の交渉で不利になることはありません。

なお、正当な理由とは、誰が聞いても「別居するのは仕方がない」と思えるような理由のことをいい、例えば以下のようなものが挙げられます。

  • 相手が不貞行為(浮気・不倫)をした
  • 相手からのDVやモラハラがある
  • 相手が生活費を一切払おうとしない
  • 相手が重度のアルコール依存症である
  • 相手が多額の借金を隠していた
  • 相手が遊び歩いてばかりで家庭を顧みない

別居は「婚姻を継続し難い重大な事由」になる?

相手の合意があれば、理由に関わらず離婚することができます。しかし、合意が得られない場合、裁判で離婚を認めてもらうには、民法で定められた以下の離婚原因(法定離婚事由)のどれかが存在している必要があります。

①配偶者に不貞な行為があったこと
②配偶者から悪意で遺棄されたこと
③配偶者の生死が3年以上明らかでないこと
④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないこと
⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があること

このうち「婚姻を継続し難い重大な事由」とは、他の4つに該当しないものをいい、DVや性格の不一致、親族との不和等が挙げられます。長期間の別居も、それによって婚姻関係が破綻していると判断されれば、「婚姻を継続し難い重大な事由」となり得ます。

離婚が認められる別居期間は?

ここで注意したいのが、別居自体が離婚原因になるわけではないということです。離婚を認めてもらうには、ある程度の期間別居を継続したことで、夫婦としての実態がなくなったと判断してもらう必要があります。
詳しくは以下の記事をご覧ください。

別居するメリット・デメリット

離婚の前に別居をすることのメリットとデメリットを以下に挙げたので、別居を検討する際の参考にしてください。

<メリット>
・離婚原因を作り出すことができる
・離婚の決意が固いということを相手に伝え、プレッシャーを与えることができる
・DVやモラハラ等がある場合に避難することができる
・将来について冷静に考えることができる
・離婚に向けての準備を余裕をもって進めることができる

<デメリット>
・離婚を撤回したくなっても元に戻れない可能性がある
・別居を理由に有責配偶者にされ、婚姻費用を請求しても減額されたり、慰謝料を請求されたりする可能性がある
・共有財産の資料や不貞行為・DV等の証拠の収集が難しくなる
・婚姻費用がすぐに支払われないと、経済的に苦しくなる可能性がある
・持ち出し忘れた所有物を捨てられてしまう可能性がある

別居する際に気を付けるポイント

離婚の交渉で不利にならないためには、自分が有責配偶者にならないようにすることが重要です。
有責配偶者とは、婚姻関係が破綻する原因を作り出した配偶者のことです。有責配偶者と判断されてしまうと、婚姻費用を請求しても減らされたり、逆に慰謝料を請求されたりする可能性があります。

以下で、別居する際に気を付けるべきことについて解説します。

「同居義務違反」にならないか確認

民法では、夫婦には同居の義務があると定めています。そのため、正当な理由もなく別居を強行すると「同居義務違反」や「悪意の遺棄」にあたるとして、有責配偶者にされてしまう可能性があります。

別居をする際には理由を明確にして、相手の同意をとっておきましょう。可能であれば、相手も同意した事実を書面に残しておくと良いですが、メールやSNS等でのやり取りでも証拠になり得ます。

相手のDVやモラハラがひどく話し合いができない場合は、手紙やメール等で伝えておいても良いでしょう。

親権を獲得したい場合は子供と一緒に別居

離婚後に親権を獲得したい場合は、なるべく子供と一緒に別居するようにしましょう。裁判では、どちらの親に親権を持たせた方が、子供の利益になるかという点が重視されます。
基本的には、子供と長期間一緒にいて面倒をみていた親(子供が幼ければ主に母親)に親権を与えた方が、子供の現状が維持され、利益につながると判断されることが多いです。

ただし、相手との話し合いが可能な状況にもかかわらず、無理やり子供を連れて行くと、不利になってしまう可能性はあるので気を付けましょう。

共有財産の確認

夫婦が婚姻中に協力して築いた財産は、どちらの名義になっているかにかかわらず共有財産となります。離婚の際には、この共有財産を二人で分け合う「財産分与」を行いますが、離婚の前に別居をしている場合、通常は離婚時ではなく別居開始時の財産を財産分与の対象とします。

しかし、別居をしてしまうと、相手が持っている財産を把握することは難しくなってしまいます。そのため、必ず別居をする前に、相手の預貯金通帳や源泉徴収票、給与明細書、確定申告書、保険証券といったものを探して控えをとっておきましょう。

浮気の証拠をとっておく

相手が浮気をしていた場合、別居をしてしまうと相手の行動を把握しづらくなるため、証拠を集めることが難しくなります。相手に不貞行為があったことを証明できれば、離婚も認められやすくなるので、別居をする前に証拠を確保しておきましょう。

「有責配偶者」からの離婚請求のケース

有責配偶者からの離婚請求は原則として認められていません。これを認めてしまうと、離婚をしたければ自ら離婚原因を作り出せば良いということになり、あまりに不合理であるためです。

しかし、次の3つの条件をすべて満たしていれば、有責配偶者からの離婚請求であっても例外的に認められる傾向にあります。

①別居が長期間に及んでいる
②未成熟の子がいない
③離婚によって他方の配偶者が、精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状況に置かれることがない

別居中の生活はどうする?

