養子縁組したら親権はどうなる?養育費や親子交流(面会交流)への影響
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
離婚後に元配偶者が再婚すると、「養子縁組をしたら親権はどうなるのだろう」「今後も子供と会えるのだろうか」と不安を抱える方は少なくありません。
養子縁組が成立すると、子供と再婚相手の間には法律上の親子関係が生じるため、親権や養育費、親子交流(面会交流)などに影響が及ぶことがあります。
この記事では、養子縁組の基本的な仕組みから、親権や養育費、親子交流(面会交流)との関係などについてわかりやすく解説します。
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養子縁組とは、血縁関係のない人との間に法律上の親子関係を成立させる制度です。養子縁組が成立すると、養親には子供を扶養する義務が生じ、子供には養親の相続人としての権利が認められます。
養子縁組には、次の2種類があります。
- 普通養子縁組
養親との間に新たな親子関係が成立する一方で、実親との親子関係も継続する制度です。子供は実親と養親の双方と法律上の親子関係を持ち、それぞれに対して相続権や扶養を受ける権利を有します。 - 特別養子縁組
実親との親子関係を終了し、養親のみと法律上の親子関係を成立させる制度です。子供は実親に対する相続権や実親から扶養を受ける権利を失い、法律上は養親の実子と同様に扱われます。
主に、虐待や育児放棄などにより、子供の利益を守る必要がある場合に利用されます。
再婚相手と子供が養子縁組したら親権はどうなる?
再婚相手と子供が養子縁組をすると、再婚相手は法律上の親となり、子供に対して親権を行う立場になります。そのため、養子縁組が成立した後も、非親権者である実親(元配偶者)は親権を行使できません。
ただし、養子縁組をしても、実親との親子関係が完全になくなるわけではない点に注意が必要です。
親権について、詳しくは以下のページをご覧ください。
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共同親権を選択している場合
離婚後に共同親権を選択している場合でも、子供が再婚相手と養子縁組をすると、一般的に別居している実親は親権者ではなくなります。
そのため、養子縁組後は養親が親権者となり、別居している実親は親権を行使できなくなるのが通常です。
もっとも、共同親権のもとで15歳未満の子供が養子縁組をする場合には、別居している親権者の同意が必要です。
再婚相手との養子縁組を進める際は、事前に親同士で十分に話し合っておくことが大切でしょう。
養子縁組したら親権のほかに何が変わる?
再婚相手と子供が養子縁組をした場合に変わるのは、親権だけではありません。
養親と子供の間に法律上の親子関係が生じるため、戸籍や名字、相続権にも影響が及びます。また、養親が第一次的扶養義務者となるため、養育費の取り扱いも変わるケースが多いです。
ここでは、養子縁組によって生じる、親権以外の主な変化について解説します。
- 戸籍・名字が変わる
- 相続権が発生する
- 扶養義務が発生する
戸籍・名字が変わる
元配偶者の再婚相手と子供が養子縁組をすると、子供は養親である再婚相手の戸籍に入り、名字も再婚相手と同じになります。
元配偶者が再婚したからといって、子供の戸籍や名字が自動的に変わるわけではありません。子供の戸籍や名字に影響が及ぶのは、再婚相手と養子縁組などの手続きが行われた場合です。
もっとも、普通養子縁組では、戸籍や名字が変わっても実親との親子関係は続くため注意しましょう。
相続権が発生する
再婚相手と子供が養子縁組をすると、子供は再婚相手の法律上の子となり、再婚相手の相続人になります。そのため、再婚相手が亡くなった場合は、実子と同様に遺産を相続することが可能です。
一方、実親との相続関係は、養子縁組の種類によって異なります。
- 普通養子縁組
実親との親子関係が継続するため、子供は実親と養親の双方について相続権を持ちます。 - 特別養子縁組
実親との親子関係が終了するため、子供は実親の相続人ではなくなり、養親に関する相続権のみを持ちます。
扶養義務が発生する
再婚相手と子供が養子縁組をすると、法律上の親子関係が生じるため、養親と子供は互いに扶養する義務を負います。つまり、再婚相手は子供の生活や教育にかかる費用を負担しなければなりません。
扶養義務とは、自力で生活するのが難しい家族を支える義務です。主に親子や祖父母・孫などの直系血族、兄弟姉妹の間で発生するのが一般的です。
養子縁組が成立すると、養親は離れて暮らす実親(元配偶者)よりも子供を優先的に扶養する立場となります。
もっとも、普通養子縁組の場合は、非親権者である実親との法律上の親子関係も継続する点に留意しましょう。
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メール相談予約受付再婚相手と子供が養子縁組したら養育費はどうなる?
子供が親権者の再婚相手と養子縁組をした場合、養育費が減額または免除されるケースがあります。
養子縁組が成立すると、再婚相手が子供を主に扶養する立場になるためです。
ただし、再婚相手の収入が十分でない場合や、病気などの事情により子供を十分に養育できない場合は、養子縁組後も実親が養育費を負担しなければならないことがあります。
また、養子縁組をしたからといって、養育費の支払い義務が自動的になくなるわけではありません。
養育費を変更したい場合は、まずは当事者間で話し合い、合意できないときは家庭裁判所の手続きを利用して取り決める必要があります。
養子縁組した場合の養育費について、詳しくは以下のページをご覧ください。
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養育費の減額・免除には手続きが必要
子供が再婚相手と養子縁組をした場合でも、養育費の支払い義務が自動的になくなるわけではありません。
養親が子供の第一次的扶養義務者となったことで、養育費の減額や免除が認められる可能性もありますが、まずは元配偶者と話し合う必要があります。話し合いで合意に至らない場合は、家庭裁判所に「養育費減額調停」を申し立てるのが基本的な流れです。
そのため、「養子縁組をしたから養育費を支払わなくてよい」と自己判断で支払いをやめるのは避けるべきです。“未払い”とみなされ、場合によっては給与や預貯金の差し押さえなどのトラブルにつながるおそれがあります。
養育費の減額請求や再婚後の養育費免除・減額について、詳しくは以下の各ページをご覧ください。
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養子縁組した子供との親子交流(面会交流)はどうなる?
