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離婚裁判の基礎知識|流れや費用は? 裁判で負ける理由と回避方法

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治

監修弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員

夫婦間の話し合い(協議)や調停の手続きでは離婚問題を解決できない場合、最終手段となるのが「離婚裁判」です。離婚裁判で負けないためには、裁判所にご自身の主張内容が正当であると認めてもらえるかどうかが重要なポイントであり、法律の専門知識が欠かせません。そのため、主張内容がきちんと伝わらずに敗訴するという結果にならないよう、弁護士に依頼した方がいいといえます。

このページでは、「離婚裁判」の基礎知識をお伝えしていきます。実際の流れやかかる費用・期間、メリット・デメリットなど、詳しく確認していきましょう。

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この記事の目次

離婚裁判とは

離婚裁判とは、夫婦の一方が「離婚したい」と求めて訴訟を起こし、裁判所が離婚するかどうかを決める手続きのことです。離婚裁判に進むまでの道筋は、基本的に次のとおりです。協議後に調停を行ってもなお夫婦が合意に至らなければ、離婚裁判を行うことになります。

①夫婦間での話し合い(協議)

②離婚調停(家庭裁判所の調停委員を間に挟んで話し合う手続きのこと)

③離婚裁判

なお、離婚裁判は、基本的に離婚調停をしてからでないと行うことができません。この決まりを“調停前置主義”といいます。離婚調停の申立てをしないで、いきなり離婚訴訟を起こしたとしても、訴え自体は不適法となるわけではありませんが、裁判所は職権で強制的に調停の手続きに変更してしまいます。

離婚裁判をするために必要な5つの理由

離婚裁判をする際は、民法に定められている離婚理由が存在することが必要です。離婚理由には次の5つがあり、どれかに当てはまる事情がなければ、裁判所に離婚は認めてもらえません。

  • 配偶者に不貞な行為があったとき
    “不貞な行為”とは、配偶者以外の者と肉体関係を持つことをいいます。
  • 配偶者から悪意で遺棄されたとき
    “悪意の遺棄”とは、正当な理由がないのに夫婦の同居・協力・扶助義務を果たさないことです。例えば、「特に理由もなく勝手に家を出て行く」「十分な収入を得ているのに生活費を渡さない」などが当てはまる可能性があります。
  • 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
  • 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
    夫婦関係が破綻していて、結婚生活を続けていくことが難しい状況を指します。この状況にあると認められるかどうかは裁判所の判断次第ですが、DVやモラハラなどのケースでは、認められる可能性があります。

離婚裁判で争われる内容

離婚裁判で争われる内容としては、例えば次のようなものがあります。離婚裁判では、離婚そのものだけではなく、離婚に伴う各条件についても争うことが可能です。

  • 離婚するかどうか
  • 慰謝料の金額
  • 夫婦の共有財産の分け方や年金分割について
  • 子供の親権者
  • 毎月の養育費の支払額
  • 子供との面会交流について

離婚裁判の流れ

離婚調停をした後、一般的には次のような流れで離婚裁判を進めていきます。

  1. ①家庭裁判所に離婚裁判(離婚訴訟)を申し立てる
  2. ②第1回口頭弁論期日の通知が届く
  3. ③口頭弁論を行う
  4. ④双方の当事者に対する尋問
  5. ⑤離婚裁判の判決・離婚届の提出
  6. ⑥判決に不服の場合は控訴

各ステップについて、順番に詳しくみていきましょう。

① 家庭裁判所に離婚裁判(離婚訴訟)を申し立てる

離婚裁判は、家庭裁判所に「訴状」を提出し、離婚裁判(離婚訴訟)を申し立てることから始まります。

訴状の提出先は、通常、夫婦のどちらかの住所地を管轄する家庭裁判所になります。そのため、別居中で相手が遠くに住んでいても、ご自身が住んでいる地域の家庭裁判所に訴えを起こして構いません。

ただし、離婚調停を行った家庭裁判所(夫婦のいずれの住所地を管轄する家庭裁判所でもない家庭裁判所)で、引き続き離婚裁判を行うケースもあります。

なお、訴えを起こした側を「原告」、訴えられた側を「被告」といいます。これより先の流れは、この呼び方で説明していきます。

② 第1回口頭弁論期日の通知が届く

訴状が受理されると、家庭裁判所から夫婦それぞれに、第1回口頭弁論期日の通知(呼出状)が届きます。

被告側は、呼出状が届いたら、同封されている訴状の副本の内容を見ましょう。そして、その内容に対するご自身の意見を「答弁書」にまとめ、呼出状に記載されている期限までに提出します。

