審判離婚とは|申立てから離婚成立までの流れ

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治

監修弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員

離婚方法の種類のなかには、「審判離婚」というものがあります。ただ、実際、審判離婚によって離婚する夫婦は全体の1%にも満たないため(※2018年度時点)、「初めて聞いた」「聞いたことはあるけど内容はよく知らない」といった方は多いでしょう。

審判離婚が利用されるケースは極めて稀といえますが、それぞれの事情によっては、審判離婚が適している場合もあります。審判離婚とはそもそも何なのか、どのような流れで成立に至るのか、具体的にどのようなケースで利用されるのか等、本記事では《審判離婚》について掘り下げていきます。

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審判離婚とは

審判離婚とは、離婚調停が不成立となったものの、裁判所が「離婚を成立させるのが相当だ」と認めたときに「調停に代わる審判」がなされ、離婚が成立するという離婚方法です。

審判離婚の前に行う離婚調停は、当事者間の合意がなければ成立しません。そのため、例えば、お互い離婚することには納得していても、離婚条件の細かな内容で合意できずに調停不成立となるケースもあります。このようなケースにおいて、裁判所が職権で審判を行うことがあるのです。

なお、裁判所が離婚の可否や離婚条件について判断するという点は、離婚裁判と共通します。しかし、審判は離婚裁判で下される判決よりも効力が弱く、当事者のどちらか一方でも異議申立てをすると、その理由が何であれ、無効になってしまいます。

審判離婚における「離婚日」はいつになるのか

審判離婚においては、「審判の確定日」が「離婚日」となります。審判の確定日とは、裁判所から審判がなされた後、当事者のどちらも異議申立てをせずに、異議を申し立てられる期間(審判の告知を受けた日の翌日から2週間)が経過した日のことを指します。

審判離婚が利用されるケース

審判離婚が利用されるのは、調停不成立となった事案で、裁判所に「離婚を成立させるのが相当だ」と判断されたケースです。具体例としては、次のようなケースが挙げられます。

  • 離婚すること自体に争いはないものの、財産分与等の離婚条件に関するわずかな意見の食い違いで、調停不成立となった場合
  • 様々な事情から、子供の親権を早急に決めた方が良い状況にある場合
  • 一方が病気等を理由に調停成立時に出席できず、調停不成立となった場合
  • 当事者の一方が外国人で、自国に戻る予定がある場合
    (日本とは異なり、話し合いによる離婚は認めず、裁判所の判断による離婚しか認めないとしている国は多いです。そのため、日本で離婚が成立していても、自国に戻った際に離婚が成立していないという事態が生じないよう、審判離婚が利用されることがあります。)

審判離婚の効力

確定した審判は、裁判を行って確定した判決と同じ効力を有することになります。そのため、審判で決まった内容(慰謝料や養育費の支払い等)が守られないときには、強制執行を申し立てることができます。強制執行とは、裁判所が相手の財産を差し押さえたり、間接強制金を課して約束を守るよう相手を促したりする手続きのことです。

異議申立てをした場合の効力

裁判所によってなされた審判の内容に納得いかないときには、審判を受けた日の翌日から2週間以内であれば、異議申立てをすることができます。当事者のどちらか一方でも異議申立てをした場合、異議を唱える理由に関係なく、審判は無効になります。審判離婚が利用されるケースは少ないのが実情ですが、その要因の一つには、このような効力の弱さが大きく影響していると考えられます。

審判離婚の流れ

まずは離婚調停を行う

審判離婚するにあたって前提となるのが、離婚調停の不成立です。そのため、まずは離婚調停を行うことから始めます。離婚調停では家庭裁判所の調停委員会を介して話し合っていきますが、意見がまとまらなかったり、一方が欠席し続けたり等して、「当事者間の合意成立は見込めない」と調停委員会に判断された場合などには、調停不成立となります。

離婚調停の手続きについて、詳しい内容は下記の記事をご覧ください。

さらに詳しく
離婚調停とは

なお、調停不成立となったとき、多くの場合、離婚するためには訴訟を起こし、離婚裁判の手続きに進みます。この場合、最初から訴訟を起こせば良いのではないか?と考えるかもしれませんが、基本的に調停を行わずに訴訟を起こすことはできません。離婚事件は、裁判の前にはまず調停を行わなければならないとする、「調停前置主義」の適用対象になるからです。

審判離婚の申立てをすることはできるの?

