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長期間別居したあと、離婚を決断した場合の財産分与に関しての事例

長期間別居後、離婚を決断した場合の財産分与

状況 離婚
離婚の原因 別居
離婚の争点 財産分与
手続きの種類 交渉
担当事務所 福岡法律事務所
結果
  • 【依頼後・終了時】
    解決金として約1000万円支払うことで解決

事案概要

ご依頼者様の方は、夫から離婚を求められており、今後、どうすべきかご相談に来られました。お話を伺うと、10年以上前から別居していて、原因は、夫が女性を作って家を出ていったようです。浮気をした側(有責配偶者)からの離婚請求は、基本的に認められませんので、離婚に合意しなければ離婚できないと言っても過言ではありません。

もっとも、一生離婚できないというわけではないので、離婚条件によっては離婚を選択すべき場合も少なくありません。本件も、離婚すべきかどうか、これからの生活を踏まえ、検討すべき事案でした。

弁護士方針・弁護士対応

弁護士であれば、有責配偶者からの離婚請求において、昭和62年9月2日最高裁判決(民集41巻6号1423頁)を知らない弁護士はいないと思います。同最判は、①夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及んだこと、②未成熟子の不存在、③相手方配偶者が離婚により精神的・社会的にきわめて過酷な状態におかれることがないことという3つの要件が満たされる場合に離婚請求が任用されると判断したものだと言われることがあります。

そして、別居期間が何年必要かという点に焦点が当たることも少なくなく、裁判例を整理すると、凡そ10年程度の別居期間が無いと離婚が認められにくいという傾向にあります。この一般的な整理をもとに考えれば、本件では、10年以上の別居期間があるため、離婚裁判になれば、離婚請求が認容される可能性は十分あります。しかも、夫は普段の生活費(婚姻費用)だけでなく、子供の私立大学や専門学校の費用も全額負担しており、妻が過酷な状況に追い詰められる可能性もありませんでしたので、尚更、離婚請求は認容されると思われる事案です。

これに加えて、別居して10年以上ともなると、別居時点において、夫婦共有財産が幾らあったのか立証するための客観的な証拠も乏しくなっており、財産分与も期待し難い状況です。ここからは、夫がどれだけ離婚を早くしたいと考えているのか相手の考えをよむことや、情に訴えかけるなどしつつ交渉を進めます。

結果

本件では、どうしても離婚をしたいのであれば、子供の将来を考えて条件を提示することを中心に求めました。夫は、裁判までして強引に離婚を求めることに躊躇を覚えたのだと思います。約1000万円の解決金を支払うことを主な条件として提示されたため、ご依頼者様の方は、離婚を決断されました。ご依頼者様が決断された理由の一つに、そこまでしてくれたのであれば、もう十分だという思いがあったようです。

なお、上記最高裁判例は、3つの要件を満たしているか否かで判断しようとしたのではなく、判旨をよく読めば、離婚させることが信義則に反しないかを判断するための考慮要素として検討しているに過ぎないと思われます。有責性の程度や、別居後の双方の生活・経済状況、一方が関係修復を希望しているのかどうかなど様々な事情が考慮されたうえで裁判所は判断しています。

また、上記最判から30年以上が経過しており、離婚することは珍しくないですし、しっかりとした収入がある女性も多くなっていますので、有責配偶者だとしても離婚が認められやすくなっていると感じられます。

離婚は、ご自身の人生設計を考えるうえでとても重要なターニングポイントです。感情だけで流されずに、不安やわからないことがあれば、弁護士へ相談されてください。

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