答弁書に決まった書式はありませんが、裁判所に提出する書類には、基本的にA4版の用紙を使わなければならないなどの細かなルールがあります。下記のとおり、裁判所のウェブページから離婚裁判の答弁書の書式をダウンロードできるようになっていますので、こちらを活用するといいでしょう。

③ 口頭弁論を行う

【第1回目】
訴状や答弁書の内容からお互いの意見を確認され、次回までに準備しておくことを伝えられ、次回期日を決めて終了となるケースが多いようです。

なお、口頭弁論の期日は、通常、平日の10時~17時の時間帯のどこかで、公開法廷で開かれます。個別の事情にもよりますが、初回は内容確認をする程度なので、そこまで時間はかからないでしょう。

【第2回目以降】
原告と被告が主張したり、証拠を提出したりして、争点の整理をしていきます。

初回と同様、“口頭弁論“を続けていくケースもありますが、第2回目以降は”弁論準備手続“で進めていくケースが多いです。弁論準備手続とは、裁判所内の弁論準備室という部屋で争点や証拠の整理をしていく手続きのことで、口頭弁論とは異なり非公開で行われます。

1回にかかる時間は事案の内容によって異なるので、一概には言えません。早ければ15分くらいで終わることもありますし、長いと1時間以上かかることもあります。

期日は月に1回程度のペースで開かれ、裁判所が「争点の整理ができた」と判断するまで続きます。

④ 双方の当事者に対する尋問

争点が整理されると、証拠調べとして、双方の当事者から事情を聞く「本人尋問」が行われることがあります。

尋問の前には、各自が言い分をまとめた「陳述書」を提出し、この陳述書の内容をもとに質問されることが多いです。尋問には時間がかかりやすく、原告と被告それぞれで1~2時間程度かかることもあります。

本人尋問は、次の流れを原告・被告の順に行って進めていくのが一般的です。

①主尋問:尋問の申し出をした側の代理人から質問される。

②反対尋問:尋問の申し出をされた側の代理人から質問される。

③補充尋問:裁判官から質問される。
※再主尋問や再反対尋問が行われることもあります。
※①②において、代理人がついていない場合は、裁判官または本人が質問していくことになります。

また、当事者以外の第三者から事情を聞く「証人尋問」が行われるケースもあります。尋問の流れは本人尋問の場合と同様です。

⑤ 離婚裁判の判決・離婚届の提出

裁判所が判断するのに十分な材料がそろったところで判決が下され、原告と被告それぞれに「判決書」が渡されます。

「判決書」には、離婚するかどうか、慰謝料財産分与といった離婚条件をどうするかなど、原告の請求内容に対する裁判官の判断の詳しい内容が書かれています。受け取る方法は、直接または郵送です。

離婚を認める判決を下された場合、判決書を受け取った日または送られてきた日の翌日から2週間が経つと、判決の内容が確定し、離婚成立となります。離婚が成立したら役所に「離婚届」を提出する必要がありますので、忘れないようにしましょう。提出期限は、判決が確定してから10日以内(※確定日を含めます)です。なお、離婚届を提出する際は、次の書類を添付しなければなりません。いずれも裁判所に申請して取得します。

  • 判決書の謄本
  • 確定証明書

判決以外の裁判終了

判決が出る以外にも、離婚裁判が終了するかたちはあります。例えば、「和解」や「訴えの取下げ」によって終了することも起こり得ます。

【和解による裁判の終了】
離婚裁判の途中で、裁判官から和解をすすめられることがあります。和解とは、争いをやめて、お互いに譲り合って解決する方法です。裁判所から提示された和解案に当事者双方が合意すれば離婚成立となり、裁判は終了します。早期に離婚問題を解決したいのであれば、和解することも視野に入れてみるといいでしょう。

和解による離婚について、詳しくは下記のページをご覧ください。

さらに詳しく
和解離婚とは

【訴えの取下げにより裁判終了】
原告が訴えを取り下げたら、裁判は終了となります。
判決が確定するまでは、原告はいつでも訴えを取り下げることができます。ただし、口頭弁論や弁論準備手続で被告側が意見を述べている場合などには、被告側の同意が必要です。なお、取下げは基本的に書面で行わなければなりませんが、裁判の期日において直接口頭で行うことも許されています。

