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うつ病は離婚の理由として認められるか

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治
この記事の監修
弁護士 谷川 聖治
弁護士法人ALG&Associates 執行役員

ご自身や配偶者がうつ病になってしまったとしたら、それまでと同じように結婚生活を送ることが難しくなってしまうでしょう。一方がうつ病によって精神的に追い詰められ、相手を思い遣る余裕がなくなってしまえば、夫婦で円滑なコミュニケーションをとることはできなくなりますし、他方も配偶者に気を遣いすぎれば、ストレスに耐え切れなくなり「離婚をするしかない」と思い詰める事態になりかねません。

しかし、「配偶者がうつ病になったから」という理由で、離婚することはできるのでしょうか。

本記事では、配偶者のうつ病を理由とした離婚の可否や、自身や配偶者がうつ病になってしまい離婚を考えたときに必要となる知識について説明します。

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この記事の目次

うつ病を理由とする離婚について

離婚の成否について夫婦が合意しない場合には、最終的に裁判で判断されることになります。裁判で離婚の成立が認められるためには、5つの法定離婚事由(民法770条で定められた離婚理由)のいずれかが存在しなければなりません。このうち、うつ病を理由に離婚したい場合には、「4 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがない」といえるかどうかが争点となる場合があります。
法定離婚事由の詳細については、下記の記事をご覧ください。

うつ病を理由に離婚できるか?~離婚が認められるポイント~

夫婦には、相互に協力し助け合いながら結婚生活を維持していく義務(相互扶助義務)があり、法律でも定められています。そのため、夫婦の一方がうつ病になった場合には、うつ病になった配偶者を支援して結婚生活を継続していくことが求められます。

そのため、裁判所も、配偶者がうつ病になったという理由だけでは、離婚を認めることはありません。これに対し、配偶者がうつ病になったことに加えて、例えば、別居が相当期間に及んでおり、双方ともに結婚生活を継続する意思がない等、「5 その他婚姻を継続し難い重大な事由がある」ことが確認できるような場合には、離婚が認められる可能性もあるでしょう。

また、次項より説明するように、うつ病であること以外に離婚理由がある場合にも、離婚が認められる可能性があります。

さらに詳しく

配偶者のDVやモラハラが原因のうつ病を理由とする離婚

配偶者のDV(近親者からの身体的・精神的・経済的・性的暴力)やモラハラ(精神的DVの一種で、発言や態度で相手を精神的に追い詰めること)は、法定離婚事由のひとつである「5 その他婚姻を継続し難い重大な事由」に当たるため、それだけで離婚の原因となり得ます。それらの行為が原因でうつ病になった場合は、離婚できるだけでなく、DVやモラハラといった不法行為、または離婚すること自体による精神的苦痛について、慰謝料を請求することもできます。

慰謝料の金額は、DVやモラハラによる怪我やうつ病の程度、内容、継続期間、主張を裏づける資料の内容等によって変動します。

浮気が原因のうつ病を理由とする離婚

配偶者が肉体関係のある浮気(不貞行為)をした場合も、法定離婚事由のひとつである「1 配偶者に不貞な行為があった」場合に当たるため、それだけで離婚の原因となります。そして、配偶者の浮気が原因でうつ病になった場合には、当然離婚できますし、加えて不貞行為または離婚すること自体による精神的苦痛についての慰謝料も請求できます。

なお、浮気が原因で離婚する場合に認められる慰謝料の相場は、婚姻関係の破綻の程度によって異なりますが、離婚までした場合は、一般的に200万~300万円の間で定められることが多いようです。

「回復の見込みがない強度の精神病」を理由とする離婚

「回復の見込みがない強度の精神病」に当たるとして離婚が認められるかどうかは、次のような事情から総合的に判断されます。

  • ①配偶者の精神病の程度が酷い
    (仕事や家事がほとんどできない等、夫婦の同居・協力・扶助義務が果たせないような病状である)
  • ②相当期間にわたり、配偶者が扶助義務を尽くして看病してきた実績がある
  • ③今後の治療の目途が立っており、離婚後の療養環境が整っている
  • ④夫婦関係の維持・継続を強いることが酷である

しかし、「回復の見込みがない強度の精神病」の代表的な例は、統合失調症や双極性障害等であり、適切な治療によって軽快することも多いうつ病は「回復の見込みがない強度の精神病」に当たらないことが多いのが現状です。

