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価値観の違いで離婚できる?具体例や後悔しないためのポイントなど

弁護士法人ALG 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治

監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates

家庭裁判所の統計によると、離婚調停の申立て理由の第1位は「性格が合わない」となっています。
結婚生活のさまざまな場面で価値観のズレが生じ、将来を共にすることに不安を抱くケースは少なくありません。
しかし、「価値観の違い」だけで離婚が認められるのか、疑問や不安を抱える方も多いのではないでしょうか。

この記事では、価値観の違いで離婚ができるのか、具体的な事例、離婚の進め方や注意点などについて、わかりやすく解説します。

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価値観の違いで離婚することはできる?

「性格の不一致」や「価値観の違い」は、離婚理由としてよく耳にする言葉です。実際、家庭裁判所に申し立てられる離婚調停でも、「性格が合わない」という理由は非常に多く、夫婦間の考え方や感じ方のズレが、離婚の大きな要因となっていることがわかります。

しかし、「価値観の違い」があるからといって必ずしも離婚できるわけではありません。ここでは、価値観の違いが離婚理由として認められる可能性について、詳しく解説します。

双方の合意があれば離婚できる

価値観の違いが原因であっても、夫婦双方が離婚に合意していれば、離婚は可能です。

話し合いによる離婚は「協議離婚」と呼ばれ、家庭裁判所を介さず、役所に離婚届を提出することで成立します。
価値観のズレが積み重なり、今後の生活を共にするのが難しいと感じた場合は、冷静に話し合うことが重要です。

話し合いがうまく進まない場合でも、「離婚調停」を利用すれば、調停委員を交えて解決を図れます。
調停はあくまでも話し合いの場であり、離婚理由を問われないため、価値観の違いによる離婚も成立する可能性があります。

裁判では法定離婚事由が必要

協議や調停で離婚の合意が得られない場合、最終的には裁判によって離婚を求めることになります。しかし、離婚裁判では、民法第770条に定められた「法定離婚事由」が必要となり、単に価値観が合わないというだけでは離婚が認められない可能性があります。

【法定離婚事由(民法第770条)】

  • 配偶者に不貞な行為があったとき
  • 配偶者から悪意で遺棄されたとき
  • 配偶者の生死が3年以上不明なとき
  • 配偶者が強度の精神病に罹り、回復の見込みがないとき
    ※2026年5月までに施行予定の改正民法により、削除が予定されています
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

価値観の違いが離婚事由として認められる可能性

離婚裁判では、民法第770条に定められた「法定離婚事由」が必要とされており、「価値観の違い」そのものは明確な離婚理由としては認められていません。

ただし、価値観の違いが原因で夫婦関係が悪化し、婚姻の継続が困難な状態に陥っている場合には、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するとして、離婚が認められる可能性があります。

それでも、単なる意見の食い違いや生活習慣の違いでは不十分であり、長期間の別居や継続的な衝突、精神的な苦痛など、婚姻関係の破綻を裏付ける具体的な事情や証拠が必要です。

離婚問題に発展しやすい価値観の違いの具体例

「価値観の違い」と一言でいっても、その内容は夫婦によってさまざまです。たとえ些細な意見の食い違いであっても、積み重なることで大きなストレスとなり、最終的には離婚問題に発展するケースも少なくありません。

なかでも、以下のような価値観の違いは、夫婦関係の破綻につながりやすい傾向があります。

  • ① 家族観や子育てに関する価値観の違い
  • ② 金銭的な価値観の違い
  • ③ 性的な価値観の違い
  • ④ 夫婦関係や性別に関する価値観の違い
  • ⑤ 宗教的な価値観の違い

①家族観や子育てに関する価値観の違い

夫婦間で最も深刻な価値観の違いが生じやすいのが、家族観や子育てに関する考え方です。

【具体例】

  • 妻は子供を望んでいるのに夫は子供を持つことに否定的である
  • 子供が生まれた後の育て方や教育方針について意見が大きく食い違う
  • 結婚後は、共働きか専業主婦(夫)か意見が食い違う
  • 育児と仕事のバランスや家庭内の役割分担に対する考え方の違い など

こうしたズレが長期化すると、相手への不満や不信感が蓄積され、夫婦関係の修復が困難になることもあります。

②金銭的な価値観の違い

夫婦間で金銭感覚が大きく異なる場合、日常生活のあらゆる場面でストレスや不満が生じやすくなります。
また、配偶者の一方が隠れて多額の借金をしていたような場合には離婚問題に発展しやすいでしょう。

