モラハラで離婚するための条件

- この記事の監修
- 弁護士 谷川 聖治
- 弁護士法人ALG&Associates 執行役員
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昨今、モラハラという言葉が周知されるようになってくるとともに、家庭内でのモラハラを理由に離婚する夫婦も増えました。しかし、配偶者からモラハラを受けているにもかかわらず、離婚できない方も多くいます。
今回は、モラハラを理由に離婚する際に知っておくべきことについて説明します。
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モラハラ(モラルハラスメント)とは
モラハラ(モラルハラスメント)とは、倫理に反する嫌がらせのことをいい、精神的DVの一種であるといわれます。殴る・蹴るといった身体的な暴力を振るうのではなく、発言や態度等で、相手を精神的に追い込みます。
具体的にどのような行為がモラハラに当たるのかは、次項をご覧ください。
どのような行為がモラハラに当たるのか
発言や態度によって、精神的な苦痛を与えるのがモラハラです。モラハラの具体例としては、次のようなものが挙げられます。
- 「馬鹿だ」「ダメだ」「最低な人間だ」等、否定的な言葉で貶(おとし)める
- 理由もなく無視し続ける
- モラハラ被害者の考えや行動を否定する
- 他人の前で被害者を貶(おとし)める嘘をついたり、悪口を言う
- 異常な束縛をする
- 些細なミスを責め立てる
- わざと大きな音を立てて威圧する
- ちょっとしたことで舌打ちをしたり、大きなため息をつく
- 釈明しても聞く耳を持たない
- 非を認めず、理不尽に被害者のせいにする
モラハラをされやすい人の特徴
モラハラは、加害者と被害者という相互の関係によって成り立つものである以上、モラハラの被害者となりやすい人にも特徴があります。具体例としては、主に次のようなものが挙げられます。
- 真面目で几帳面である
- 我慢強い
- 責任感が強い
- 謙虚で自己評価が低い
- 自罰的である
- 自己主張が苦手で強く言い返せない
- 自分の意見を通すより相手に合わせる
- 他者への配慮ができる
安心した生活を送りたい……モラハラでお困りなら一度弁護士へご相談ください
モラハラ被害者には自罰的な方が多く、「相手が怒っているのは、自分に至らないところがあるせいだ」と考えがちですが、被害者側には問題がない場合の方が多いです。
モラハラ加害者と被害者の関係を覆すには、大変な労力がかかります。被害者が離婚を決意しても、いざ交渉に臨んだときに、相手に委縮してしまい、相手にとって都合の良いように条件をまとめられてしまうおそれがあります。モラハラ加害者から解放され、安心した生活を送りたいと思っている方は、弁護士に依頼して交渉を代わってもらうことをお勧めします。弁護士は、ご依頼者様の利益を最優先に考えて交渉に臨むので、被害者であるご依頼者様の希望を実現しやすくなるでしょう。
モラハラを理由に離婚はできるのか?
協議離婚や調停離婚は、夫婦の合意で成立するため、モラハラ加害者を説得する必要はありますが、合意さえあればモラハラを理由として離婚することが可能です。
協議や調停で合意が得られない場合には、離婚審判や離婚裁判に移行し、裁判官の判断に離婚の成否を委ねることになります。
なお、配偶者にモラハラをされており離婚したい方や、配偶者からモラハラをしていると主張され、離婚を求められている方は、以下のそれぞれの記事をご覧ください。
裁判になると証拠は必須!
審判離婚や裁判離婚を成立させるためには、もちろんモラハラを受けていることを主張する必要があります。さらに、裁判離婚を成立させるためには、法律で定められた離婚理由(法定離婚事由)があることを証明しなければならないので、モラハラを理由に離婚したい場合には、モラハラが法定離婚事由に該当することを証明する必要があります。
審判離婚の場合は、運用上、離婚調停で離婚の意思や離婚に伴う条件(養育費や財産分与等)がほぼ合致してきているけれども、細かい内容が決まらないようなケースで、裁判官の判断により審判がなされることが多いです。そのため、離婚調停の段階までに、相手方が離婚することや慰謝料等を認めているかどうかが鍵となります。
裁判離婚(離婚訴訟)の場合には、裁判所に「離婚することについて相当な事情があること」を認めてもらう必要があり、そのために証拠が重要になります。モラハラの証拠に関しては以下をご確認ください。
特に裁判離婚(離婚訴訟)の場合には、法定離婚事由という、民法770条1項に定められた5つの離婚理由のいずれかに該当することを証明する必要があります。モラハラの場合には、配偶者からのモラハラが「婚姻を継続し難い重大な事由」に当たると立証しなければならず、そのために証拠が不可欠です。
このように、審判離婚と裁判離婚を成立させるためには、証拠の備えが必須になります。
モラハラ加害者と離婚する際の注意点
モラハラ加害者のコントロール下に長期間置かれ続けていると、正常な判断がしにくくなるため、自身がモラハラを受けていることに気づけない被害者の方も多いです。配偶者の言動に違和感があったり、身近な方から「モラハラを受けているのでは?」といった指摘をされたりした場合には、配偶者の態度に疑問を持ってみることが大切です。
離婚を決意しても、すぐにはできない場合には、ひとまず別居して冷静に物事を考えられる環境を整えましょう。一方的に別居することが、法定離婚事由のひとつである「悪意の遺棄」に該当するのではないかと心配される方もいるかもしれませんが、モラハラをされている環境からの避難という正当な理由があるため、基本的に法的に不利になることはありません。
別居中の生活費について
専業主婦(主夫)である等収入がない場合、別居中の生活費を不安に思うかもしれません。しかし、夫婦には相互に生活を支え合う義務があるため、モラハラ加害者に対して、婚姻費用として生活費を請求することができます。
万が一婚姻費用についての話し合いが困難だったり、支払いを拒否されたりした場合には、家庭裁判所に婚姻費用の分担請求調停を申し立てると良いでしょう。
モラハラによって慰謝料は発生するのか?
