親の虐待から子供を守る~親権喪失・親権停止・管理権喪失について~

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治

監修弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員

このページをご覧の方は、ご自身のお子様やお孫様、または近隣に住む子供が、児童虐待を受けている、不適切な養育環境に置かれているといったことを理由に、親権者の親権を取り上げる方法を探していらっしゃる方でしょうか。あるいは、先の理由等により、親権を取り上げられそうな親権者の方かもしれません。

日本の法律には、親の虐待等から子供を守ることができる規定が設けられています。この規定を適切に運用することができれば、新聞やニュースにみるような悲惨な事件に発展する前に、子供を救うことができる可能性が高まります。
大人には、未来ある子供の健やかな成長を見守り、それを脅かすものから守る義務があるのです。

このページでは、親権を制限することができる【親権喪失】を含めた3つの制度について、そして、親権制限を受けた親権者に代わって子供を守る「未成年後見人」の制度について、詳しく解説します。まずは、それぞれの制度の内容を確認してみましょう。

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親権が喪失するケース

親権者から子供に対する暴力やネグレクト(育児放棄)がある場合、親権者に重篤な疾患がある場合等、親権者が親権を行うことが「著しく」困難又は不適当であり、子供の利益を「著しく」害すると認められるとき、親権を喪失します。

児童虐待の現状

児童虐待に関する児童相談所への相談対応件数は、近年増加の一途をたどっています。厚生労働省の調査結果によると、平成29年度は速報値で13万3778件に上り、過去最高の件数を記録しています。

児童虐待は、身体的虐待性的虐待ネグレクト心理的虐待の4つに分類されます。その中でも、子供に対する暴言、面前DV等にあたる心理的虐待での相談件数は、平成25年度以降、身体的虐待を上回り、平成29年度には相談件数全体の半数以上を占めていることが明らかになっています。

児童虐待から子供を守る制度がある

親権者による親権の行使が不適当であり、子供の利益を害する場合には、児童虐待の防止や、子供の利益の保護を図るために、親権を制限する制度があります。

以下、【親権喪失】【親権停止】【管理権喪失】の3つの制度について、詳しく解説します。

親権喪失

【親権喪失】とは、親権者による虐待又は悪意の遺棄があるとき、その他親権者による親権の行使が「著しく」困難又は不適当であることにより、子供の利益を「著しく」害するとき、家庭裁判所の審判により親権を失わせることができる制度です。

児童虐待が日常的に行われているといった深刻なケースのほか、親権者が精神疾患であり子供に適切な養育ができないといった親権者に帰責性がないケースも該当し得ます。

しかし、適用には、請求原因となる行為や事情について、2年以内に消滅する見込みのないことが要件となっており、適用されれば無期限に親権が失われるため、慎重な検討が求められることから、そのハードルは高いといわれています。

親権停止

【親権停止】とは、親権者による親権の行使が困難又は不適当であることにより、子供の利益を害するとき、家庭裁判所の審判により一時的に親権の行使を停止することができる制度です。請求原因となる事情の消滅が見込まれる期間、子供の心身の状態や生活の状況等を考慮して、2年を超えない範囲で親権を停止する期間が決まります。

本制度は、子供の安全の確保と同時に、親子関係の修復・改善を図ることを狙いとしています。

請求原因となる事情や子供の利益を害する程度について「著しさ」が求められていないこと、また、親権の停止期間を最長2年間としていることから、【親権喪失】に比べて、申立てや適用のハードルが低くなっています。

管理権喪失

【管理権喪失】とは、親権者による財産管理権の行使が困難又は不適当であることにより、子供の利益を害するとき、家庭裁判所の審判により財産管理権を失わせることができる制度です。

親権は、子供の監護・養育をする権利である「身上監護権」と子供の財産を管理する権利である「財産管理権」から成ります。親権者が、子供が受け取るべき財産を自身のために費消する等して、子供に不利益を与えているケースでは、親権のうち、「財産管理権」のみを失わせる本審判を申し立てることができます。

なお、子供に与える不利益の程度が「著しい」場合には、「身上監護権」も含めた親権そのものの喪失や停止が検討されるケースもあります。

親権を制限するにはいくつかの方法があります。ぜひ弁護士にご相談ください。

【親権喪失】は、その要件や効果からみてもハードルが高く、児童虐待が増加傾向にある一方で、二の足を踏んでしまうケースも多くあります。

しかし、親権を制限する方法には、【親権停止】【管理権喪失】もあり、これらの制度を適切に活用することができれば、親子が共に歩んでいける道も残されます。

親権者の虐待から子供を守り、子供が安全で健やかな生活を送るためには、ときに周囲の大人の見守りや配慮が必要になることもあります。助けを求めてきた子供の救済はもとより、自ら声をあげられない子供のためにも、少しでも“気づき”があるのなら、どのような行動を起こすべきか、弁護士にご相談いただき、一緒に考えていきましょう。

