共同親権の導入で養育費の未払いはどうなる?新ルールや対処法を解説
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates
共同親権の導入により、「未払いの養育費は請求できるのか」「共同親権になると養育費の負担は変わるのか」と不安を感じている方も多いでしょう。
しかし、共同親権であっても、養育費の支払い義務がなくなるわけではありません。
本記事では、共同親権における養育費の考え方や、未払いが発生した場合の具体的な対処法について詳しく解説します。
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共同親権の導入によって未払い養育費はどうなる?
共同親権になった場合でも、養育費の基本的な考え方は変わらず、未払いは違法です。
養育費は子供の生活と成長を支えるための費用であり、親には支払う義務があります。したがって、正当な理由なく養育費を支払わないことは、法律上の義務に反する行為です。
また、民法改正により養育費制度が見直され、未払い養育費を回収しやすくする仕組みも整備されました。
未払い養育費の支払い義務はなくならない
共同親権となっても、未払いの養育費を支払う義務はなくなりません。
養育費は子供のための権利であり、親権の形にかかわらず、親には子供を扶養する義務があります。
民法改正により、親は「子が自己と同程度の生活を維持することができるよう扶養しなければならない」と明記されました(改正民法第817条の12)。
したがって、共同親権を理由に過去の未払い養育費が免除されることはなく、引き続き支払う必要があります。
法改正により取り決めがなくても法定養育費として請求できる
法改正により「法定養育費制度」が創設され、離婚時に養育費の取り決めをしていなかった場合でも、一定額の養育費を請求できるようになりました。
この制度は、離婚時に養育費に関する合意がない場合に、子供を監護する親が相手方に対して法定養育費を請求できるものです(改正民法766条の3)。法定養育費の額は子供1人につき月額2万円で、2026年4月1日以降の離婚に適用されます。
また、法定養育費は請求時ではなく離婚日から発生するため、離婚後に請求した場合でも、離婚日にさかのぼって未払い分をまとめて請求することが可能です。
ただし、本制度は養育費の具体的な額が定まるまでの暫定的な措置であり、適正な金額を継続的に受け取るためには、従来どおり当事者間の協議や家庭裁判所の手続きによって養育費を定める必要があります。
法定養育費については、以下のページで詳しく解説しています。
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養育費は先取特権として優先的に回収できる
法改正により、養育費に「先取特権(さきどりとっけん)」が認められ、未払いの養育費を優先的に回収しやすくなりました(改正民法306条3号、308条の2)。
先取特権とは、法律で定められた債権について、他の債権者よりも優先して弁済を受けられる権利です。これまでは、養育費を回収するために財産を差し押さえるには、公正証書や調停調書などの「債務名義」が必要でした。
しかし、法改正後は、一定の要件を満たす養育費の合意書などの文書があれば、債務名義なしで、差し押さえを申し立てることができます。結果、養育費の未払いに対して、より迅速な回収が期待できます。
ただし、先取特権によって優先的に差し押さえができる金額には上限があり、子供一人あたり月額8万円までです。これを超える金額について回収する場合は、別途、通常の強制執行などの手続きが必要です。
共同親権で養育費の未払いがある場合の対処法
共同親権であっても、養育費の支払い義務は変わりません。
養育費の未払いがある場合は、以下の方法で対処しましょう。
- ① 当事者間で請求・話し合いをする
- ② 調停・審判を申し立てる
- ③ 家庭裁判所による履行勧告を行う
- ④ 差し押さえなどの強制執行を行う
養育費が支払われない場合の対処法については、以下のページでも詳しく解説しています。
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当事者間で請求・話し合いをする
まずは相手方に支払いを求め、話し合いをしましょう。
支払い忘れや一時的な収入減少などが原因であれば、話し合いで解決できる場合もあります。
相手が話し合いに応じない場合は、内容証明郵便で養育費の支払いを請求する方法が有効です。書面には、未払い額、支払期限、支払方法を具体的に記載しておくことが重要です。
内容証明郵便を送ることで、請求した事実や時期を証拠として残せるため、その後に調停や強制執行へ進む際にも役立ちます。
調停・審判を申し立てる
話し合いで解決しない場合は、家庭裁判所に「養育費請求調停」を申し立てましょう。
調停では、調停委員が双方の事情や意見を聞きながら話し合いを進め、公平な解決を目指します。
調停で合意に至った場合、その内容は調停調書に記載されます。調停調書は裁判の判決と同等の効力を持つため、相手方が合意した養育費を支払わない場合には、給与や財産の差し押さえなどの強制執行を行うことが可能です。