別居をする前に、転居先はどこにするのか、当面の生活費をどう工面するのか、どのような仕事を探すのかといった別居期間中の生活についてもよく考えておきましょう。
以下で、実際に別居してからよく問題になることについてまとめました。

別居中の生活費を請求する

夫婦には「生活保持義務」という、自分と同程度の水準の生活を相手にも保障する義務があります。この請求できるお金を「婚姻費用」といいます。
詳しくは以下の記事をご覧ください。

子供がいる場合の支援制度

婚姻費用がなかなか支払われないと、別居期間中の生活に大きく影響してくるかと思いますが、子供がいる場合は「児童手当」や「児童扶養手当」といった支援制度を受けられる可能性があります。
詳しくは以下の記事をご覧ください。

別居期間中でも生活保護は受けられる?

相手に婚姻費用を請求しても支払いがない場合、まずは生活保護の申請より先に、婚姻費用分担請求調停を申し立てましょう。調停が不成立となると自動的に審判に移行しますが、いずれにせよ実際に婚姻費用が支払われるまでには時間がかかります。

もし生活が困窮し、緊急性が高いようであれば、別居期間中であっても生活保護の申請が認められる可能性は十分にあります。ただし、申請するには以下のような要件があるので、役所によく相談しましょう。

  • 病気等の理由で働けない、または働いていても収入が最低生活費に達していない
  • 不動産や車といった資産がない
  • 他の支援制度を受けても生活が難しい
  • 親族や(元)配偶者からの援助が受けられない

なお、生活保護を受けられたとしても、後日調停や審判の結果が出て婚姻費用が支払われたら、きちんと役所に申請しないと不正受給になる可能性もあるので注意しましょう。

住民票は移すべき?

転居をしたら、基本的には住民票を移さなければなりません。住民票を移さないと、子供の転校手続きがスムーズにいかなかったり、役所等からの重要な郵便物が届かなかったりする可能性があります。

なお、住民票を移したとしても、同じ戸籍に入っている人であれば、転出先を簡単に調べることができてしまうので、相手からDVやストーカー行為の被害を受けている方は、住民票のある市区町村に相談して閲覧制限をかけてもらいましょう。

別居中に浮気をされたら慰謝料を請求できる?

不貞行為は離婚原因のひとつであるため、通常であれば不貞行為をした方は有責配偶者となります。有責配偶者に対しては慰謝料を請求できますが、別居中の不貞行為で相手に慰謝料を請求できるかは、不貞行為があった時点で婚姻関係が破綻していたかどうかによって変わってきます。

例えば「冷却期間を置くために別居していただけで、離婚するつもりはなかった」というのであれば、夫婦関係は完全に修復不能であったとは言い切れないので、不貞行為をした相手に慰謝料を請求できる可能性が高いです。一方、何年か別居したうえで離婚調停中といった状態であれば、すでに婚姻関係は破綻しているとして、慰謝料の請求は認められないでしょう。

別居を考えたら、経験豊富な弁護士へご相談ください

別居は勢いに任せて踏み切れば良いというものでもありません。別居をするには正当な理由が必要になるので、それがないままに別居してしまうと同居義務違反や悪意の遺棄にあたるとして、離婚の交渉で不利な立場に追い込まれてしまう可能性があります。

別居をお考えの場合は、まずは弁護士にご相談ください。弁護士は具体的な状況を確認したうえで、不利にならないためにどのように行動すべきか、といったことについてアドバイスをすることができます。また、相手に離婚原因があれば、別居以外の対応方法も提案することができるので、問題の早期解決につながるでしょう。

そもそも別居とは?単身赴任も別居?

別居とは、夫婦や家族が別々の住居で生活をしている状態をいいます。離婚を認めてもらうには、夫婦関係が悪化するような事情があったために別居に至ったという点が重要になります。

それでは、単身赴任は離婚原因となるような別居として認められるのでしょうか?結論から言うと、単身赴任は仕事上の都合であるため、基本的には別居と認められません。ただし、単身赴任中であっても、婚姻関係が破綻していることが客観的に判断できる事実があれば、別居と認められる可能性はあります。

家庭内別居は別居と判断されるか?

