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共同親権を拒否したい!認められるケースや方法、準備すべきこと

弁護士法人ALG 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治

監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates

法改正により、相手から共同親権を求められて「拒否したい」と悩む方は少なくありません。
単独親権を望んでいても、具体的にどのように拒否したらよいか分からず、不安な方も多いでしょう。もっとも、父母間の激しい対立やDV・モラハラなど、一定の事情があれば拒否できる可能性があります。

本記事では、共同親権を拒否できる具体的なケースや、拒否に向けて準備しておきたいポイントなどを詳しく解説します。

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この記事の目次

共同親権を拒否できるケースとは?

父母が話し合いのうえ単独親権を選ぶことに合意できれば、共同親権を避けることは可能です。
一方、合意がまとまらない場合は、家庭裁判所が「子の利益(福祉)」を最優先に考えて判断します。

子供の心身に悪影響が及ぶおそれがあるケースや、父母が協力して親権を行使する体制を作れない状況では、単独親権と判断される可能性は高まります。
たとえば、次のような事情がある場合には、共同親権が認められない可能性があります。

  • 虐待など子供に悪影響を及ぼすおそれがある
  • 父母の一方から他方にDVやモラハラがある
  • 子供が強い不安や拒否感を示している
  • 養育費の不払い・親子交流(面会交流)に消極的

虐待など子供に悪影響を及ぼすおそれがある

子供に対する虐待がある場合など、子供への心身に悪影響が及ぶおそれがある場合は、共同親権は認められません(民法819条7項1号)。

対象となるのは、殴る・蹴るといった「身体的虐待」だけではありません。必要な食事や医療を受けさせない「ネグレクト」や、暴言・威圧的な言動による「心理的虐待」も含まれます。

虐待の有無や子供への影響を客観的に判断する資料として、学校・児童相談所・医療機関の記録が重要です。
子供の安全を守るため、親権者の決定だけでなく、離婚後の親子交流(面会交流)を制限・禁止すべきかどうかもあわせて慎重に検討されます。

DVやモラハラがある

父母の一方が他方からDVやモラハラを受けている場合、父母が共同して親権を行うことは困難であるとして、共同親権は認められない可能性が高いです(民法819条7項2号)。
父母が継続的に関わりを持つことで、DVやモラハラを受けている父母の一方の負担が続き、子供の安全確保にも支障が生じるおそれがあるためです。

DVには、身体的暴力だけでなく、精神的な支配や暴言、生活費を渡さない経済的DVも含まれます。
裁判所に事実を認めてもらうには、保護命令の決定書、医師の診断書、警察や相談機関への相談記録などが重要な証拠になります。

DVがある場合の共同親権について、以下のページで詳しく解説しています。

親同士の対立が激しく協力が困難

親同士の対立が激しく、日常的な話し合いも難しいなど、およそ協議や協力が見込めない場合共同親権は認められない可能性があります。

共同親権では、進学や医療など子供に関する重要事項を父母の合意で決める必要があります。対立が続き協議が成立しない状態では、重大な決断が遅れて子供に不利益が生じるおそれがあるためです。

裁判所は「子の利益(福祉)」を最優先に判断します。子供の生活の安定を確保する必要がある場合は、単独親権が選ばれやすい傾向にあります。

子供が強い不安や拒否感を示している

子供が一方の親との関わりに強い不安や拒否感を示している場合、共同親権が適切かどうかを判断するうえで重要な考慮要素になります。

子供の拒絶の背景には、過去の虐待や不適切な関わりが影響しているケースも考えられます。
無理に共同親権を適用すると、子供の精神的負担がさらに増大するおそれも否定できません。

裁判所は、子供の心身の状態を最優先に考慮します。特に自分の考えを伝えられる年齢の子供については、その意向が重要な判断材料になります。

養育費の不払い・親子交流(面会交流)に消極的

離婚後に養育費を支払わない、または親子交流(面会交流)に消極的な場合、共同親権が不適切と判断される重要な事情となります。

共同親権は、離婚後も父母が子供の生活や成長を継続して支える姿勢が求められます。養育費の不払いや親子交流(面会交流)への消極的な対応は、養育に関わる意思や体制が十分でないと判断されやすいためです。

婚姻中から養育への関与が乏しかった場合など、これまでの監護実績や協力体制も裁判所の重要な判断材料になります。

共同親権の拒否が難しいケースはある?