親権喪失、親権停止、管理権喪失 手続きと流れ

親権制限制度の手続きは、家庭裁判所に審判の申立てを行うことで開始します。
申立てが受理され、審問期日が開かれると、家事審判官による申立人・親権者への聴取、家庭裁判所調査官による関係者への調査が行われ、それらの結果を踏まえて最終的な審判がなされます。

手続きについて、もう少し詳しくみてみましょう。

申立てができる人

各審判の申立ては、子供本人、子供の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、検察官のほか、児童相談所長が行うことができます。

上記以外の、例えば、近隣の方が児童虐待等に気づいたとしても、申立人にはなれません。しかし、児童相談所等に相談・通告することで、子供の安全を守ってあげられる可能性があります。

申立て先

子供の住所地を管轄する家庭裁判所へ申し立てます。申立てに必要な書類・費用は、以下のとおりです。

申立てに必要な書類・費用

書類

  • 申立書
  • 子供の戸籍謄本
  • 審判を受ける親権者の戸籍謄本(※子供と戸籍が異なる場合に必要)
  • 申立人の戸籍謄本等、申立権が証明できる資料(※子供の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、児童相談所長が申立人の場合に必要)
  • 申立ての理由(子供の利益が害されていること)を示す資料(※提出が可能な場合に必要)

費用

  • 収入印紙代:800円/子供1人
  • 郵便切手代:家庭裁判所によって異なる

審判にかかる期間

親権制限事件の審理期間は、事案によって異なるものの、平成30年の1年間の速報値では、親権制限事件全体の7割弱が6ヶ月以内となっています。ただし、より厳密な審理が求められる【親権喪失】は、4割弱の事案に6ヶ月以上の審理期間を要しており、【親権停止】に比べて長期化する傾向にあります。

5 審判の手続きでわからないことがあれば弁護士に依頼しましょう

家庭裁判所による審判手続きでは、まず、申立権者による申立てか、申立て先に間違いはないか、書類に不備はないかといった、形式的な要件を満たしていなければ、申立てを受理してもらうことができません。

形式的な要件を満たすまでにタイムロスがあると、審判がなされるまでにより時間を要することになり、その間に子供の安全を脅かしかねません。また、提出した証拠資料や陳述が有益な内容のものでなければ、請求は認めてもらえません。

親権制限制度を適切に活用し、子供の安全を確保するには、迅速に、的確に手続きを進める必要があるため、法律のプロであり、親権問題に詳しい弁護士への依頼をお勧めします。

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審判前には保全処分ができる

虐待の実態が深刻なケースや、医療ネグレクトがあるケース等、可及的速やかに子供を保護する必要がある場合には、親権喪失等の審判と併せて審判前の保全処分を申し立てることができます。

保全処分は、親権者の職務の執行を停止し、必要に応じて職務代行者を選任することができる、審判が効力を生じるまでの仮の措置です。

保全処分に対する即時抗告

保全処分に対して、2週間以内であれば即時抗告ができます。抗告権者は、保全処分が①認容か②却下かによって異なり、①は親権喪失等の審判に即時抗告できる者(親権者やその親族)、②は保全処分の申立人となります。

ただし、認容された保全処分に対する即時抗告は認められにくく、また、即時抗告によって直ちに執行が停止することはありません。

親権喪失や停止となった場合、子供の養育はどうなるのか

審判によって親権を制限された親権者が、共同親権者のうちの1人であれば、子供の養育はもう1人の親権者が一身に担うこととなりますが、単独親権者の親権が制限され、親権を行う者がいなくなった場合には、「未成年後見人」を選任する必要が生じます。

次項より、「未成年後見人」制度について詳しくみていきましょう。

未成年後見人とは

未成年者に対して親権を行う者がいないとき、又は、親権を行う者が管理権を有しないときに、未成年者を監護養育し、財産管理や法律行為を代理する者を、「未成年後見人」といいます。

「未成年後見人」は、家庭裁判所がさまざまな要素を考慮したうえで選任します。親族の中から選ばれることが通常ですが、親族間でトラブルが生じることが予見できる場合等には、弁護士を選任するといったケースもあります。

