別居中の荷物の持ち出しはたとえ夫婦でも住居侵入罪や窃盗罪にあたる?

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治
この記事の監修
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別居した後に荷物を持ち出しに戻っても法的に問題はない?

別居中に相手方が単独で管理している住居に無断で入った場合には、夫婦であっても住居侵入罪(刑法130条前段)にあたる可能性があります。相手方が警察に被害届を提出した場合、「家庭内の問題」ということで、警察が介入しないケースが多いとは思われますが、犯罪に該当しうる行為ですので、控えるべきでしょう。

自分の荷物だったら勝手に持ち出しても問題ない?

ご自身の荷物であっても、配偶者が現在占有しているものであれば、窃盗罪(刑法235条)に該当する可能性があります。ただし、夫婦間の間の窃盗については処罰されません(刑法244条1項)。とはいえ、民事上の責任を負う可能性はありますし、紛争の原因となりますので、勝手に持ち出すことは控えるべきです。

大事にしていたものを持ってくるのを忘れた場合、どうすればよいでしょう?

相手方に連絡して送ってもらえるのであれば送ってもらいましょう。難しいようであれば、取りに行く日時を伝え、相手方の承諾を得た上で、家に戻るようにするべきでしょう。

相手が不在で鍵を開け勝手に入っても問題ない?

相手方が単独で管理している住居に無断で立ち入った場合は住居侵入罪(刑法130条前段)の問題になりえます。事前に連絡しておくべきです。

鍵が変わっていて入れない場合は?

鍵が変わっていて、 入れない場合であれば、諦めて家に帰りましょう。カギを壊したり、窓ガラスを割ったりして中に入ろうとすれば、器物損壊罪(刑法261条)にあたる上に住居侵入罪(刑法130条前段)の問題となりうる可能性があります。

財産はなんでも持ち出せるわけではありません

共有財産とは、夫婦が共同で所有する財産です。夫婦共同で購入したものなどは、共有財産であり配偶者の物でもありますので、無断で持ち出すとトラブルの原因となります。

特有財産とは、夫婦の一方が婚姻前から有している財産と、婚姻中に自己の名義で得た財産のことです。夫婦間の場合、窃盗罪で処罰されることはありませんが(刑法244条1項)、配偶者の特有財産を無断で持ち出すと民事上の責任を負う可能性があります。

共有財産・特有財産にあたるものに関してはこちらからご確認下さい。

さらに詳しく
共用財産になる資産

自分の荷物を勝手に処分されていたら?

自身の持ち物を勝手に処分された場合には、民事上の損害賠償請求を求めることができる場合がありますが、自分の荷物を勝手に処分されたことや荷物の価値などについて立証する必要があり、容易ではありません(なお、横領罪については、夫婦間の場合処罰されません)。金銭的に価値がないが、大事にしているものや思い出の品などは、損害賠償で回復できるものではありませんので、家に残したまま別居しないようにしましょう。

状況別対応方法

(1) 相手と激しく争っている場合

比較的穏便に離婚できるような場合には、配偶者に連絡を取って取りに行かせてもらったり、小さなものであれば送ってもらったりして、スムーズに受け渡しが行えると思います。しかし、夫婦間で感情的な争いが生じている場合、そう簡単に荷物を取りに行けるものではありません。当事者間での話し合いが難しい場合、代理人や調停委員を介して、解決するほかないでしょう。

(2) 双方に代理人がついている場合

双方に代理人がついている場合には、双方の代理人で荷物の受け渡し方法等について協議を行うことが可能です。感情的な面で当事者同士の話し合いが困難であっても、比較的容易に荷物の引取りを実現できる可能性が高まります。
そのような場合には遠慮しないで、依頼している弁護士に相談してみましょう。

(3) 自分で離婚調停を進めている場合

ご自身で離婚調停をされており代理人がいないような場合は、調停委員を介して相手方に荷物を引き取りたい旨伝えるのがよいでしょう。欲しい荷物は具体的に指摘してください。そうでないと、引渡しを請求された方も、何を渡したらいいのか分からなくなります。

また、長い期間を放置されていた荷物ですので、配偶者やその親族が片付けてしまったり、捨ててしまったりすることもあります。
ですので、確実に引渡しが出来るとは言い切れません。

荷物の引き渡しをスムーズに終わらせるコツとは?

相手方と荷物の引き渡し方法についてきちんと協議することが重要です。無断で荷物を引き取ってしまうと、相手方から私物がなくなったなどと言われてトラブルが生じることがあります。当事者間の協議が難しい場合、弁護士に依頼することでトラブルを回避できる可能性が高まります。

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