共同親権の拒否が難しいケースとしては、主に以下のような状況が挙げられます。

  • 相手方が継続的に子育てに関わっている
  • 父母が単に仲が悪いだけで、養育方針の話し合い自体は可能
  • 共同親権にしても進学や医療などの手続きが滞るリスクが少ない
  • DVやモラハラを主張しても、裏付ける資料がない

上記の事情が認められる場合は、共同親権を否定する理由として十分ではないと判断される可能性が高いです。

ただし、裁判所は一つの事情だけで判断するわけではありません。
父母の関係性や養育状況などを総合的に検討したうえで、「子の利益」を最優先に親権のあり方を判断します。

離婚時に共同親権を拒否する方法

離婚時の親権は、夫婦間の合意で決めるのが基本です。
ただし、意見が一致しない場合は家庭裁判所が「子の利益」を基準に判断を下します。

以下では、共同親権を拒否するための具体的な進め方を解説します。

離婚協議で親権を話し合う

まず協議離婚の中で親権について話し合い、共同親権を拒否する意思を明確に伝えることが重要です。
相手方が共同親権を希望している場合であっても、話し合いの結果、単独親権とすることに合意できれば、共同親権を回避できるでしょう。

ただし、単に共同親権に反対するだけではなく、父母間の対立状況やDV・モラハラの有無、子供への影響など、共同親権を希望しない理由を具体的に説明することが大切です。
話し合いがまとまらない場合や、相手方と直接やり取りをするのが難しいときは、弁護士への相談が有効です。

家庭裁判所に調停を申し立てる

協議離婚で親権について合意できない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てます。
調停とは、調停委員が間に入り双方の主張や事情を整理しながら合意を目指す手続きです。

共同親権を拒否する場合は、単なる感情的な対立や不満を訴えるだけでは認められません。共同親権が子供に与える悪影響について、具体的に説明する姿勢が重要となります。

たとえば、食事の世話や送迎、健康管理など、これまでの育児実績を具体的に伝えます。
また、進学・医療といった重要事項を決める際に父母間で対立が生じ、子供の生活が不安定になるリスクも説明しましょう。

調停では、主張が「子の利益」につながっているかどうかが最も重視されます。
調停委員が親権者を判断するポイントについて、以下のページで詳しく解説しています。

調停不成立の場合は審判に移行する

調停で合意が成立しなかった場合は、審判手続へ移行し家庭裁判所が最終的な判断を下します。

審判では「子の利益」を最優先に、これまでの養育実績や父母の協力可能性、DV・虐待の有無などが慎重に判断されます。
さらに、おおむね10歳以上の子供の意思も調査官の面接を通して考慮されます。

調停から一貫して拒否の理由を証拠とともに伝える姿勢が、単独親権の獲得には欠かせません。
万が一、審判の結果に不服がある場合は、2週間以内に抗告(不服申立て)を行えます。

既に離婚している場合に共同親権を拒否するには?

既に離婚しており、単独親権から共同親権への変更を求められた場合も、まずは父母間での話し合いから始まります。
変更に同意できない場合は、相手方の要求に無理に応じる必要はありません。

相手方から調停や審判を申し立てられたとしても、共同親権にすることが「子の利益」に沿わない理由を裁判所で具体的に説明することが重要です。
たとえば、現在の養育環境が安定していることや、これまで子供を育ててきた監護実績などを主張すれば、現在の生活を守る根拠になります。

さらに、養育費の支払い状況や、親子交流(面会交流)への取り組み方、離婚に至った経緯なども重要な判断材料です。裁判所は子供の生活の安定や福祉の観点から総合的に判断を下すため、一貫した拒否理由を伝える姿勢が欠かせません。

共同親権を拒否する際にやってはいけないことは?