再婚相手と子供が養子縁組をした場合でも、親子交流(面会交流)ができなくなるわけではありません。普通養子縁組では、実親との親子関係が継続するため、非親権者であっても子供の親として交流が可能です。
親子交流(面会交流)は、子供の福祉を実現するための重要な制度です。
そのため、これまで問題なく親子交流(面会交流)が行われていたのであれば、養子縁組後も継続するのが望ましいでしょう。子供にとって、実親からの愛情を受けながら成長できる機会は貴重であり大切といえます。
親子交流(面会交流)について、詳しくは以下のページをご覧ください。
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養子縁組をした子供の親権を取り戻すことはできる?
非親権者である実親が、養子縁組をした子供の親権を取り戻すのは容易ではありません。
親権者変更は、基本的に父母の間で親権者を変更することを想定した制度です。
子供が再婚相手と養子縁組をすると、“再婚した元配偶者”と“養親である再婚相手”が親権を行う立場となるため、実親が親権者変更の手続きによって親権を取り戻すのは難しいでしょう。
もっとも、養子縁組後でも、子供が養親などから虐待や著しい監護放棄を受けている場合は、子供を守るための法的手続きを利用できる可能性があります。例えば、家庭裁判所に「親権喪失」や「親権停止」を申し立てる方法が考えられます。
子供の生活環境に不安がある場合や、虐待が疑われる場合には、一人で抱え込まず、できるだけ早く弁護士へ相談するのが望ましいです。
離婚後の親権変更や親権喪失など、子供を守る制度については、以下の各ページをご覧ください。
親権と養子縁組に関するQ&A
- Q:
養子縁組後に養親が亡くなった場合、子供の親権は実親に戻りますか?
- A:
養親が亡くなった場合でも、子供の親権が自動的に実親に戻るわけではありません。
養親の死亡によって親権を行う人がいなくなった場合、家庭裁判所に対して「未成年後見人選任の申立て」や「親権者変更の申立て」を行う必要があります。
申立てが認められれば、実親が未成年後見人や親権者になれる可能性があります。ただし、家庭裁判所は「子供の利益」を最優先に、年齢や生活環境、実親との関係などを総合的に考慮するため、必ず実親に親権が認められるとは限りません。
- Q:
共同親権の元配偶者が養子縁組に同意しない場合はどうすればいいですか?
- A:
共同親権を行う元配偶者から養子縁組の同意を得られない場合は、家庭裁判所に「養子縁組の同意に代わる許可の審判」を申し立てる方法があります。
家庭裁判所は、養子縁組の必要性や子供の生活環境、養育状況などを踏まえ、「子の利益のため特に必要がある」と判断した場合、元配偶者の同意に代わる許可を出すことがあります。許可が出れば、元配偶者の同意がなくても養子縁組を成立させることが可能です。
もっとも、許可が得られるかどうかは個別の事情によって異なるため、まずは弁護士に相談するとよいでしょう。
- Q:
共同親権から養子縁組した場合、養育費の支払いはどうなりますか?
- A:
- 共同親権から養子縁組した場合、養育費が減額または免除されることがあります。
養子縁組が成立すると、再婚相手が子供を中心的に扶養する立場となり、元配偶者の支払い義務が軽減する可能性があるためです。
もっとも、養子縁組をしただけで、実親の養育費の支払い義務が当然になくなるわけではありません。
再婚相手の収入や生活状況、子供の養育環境などによっては、実親も引き続き養育費を負担すべきと判断される場合があります。養育費の減額や免除を希望する場合は、まず元配偶者との協議を試みましょう。話し合いで解決しないときは、家庭裁判所に「養育費減額請求調停」を申し立て、合意を目指すのが基本です。
- Q:
祖父母と子供(孫)が養子縁組すると親権はどうなりますか?
- A:
祖父母と子供(孫)が養子縁組をすると、祖父母が法律上の親となり、親権を行う立場となります。
普通養子縁組では実親との親子関係も継続しますが、親権を行うのは原則として祖父母です。
また、特別養子縁組の場合は、祖父母とのみ法律上の親子関係が認められるため、実親との親子関係は終了します。なお、祖父母と養子縁組をしても、その後の監護・養育のあり方については個別の判断が必要です。
基本的には、子供の年齢や生活状況、養育環境などを踏まえ、子供の利益を最優先に判断されます。
養子縁組と親権に関して不安なことがあれば弁護士に依頼してみましょう
養子縁組は、再婚後の家族関係を築くうえで有効な制度ですが、親権や養育費、親子交流(面会交流)など、さまざまな法律問題に関わります。また、養子縁組の種類によって法律上の取り扱いが異なるため、手続きを進める前に十分な検討が必要です。
特に、元配偶者との関係や子供の権利に関わる問題は、当事者だけで解決するのが難しいケースも少なくありません。
弁護士法人ALGでは、離婚や離婚に伴う子供の問題を数多く取り扱っており、養子縁組に関するご相談にも対応しています。豊富な経験とノウハウを活かし、ご状況に応じた適切なアドバイスやサポートを行うことが可能です。
養子縁組や再婚後の親子関係についてお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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