離婚を認める審判は、調停不成立となった場合に、家庭裁判所の職権で行われるものです。「審判離婚したい」という気持ちがあったとしても、離婚調停や離婚裁判のように、当事者が自ら審判離婚を求める申立てをすることはできません。

裁判所による審判

離婚調停が不成立となった場合、家庭裁判所が相当と判断したときは、一切の事情を考慮したうえで、職権によって離婚を認める審判をすることができると法律で定められています。こうしてなされた審判を、「調停に代わる審判」といいます。

審判後、異議の申立てがなければ成立

審判がなされると、審判の内容を記した「審判書」が、裁判所から当事者双方に送付されます。その後、2週間以内に当事者のどちらからも異議申立てが行われなければ、審判は確定し、審判離婚が成立します。なお、“2週間以内”というのは、審判書を受け取り、審判の告知を受けた日の翌日から数えます。

離婚届と必要書類の提出

審判離婚が成立したら、そこですべての手続きが終了とはなりません。離婚が成立したという事実が戸籍に反映されるよう、審判の確定後、(確定した当日を含めて)10日以内に市区町村役場へ「離婚届」を提出する必要があります。また、審判離婚のケースでは、離婚届と併せて、「審判書謄本」と「審判確定証明書」を提出しなければなりません(※いずれも審判をした家庭裁判所に交付申請を行い、取得します。)。

なお、本籍地以外の市区町村役場に届け出る場合には、「戸籍謄本」の提出も必要になりますのでご注意ください。

審判離婚にかかる費用

審判離婚するには、まずは離婚調停を行う必要があります。離婚調停を申し立てる際には、収入印紙代1200円と、郵便切手代(※金額は申立先の裁判所によって異なります。)がかかります。

また、離婚の手続きを進めるにあたって弁護士に依頼した場合には、弁護士費用(着手金、成功報酬等)もかかりますが、費用体系や金額は法律事務所によって異なります。さらに、事案の内容次第で、金額が変わることもあります。この点、弁護士法人ALGでは、弁護士費用がどのくらいかかるのかをご契約いただく前にきちんと説明いたしますので、ご安心ください。

審判離婚に関するQ&A

Q:

異議を申し立てるときに具体的な理由は必要ですか?

A:

異議申立てをするのに、具体的な理由は必要ありません。期限内(審判の告知を受けた日の翌日から2週間以内)に異議を申し立てれば、理由にかかわらず審判は無効になります。また、申立ての際に家庭裁判所に提出する「異議申立書」には、基本的に理由を記載する必要はありません。

審判離婚の検討も含め、離婚に関するお悩みは弁護士にご相談ください

調停が不成立となってしまっても、裁判所の判断で審判がなされ、審判離婚が成立するケースもあります。ただ、審判の内容を確認して、審判離婚すべきか、それとも異議申立てをして審判を無効にすべきか、ご自身だけでは判断がつかずに悩まれる方もいらっしゃるでしょう。そのようなお悩みは、弁護士にお任せください。法的観点から、ご相談者様の状況と照らし合わせて審判の内容を確認し、アドバイスいたします。また、異議申立てをする場合には、異議申立ての手続きはもちろん、その後の離婚裁判の手続き等も代わりに行うことが可能です。

審判離婚すべきかどうかも含め、離婚に関するお悩みを抱えているときは、まずは弁護士にご相談ください。なかでも離婚問題に強い弁護士に相談することで、豊富な実績を通じて身に付けた知識やスキルから、より手厚いサポートを受けられるでしょう。

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保有資格弁護士(愛知県弁護士会所属・登録番号:41560)

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