祖父母は孫の親権者になれるのか?

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治

監修弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員

親権問題で悩まれる方の中には、子供の父母だけではなく、祖父母にあたる方々もいらっしゃいます。実際、子供と一緒に暮らして監護・養育しているのは親権者である親ではなく、祖父母であることも珍しくありません。孫の幸せや将来のことを考えると、自分が親権者になりたいと思われる祖父母の方々もいらっしゃることでしょう。

では、法的に祖父母が孫の親権者となることはできるのでしょうか?

このページでは、親権問題の中でも「祖父母と孫間の親権」に着目し、祖父母が孫の親権者となるための方法や、注意点等をわかりやすく解説していきます。

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祖父母は孫の親権者になれる?

基本的に、祖父母は孫の親権者にはなれません。
法律上、親権者になれるのは「父母」であるとされているからです。

ただし、養子の場合は「養親」が親権者になれるため、以下に挙げた①の方法をとれば祖父母でも親権者になれます。また、②や③の方法をとれば、親権者にはなれなくても、法的に孫と一緒に暮らすことを認めてもらえたり、親権者と同じような権利を得たりすることができます。

①孫を養子に迎える方法
②孫の監護権を取得する方法
③孫の未成年後見人になる方法

それぞれの方法について、順番に詳しく確認していきましょう。

孫を養子に迎える方法

祖父母が孫と“養子縁組”をすれば、“養親”として親権者になることができます。
孫と養子縁組をするためには、市区町村役場に「養子縁組届書」とその他の必要書類を提出し、手続きします。提出先は、一般的に祖父母または孫の本籍地か所在地の市区町村役場です。

なお、養子縁組には、実親との法律上の親子関係が残る「普通養子縁組」と、実親との法律上の親子関係がなくなる「特別養子縁組」の2種類がありますが、このページでは「養子縁組=普通養子縁組」として説明していきます。

養子縁組する孫が未成年である場合の注意点

養子縁組をする際、孫が未成年である場合には、次の注意点があります。

  • ①祖父母がそろって養親になる必要がある
    結婚している者が未成年者を養子にするときは、配偶者とともにしなければならないと法律で定められています。そのため、祖父母のどちらか一方だけが養親になることはできません。
  • ②孫が15歳未満の場合、親権者の承諾が必要
    祖父母が15歳未満の孫を養子にするためには、現在親権を持っている父親または母親の承諾を得る必要があります。
  • ③②のケースで別に監護者がいる場合は、監護者の承諾も必要
    孫が15歳未満で、「父親が親権者で母親が監護者」といったように、親権者とは別に父母で監護者とされている人がいる場合は、親権者と監護者の両方の承諾が必要です。

孫の監護権を取得する方法

孫の養親になれず、親権を持つことができなかったとしても、“監護権”を持つことができれば、孫とともに生活することを法的に認めてもらえるのではないかと思うかもしれません。

監護権とは、親権の一部で、未成年の子供の面倒を見て養育する権利のことです。前の項目で出てきた「監護者」とは、この監護権を持つ者を指しています。

これまで、祖父母が監護権を取得できるかについては争いがあり、家庭裁判所では祖父母を監護権者の当事者として調停を行われてきた経緯があります。ただ、令和3年に最高裁(令和3年3月29日第1小法廷決定)で、監護者指定の手続きを申し立てることができるのは、「父母のみ」と判断され、祖父母には監護者指定は認められないとされたことにより、祖父母が親権者の協力なしに孫の監護権を取得することは法的には難しくなったと考えるべきでしょう。

監護者の指定について、詳しくは下記のページをご覧ください。

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孫の未成年後見人になる方法

祖父母が孫の“未成年後見人”になることで、親権者とほぼ同様の権利が法的に認められます。

未成年後見人とは、未成年者が成人するまでの間、親権者に代わって、未成年者の「身上監護」や「財産管理」を行う者のことです。家庭裁判所からの監督を受けるため、定期的に未成年者の生活状況等を報告する必要があります。

未成年後見人になるのに特別な資格は不要で、家庭裁判所に申し立てて選ばれれば、祖父母が孫の未成年後見人になることができます。

説明に出てきた「身上監護」と「財産管理」の概要は、下表のとおりです。

身上監護 未成年者と一緒に暮らして日々の世話をしたり、教育を受けさせたり、しつけをしたり、住む場所を決めたりなどすること。
財産管理 未成年者の預貯金などの財産を管理したり、未成年者が賃貸借契約などの法律行為をする際に同意したりすること。