共同親権を拒否する場合、以下のような言動は避けましょう。

  • 証拠や記録を残さず、感情的に主張する
  • 親子交流(面会交流)を正当な理由なく一方的に拒否・制限する
  • 調停や審判の場で、相手の悪口や感情的な発言を繰り返す
  • 子供を味方につけようとして、相手方の悪口を吹き込む

感情論ではなく、客観的な証拠や事実に基づいて説明することが重要です。
正当な理由なく親子交流(面会交流)を妨げたり、相手方を過度に非難したりすると、「子の利益」を十分に考えていないと判断される可能性があります。

裁判所は、父母の感情的な対立そのものではなく、その対立が「子供の生活や成長にどのような悪影響を与えるか」を重視します。
子供の利益を最優先に考えながら、冷静かつ一貫した対応を心がけることが大切です。

共同親権を拒否したい場合に準備すべきこと

共同親権を拒否したい場合、以下のように主張を裏付ける資料や記録を事前に準備しておくことが重要です。

  • DVやモラハラの証拠を集める
  • 子育ての状況を記録する
  • 協力が難しい事実をまとめる

家庭裁判所では、感情的な主張よりも客観的な証拠が重視されます。

DVやモラハラの証拠を集める

共同親権を拒否するためには、客観的な証拠を集めておく対策が重要です。

調停や審判の場では、感情的な訴えだけでは認められにくい傾向があります。
共同親権が不適切である具体的な事情を、資料に基づいて説明する姿勢が求められます。

有力な証拠となるのは主に以下の内容です。

  • 身体的DV:病院の受診記録や医師の診断書、受傷写真、警察への相談記録
  • モラハラ・精神的DV:暴言の音声データやメッセージ、日時の詳細な日記

親族や友人など第三者の証言、行政機関や民間支援団体への相談履歴も、証拠を裏付ける参考資料となるでしょう。
証拠は単発の出来事だけでなく、被害の「継続性」や「危険性」が一目で伝わるよう、時系列に整理しておくと裁判所の理解を得やすくなります。

DV、モラハラの証拠について、下記のページで詳しく解説しています。

子育ての状況を記録する

日頃の子育ての状況を詳しく記録しておくことも重要です。

食事の準備や体調管理、保育園・学校への送迎、通院の付き添いなど、日々の養育をどちらがどのように担ってきたかを具体的に整理しておきましょう。
写真や育児日記、スケジュール帳、学校の連絡帳なども、当時の状況を裏付ける貴重な資料となります。「どちらの親が主に育児を担ってきたか」を明確にすることで、現在の養育環境の適切さや子供の生活の安定性を具体的に示しやすくなります。

協力が難しい事実をまとめる

共同親権は、子供に関する重要事項について父母が協力して判断することが求められます。

協力が難しい場合は、具体的な事実を整理しておきましょう。
たとえば、「連絡をしても一切返答がない」「話し合いを求めても無視される」「進学や医療などの重要事項で何度も対立し、合意できなかった」などの状況が挙げられます。

これらを証明するために、「LINEなどのやり取りの記録」、「着信履歴」などを保存しておくことが有効です。
父母間で協力関係を築くのが困難な状況を客観的に示せば、共同親権が不適切であることを裁判所へ証明しやすくなります。

共同親権を拒否したい場合に弁護士に相談するメリット

共同親権を拒否したい場合、「子の利益」に基づいた説明が求められます。
しかし、当事者だけで適切な証拠を集め、主張を整理するのは容易ではありません。弁護士に相談することで、裁判所に認められやすい証拠の収集や戦略的な準備を進めやすくなります。
以下では、弁護士へ相談する具体的なメリットを解説します。

