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養育費が未払いになったときの対処法|法改正で差し押さえが容易に

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治

監修弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員

厚生労働省の調査(「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」)によると、“現在も養育費を受けている”と回答した人の割合は、母子家庭で約24%、父子家庭では約3%となっています。つまり、離婚してひとり親になった方の大半が、元配偶者から養育費が支払われていないのです。

なかには、養育費の取り決めをしたのに支払われていないケースもあるでしょう。養育費の未払いへの最も強力な対処法は、相手の財産を差し押さえる「強制執行」です。2020年4月に民事執行法が改正され、新しい制度の創設や罰則の強化などがなされたことで、以前よりも養育費の強制執行が容易になっています。

本ページでは、こうした法改正の内容にも触れながら、養育費が未払いになったときの対処法について詳しく確認していきます。

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取り決めた養育費が未払いになったらどうすればいい?

取り決めた養育費が未払いになったときは、泣き寝入りせずにしっかりと請求し、回収を図るべきです。離婚したからといって、当然に親子関係がなくなるわけではなく、離れて暮らす親にも子供の養育費を支払う義務はあります。相手が支払うべき養育費はきちんと支払ってもらいましょう。

それでは、具体的にどう回収していくか?ですが、回収方法はいくつかあります。詳しくは後ほど紹介していきます。

未払い養育費の請求に時効はある?

未払い養育費の請求では時効にお気をつけください。時効期間は、基本的に各支払日の翌日から「5年」です。ただし、養育費を取り決めるにあたり、調停・審判・裁判といった裁判所の手続きを経ていた場合には、各支払日の翌日から「10年」となります。

なお、時効が迫っているときは、適切な対応をとることで、時効の進行を一旦ストップさせたり、一日目から再スタートさせたりすることができます。例えば、内容証明郵便を送って支払いを求めれば、時効の進行は6ヶ月間ストップします。

養育費の時効については、下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

未払い養育費を回収する方法

未払い養育費を回収する方法はいくつかありますが、どの方法をとれるかは「債務名義」があるかどうかによって異なります。債務名義とは、相手に請求できるものがあることを公的に証明し、強制執行を許可した文書のことです。裁判所や公証役場などの公的機関によって作成されます。そのため、個人の間で作成した「覚書」や「契約書」など、公的機関によって作成されたものではない文書は、債務名義にはなりません。

主な債務名義の種類をまとめると、次のようになります。

公正証書
(※強制執行認諾文言付のもの)
公証役場の公証人によって作成される文書を「公正証書」といい、なかでも「強制執行認諾文言」が記載されているものが「債務名義」となります。
当事者間の話し合いによって取り決めをした場合には、公正証書の作成をおすすめします。
調停調書 裁判所の調停委員会を間に挟んで話し合う「調停」の手続きで、合意した内容をまとめた文書です。調停が成立した場合に、裁判所によって作成されます。
審判書 主に調停が成立しない場合に、裁判官の判断で結論を出す「審判」の手続きで、裁判官が判断した内容をまとめた文書です。審判がなされたときに、裁判所によって作成されます。
和解調書 裁判を行うことになったものの、当事者同士が譲り合い、裁判所が関わって和解(裁判上の和解)が成立することがあります。このとき、裁判所によって作成される、和解の内容をまとめた文書です。
判決書 裁判を行い、当事者の主張・立証や尋問等を経て、裁判所が下した判断の内容をまとめた文書です。

まずは内容証明郵便を出す

養育費の未払いが発生したときは、まずは「内容証明郵便」を出して支払いを求めましょう。この方法は、債務名義の有無にかかわらず行うことができます。

内容証明郵便とは、いつ・誰が・誰宛てに・どんな内容の文書を送ったのかを、郵便局が証明してくれる郵便物のことです。そのため、相手のもとに内容証明郵便が届いたら、支払いを催促したという事実が証明でき、相手に「催促されていない」などと言い逃れられてしまわないようにすることができます。

内容証明郵便そのものに法的な効力はないので、相手に支払いを強制することはできません。しかし、日常生活でよく使われるものではありませんし、こちらの本気度も伝わるでしょう。そのため、相手に心理的プレッシャーを与え、支払いに応じてもらえる可能性もあります。さらに、弁護士に内容証明郵便の作成・送付を依頼すれば、相手に与えるプレッシャーはより大きくなるでしょう。

住所不定の相手に内容証明を送ることは可能?

