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介護をしていてうつ病になった場合の離婚問題

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治

監修弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員

配偶者の介護に献身的になるあまり、うつ病を発症してしまうことがあります。このようなうつ病は、一般的に「介護うつ」ともいわれます。うつ病になると、心の症状だけではなく、睡眠障害や食欲不振といった身体の症状が現れることもあり、日常生活に支障をきたしてしまいます。うつ病の症状が重くなればなるほど、自然に治すのは困難で、適切な治療を受けることが重要になってきます。

共に生きようと決め、結婚した相手の介護なのだから、懸命に介護をしたいというお気持ちはお察しします。ですが、ご自身の心や身体を労わることも、大切なのではないでしょうか。

介護うつになってしまった場合、離婚を考える方もいらっしゃるかと思います。では、相手の介護が原因でうつ病になったことを理由に、離婚することはできるのでしょうか。本記事で確認していきましょう。

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介護が原因のうつ病の場合は離婚できるのか

協議・調停による離婚の場合、当事者間で合意すれば離婚できるため、離婚理由は問われません。したがって、相手の介護が原因でうつ病になったことを理由に離婚することも可能です。

これに対し、裁判による離婚の場合、離婚するには民法770条に定められている離婚事由(法定離婚事由)が必要です。相手がうつ病を発症している場合であれば、「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」という法定離婚事由に該当する可能性がありますが、うつ病を発症している側からの離婚請求の場合はこれには当てはまりません。

強いて言えば、(自身のうつ病に着目するのではなく)相手が介護を要するような重度の病気や障害の状態にあることに着目して、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」という法定離婚事由に該当すると主張していくことも考えられます。ただ、過去の裁判例では、このような事情のみで直ちに上記の法定離婚事由に該当するとしたものはほとんどなく、その他の婚姻関係破綻事情も総合的に考慮して判断しています。

なお、相手の不貞行為があれば、「配偶者に不貞な行為があったとき」という法定離婚事由に該当すると考えられます。

詳しい離婚の方法については、下記の記事をご覧ください。

介護を途中で放棄すると問題になる?

介護が原因でうつ病を発症することがあるくらい、介護には相当な労力を要します。そのため、介護を途中で放棄してしまいたいと思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、夫婦には相互扶助義務があるため、介護を放棄した場合、刑法上の保護責任者遺棄罪に当たるおそれがあります。

介護に疲れ、放棄したくなったのであれば、介護施設への入所や介護サービスの利用を検討してみても良いのではないでしょうか。

介護うつを理由に離婚する場合、慰謝料請求はできるのか

介護が原因でうつ病になり、離婚する場合、受けた精神的苦痛を補うための慰謝料を請求することはできるのでしょうか。次項より確認していきます。

配偶者の介護をしていた場合

配偶者の介護を懸命にしていたがゆえに、介護うつになってしまったとしても、介護を要することになった配偶者自身に不法行為は認められないため、慰謝料を請求することはできません。ただし、介護をしているにもかかわらず、配偶者から介護の仕方で文句を言われたり、罵倒されたり等して介護うつになってしまったケースでは、モラハラというDVの一種に該当するとして、慰謝料請求が認められる可能性もあります。

義両親の介護をしていた場合

本記事では、配偶者の介護が原因で介護うつになったケースを前提に解説していますが、ここで、義両親(配偶者の両親)の介護をしていて介護うつになったケースについて考えてみましょう。

配偶者が、義両親の介護に我関せずの態度で協力してくれなかったり、相談しても聞く耳を持たずに介護を押し付けられたり等して、そのことが原因で介護うつになった場合には、法定離婚事由の一つである「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性があり、その原因を作った配偶者に対して慰謝料を請求することができる可能性があります。

義両親の介護と離婚について、詳しい内容は下記の記事をご覧ください。

離婚する場合には証拠を揃えておきましょう

介護うつになったことを理由の一つとして離婚を求めていく場合、介護うつの状態等をきちんと立証していく必要があるでしょう。

介護うつに至った経緯はもちろんのこと、その他には、回復が見込めないほどのうつ病であるという医師の診断書や、症状が悪化していくことがわかる資料、うつ病から回復しようと通った病院における通院・治療の記録等により、回復に向けて努力したにもかかわらず回復が見込めず、婚姻関係の継続が困難であり、破綻状態に至っていることの立証が重要だと考えられます。

介護が原因のうつ病の場合、離婚については事前に弁護士に相談することをお勧めします

介護が原因でうつ病になってしまい、離婚を決意した場合、相手の同意が得られれば離婚することができます。しかし、うつ病の症状で苦しまれているなか、相手と離婚について話し合うというのは、とても負担のかかることでしょう。