未成年後見人申立ての手続き

そもそも未成年後見人が選ばれるということは、未成年者に親権を行う者がいないことを意味しています。そのため、親権者が存在しているなら、祖父母が未成年後見人の申立ての手続きを進めるにあたって、まずは現在の親権者である父親または母親の親権を制限する手続きが必要になります。

親権を制限する手続きとしては、下表の4つがあります。

親権喪失の審判 親権を失わせる手続きのこと。親権を行うことが“著しく”困難または不適当なせいで、子供の利益を“著しく”害する場合に認められる。
親権停止の審判 一時的に親権を停止する手続きのこと。期間は最長2年。親権を行うことが困難または不適当なせいで、子供の利益を害する場合に認められる。
管理権喪失の審判 親権のうち「財産管理権」を失わせる手続きのこと。
※未成年後見人は財産管理のみ行うことになります。
親権の辞任 家庭裁判所の許可を得て、親権者が自ら親権を手放すこと。親権を行うことができないやむを得ない事情が必要。

「親権の辞任」については、下記のページでも解説しています。こちらもぜひ参考になさってください。

①必要書類収集後、家庭裁判所に申し立てる

それでは未成年後見人申立ての手続きに話を進めましょう。まずは、申立てに必要な書類を準備します。祖父母が孫の未成年後見人になりたい場合、必要書類は主に次のとおりです。

  • 申立書
  • 孫と祖父母の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 孫の住民票または戸籍附票
  • 親権者がいないことを証明する書類
  • 孫の財産に関する資料
    ※個別の事情によって、そのほかの書類が必要になるケースもあります。

必要書類を準備したら孫の住所地の家庭裁判所に提出し、申立てを行います。なお、申立て時には次の費用がかかりますので、この点も押さえておいてください。

  • 収入印紙800円分(※未成年者1人につき)
  • 連絡用の郵便切手(※金額は家庭裁判所によって異なる)

②家庭裁判所で面接が行われる

申立てをした後、申立人・未成年後見人の候補者・未成年者、つまり孫と祖父母に対し、家庭裁判所で面接が行われます。また、場合によっては、未成年者(孫)の生活状況などを知るために、家庭裁判所の調査官による家庭訪問が行われるケースもあります。

そのほか、「親族への意向照会」といって、親権者ではない方の親やその他の親族などの意見が、書面などで確認されることもあります。

以上の内容を通し、裁判所は、候補者(祖父母)が未成年後見人としてふさわしいかどうかを判断します。

③家庭裁判所から“選任の審判書”が届く

未成年後見人に選ばれると、家庭裁判所から「選任の審判書」が届きます。そして、この選任の審判書を受け取った日から、未成年後見人としての職務がスタートします。

④財産目録や年間収支予定表を作成・提出する

選任の審判書を受け取ってから1ヶ月以内に、初回報告として「財産目録」や「年間収支予定表」を作成し、家庭裁判所に提出しなければなりません。その後も、一定期間ごとに「後見事務報告書」や「財産目録」などを提出し、定期報告をしていくこととなります。

どの書類も次回の報告の際に重要になってきますので、提出する前にコピーをとっておきましょう。

祖父母が親権獲得後に死亡してしまったら

祖父母が孫と養子縁組をして親権者となったものの、死亡してしまった場合、実親(父母)へと親権が自動的に戻るわけではありません。

親権者がいない状況、つまり未成年後見が開始するケースとなり、未成年後見人が選任されることになります。

たとえば、祖父母が孫の未成年後見人になった後に死亡した場合には、孫や親族等が申し立て、家庭裁判所に再び未成年後見人を選任してもらうことになります。

祖父母の親権に関するQ&A

Q:

非親権者側の祖父母でも孫と養子縁組できるのでしょうか?

A:

非親権者側の祖父母でも、孫とともに市区町村役場に「養子縁組届書」を提出すれば、孫と養子縁組できます。
ただし、孫が15歳未満の場合には、届出は孫とではなく、孫の法定代理人である親権者とともに行わなければなりません。

そのため、親権者の承諾が必要になり、親権者とは別に監護者(父母のどちらか)がいるときは、監護者の承諾も必要です。また、孫が未成年の場合には、祖父母がそろって養親にならなければならない、という点にも注意しましょう。

なお、祖父母から見て孫は直系卑属(血が繋がった自分より下の世代)になるので、祖父母が孫を養子にする際、家庭裁判所の許可は基本的に不要です。

Q:

孫と養子縁組をした場合、孫の名字はどうなるのでしょうか?