また、「未成年後見人」は複数人選任することができ、個人に限らず社会福祉法人等の法人を選任することもできます。

未成年後見人を選任する流れ

申立てに必要な書類を収集し、子供の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てを行います。
家庭裁判所は、申立人・後見人候補者との面接、子供本人との面接、親族への意向照会を行ったうえで未成年後見人を選任し、審判書を送付します。

就任した者は、1ヶ月以内に、財産目録、年間収支予定表を作成し、提出します。

申立てに必要な書類・費用

書類

  • 申立書
  • 申立事情説明書
  • 未成年者の戸籍謄本
  • 未成年者の住民票又は戸籍の附票
  • 後見人候補者の戸籍謄本
  • 後見人候補者の住民票又は戸籍の附票
  • 後見人候補者事情説明書
  • 未成年者に対して親権や財産管理権を行うものがないこと等を証明する資料
  • 親族関係図
  • 未成年者の財産、収支、負債に関する示す資料
  • 後見人候補者が法人の場合:法人登記簿謄本
  • 申立人が親族の場合:親族関係を証明する戸籍謄本等
  • 申立人が利害関係人の場合:利害関係を証明する資料
    (※申立先の家庭裁判所によって必要書類が異なる場合があるため、事前の確認が必要です。)

費用

  • 収入印紙代:800円/未成年者1人
  • 郵便切手代:家庭裁判所によって異なる

親権制限制度の活用について不安なことがあれば弁護士に依頼してみましょう

親権制限制度の活用によって、親権者が親権を行使できなくなった場合、子供は、祖父母やその他の親族が引き取ったり、児童福祉施設に入所したり、里親制度を利用したりと、最も適した養育環境のもとで生活していくことが望まれます。

しかし、たとえ縁の深い祖父母であっても、子供を心から慈しんで育ててくれる施設や里親であっても、子供の居所を指定する権利や、法律行為を代理する権利を有しません。子供の利益を守るためには、親権と同様の権利義務を有する「未成年後見人」の選任が重要になるのです。

弁護士の力を借りて、親権制限制度の手続きだけでなく、その後、子供が安心して生活を送ることができる環境を用意してあげましょう。

親権喪失、親権停止、管理権喪失についてのQ&A

Q:

子供だけで親権喪失や停止の申立て手続きを行うことは難しいでしょうか?

A:

【親権喪失】【親権停止】【管理権喪失】の審判の申立権者には子供本人も含まれているため、子供本人が、これら審判の申立てを行うことは可能です。

しかし、大人であっても困難を要する裁判手続きを、子供本人が不備なく行うことは、非常に厳しいといえます(年齢によっては、ほとんど不可能といってもいいでしょう。)。

もっとも、そのような場合に備えて、子供の手続き代理人を選任する手続きが用意されています。子供の手続き代理人とは、子供が家庭裁判所の調停・審判手続きに参加することをサポートする弁護士のことであり、子供の意見を聞きつつ、子供の利益のために調停・審判手続きを遂行していくことになります。

Q:

離婚後の面会交流で親権者が子供に会わせてくれない。親権停止の申立ては可能ですか?

Q:

親権停止中でも養育費は支払わなければいけないのですか?

さらに詳しく
子供の養育費と相場

親権の喪失や停止で悩んだら、一度弁護士にご相談ください。

親権制限制度の中でも、最も重い効果が生じるのが、【親権喪失】です。

配偶者の酷い虐待からお子様を守りたい等、親権の喪失が相当と思われる事案では、制度の活用が有効です。しかし、制度が適用されれば、お子様と、審判を申し立てられた親権者とは、生涯親子関係を断たれるわけですから、親権の喪失が妥当か、他に手立てがないかといったことも含めて、慎重に検討しなければなりません。

また、審判を申し立てられた親権者においても、事案によっては、喪失ではなく停止等に制限を軽減することはできないか、そのために、どういった方法で請求原因を改善し、再びお子様を迎え入れる環境を整えることができるのか等を検討し、反論する準備を行わなければなりません。

どちらの立場にせよ、『お子様にとってどうすることが最良であるか』を常に念頭に置き、適切に制度が活用される必要があります。しかし、感受性の強い未成年のお子様の心の変化に気を配りながら慣れない手続きを進めていくことは、大変な労力となります。心労が重なり、お子様を守れなくなってしまっては、本末転倒です。

親権問題は大変繊細な問題ですから、親権問題に詳しい、法律のプロである弁護士から最善の提案を受けながら、弁護士とともに手続きを行っていくことをお勧めします。まずは抱えているお悩みを、ぜひ弁護士にお聞かせください。

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