モラハラは、個人の人格権を侵害する不法行為であり、精神的苦痛という損害も生じさせるので、損害賠償の一内容である慰謝料を請求することができます。
もっとも、慰謝料請求が認められるためには、モラハラをされていたことを証明できる証拠が必要になります。なお、夫婦喧嘩で暴言を吐かれた、普段から多少物言いがきついといった程度では、請求が認められる可能性が高いとはいえません。
離婚に関連する慰謝料と、モラハラを証明する際有効な証拠についての詳細は、以下の記事をご覧ください。
モラハラでの離婚は、弁護士が介入することで解決に繋がる場合があります
モラハラをされていると気づいた方も、もしかしたらモラハラをされているかもしれないと心当たりのある方も、まずは弁護士にご相談ください。
モラハラ被害を受けている方は、モラハラをされている自覚があまりないことも多く、周囲に相談できる人がいない方も大勢います。弁護士に相談すれば、法律のプロの視点からモラハラかどうか判断してもらうことができますし、モラハラ被害者には落ち度がないことを認めてくれるので、精神的に余裕が生まれます。
また、モラハラ被害者と加害者が対等に話し合うことは難しく、被害者に不利な状況になってしまうおそれがありますが、あらかじめ交渉のプロでもある弁護士に依頼しておき、交渉や離婚手続の代行を任せれば、この不安を解消することができます。
離婚の際に取り決めること
モラハラを理由とする場合はもちろん、離婚の際には、以下の項目について取り決めておきましょう。
親権
モラハラ被害者が親権者になるのが自然だと思う方も多いと思います。しかし、親権者は子の福祉を第一に決められるので、必ずしも被害者が親権を獲得できるとは限りません。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
養育費
離婚後に親権者となる場合には、相手に対して養育費の請求をすることができます。養育費は子の親に対する権利なので、離婚理由に関係なく、養育費を請求できます。
養育費について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
財産分与
離婚に伴い、夫婦が協力し合って築いてきた共有財産を分け合うことができます。これを財産分与といいますが、モラハラ加害者は財産分与に応じてくれないことが多いです。
財産分与の詳細については、以下の記事をご覧ください。
心の病といわれるモラハラ 治すことは可能?
モラハラは心の病ともいわれますが、治すことは可能なのでしょうか。
そもそも、なぜモラハラをしてしまうのかというと、幼少期の家庭環境(親の過干渉、過保護、親からのモラハラ、DV等)が大きく影響している可能性があるといわれています。
しかし、モラハラ加害者には、自身がモラハラをしているという自覚に欠ける場合が多く、周囲がモラハラをしていることに気づいて治療やカウンセリング等を勧めても、素直に受けてくれないことが多いです。そのため、モラハラを治すことは非常に難しいのが現状です。
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メールで相談するモラハラに関するQ&A
- Q:
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モラハラを理由とする離婚での慰謝料の相場を教えてください
- A:
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慰謝料の金額は、モラハラの度合い等によって変わります。離婚に関連する慰謝料、特にモラハラを理由とする場合の慰謝料の相場については、以下の記事をご覧ください。
- Q:
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姑からの妻に対するモラハラは離婚理由になるのでしょうか?
- A:
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基本的に、離婚理由は夫婦間の事情に基づいたものである必要があります。しかし、姑が妻にモラハラをしている場合に、絶対に離婚できないわけではありません。この場合でも、①夫が姑と一緒になって妻を攻撃したり、②妻がモラハラを受けていることを知りながら夫が放置したりしたときには、夫の非情な態度が離婚理由になることがあります。
姑によるモラハラを理由とする離婚について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
- Q:
-
子供へのモラハラがあった場合、離婚することは可能ですか?
- A:
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自身は配偶者からモラハラを受けていないものの、子供がモラハラを受けている場合、離婚したいと思い協議や調停をしても、配偶者と合意できるとは限りません。裁判を申し立て、離婚事由の存在を立証する必要があります。
離婚事由のうち、モラハラが該当する可能性がある事由は、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」ですが、該当するか否かは、モラハラの内容・頻度・期間・注意されても繰り返すか等を総合的に考慮して判断します。
この点、子供へのモラハラは、程度によっては子供への精神的虐待と評価できるものであり、虐待と評価される程度のものであれば、離婚は認められるでしょう。
子供がモラハラをされていることを理由とする離婚について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
モラハラ離婚について不安なことがあれば弁護士に依頼してみましょう
モラハラをする人は、交際中には良いパートナーを演じており、結婚や出産した途端に本性を見せるので、豹変したように見えます。モラハラ被害者は、自分に何か落ち度があるのだろうと考えこんでしまう方が多いですが、被害者側に問題があることはほとんどありません。モラハラをする人は、被害者に憤ってモラハラをしているのではなく、自分のコントロール下に置くための手段としてモラハラをしているに過ぎないからです。このようなモラハラに耐えながら婚姻生活を続けても、幸せにはなれません。
幸せを掴むためにも、モラハラをする配偶者との離婚に踏み切るべきでしょう。そのためのサポートを、ぜひ弁護士にお任せください。弁護士にご依頼いただければ、モラハラをする配偶者への対応や離婚手続を代わりに行い、希望に沿った結果を導けるよう尽力いたします。ご依頼者様の新たな生活へと向けた、第一歩を踏み出すお手伝いをさせていただければ幸いです。
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