⑥判決に不服の場合は控訴

判決の内容に納得がいかない場合は、判決書が送達された日の翌日から数えて2週間以内であれば、「控訴」することができます。控訴とは、裁判所(第一審)の判決内容に不満があるので、さらに上の裁判所に改めて判断してもらいたいと求めることです。

なお、控訴の手続きは、判決を下した裁判所(第一審)に対して行います。原告と被告、どちらも控訴を行わずに期限の2週間が過ぎると、判決は確定となり、裁判は終了します。

離婚裁判にかかる費用

離婚裁判にかかる手数料等

離婚裁判には、訴えを起こすときに手数料としての収入印紙代と、郵便切手代といった費用がかかります。

【収入印紙代】 (※裁判で請求する内容に応じて必要な金額が変わる)
離婚のみ 1万3000円
離婚+財産分与 1万3000円+ 1200円
離婚+年金分割 1万3000円+ 1200円
離婚+養育費 1万3000円+子供1人につき1200円ずつ
離婚+慰謝料 「1万3000円」と「慰謝料請求に対する収入印紙代※1」を比較して高い方の金額

※1:「慰謝料請求に対する収入印紙代」については、裁判所のウェブページで公開されている下記の資料をご参照ください。

【郵便切手代】 (※金額は裁判所によって異なる)
相場は大体6000円くらいです。
東京家庭裁判所を例にすると、次の郵便切手が必要になります。

  • 500円×8枚
  • 100円×10枚
  • 84円×5枚
  • 50円×4枚
  • 20円×10枚
  • 10円×10枚
  • 5円×10枚
  • 2円×10枚
  • 1円×10枚

⇒計6000円

弁護士費用について

弁護士に依頼して離婚裁判を行う場合には、弁護士費用がかかります。内訳は、着手金や成功報酬、諸経費などです。合計して80万~100万円程度が一般的な相場かと思いますが、事案の内容や依頼する法律事務所によって金額は違ってきます。

費用はどちらが負担するのか

裁判にかかる費用(収入印紙代・郵便切手代など)は、訴状提出の際には原告が負担しますが、最終的には敗訴した側が負担するか、裁判所が判決を下して決めた負担割合に基づき、原告と被告がそれぞれ負担することになります。

一方で、弁護士費用は基本的にすべて自己負担となります。例外的に、被告の不貞といった不法行為を原因として慰謝料を請求する場合には、弁護士費用の一部を被告に請求できることもありますが、その金額は、判決で認められた慰謝料請求額の約1割程度とされるのが通常です。

離婚裁判の申立てに必要な書類 (訴状など)

離婚裁判を申し立てるとき、裁判所に提出が必要な書類は主に次のとおりです。ただし、個別の事情によっては、そのほかにも書類の提出が求められることがありますので、あらかじめ申立先の家庭裁判所に確認しておくことをおすすめします。

  • 訴状(2部)
  • 夫婦の戸籍謄本(原本とコピー)
  • 年金分割のための情報通知書(原本とコピー) ※年金分割の割合についても判断を求める場合
  • その他、証拠として提出する書類のコピー(2部)
    <例>養育費の請求に関する証拠:源泉徴収票・給与明細書・確定申告書などのコピー

必要書類のうち「訴状」は、ご自身で作成していくことになります。訴状には特に決まった書式はありませんが、裁判所のウェブページから書式をダウンロードして利用するのが一般的です。記載内容に不備があると、受理してもらえずもう一度作成し直さなければならない場合もありますので、訴状を作成する際は弁護士にサポートしてもらうと安心かと思います。

裁判所のウェブページに掲載されている離婚裁判の訴状の書式・記入例は、こちらで確認できます。

離婚裁判に要する期間

裁判所の統計データ(「人事訴訟事件の概況-令和2年1月~12月-」)によると、離婚に関し、訴えを起こしてから終局するまでの平均審理期間は、令和2年度で14.2ヶ月という結果になっています。

あくまでも平均的な値ですので、離婚裁判にかかる期間は違ってくることもあります。ただ、大体の目安として、1年以上の期間を要すると覚悟しておいた方がいいでしょう。

離婚裁判を早く終わらせたいなら

離婚裁判を早く終わらせたいなら、次のようなことがポイントになってきます。

証拠を集める

ご自身がどれだけ主張しても、その主張を裏付ける証拠がなければ、裁判所は事実だとは判断しにくいでしょう。裁判所が判断しやすいよう、証拠を集めて提出することが、早期に判決が下されるためには重要です。