住所がわからない相手に内容証明を送ることはできません。住所を調べるには、相手の戸籍から住民票をたどるという方法があります。しかし、離婚して赤の他人となっている状況では、一般の方がこの方法をとるのは難しいです。

そこで、弁護士に依頼することを検討してみましょう。弁護士なら、「職務上請求」によって、相手の戸籍謄本や住民票の写し等を取り寄せ、住所を調べることができます。職務上請求とは、職務を遂行するうえで必要な場合に、戸籍謄本などを請求できる制度です。利用は、弁護士などの一定の士業だけに認められています。

家庭裁判所による「履行勧告」

内容証明郵便による請求を無視されたときは、「履行勧告」の利用を検討してみてください。履行勧告とは、書面や電話などで、家庭裁判所が相手に取り決め内容を守るよう勧告したり、説得したりする制度です。債務名義がある場合のうち、調停や審判といった裁判所の手続きで養育費の取り決めをした場合に利用できます。申立てに費用はかからないので、当事者にとって利用しやすい制度といえます。

ただ、履行勧告に強制力はありません。そのため、相手が勧告や説得に応じなかったとしても、支払いを強制することはできません。しかし、裁判所から直接連絡が来るので、内容証明郵便よりも相手に与える心理的プレッシャーは大きいでしょう。

履行勧告でも支払われない場合は「履行命令」

履行勧告を行っても支払われない場合は、次の手として「履行命令」を利用しましょう。履行命令とは、家庭裁判所が相手に対し、期限を定めたうえで、取り決め内容を守るよう命じる制度です。利用できるケースは、履行勧告と同様、債務名義がある場合のうち、裁判所の手続きを通して養育費の取り決めをした場合です。

履行勧告と異なる点は、申立ての手数料として500円分の収入印紙が必要になることです。また、特に大きな違いは、相手が正当な理由もなく履行命令に従わなかったときは、10万円以下の過料に処すことができるという点です。未払い養育費の支払いを強制することはできませんが、過料があるという懸念から、支払いに応じてくれる可能性はあります。

「強制執行」の手続きをする

履行勧告や履行命令を行っても相手が支払いに応じない場合、最終手段となるのが「強制執行」です。強制執行とは、相手の財産を差し押さえる等して、強制的に取り決め内容を実現させる手続きのことです。債務名義がある場合すべてで利用できるので、履行勧告や履行命令とは違い、「公正証書」(※強制執行認諾文言付のもの)の場合でも利用可能です。

差押えの対象となるのは、預貯金や給与、家、土地など、様々あります。ただし、実際に強制執行して財産を差し押さえるには、差し押さえたい相手の財産を特定しなければなりません。そのため、預貯金なら金融機関名・支店名など、給与なら勤務先の名称・所在地など、特定するのに必要な情報を調べる必要があります。

下記の記事では、養育費の強制執行について詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

公正証書などの債務名義がない場合の回収方法

口約束だけで養育費の取り決めをしたり、話し合って決めた内容を書面にまとめたけれど公正証書にはしていなかったりするケースもあるでしょう。このように債務名義がない場合、メールや電話などで催促したり、内容証明郵便を出したりしても相手が支払いに応じないのであれば、まずは債務名義を取得することから始めなければなりません。具体的には、裁判所に「養育費請求調停(または審判)」を申立て、裁判所の手続きで、改めて養育費について決めていくことになります。

2020年の法改正により差し押さえしやすくなった

強制執行で差押えをするには、対象となる相手の財産を特定する必要があります。しかし、これまでは、別れた元配偶者の財産に関する情報を調べるというのはとても困難な状況でした。そこで、2020年4月に民事執行法が改正され、制度が整えられることとなったのです。

具体的には、新たに「第三者からの情報取得手続」という制度が作られ、改正前からあった「財産開示手続」の制度が見直されました。これらにより変わった点は、主に次のとおりです。

  • 相手の勤務先の情報取得が可能になった
  • 相手の口座の情報取得も可能になった
  • 相手が財産を隠そうとして、裁判所からの呼び出しに応じなかった場合等の罰則が強化された

さらに掘り下げて確認していきましょう。

給与を差し押さえるための勤務先の情報取得が可能に

法改正によって新たに作られた「第三者からの情報取得手続」とは、裁判所が市区町村や金融機関などの第三者に対し、相手の財産に関する情報提供を求めるというものです。

給与を差し押さえたいなら、相手の勤務先を特定しなければなりません。この点、市区町村は住民税を納めている会社がわかりますし、日本年金機構などは厚生年金保険料を納めている会社がわかります。そのため、裁判所が市区町村や日本年金機構などに情報提供を求めることで、相手の勤務先に関する情報を取得できます。その結果、相手の勤務先が特定できれば、給与を差し押さえることが可能になります。

