面会交流とは|面会する頻度など決めるべきルールや流れを解説

監修弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員
離婚して子供と離れて暮らすことになっても、子供に会う権利はあります。このような権利を、“面会交流権”といいます。
ただ、面会交流は子供のためにある制度ですから、話し合うときは子供の幸せを第一に考えるようにしなければなりません。これは民法でも定められている内容です。
本記事では、「面会交流とは何なのか」ということをはじめ、「拒否できるのかどうか」「どのようなルールを決めるべきなのか」「決める際の流れ」など、《面会交流》に関する幅広い知識をお伝えしていきます。
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面会交流とは
面会交流とは、離れて暮らす親子が、定期的に会ったり、手紙や電話のやりとりをしたりなどして交流することをいいます。
離れて暮らしていても会いたいと思うのは、親だけとは限りません。子供も同じような気持ちを抱くこともあるでしょう。そのため、面会交流は親の権利であると同時に、子供の権利でもあるといえます。
面会交流について考えるとき、親の都合だけで決めてしまうことは避けましょう。そもそも面会交流は、子供が両方の親と関わり合いを持てるようにと作られた、子供のための制度です。民法の規定においても、面会交流について話し合う際は、「子供の利益」を最優先に考えなければならないとされています。
また、離婚後だけではなく、離婚前に別居している期間、離れて暮らす親子にも面会交流権はあります。別居中の面会交流について、詳しい内容は下記の記事をご覧ください。
面会交流の実施頻度
面会交流を実施するにあたっては、どのくらいの頻度で行うかを決めていく必要があります。厚生労働省の調査(「平成28年度全国ひとり親世帯等調査」)によると、面会交流の頻度を問う質問への回答は、上記のグラフのとおりとなっています。この結果から、一般的には「月に1回以上」や「月に2回以上」の頻度で行う家庭が多いことがわかります。
面会交流ができるのは何歳まで?
成人になるまでは親の親権が及ぶため、面会交流ができるのは、基本的に20歳(※2022年4月以降は18歳)までと考えられています。裏を返せば、20歳以降は、親権者の意向で子供との交流が制限されることはないといえます。大事なのは子供の意思です。
ただ、20歳未満の場合でも、10歳程度以上になると、子供の意思が重視される傾向にあります。そのため、子供が「会いたくない」と言っているときは、20歳になる前でも面会交流をすることが叶わない場合もあります。
面会交流は拒否できるのか?
面会交流を拒否することは基本的にできません。裁判所としては、面会交流は子供が健やかに成長していくために必要なものだと考え、基本的に面会交流を実施すべきだという姿勢をとっています。したがって、「浮気をした相手に会わせたくないから」など、親の勝手な都合で面会交流を拒否することは許されないのです。
ただし、面会交流をすることで、かえって子供の成長に悪影響を及ぼすことが予想される場合には、拒否できる可能性があります。例えば、子供自身が拒否しているケースでは、年齢によっては子供の意思が重視され、面会交流を行わないとすることを認めてもらえる場合もあるでしょう。
下記の各記事では、面会交流を拒否したい方と拒否された方、それぞれに向けて解説しています。こちらもぜひ参考にしてみてください。
面会交流を決める際の流れ
面会交流について決めるときには、一般的に次のような流れで手続きを進めていきます。
- ①当事者間で話し合う
- ②「面会交流調停」で話し合う
- ③調停不成立となったら自動的に「審判」の手続きに進み、裁判官が判断をする
なお、離婚と併せて面会交流をどうするか決めていくことも可能です。この場合は、「当事者間での話し合い→離婚調停→離婚裁判」と進めていくのが通常です。
いずれにしても、当事者間で話し合って面会交流の取り決めをしたときは、後にトラブルになることを回避するためにも、取り決めた内容は書面に残しておきましょう。加えて、公証役場で「公正証書」を作成してもらえば、証拠能力は高まります。
調停・審判を利用する場合
当事者同士で話し合っても意見がまとまらない場合などには、「面会交流調停」を行います。調停とは、家庭裁判所の調停委員会が夫婦の間に入り、話し合いを進めていくという手続きです。
調停でも合意できずに不成立となったときは、自動的に「審判」の手続きが始められます。審判では、すべての事情を考慮して、裁判官が面会交流をどうするかを決めます。
なお、最初から「審判」を申し立てても問題ありませんが、まずは話し合いから行うべきだとして、調停に戻されるケースが多いです。
調停や審判の手続きでは、家庭裁判所の調査官による調査が入り、調査の一環として「試行的面会交流」が行われることがあります。これは、調査官の立ち会いのもと、試しに親子を交流させてみて、その様子から面会交流の実施に問題ないかを確認するために行われる調査です。
下記の記事では、「面会交流調停」について詳しく解説しています。こちらもぜひご覧ください。
面会交流の決めるべきルール (面会方法)
面会交流について取り決めるときは、面会交流の実施の有無だけではなく、実施する場合のルールについても具体的に決めていきます。決めるべきルールとして、主なものは次のとおりです(※定期的に会うかたちでの面会交流を想定しています。)。
- 頻度
- 日時
- 場所
- 1回の面会時間の長さ、開始と終了の時刻
- 当日の待ち合わせ方法
- 連絡方法
- 付添人の有無
- 学校行事などへの参加の可否
- プレゼントやお小遣いについて など
面会交流のルールについて、決めるべき内容や決める際の注意点は、下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
面会交流のルールを守らないとどうなるか?