家庭内別居も、原則として別居と認められることはありません。たとえ家の中でほとんど顔を合わせることがなかったとしても、同居していることに変わりはないので、客観的に婚姻関係が破綻していると判断するのが難しいためです。
ただし、家庭内別居に至るまでには何らかの原因があったかと思われますが、それが不貞行為やDV等であれば、離婚請求が認められる可能性はあります。

別居を決めたら持ち出すものと行っておくべき手続

別居する際には、以下に挙げたものを忘れずに持ち出すようにしましょう。なお、共有財産や相手名義のものを勝手に持ち出すとトラブルになりかねないので、注意しましょう。

<貴重品等>
・現金
・預貯金通帳
・キャッシュカード、クレジットカード
・自分名義の保険証券(生命保険等)
・実印、銀行印
・マイナンバーカード
・運転免許証、パスポート
・健康保険証
・年金手帳、母子手帳
・携帯電話、充電器
・ノートパソコン、タブレット端末
・宝石、貴金属

<生活用品>
・常備薬、処方薬
・当面の衣類
・子供が学校で使う教材

<その他>
・配偶者の直近の源泉徴収票(控え)
・配偶者の直近3ヶ月の給与明細書(控え)
・共有財産に関する資料(控え)
・不貞行為やDV等の証拠となるもの
・子供の思い出の品

また、別居に伴い、以下に挙げた手続きを行っておきましょう。

  • 別居する旨の通知
    置手紙を残す、メールやLINEを送る等、相手に別居することを通知しておきましょう(何も告げないと、警察に捜索願等を出される危険があります)。
  • 相手の課税証明書の取得
    住民票を移す前でないと取得できません。
  • 住民票の異動
    引っ越した日から14日以内に移す必要があります。
  • 児童手当の受給者変更
    住民票を移せばスムーズに手続きできます。
  • 乳幼児医療証・子ども医療証の住所変更
    転居元の役所に返却し、転居先で新たに発行してもらいましょう。
  • 子供の転園・転校手続き等
    別居によって幼稚園や学校を変える必要がある場合は、事前に手続きを進めておきましょう。

もう一度やり直したい……円満調停とは?

夫婦関係調整調停には、実は「離婚調停」「円満調停」の2種類があります。このうち円満調停とは、悪化した夫婦関係の修復を目的として行う調停のことです。あくまでも婚姻中に申し立てる調停であり、離婚後の復縁のために利用することはできません。

円満調停が成立するのは、夫婦双方が「もう一度円満な家庭を築く努力をしよう」「離婚はしないが当面の間は別居しよう」「関係を修復できないので離婚しよう」といった合意に至った場合です。一方、こういった合意に至らなければ、調停は不成立となります。不成立となっても審判に移行することはありませんが、逆に相手に離婚裁判を起こされる可能性はあります。なお、今後の方向性が決まり、後は夫婦での話し合いが見込めるような場合は、調停の取下げも可能です。

また、別居している相手に対しては、「同居調停」を申し立てることもできます。同居調停では、不成立になった場合、審判に移行することが可能です。ただし、同居を命じる審判が出されても強制力はないので、結局は相手の意思次第となります。

まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います

離婚問題ご相談受付来所相談30分無料

※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。

お電話でのご相談受付

0120-979-164

24時間受付・年中無休・通話無料

メールでのご相談受付

メールで相談する

別居と離婚に関するQ&A

Q:

家庭内別居は別居と認められますか?

Q:

別居して1ヶ月後に夫が不倫をしました。慰謝料は請求できますか?

Q:

1年くらい冷却期間として別居を考えています。住民票は移した方が良いのでしょうか?

A:

転居した場合、転居日から14日以内に住民票を移す手続きをしなければ、5万円以下の過料に処される可能性があります。そのため、離婚を前提とした別居であれば、別居日から14日以内に住民票を移すべきです。

もっとも、住民票を移すと転居後の住所が相手に発覚してしまう可能性も高くなります。例えば、相手による暴力や子供への虐待行為が原因で別居となったり、別居後、相手からストーカーされていたりするケースでは、相手に住所が発覚してしまうことはとても危険なので、住民票を移す際に一緒に閲覧制限の手続きも行っておきましょう。

Q:

別居して10年。別居後に購入したマンションは財産分与の対象になりますか?

有利な結果と早期解決へ向けて、離婚問題に詳しい弁護士がアドバイスさせていただきます

離婚は人生において大きな選択であり、精神的に苦しい思いをされている方も多くいらっしゃるかと思います。そのような重要な問題を任せるのであれば、実績があり、信頼できる弁護士に依頼したいと考えるのは当然のことです。

弁護士法人ALGは分野ごとに事業部を設置しており、離婚問題については「民事・刑事事業部」が集中的に取り扱っています。そのため、所属する弁護士は専門知識を深め、経験を蓄積することができており、数多くの事件を解決に導いています。

依頼者の方に寄り添った丁寧で迅速な対応を心がけておりますので、夫婦関係でお悩みの場合はぜひ弊所に一度ご相談ください。

まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います

離婚問題ご相談受付来所相談30分無料

※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。

お電話でのご相談受付

0120-979-164

24時間受付・年中無休・通話無料

メールでのご相談受付

メールで相談する

事務所情報

お近くの事務所にご来所いただいての法律相談は30分無料です。お気軽にお問い合せください。

※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。

関連記事