A:

祖父母が孫と養子縁組をした場合、通常、孫は祖父母の戸籍に入り、孫の名字は祖父母と同じになります。基本的に、1つの戸籍に入っている者は皆同じ名字になるからです。

Q:

未成年後見人の任務が終了するのはどのような時ですか?

A:

未成年後見人の任務が終了するのは、次のような時です。
(※祖父母が孫の未成年後見人になっていたケースを想定しています。)


  • 孫が成人した時
    孫が成人したら、任務は終了します。
  • 孫が結婚した時
    結婚したら成年に達したものとみなされ、任務は終了します。
  • 孫が死亡した時
    後見の対象となる孫がいなくなるので、任務終了となります。それまで管理していた財産は、死亡した孫の相続人に引き継がれることになります。
  • 孫が養子縁組をした時
    孫が養子縁組をして養子になった場合、その養親が親権者となります。未成年後見人はあくまでも親権者の代わりですから、任務終了となります。
  • 祖父母が未成年後見人を辞任した、または解任された時
    新しい未成年後見人が選ばれます。
Q:

未成年が妊娠した場合、祖父母が代わりに親権者となれますか?

A:

未成年者が結婚している場合には、子供を生んだ未成年者とその夫が、ともに親権者となります。未成年でも結婚すれば成人したものとみなされるので、未成年者が自ら親権を行います。

一方で、結婚していない場合には、未成年者(母親)のみが単独で親権を得ます。そして、未成年者の親権者が、生まれた子供の親権を代わりに行うことになります。

したがって、祖父母が孫と養子縁組をして孫の親権者になっており、孫が未成年で妊娠して未婚のケースでは、祖父母が孫に代わり、生まれた子供の親権を代わりに行うことができます。

Q:

親権停止中の親権を祖父母が持つことは可能ですか?

A:

家庭裁判所から「未成年後見人」に選ばれれば、祖父母が親権停止中の親権を代わりに行うことが可能です。ただし、婚姻中で両親の片方だけが親権停止されている場合には、もう一方の親が単独で親権を持ち、祖父母が代わりに親権を行うことはできません。

親権停止になると、親権者は一時的に親権を行えなくなり、その期間は家庭裁判所の判断により2年を超えない範囲内で定められます。親権が停止されたことで親権者がいなくなってしまったときは、代わりに親権を行う者として、未成年後見人が選任されることになります。

親権停止になるのは、親権を行うことが困難または不適当であることにより、子供の利益を害する場合です。例えば、親権者が子供を虐待しているケースなどでは、親権停止になる可能性があります。

Q:

親が育児放棄をしていた場合、祖父母への親権変更は認められますか?

A:

親権者になれるのは子供の父母のみですので、祖父母への親権変更は認められません。ただし、祖父母が孫と養子縁組をすれば、祖父母が養親となり、親権を持つことができます。

なお、育児放棄を理由に「親権喪失」や「親権停止」が認められる可能性はあります。

Q:

祖父母が孫を引き取る場合、児童手当や児童扶養手当はもらえるのでしょうか?

A:

祖父母が孫と同居して面倒をみている場合には、祖父母が児童手当をもらうことができます。児童手当とは、中学校卒業まで(15歳になった日から最初の3月末日まで)の児童を育てている者に支給されるものです。

一方、児童扶養手当とは、18歳以下(18歳になった日から最初の3月末日まで)の児童を育てている“ひとり親家庭”に支給されるものです。父母が離婚しており、祖父母が孫の面倒を見ている場合には、児童扶養手当をもらえる可能性がありますが、状況にもよりますので、詳しくは市区町村役場に相談した方がいいでしょう。

孫の親権について不安なことがあれば弁護士に相談してみましょう

孫のために、ご自身が親権者になりたいと望む祖父母の方々もいらっしゃるでしょう。祖父母が親権者になるためには、孫と養子縁組をする必要があります。

また、親権者にはなれなくても、未成年後見人になったり、監護権を取得したりして、法的に孫と暮らす権利を得るという道もあります。いずれにしても手続きが必要であり、状況やどの方法をとるのかによって、手続きが煩雑になることもありますので、ご不安な方は弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

弁護士に相談すれば、お一人おひとりの状況に合わせ、あらゆる観点から法的な解決策を見出して提案してもらうことができます。また、養子縁組や未成年後見人などの手続きも任せられます。

孫の親権についてお悩みのときは、ぜひ弁護士の力を頼ってみてください。ご依頼者様、そしてお孫様の将来を考え、全力でサポートいたします。

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保有資格弁護士(愛知県弁護士会所属・登録番号:41560)

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