うつ病は離婚の理由として認められるか

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治
この記事の監修
弁護士 谷川 聖治
弁護士法人ALG&Associates 執行役員

うつ病に苦しむのは、発症した本人だけとは限りません。うつ病の患者とともに生活する家族もまた、悩み、苦しい気持ちになることでしょう。そのため、配偶者がうつ病になってしまったら、それまでと同じような結婚生活を送ることは難しいかと思います。「離婚したい…」と考えてしまうのも、仕方がないかもしれません。

離婚に至る理由は夫婦によって様々ですが、「配偶者のうつ病」を理由に、離婚することはできるのでしょうか?

本記事では、「配偶者のうつ病を理由とした離婚の可否」「うつ病が親権や養育費に与える影響の有無」といったことについて解説していきます。配偶者がうつ病になり、離婚を考えている方の参考となれば幸いです。

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この記事の目次

うつ病を理由に離婚できる?

「配偶者がうつ病だから」という理由だけでは、裁判所に離婚を認めてもらうことは難しいといえます。夫婦には、互いに助け合いながら結婚生活を送っていかなければならないという義務があるからです。これを相互扶助義務といい、民法において定められています。

また、うつ病が、法定離婚事由の一つである「回復の見込みがない強度の精神病」に当たるとしても、夫婦には相互扶助義務があることから、裁判所は、すぐさま離婚するのではなく、まずは配偶者を支援すべきだという姿勢をとる傾向にあります。離婚を認めてもらうには、結婚生活を続けるための努力をしてきたかどうかが重要になります。

まずはうつ病を克服するためのケアをしましょう

配偶者がうつ病になった場合には、誠意をもって看病し、回復を助けるようにケアをしましょう。具体的には、通院に付き添ったり、ゆっくりと話に耳を傾けたり、服薬を続けられるようにサポートしたりして、配偶者が十分な休養をとることができる環境を整えることが考えられます。

このようなサポートを尽くしてもうつ病が治らない場合に、初めて「離婚する」という選択肢を選ぶことができるようになります。

うつ病以外にも原因があれば離婚が認められる可能性あり

うつ病のみを理由とした離婚は、基本的に認められにくいといえますが、次項より説明するように、うつ病以外に離婚理由がある場合には、離婚が認められる可能性があります。

長期間にわたり別居している場合

配偶者のうつ病に加え、例えば、別居が相当期間に及んでいて双方ともに結婚生活を継続する意思がない等、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」という法定離婚事由に当たる事情が確認できるような場合には、離婚が認められる可能性があるでしょう。

うつ病の配偶者に暴力を振るわれている場合

配偶者による暴力、いわゆるDVは、「婚姻を継続し難い重大な事由」に当たると判断される可能性が高いです。そのため、うつ病の配偶者に暴力を振るわれている場合、その暴力を理由に離婚が認められるケースがあります。ただし、夫婦喧嘩の延長線上で手を挙げられたというような程度では、離婚は認められないことが予想されますので、ご留意ください。

うつ病を発症したことにより「婚姻を継続し難い重大な事由」ができた場合

うつ病を発症したことによって、夫婦間に重大な問題が生じ、そのために夫婦関係が既に破綻している場合には、離婚を認めてもらえることがあります。例えば、うつ病が原因で、配偶者の親族と不和になって夫婦関係がうまくいかなくなったり、夫婦間の争いが絶えなかったり、お互いに関係を修復する意思がなくなったりした場合には、「婚姻を継続し難い重大な事由」があるとして、離婚が認められる可能性があります。

うつ病の配偶者と離婚する方法

うつ病になった配偶者と離婚したい場合には、まずは協議離婚を目指し、当事者間での話し合いを試みるべきでしょう。離婚成立に厳格な要件が必要とされず、双方が合意に達すれば離婚できる分、スムーズな解決を図れるケースもあります。どうしても協議による合意が難しい場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることになりますが、調停でも話がまとまらない場合には、離婚裁判を申し立てることになります。

ただし、離婚裁判の場合、配偶者がうつ病であるという理由だけでは、離婚が認められない可能性が高いことに留意しておく必要があります。

それぞれの手続の進め方については、下記の各記事をご覧ください。

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離婚調停の流れ
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離婚裁判の流れ

判断能力がない場合の「成年後見人」

離婚するまでの一般的な流れは、「協議→調停→裁判」ですが、配偶者のうつ病の程度が酷く、離婚についての判断能力がない場合には、協議や調停によって離婚することはできません。