うつ病を発症したことにより「婚姻を継続し難い重大な事由」ができたことを理由とする離婚

うつ病が「回復の見込みがない強度の精神病」に当たらないとしても、うつ病を発症したことによって、夫婦間に重大な問題が生じ、そのために夫婦関係が既に破綻している場合には、離婚を認めてもらえる可能性があります。例えば、うつ病が原因で配偶者の親族と大変な不和になったり、夫婦間の諍いが絶えなかったり、互いに関係を修復する意思がなくなったりした場合には、「婚姻を継続し難い重大な事由」があるとして、離婚が認められる可能性があります。

配偶者のうつ病……一人で悩まず弁護士にご相談ください

うつ病になると、とても仕事をできる余裕はなくなってしまいます。そのため、休職するか、最悪退職して治療に専念することになるでしょう。そうなると、数ヶ月間は退職手当等を受け取れるにしても、収入が減額するか途絶えてしまう可能性が高いため、配偶者の収入に頼って生活している場合、生活が立ち行かなくなってしまうおそれがあります。ましてや、夫婦には相互扶助義務があることを考えると、こちらまで精神的に追い詰められてしまうかもしれません。

万が一配偶者がうつ病になってしまったら、残酷なようですが、離婚をするというのも選択肢のひとつです。当然、治療を尽くしたうえで出てくる選択肢ではありますが、「離婚したい」と感じたら、お一人で悩みすぎず、弁護士にご相談ください。離婚問題の様々なケースを見てきた弁護士であれば、ご相談者様の状況に応じた、適切なアドバイスをすることができます。アドバイスを受けた結果、それまでとは違う視点で物事を見られるようになれば、前に進むための活力も生まれるでしょう。

まずはうつ病を克服するためのケアをしましょう

夫婦には扶養義務があるため、配偶者がうつ病になった場合には、誠意をもって看病し回復を助けることが求められます。具体的には、通院に付き添ったり、ゆっくりと話に耳を傾けたり、服薬を続けられるようにサポートしたりして、配偶者が十分な休養をとることができる環境を整えることが考えられます。
このようにサポートを尽くしてもうつ病が治らない場合に、初めて「離婚する」という選択肢を選ぶことができるようになります。

うつ病とは

うつ病とは、気分が落ち込み、やる気や物事に対する興味や関心がなくなる無気力な状態と、不眠や食欲不振といった身体症状が2週間以上続く病気です。ストレスと個人の性格等が相互に関係し、脳内の神経伝達物質のバランスが崩れることによって、発症するといわれています。

治療としては、精神的な負担を取り除いた環境で休養しつつ、症状に応じて、薬物療法や心理療法を行うことになります。治療が順調に進んだ場合には3ヶ月程度で回復することもありますが、再発を防ぐために、回復後も半年から1年程度は薬物療法を続ける必要があります。また、難治性で回復に時間がかかる方もいらっしゃいます。うつ病は改善と悪化を繰り返しながら回復していく病気であるため、辛抱強く治療に取り組むことが大切です。

相手がうつ病で話し合いが進まないときは

うつ病になった配偶者と離婚したい場合には、まずは協議離婚を試みるべきでしょう。厳格な要件が必要とされない分、離婚裁判等と比べて、スムーズな解決が図れることがあります。しかし、どうしても協議による合意が難しい場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てる必要があります。調停でも話がまとまらない場合には、離婚裁判を申し立てることになります。

ただし、裁判の場合、配偶者がうつ病であるという理由だけでは、離婚が認められない可能性が高いことに留意しておく必要があります。

協議離婚と離婚調停の進め方については、下記の各記事をご覧ください。

さらに詳しく
離婚調停の流れ

うつ病で判断能力がない場合の「成年後見人」

離婚する場合には、基本的に、協議・調停・裁判という流れによることになります。しかし、配偶者のうつ病の程度が酷く、離婚について判断することもできないような場合には、配偶者に対しては、どの方法も行うことはできません。

このような場合には、家庭裁判所に「成年後見人」と呼ばれる代理人の選任を申し立てます。そして、家庭裁判所から選任を受け、成年後見人になった弁護士等に、配偶者の代わりに調停や裁判に出席してもらい、手続きを進めていくことになります。

すぐにでも離婚したい場合は合意の上で別居

すぐにでも離婚したいものの、配偶者の同意が得られない場合には、別居することを検討しましょう。長期間にわたる別居は、婚姻関係が破綻していることを示す材料になるため、別居期間が長引くほど、裁判でも離婚が認められやすくなります。