【具体例】

  • 片方が節約志向であるのに対し、もう一方が浪費傾向にある
  • 買い物や旅行、教育費などの支出をめぐって衝突が起こる
  • 貯蓄の優先度、将来設計に対する姿勢の違い など

さらに深刻なのは、配偶者が生活費を渡さないといったケースです。これは単なる金銭感覚の違いにとどまらず、「悪意の遺棄」や「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性があり、離婚理由として法的に認められることもあります。

③性的な価値観の違い

性的な価値観の違いは、夫婦間の深い部分に関わるため、他の価値観のズレ以上に関係悪化を招きやすい傾向があります。

【具体例】

  • セックスレスや性的な欲求の不一致
  • 性的な行為に対する考え方の違い など

こうした価値観の違いが暴力的な言動や性的DVに発展する場合は、婚姻関係の破綻だけでなく、法的な離婚事由として認められる可能性もあります。

性的な価値観の違いは、表面化しにくい一方で、夫婦関係に深刻な影響を与える要因です。離婚を検討する際には、感情的な側面だけでなく、法的な観点からも冷静に判断することが求められます。

セックスレスを理由に離婚したい場合については、以下のページで詳しく解説しています。 セックスレスを理由に離婚はできる?離婚理由になるケースとは? https://www.dun-laoghaire.com/sexless/ DVを理由に離婚したい場合については、以下のページで詳しく解説しています。 DVにより離婚する方法|離婚後のお金や進める際に知っておくべきこと https://www.dun-laoghaire.com/dv/

④夫婦関係や性別に関する価値観の違い

夫婦関係のあり方や性別に対する考え方の違いも、離婚に発展しやすい価値観の違いの一つです。

【具体例】

  • 「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」といった固定的な性別役割意識を一方が強く持っている
  • 家事や育児の分担、キャリアの尊重などに対する考え方の違い など

こうした価値観の押し付けは、相手の人格や生き方を否定することにもつながり、夫婦間の信頼関係を損なう原因となります。
性別に関する価値観の違いは、長期的な不満やストレスを生みやすいため、早期に話し合いを行い、互いの考え方を尊重し合える関係を築くことが大切です。

⑤宗教的な価値観の違い

宗教的な価値観の違いは、夫婦間の根本的な信念や生活習慣に関わるため、深刻な対立を生む可能性があります。

【具体例】

  • 片方が特定の宗教を信仰しているのに対し、もう一方が無宗教である
  • 宗教による子供の教育方針や冠婚葬祭への影響、日常の行動規範などにおいて意見が食い違う など

宗教に関する価値観は、個人のアイデンティティに深く根ざしているため、信仰を否定されたと感じると、精神的な苦痛や疎外感を抱くこともあります。こうした状況が長期化すると、夫婦関係の修復が困難となり、離婚に至るケースも少なくありません。

価値観の違いによる離婚で後悔しないためのポイント

価値観の違いが原因で離婚を考える場合、感情的な判断だけで進めてしまうと、離婚後に後悔するケースもあります。離婚は人生の大きな転機であり、経済面や子供との関係、住まいの問題など、さまざまな課題が伴います。
離婚を決断する前に、夫婦関係改善の可能性を探ることや、離婚後の生活設計を具体的に考えることが重要です。

ここでは、価値観の違いによる離婚で後悔しないために押さえておきたいポイントを、具体的に解説します。

夫婦関係の改善を試みる

価値観の違いを理由に離婚を考える場合でも、まずは夫婦関係の改善を試みることが重要です。
長年連れ添った夫婦であれば、価値観のズレが一時的なものである可能性もあり、冷静な話し合いによって関係が修復されるケースも少なくありません。

夫婦間での話し合いが難しい場合には、「夫婦関係調整調停(円満)」の申立てを検討するのも一つの方法です。
調停委員を交えて話し合いをすることで、感情的な対立を避けながら問題点を整理し、今後の方向性を冷静に見極めることができます。

円満調停については、以下のページで詳しく解説しています。

離婚後の生活設計や離婚条件を適切に決める

離婚を決断する際には、離婚後の生活設計を冷静に考えることが重要です。特に、離婚後の生活に経済的な不安がある場合は、公的支援制度や手当の利用について事前に調べておくと安心です。

また、離婚時には以下のような「離婚条件」を明確に決めておく必要があります。

  • 財産分与
  • 慰謝料
  • 年金分割
  • 親権
  • 養育費
  • 面会交流(親子交流)

これらの条件は、離婚後の安定に直結するため、曖昧なまま離婚してしまうと、後々トラブルに発展する可能性があります。協議離婚であっても、離婚協議書を作成し、必要に応じて公正証書にしておくことで、法的な効力を持たせられます。