一方、調停が成立しない場合は審判へ移行し、裁判官が双方の事情を考慮して養育費の金額や支払方法を判断します。
養育費請求調停については、以下のページで詳しく解説しています。
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家庭裁判所による履行勧告を行う
調停や審判で養育費の取り決めをしても支払われない場合は、家庭裁判所に「履行勧告」を申し立てる方法があります。
履行勧告とは、費用をかけずに、家庭裁判所から相手に対して電話や書面などで支払いを催促してもらえる制度です。
裁判所からの正式な通知は、「放置できないもの」として心理的な影響を与えやすくなります。第三者からの介入により、支払いが再開されるケースも少なくありません。
ただし、履行勧告には法的な強制力はないため、相手が応じない場合は強制執行を検討する必要があります。
差し押さえなどの強制執行を行う
履行勧告を申し立てても、相手方が養育費を支払わない場合は、差し押さえなどの強制執行を検討しましょう。
強制執行とは、相手方の給与や預貯金などの財産を差し押さえ、未払いの養育費を回収する制度です。
必要に応じて財産開示手続きを利用し、相手の財産状況を調査することもできます。
強制執行を行うには、判決や調停調書、公正証書などの債務名義が必要です。なお、法改正により養育費には先取特権が認められ、一定の要件を満たせば、合意書などの文書に基づいて差し押さえを申し立てることも可能です。
養育費の未払いが続く場合は、早めに手続きを進めることが重要です。
養育費の強制執行については、以下のページで詳しく解説しています。
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養育費の未払いを理由に共同親権を拒否できる?
養育費の未払いを理由に、共同親権を拒否する意向を示すことは可能です。
しかし、共同親権を認めるかどうかは、最終的に家庭裁判所が判断します。
裁判所は、養育費の未払い状況だけでなく、父母の関係性やDV・虐待の有無、子供の生活環境などを総合的に考慮し、「子の利益」を最優先に判断します。
そのため、養育費の未払いだけで共同親権を拒否できるとは限りません。
共同親権を拒否する場合の方法については、以下のページで詳しく解説しています。
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共同親権と養育費の未払いに関するQ&A
- Q:
共同親権後に養育費が未払いになったらどうすればいいですか?
- A:
まずは相手に支払いを請求し、話し合いによる解決を目指しましょう。
それでも支払われない場合は、家庭裁判所に「養育費請求調停」を申し立てたり、調停や審判で取り決めた養育費について履行勧告を利用したりすることができます。さらに、相手が支払いに応じない場合は、給与や預貯金などを差し押さえる強制執行によって未払い養育費を回収することも可能です。
- Q:
共同親権で養育費の未払いを防ぐためにやっておくべきことはありますか?
- A:
離婚時に養育費の金額や支払方法、支払期間などを具体的に取り決めておくことが重要です。
取り決めの内容は、公正証書や調停調書など法的効力のある書面として残しておくことで、未払いが発生した場合でも強制執行などの法的手続きを円滑に進めやすくなります。
また、支払いが遅れた場合の遅延損害金や、未払い時の対応についてもあらかじめ定めておくことで、将来的なトラブルの防止につながります。養育費の取り決めを公正証書に残す方法やメリット、離婚が成立したときの調停調書などについて、以下のページで詳しく解説しています。
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養育費の未払いで共同親権に不安がある方は弁護士までご相談ください
共同親権になっても、養育費の支払い義務がなくなることはありません。
相手方が支払いを怠っている場合は、状況に応じた適切な方法で回収を進めることが大切です。
ただし、未払いの状況や養育費の取り決めの内容によって、利用できる手続きは異なります。話し合いで解決できるケースもあれば、調停や強制執行、先取特権の活用など、法的手続きが必要となる場合もあります。そのため、ご自身の判断だけで対応するのではなく、早い段階で弁護士へ相談することが有効です。
弁護士法人ALGでは、養育費の請求や未払い養育費の回収、共同親権に関するご相談まで幅広く対応しております。一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。
まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います

- 監修:福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates
- 保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)