介護うつを理由に離婚することを考えている方は、弁護士に相談したうえで、相手との交渉に臨むことをお勧めします。弁護士であれば、ご自身の状況に応じ、どのように離婚についての話し合いを進めていけば良いのか、適切にアドバイスすることができます。弁護士のサポートを受けながら相手と交渉することで、早期に離婚問題を解決できる可能性が高まります。また、相手との交渉を弁護士が代わりに行うことも可能ですので、精神的な負担を軽減することにも繋がるでしょう。

離婚の手順

介護うつを理由とした離婚の場合も、離婚の手順は通常の離婚のケースと同様です。

まずは、相手との話し合い(協議)から始め、協議での解決が難しい場合には、家庭裁判所の調停委員会を介した話し合い(調停)を行います。そして、調停も不成立の場合には裁判に進む、というのが一般的な流れとなります。なお、調停不成立の後、裁判所の判断で審判がなされることもありますが、少ない事例といえます。

うつ病になって離婚する場合の裁判例

ここで、うつ病になった側からの離婚請求が認められた裁判例を、参考として紹介します。

〈神戸地方裁判所 平成13年11月5日判決〉

事案の概要

被告は、結婚当初から、かつて同棲していた女性のことを引き合いに出して脅迫めいたことを原告に言い、暴力は振るわなかったものの、言葉により原告を支配しようとしていました。その結果、原告は被告に対して恐怖感や威圧感を抱くようになり、また、原告の意思を無視して性交渉を強要されたこともあり、原告は二女を出産後しばらくして、うつ病との診断を受けました。
原告は、投薬治療等を受けましたが、自殺未遂事件を繰り返し、被告の許しを得てカトリック教会に通うようになりました。その後、原告は被告から肉体的暴力を受けるようになり、次第にその行為はエスカレートしていき、ついには二女にまで暴力を振るいました。そうして、原告は子らとともに家を出て別居するに至り、被告との離婚を求めたという事案です。

裁判所の判断

裁判所は、原告と被告との婚姻関係は、当初から被告の原告に対する強権的支配の下で、原告が被告に服従を強いられ、原告は忍耐を重ねていたが、そうしたなかでうつ病になったとしました。そして、認定した事実から、婚姻関係は修復困難なまでに破綻したものということができ、その責任は被告にあり、重大であって、婚姻を継続し難い重大な事由があるものというほかないと判断し、原告の離婚請求を認める判決が下されました。

介護とうつ病と離婚に関するQ&A

Q:

うつ病でも親権を獲得できますか?

A:

親権者として適格かどうかは、これまでの監護実績・監護能力・子の年齢・子の意思等を総合的に考慮したうえで判断するというのが、裁判所の基本的な姿勢です。したがって、うつ病の程度にもよりますが、うつ病だからといって直ちに親権者になれないというわけではないでしょう。特に、子が乳幼児の場合には、母親との母性的な繋がりを重視して、母親が親権を獲得するケースが多いと思われます。

Q:

離婚時の財産分与に、介護していたことは考慮されないのですか?

A:

離婚時の財産分与は、基本的に、夫婦の共有財産を2分の1ずつに分けることになります。

介護のために配偶者に相当程度の費用がかかってしまい、貯蓄が減ってしまったとしても、介護費用を夫婦の共有財産から捻出することは通常のことだと思われます。そのため、介護を理由に財産分与として多くもらえるということは、あまりないと思います。

もっとも、配偶者と協議した結果、配偶者との合意によって介護の負担を考慮して財産分与を多くもらうという場合も、ないとは限りません。

介護うつになり離婚を考えているなら経験豊富な弁護士に相談してみましょう

配偶者の介護をしているうちに自分がうつ病になってしまったら、精神的にも身体的にも苦労が重なることでしょう。相手のことを嫌いになったわけではなくとも、離婚を決断する方はいらっしゃるかと思います。

しかし、介護うつになったことを理由とした離婚を裁判所に認めてもらうのは困難であり、相手の同意が得られるかが重要になってきます。ただでさえ介護うつという辛い状況にあるのですから、相手と話し合い、離婚の手続を進めていくには相当な労力を要することが予想されます。

介護うつになり離婚を考えている方は、ぜひ弁護士にご相談ください。なかでも、離婚問題について経験豊富な弁護士に相談することをお勧めします。弁護士が、ご相談者様の置かれている状況を把握し、適切にサポートいたします。介護はきれいごとばかりではなく、実際の当事者でないとわからない苦労があります。ご自身の今後のためにも、介護うつで離婚することに関してお悩みを抱えている場合には、弁護士への相談を検討してみてはいかがでしょうか。

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保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:41560)

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