離婚準備については、以下のページで詳しく解説しています。

カウンセラーや弁護士に相談する

価値観の違いによる離婚は、お互いが感情的になり、夫婦間だけで冷静に話し合うことが難しいケースも少なくありません。
そのような場合は、第三者の専門家に相談することをおすすめします。
夫婦問題を専門とするカウンセラーへの相談は、感情面の整理やコミュニケーションの改善に役立ち、関係修復を目指す際にも、有効です。

一方で、離婚を現実的に検討している場合には、弁護士に相談しましょう。
弁護士は、離婚の進め方や必要な手続き、離婚条件について、法的な観点から具体的なアドバイスをしてくれます。

価値観の違いを理由に離婚する際の流れ

スムーズかつ後悔のない離婚にするためには、離婚の流れを事前に把握し、必要な準備や証拠の整理を行うことが重要です。価値観の違いを理由とした離婚は、主に以下のような流れで進めます。

  1. ① 夫婦で離婚について話し合う
  2. ② 離婚調停を申し立てる
  3. ③ 離婚裁判を起こす

①夫婦で離婚について話し合う

価値観の違いを理由に離婚を考える場合は、まず夫婦間で離婚について話し合うことが大切です。
感情的な対立があると冷静な話し合いが難しくなることもありますが、離婚後の生活や子供の将来に関わる重要な問題を整理するためにも、できる限り対話の機会を持つよう努めましょう。

話し合いでは、離婚するかどうかだけでなく、離婚する場合の条件についても具体的に決めておく必要があります。
夫婦双方が離婚や離婚条件に合意できた場合は、内容を文書にまとめた「離婚協議書」を作成しておくことで、後のトラブルを防げます。

協議離婚の進め方については、以下のページで詳しく解説しています。

②離婚調停を申し立てる

夫婦間の話し合いで離婚の合意が得られない場合は、家庭裁判所に「離婚調停」を申し立てましょう。

離婚調停では、調停委員が間に入り、双方の意見を整理しながら話し合いによる合意を目指します。当事者同士が直接顔を合わせることがないため、冷静な話し合いがしやすくなる点も特徴です。

ただし、調停はあくまで話し合いの場であり、必ずしも離婚が成立するとは限りません。
合意に至らなければ、次のステップとして離婚裁判を検討する必要があります。また、調停中の言動が後の手続きに影響を及ぼす可能性もあるため、冷静かつ誠実な対応が求められます。

離婚調停中にやってはいけないことについては、以下のページで詳しく解説しています。

③離婚裁判を起こす

離婚調停でも合意に至らなかった場合、最終的な手段として「離婚裁判」を起こすことになります。
裁判では、民法第770条に定められた法定離婚事由が必要となり、価値観の違いだけでは離婚が認められない可能性があります。そのため、価値観の違いにより婚姻関係が破綻していることを客観的に証明する証拠が不可欠です。

【証拠の具体例】

  • 価値観の違いによる口論や衝突の記録(LINEやメールなどのやり取り)
  • 長期間の別居の事実とその経緯
  • 精神的苦痛や生活への支障を示す診断書や相談記録

離婚裁判の流れについては、以下のページで詳しく解説しています。

価値観の違いで離婚した場合の慰謝料は?

価値観の違いによる離婚では、基本的に慰謝料は発生しないとされています。
離婚慰謝料とは、配偶者の不法行為によって離婚に至った場合に、精神的苦痛への補償として支払われるものです。

価値観の違いは、どちらか一方に明確な責任があるとはいえないため、慰謝料の請求が認められるケースはほとんどありません。
ただし、価値観の違いに加えて、配偶者による暴力や精神的虐待、不貞行為などがあった場合には、それらを離婚原因として慰謝料を請求することが可能です。

また、慰謝料ではなく「解決金」として金銭を受け取るケースもあります。

離婚の慰謝料については、以下のページで詳しく解説しています。

価値観が合わないことを理由に離婚する際は弁護士にご相談ください

価値観の違いによる離婚は、感情面だけでなく、法的・経済的な課題も伴うため、慎重な判断が求められます。
協議離婚であっても、親権や養育費、財産分与などの条件を適切に決めておかなければ、離婚後にトラブルが生じる可能性があります。

価値観の違いによる離婚でお悩みの場合は、私たち弁護士法人ALGにご相談ください。
弁護士に相談することで、離婚の進め方や必要な準備、離婚条件の交渉方法など、専門的なアドバイスを受けられます。

後悔のない選択をするためにも、まずは一度、私たちにお話しをお聞かせください。

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監修:福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates
保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)

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