例えば、相手の不貞行為を離婚理由として主張するなら、「浮気相手とラブホテルに出入りしている写真・動画」や「不貞行為を認める発言を録音したデータ」などが、有効な証拠になり得ます。

和解することも視野に入れる

裁判の途中でも、夫婦がお互いに合意できれば、和解によって離婚を成立させることができます。判決が下されるのを待たずして離婚裁判を終わらせられるので、早く裁判を終わらせたいと考えているなら、和解することも検討してみるといいでしょう。

離婚裁判で負ける理由と回避方法

離婚裁判で負ける理由として考えられるのは、例えば次のようなことです。

離婚請求が認められなかった

裁判で離婚を認めてもらうには、婚姻関係が破綻していると認められることが必要です。民法で定められている離婚理由のいずれも存在せず、夫婦関係を修復できる余地があると判断されたら、離婚は認めてもらえません。

また、婚姻関係が破綻していると判断された場合であっても、離婚請求が婚姻関係を破綻させた有責配偶者からの請求であった場合、別居が相当長期間に及んでいるなどの事情がない限り、離婚は認めてもらえません。

離婚の条件について、主張、請求が通らなかった

例えば、親権についての判断では、それまでどちらが主に子供の面倒を見てきたか、現在の子育て状況、経済状況、離婚後の養育環境などの事情が考慮されます。そのため、自身に有利な事情を適切に主張・立証していかなければ、親権獲得は難しくなります。

いずれのケースでも、離婚裁判で負ける事態を回避できるかは、適切な主張をして、それを裏付ける証拠を集めて提示できるかどうかにかかっています。法律の専門知識とスキルによって大きく左右される部分ですので、弁護士の力を借りることをおすすめします。

別居の期間によっては裁判で離婚が認められる

別居の期間によっては、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」という民法上の離婚理由に当てはまるとして、裁判で離婚が認められる可能性があります。別居期間があまりにも長いと、事実上、夫婦関係は破綻していると考えられることがあるからです。したがって、離婚を決めたはっきりとした理由がなかったとしても、離婚できる場合はあります。

ただ、単純に別居期間が長ければ離婚が認められるということではありません。婚姻期間の長さや、別居に至った経緯といった様々な事情を踏まえて判断されます。一般的には3~5年程度の別居期間が必要とされていますが、あくまでも目安だということを念頭に置いておきましょう。

別居する際の注意点や別居期間については、下記のページで詳しく解説しています。こちらもぜひ併せてご覧ください。

 

裁判をやむを得ず欠席するとき

離婚裁判は平日の日中に行われるため、仕事や家庭の事情などで、やむを得ず欠席しなくてはならない方もいるでしょう。

訴えられた側(被告)の場合、第1回目の期日なら、「答弁書」を提出しておけば主張したものとみなされるので、欠席しても特に問題はありません。しかし、第2回目以降ではそうはいかないのでご注意ください。

欠席し続けると出席している他方の当事者の主張を争わないものと判断されて、ご自身に不利な内容の判決が下されるおそれがあります。どうしても参加するのが難しいなら、弁護士に依頼して代わりに出席してもらうことを検討した方がいいでしょう。離婚裁判を進めるにあたっては、本人尋問のときなどを除き、弁護士のみの出席でも構いません。

離婚裁判のメリット、デメリット

メリット

【裁判所に認められれば相手の意思に関係なく離婚できる】
離婚調停の場合、夫婦のどちらか一方でも離婚に同意しなければ離婚できません。対して離婚裁判の場合、裁判所が離婚を認める判決を下せば、相手の意思に関係なく離婚できます。

【判決には強制力がある】
裁判所が下した判決には強制力があります。
そのため、裁判で慰謝料の支払いが決まったにもかかわらず、相手が慰謝料を支払わない場合は、すぐさま「強制執行」の手続きをとり、相手の財産を差し押さえることなどが可能になります。

デメリット

【時間がかかる】
離婚裁判には1年以上かかるケースが多く、場合によっては数年にわたるケースもあります。裁判中は嫌でも離婚について考えていかなければなりませんし、夫婦で争っているという状態が続きます。時間がかかればかかるほど、精神的負担は大きくなるでしょう。

【不利な判決が下されるおそれもある】
適切な主張・立証ができないと、親権者になれなかったり、慰謝料を獲得できなかったりするなど、ご自身にとって不利な判決が下されてしまうおそれがあります。また、婚姻関係が破綻していない、有責配偶者による離婚請求であるなどの理由で、離婚できないという事態も起こり得ます。判決に納得いかないなら控訴するという手もありますが、控訴したからといって、必ずしも判決の内容が覆るわけではありません。

自分だけで離婚裁判は行えるのか?