共同親権が不適切であることを法的に主張できる

1つ目のメリットは、「共同親権が不適切な理由」を「子の利益」の観点から主張できる点です。

共同親権を拒否したい正当な理由があっても、伝え方を誤ると単なる感情論と捉えられ、考慮されないリスクがあります。
弁護士に依頼すれば、「相手と関わりたくない」という不安や拒絶感も、DVやモラハラ、激しい対立状況といった、具体的な事情へ整理してもらえます。
感情的な拒否ではなく、「単独親権が相当である」という正当な理由として主張できるため、裁判所の理解を得やすくなります。

相手と直接やり取りせずに済み、精神的負担を減らせる

2つ目のメリットは、相手方との連絡や交渉の窓口を任せられる点です。

共同親権を巡る話し合いでは、相手方との直接のやり取り自体が大きな心理的負担となります。
DVやモラハラがあった場合、強い圧力を受けて冷静な判断が難しくなることも少なくありません。

弁護士に依頼すれば、相手方と直接やり取りするストレスから解放されます。精神的に余裕ができることで、子供の将来や生活について冷静かつ最善の判断がしやすくなるでしょう。

拒否が難しいケースでも別の解決策を提示してもらえる

3つ目のメリットは、共同親権の拒否が難しい場合でも、リスクや負担を最小限に抑える別の解決策を提示してもらえる点です。

状況によっては共同親権を完全に拒否できないケースもあります。
弁護士に依頼すれば、相手方の関与の範囲を制限するなどの条件調整が可能です。
たとえば、教育や医療などの重要事項の決め方に細かなルールを設けたり、親子交流(面会交流)の方法を厳格に設計したりすることが可能です。結果、離婚後の負担やトラブルを軽減できます。

共同親権の拒否に関するよくある質問

Q:

DVやモラハラの証拠がないと共同親権は拒否できませんか?

A:

証拠がない場合でも、共同親権を拒否する主張自体は可能です。

ただし、客観的な事実が不足していると、裁判所で事情を認めてもらうことは難しいでしょう。
ご自身で「証拠にならない」と思っていても、日々のLINEのやり取りや日記、公的機関への相談履歴などが、当時の状況を裏付ける貴重な資料になるケースもあります。

自己判断で諦めてしまう前に、まずは早めに弁護士へご相談ください。
手元にある資料が証拠として使えるかどうかの判断や、証拠が薄い場合の新たな戦略など、状況に応じた具体的なアドバイスを受けることができます。

Q:

相手が共同親権を強く希望している場合でも拒否できますか?

A:

相手方がどれほど共同親権を強く希望していても、その意向だけで決定するわけではありません。

最終的な判断は、裁判所が「子供の利益」を最優先に考慮して行います。
共同親権は父母の円滑な協力が前提です。激しい対立で話し合いが不可能な場合や、共同親権にすることで子供の生活に悪影響が生じると判断されれば、単独親権が認められる可能性は十分にあります。

Q:

子供が小さい場合、共同親権の拒否は認められやすいですか?

A:

子供の年齢だけで共同親権の可否が決まるわけではありません。

ただし、年齢が低い子供ほど、生活環境の安定性や継続性が重視される傾向があります。
「小さいから拒否が認められやすい」と一概には言えませんが、これまでの監護実績や養育状況、今後の生活の見通しなどを踏まえ、「子の利益」の観点から総合的に判断されます。

共同親権を拒否したい場合は、早めに弁護士へ相談しましょう

共同親権を拒否したい場合、「共同親権が子供の利益にどう反するか」を証拠とともに説明することが重要です。

DVやモラハラ、激しい対立、これまでの養育実績など、拒否したい理由によって集めるべき証拠や主張の仕方は大きく異なります。
調停や審判では適切な主張が求められるため、一人で裁判所を納得させるのは容易ではありません。不安がある場合は、早めに弁護士へ相談しましょう。

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