面会交流のルールを決めたにもかかわらず、そのルールを守らずに子供と会わせなかった場合には、「間接強制」を申し立てられるおそれがあります。
間接強制とは、期限を定めて、その間に約束した内容が果たされなかったときは“間接強制金”という罰金のようなものを科すという制度です。なお、間接強制を行うためには、面会交流のルールを明確に定めている必要があります。
また、子供に会わせてもらえずに心が傷ついたとして、慰謝料を請求されるというリスクもありますので、ご注意ください。
会いたくないと子供が拒否しているなど、何か事情があるときには、面会交流について改めて決め直すようにしましょう。
面会交流のルールを変更したい場合
一度決めた面会交流のルールを変更したい場合には、まずは当事者間で話し合います。相手の了承を得られれば、ルールの内容を変えることが可能です。
一方で、相手の了承が得られない、話し合いを拒否されてしまうといったケースでは、家庭裁判所の「調停」や「審判」の手続きを行い、ルールの変更を求めていくことになります。
再婚した場合、子供との面会交流はどうなるか?
子供とともに暮らす親が再婚した場合でも、離れて暮らす親が再婚した場合でも、「再婚したこと」は面会交流を止める理由にはなりません。
なぜなら、面会交流は子供の福祉(幸せ)のための制度であり、たとえ親のどちらかが再婚したとしても、子供の健やかな成長にとって離れて暮らす親との交流を保つことは非常に重要だと考えられているからです。
また、再婚相手が、「元妻(元夫)の子供と会ってほしくない」などと面会交流を嫌がっても、親子の権利である面会交流を止める理由にはなりません。
面会交流と養育費の関係について
面会交流と養育費は、交換条件にはできません。たしかにどちらも子供に関するものではありますが、それぞれ法的根拠の異なる別の権利・義務であり、切り離して考えなければならない問題です。
したがって、「養育費はいらないから面会交流をさせない」「面会交流に応じてもらえないなら養育費は支払わない」などということはできません。
面会交流が認められない場合
裁判所は、面会交流は子供のためになるとして、基本的に実施を認める姿勢をとっていますが、どのような場合でも必ず実施した方がいいと判断するわけではありません。場合によっては面会交流が認められないこともあります。
裁判所が判断する際、何より重視するのは「子供の福祉(幸せ)」です。そのため、面会交流をすることが子供の福祉にかなわない、つまり子供のためにならないと考えられる場合には、実施すべきではないと判断します。面会交流が認められない可能性があるのは、例えば次のようなケースです。
- 過去に子供を虐待しており、会ったら再び虐待するおそれがある
- 面会交流の際、子供を連れ去るおそれがある
- 子供本人が嫌がっている(※ある程度の年齢に達している場合)
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メールで相談する面会交流に関するQ&A
- Q:
-
子供が乳幼児の場合、面会交流は可能ですか?