このようなケースで離婚するためには、裁判を起こすしかありません。とはいえ、判断能力がない配偶者を相手に裁判を行うことはできないので、配偶者に「成年後見人」と呼ばれる代理人をつけ、成年後見人を相手に裁判を行い、離婚手続を進めていくことになります。

なお、配偶者に成年後見人をつけるには、本人(判断能力がない配偶者)の住民票上の住所地を管轄する家庭裁判所に成年後見の申立てをして、選任してもらう必要があります。

成年後見の申立てに必要な書類

成年後見の申立てには、申立書のほか、申立事情説明書、親族関係図、診断書、本人の戸籍抄本等、様々な資料が必要になります。個別の事情や裁判所によって異なることもありますので、ご不明点は申立先の家庭裁判所に問い合わせると良いでしょう。

なお、下記のように、必要書類に関する説明や書類のフォーマットを、ウェブサイト上に用意してくれている裁判所もあります。

配偶者のうつ病を理由に慰謝料請求できる?

配偶者がうつ病であることのみを理由として、慰謝料を請求することはできません。慰謝料を請求するには不法行為が必要ですが、うつ病になったことは不法行為には当たらないためです。

ただし、うつ病の配偶者からDVを受けていた等、不法行為に当たる行為を受けていた場合には、その行為による精神的苦痛を理由に慰謝料を請求できる可能性があります。

親権や養育費はどうなる?

うつ病であることは親権に影響しない

配偶者がうつ病だとしても、他方配偶者が必ず親権を獲得できるわけではありません。裁判所が親権を決める際に重要視するのは、「子の利益」です。子供への愛情や、経済的な安定性、これまでの監護状況といった様々な事情を総合的に考慮し、親権者としてふさわしい者を判断します。そのため、うつ病の配偶者が親権を獲得する可能性もあります。

親権についての詳しい内容は、下記の記事をご覧ください。

うつ病であっても養育費を支払う義務はある

離婚しても、父母で養育費を分担する義務を負います。そのため、子供の親権者とならなかった側にも養育費を支払う義務があり、うつ病を患っているからといって、この義務がなくなるわけではありません。

ただ、養育費の金額は、一般的に父母それぞれの収入や子供の人数・年齢等に応じて決められます。うつ病によって退職を余儀なくされ、無収入となっている場合、潜在的稼働能力はないと判断される可能性が高く、養育費の支払いを受けることは難しいでしょう。

養育費の支払義務について、詳しくは下記の記事をご覧ください。

うつ病の配偶者と離婚する場合、財産分与が多めになることも

財産分与は、共有財産を基本的に2分の1ずつ分ける制度であり、配偶者がうつ病を患っている場合でも、この割合は変わらないのが原則です。ただし、離婚後の配偶者の生活保障のために、裁判所の判断で扶養的財産分与として多少の配慮がなされ、うつ病の配偶者に対する財産分与の割合の方が多くなる場合もあります。

離婚時の財産分与について、詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。

さらに詳しく
財産分与について

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うつ病に関するQ&A

Q:

妻が産後うつになりました。離婚できるでしょうか?

Q:

うつ病で働かない夫と離婚できますか?

Q:

夫が結婚前からのうつ病を故意に隠していました。夫の同意がなくても離婚は可能でしょうか?

Q:

結婚前から相手がうつ病なのは知っていましたが、症状が悪化し、結婚生活を続けることが難しい状況となっています。離婚は可能でしょうか?

Q:

夫が不妊に悩みうつ病を発症しました。離婚できますか?

うつ病が原因で離婚を考えたら……まずは弁護士にお悩みをお聞かせください

配偶者がうつ病になってしまったら、それまで通りに結婚生活を送ることは難しくなります。親がうつ病になれば子供にも様々な影響を与えるおそれがありますし、困難な治療を続けていく中、休職や退職等で収入が減少あるいはなくなってしまえば、生活が立ち行かなくなってしまいます。しかし、うつ病になった配偶者と離婚するのは、相手を見捨てるようで罪悪感があり、なかなか決心がつかないと思います。そのような場合は、弁護士といった、公平な第三者の客観的な意見を聞きましょう。

数多くの離婚問題を解決してきた実績のある弁護士は、様々なケースに対応してきているので、ご相談者様のケースに最適なアドバイスをすることができるでしょう。また、多くの方々の声に耳を傾け、それぞれが抱えている問題に真摯に向き合って解決してきた経験から、うつ病を患う配偶者を持つご相談者様のお悩みにも寄り添うことができます。

ぜひ、前向きな一歩を踏み出すためのお手伝いをさせていただければと思いますので、まずはお気軽にご相談ください。

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