ただし、配偶者の同意を得ずに別居すると、悪意の遺棄と判断されて有責配偶者となってしまい、離婚請求が認められなくなってしまうおそれがあるため、注意が必要です。

離婚と別居の関係について等、詳しくは下記の記事をご覧ください。

親権

うつ病だからといって、そのことだけで絶対に親権者になれないわけではありません。たとえうつ病を患っていても、その人の下で育つ方が子供の健全な成長にとって都合が良いと判断されれば、うつ病を患っている配偶者が親権を持つことになります。

養育費

うつ病を患っていても、養育費の支払義務は免除されません。もっとも、自身の収入が全くない場合に、借金をしてまで養育費を支払うことまでは求められていないので、うつ病を患う元配偶者に収入がある場合に限って、養育費を請求することができます。

また、養育費を受け取る側がうつ病を患っていても、それだけで養育費が増額することはありません。
詳しくは下記の記事をご覧ください。

さらに詳しく
養育費の増額について

慰謝料

DVやモラハラ、不貞等、配偶者の不法行為による精神的苦痛が原因でうつ病になった場合には、配偶者に対して慰謝料を請求することができます。また、うつ病になり離婚せざるを得なくなったこと自体で精神的苦痛を受けた場合にも、慰謝料請求が可能です。
詳しくは下記の記事をご覧ください。

財産分与

財産分与は、共有財産を基本的に2分の1ずつ分ける制度であり、配偶者がうつ病を患っている場合でも、この割合は変わらないのが原則です。ただし、離婚後の配偶者の生活保障のために、多少の配慮が必要になる場合もあります。
詳しくは下記の記事をご覧ください。

さらに詳しく
財産分与について

証拠

配偶者の浮気やDV、モラハラ等によってうつ病になったという経緯がある場合には、証拠が散逸しないように、別居する前から証拠を残しておきましょう。浮気やDV、モラハラ等があったことを証明する証拠はもちろん、それらによってうつ病になったことを示すカルテや医師の診断書等の証拠を残しておくことが重要です。

あなたに有利な条件を弁護士がアドバイスさせていただきます

離婚に伴い、親権、養育費、慰謝料、財産分与等、いろいろな条件の取り決めが必要になります。条件を取り決める際に、うつ病だからといって、親権争いにおいて大きく不利になるようなことはありませんが、養育費や財産分与として受け取れる金額が相場以上になるとも限りません。そこで、あらかじめ弁護士に相談しておき、ご相談者様にとって最も有利になる条件で協議をまとめるために踏まえるべきポイント等について、アドバイスを受けることをお勧めします。

また、離婚をすべきかどうか迷っている場合でも、公平な第三者の客観的な意見を聞くことは重要です。配偶者がうつ病になってしまい離婚を考えたら、お一人で悩まず、まずは弁護士にご相談ください。

うつ病に関するQ&A

Q:

自分がうつ病になり相手から離婚を求められています。応じなければいけないのでしょうか?

Q:

夫が不妊に悩みうつ病を発症……離婚できますか?

Q:

妻が産後うつになりました。離婚できるでしょうか?

Q:

うつ病の夫に慰謝料を請求できますか?

Q:

うつ病で働かない夫と離婚できますか?

Q:

母親がうつ病の場合、母親は親権をとれますか?

Q:

夫が結婚前からのうつ病を故意に隠していました。夫の合意がなくても離婚は可能でしょうか?

Q:

結婚前から相手がうつ病なのは知っていましたが、症状が悪化し結婚生活を続けることができません。離婚は可能でしょうか?

うつ病が原因で離婚を考えたら……弁護士がお悩みを解決します

配偶者がうつ病になってしまったら、それまで通りに婚姻生活を送ることは難しくなります。親がうつ病になれば子供にも様々な影響がありますし、困難な治療を続けていく中、休職や退職等で収入が減少あるいはなくなってしまえば、生活が立ち行かなくなってしまいます。しかし、うつ病になった配偶者と離婚するのは、相手を見捨てるようで罪悪感があり、なかなか決心がつかないと思います。そのような場合は、弁護士といった、公平な第三者の客観的な意見を聞きましょう。

数多くの離婚問題を解決してきた実績のある弁護士は、様々なケースに対応してきているので、ご相談者様のケースに最適なアドバイスをすることができるでしょう。また、多くの方の悩みに寄り添って解決してきた経験から、うつ病を患う配偶者を持つご相談者様のお悩みにも寄り添うこともできます。

ぜひ、前向きな一歩を踏み出すためのお手伝いをさせていただければと思いますので、まずはお気軽にご相談ください。

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