預貯金を差し押さえるための口座の情報取得も可能に

「第三者からの情報取得手続」を利用すれば、相手の口座に関する情報も取得可能になります。相手の預貯金を差し押さえるためには、相手が持っている口座の支店名なども特定する必要があります。どの銀行に口座を持っているかはわかっても、支店名まではわからないという方は少なくないでしょう。裁判所から金融機関に対して情報提供を求めてもらえば、その銀行に相手の口座があるか、ある場合には支店名や口座番号、残高などの情報を取得することができます。

財産隠しに対する罰則の強化

法改正前にも、相手の財産を調べるための制度はありました。それが、「財産開示手続」です。相手を裁判所に呼び出して、自らの財産について答えさせるという制度ですが、相手が財産を隠そうとして財産開示手続に協力しなかったとしても、30万円以下の過料に処せられるのみでした。

そこで、今回の法改正によって罰則が強化され、懲役刑も加わりました。具体的には、相手が正当な理由なく呼び出しに応じなかった場合や、嘘の回答をした場合には、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられることとなりました。

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相手の状況の変化により、養育費が未払いになった場合

離婚して最初のうちは養育費が支払われていても、相手の状況が変わり、未払いになるケースもあります。未払いになり得る状況の変化としては、例えば次のようなことが考えられます。

  • 再婚した
  • 再婚相手との間に子供が生まれた
  • リストラされた
  • 病気や怪我で仕事を休まざるを得なくなり、収入が大幅に減った

このようなケースでは、相手から「養育費を減額してほしい」と言われることもあるでしょう。減額請求された場合はどう対応したらいいのか、次項目で解説していきます。

なお、相手が自己破産してしまったというケースもあるかと思います。この点、金融機関からの借金などとは違い、養育費の支払義務は自己破産してもなくなりません。詳しくは、下記の記事をご覧ください。

相手から養育費の減額請求がきた場合の対応

養育費の減額請求がきたら、まずは当事者間で話し合います。話し合いがまとまらなければ、今度は相手から「養育費減額請求調停」を申し立てられるでしょう。調停でもお互いに譲らず、不成立となった場合は自動的に「審判」の手続きに進みます。審判では、裁判所の判断で養育費を減額するかどうかが決められるため、減額せざるを得なくなってしまうケースもあります。

まずは、相手の減額請求が裁判所に認められそうなものかを見極め、そのうえで、話し合いで折り合いをつけるべきか考えていった方がいいでしょう。判断に悩んだときや、話し合いに不安があるときは、弁護士に相談することをおすすめします。

下記の記事では、養育費の減額請求を拒否したい方に向けて解説しています。こちらもぜひ参考にしてみてください。

養育費の未払いを防止するためにも公正証書の作成を

養育費の支払いについて、本人同士で話し合って決めたときは、未払いを防止するためにも公正証書を作成しておくことをおすすめします。公正証書はお互いの意思を確認したうえで作成されるので、「そんな約束した覚えはない」などとは言い出しにくくなるでしょう。

また、強制執行認諾文言付の公正証書を作成しておけば、仮に養育費の未払いが発生したとしても、すぐさま「強制執行」を申し立てることができます。

養育費の公正証書について、詳しい内容は下記の記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。

逃げ得を許さない!養育費の未払いで困ったら、弁護士へご相談ください。

養育費の取り決めをしたのに、相手が支払わずに逃げてしまうことは、許すべきではありません。現在は法律が改正され、これまでよりも未払い養育費を回収しやすい環境が整えられています。

養育費の未払いが生じた場合は、適切に対処し、回収を図っていきましょう。「どう対処したらいいのかわからない」「相手とのやりとりや裁判所の手続きに不安がある」といったお悩みがあるなら、弁護士に相談・依頼するという手もあります。ご自身の状況に合わせ、とるべき対処法をアドバイスしてもらえますし、相手とのやりとりや裁判所の手続きを任せることもできます。

弁護士法人ALGには、養育費の未払い問題を含め、数々の離婚問題を解決してきた実績があります。養育費が支払われずにお困りのときは、ぜひ弁護士法人ALGにご相談ください。

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監修:谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員 弁護士
保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:41560)

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