- A:
-
子供が乳幼児であっても、面会交流は可能です。
ただ、婚姻中に育児を積極的に行っておらず、乳幼児の身の回りの世話ができない場合は、2人だけで面会交流をすることは難しいと言わざるを得ません。また、生後6ヶ月前後になると子供は人見知りを始め、懐いていないと面会交流中に子供がずっと泣き続けてしまうこともありますので、やはり2人だけでの面会交流は難しいでしょう。したがって、面会交流をするにしても、相手(現に子供の面倒を見ている親)や補助者を同席させることが多いです。
また、子供が落ち着いて面会交流をすることができる年齢に達するまでは、写真や記念日のプレゼントなどのやりとりによって、間接的な面会交流を実施するよう取り決めるケースもあります。
- Q:
-
面会交流時に子供を連れ去られた場合、どうすれば良いですか?
- A:
-
まずは子供を返すよう伝え、相手が任意での引渡しに応じない場合には、家庭裁判所に「子の引渡し調停(審判)」を申し立てます。
「調停」は家庭裁判所の調停委員会を通して話し合う手続きで、不成立の場合は自動的に「審判」の手続きに移り、裁判官によって判断されることになります。ただ、子の引渡しをめぐる争いでは、一般的に調停手続きを経ずにいきなり審判を申し立てるケースが大半です。
なお、子供を引き渡すようにと審判がなされ、審判が確定したのにもかかわらず引渡しに応じない場合等には、人身保護請求を行うことになるでしょう。
- Q:
-
面会交流の際、子供に誕生日プレゼントを贈っても良いのですか?
- A:
-
面会交流のルールとして誕生日プレゼントを贈ってもいい旨を取り決めている場合や、相手の同意がある場合には、子供への誕生日プレゼントを贈ることができます。
これに対して、特に取り決めていないからといって、相手に確認することなくプレゼントを贈ると、相手との関係が悪化するおそれがあります。したがって、取り決めをしていない場合には、今後の面会交流を円滑に続けていくためにも、相手の承諾を得るようにしましょう。
下記の記事では、面会交流で取り決めるべきルールについて紹介していますので、こちらもぜひ参考になさってください。
- Q:
-
面会交流の第三者機関とは何ですか?
- A:
-
面会交流の第三者機関とは、面会交流をサポートしてくれる機関のことです。
具体的には、父母の間に入り、日時調整などの連絡を行う、面会交流の日に子供を待ち合わせ場所に連れて行く、面会交流の場に付き添う、といったことをしてくれます。例えば、感情的な対立などから父母間で直接やりとりするのが難しい場合や、子供と2人きりでの面会交流に心配がある場合などに利用されます。第三者機関の種類としては、自治体が運営しているもの、NPO法人や一般社団法人などが運営しているものがあります。
なお、利用できる条件は第三者機関によって異なりますので、事前に確認しておくよう注意しましょう。
- Q:
-
祖父母との面会交流はできますか?
- A:
-
法律が想定している面会交流は親子間で行うものであり、祖父母は対象とされていません。そのため、祖父母に面会交流権はなく、祖父母から面会交流を求めて裁判所の手続きをとることはできないと考えられます。
ただし、子供と一緒に暮らしている親の了承を得られれば、祖父母が面会交流することは可能です。了承を得られたときは、その旨をきちんと書面に残しておきましょう。あとでトラブルになることもあるので、口約束だけで済ませるのは避けた方がいいです。
なお、取り決めた面会交流のルールのなかで特に制限がなされていなければ、面会交流時にどこに行くか、誰と会わせるかは自由です。そのため、面会交流時に子供を実家に連れて行って祖父母に会わせることもできます。
面会交流で不安なことがあれば弁護士に相談してみましょう
面会交流は、子供が父親と母親の両方からの愛情を感じられるようにと行うものであり、親の都合だけを考えて決めるべきものではありません。話し合うときは、「子供の幸せ」を何よりも大切に考えるようにしましょう。
当事者同士ではうまく話し合いが進められない場合には、弁護士に依頼し、間に入ってもらったり、代わりに交渉にあたってもらったりするなどのサポートを受けてみてはいかがでしょうか?また、どのような手続きをとればいいのかわからない、ルールの内容に悩んでいるといった場合も、弁護士に相談すれば、ご状況に合わせて適切なアドバイスをしてもらえます。
面会交流について不安なことがあるときは、おひとりで悩まず、ぜひ弁護士にご相談ください。
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