自分だけでも離婚裁判を行うことは可能です。弁護士に依頼しない分、弁護士費用がかからないので、経済的負担を減らせるというのが大きなメリットといえます。

しかし、裁判は基本的に書面審理であるので、裁判所に提出する書類の作成も、平日の日中に行われる裁判への出席も、すべて自分で行わなければならず、とても労力がかかります。また、どのような主張をしていけば効果的なのか、適切に判断することは難しいでしょう。本来なら有利な立場になれる可能性があったのに適切な対応がとれず、不利な内容の判決が下され、大きな損失を被るおそれもあります。こうしたデメリットを考えると、離婚裁判は弁護士を入れて進めていくことをおすすめします。

弁護士を入れるメリット・デメリット

離婚裁判に弁護士を入れるメリットには、代理人として代わりに主張してもらうことで、法的観点から適切にご自身の主張内容を裁判官に伝えられるという点が挙げられます。そのため、自分だけで離婚裁判を行うよりも、有利な内容の判決が下される可能性が高まるでしょう。

また、書類の作成をお願いできるので、手間が省けるうえに、法的知識に基づいた効果的な書類を作成してもらえます。さらに、本人尋問のときなどを除き、代理人である弁護士だけが裁判に出席することも可能なので、裁判のために時間をあけなければならないという負担を軽減できます。

一方で、弁護士を入れたら弁護士費用が発生しますので、この点はデメリットになります。たとえ相手に離婚原因があったとしても、弁護士費用は基本的にご自身で支払わなければなりません。

離婚裁判に関するQ&A

Q:

離婚をしたくないのに、離婚裁判を申し立てられた場合はどうすればいいの?

A:

離婚裁判を申し立てられた場合、離婚をしたくないのなら、まずはその旨を「答弁書」という書類にまとめ、裁判所に提出してください。そして、裁判の期日になったらきちんと出席し、離婚が認められるべきではない理由を主張・立証していきます。その結果、離婚しないという判決を得られれば、離婚せずに済みます。

離婚したくないからといって、答弁書も出さずに欠席してしまうことは避けるべきです。相手の請求に対して反論はないものとみなされ、離婚が認められてしまうおそれがあります。必ず出席して、ご自身の言い分を伝えましょう。

Q:

離婚裁判中に協議離婚することはできるの?

A:

離婚裁判中であっても、夫婦間で解決できそうであれば、裁判を途中でやめて協議離婚することはできます。協議離婚するときには、裁判を起こした側が訴えを取り下げます。

なお、話し合いによる解決が見込める場合は、和解離婚という選択肢や、協議離婚を行いつつも、離婚条件についてのみ裁判上の和解をするという選択肢もあります。これらの場合、訴えを取り下げる必要はなく、最後に裁判所によって「和解調書」が作成されます。「和解調書」には判決と同じ効力があるので、離婚後、約束した離婚条件が守られないというトラブルが生じても、すぐさま強制執行することが可能です。

和解離婚についての詳しい内容は、下記のページをご覧ください。

さらに詳しく
和解離婚とは
Q:

離婚裁判で敗訴した場合、もう一度、裁判の申立てはできるの?

A:

離婚裁判で敗訴して離婚できなかった場合、離婚理由が異なれば、離婚を求めてもう一度裁判の申立てをすることができます。同じ離婚理由で再び裁判することはできませんので、ご注意ください。

二度目の裁判で勝訴するためには、最初の裁判と同様、離婚を求める理由が民法上の離婚理由に当てはまることを立証していく必要があります。例えば、最初の裁判後も別居が続いているケースでは、相当長期の別居期間を理由に、夫婦関係の破綻を強調していくといった対応が考えられるでしょう。

なお、判決が確定する前なら、不服申立てをして、上級の裁判所に改めて審理してほしいと請求することができます。不服申立てができるのは、判決の送達を受けた日の翌日から2週間以内です。期限を過ぎてしまったら、先ほど説明したとおり、離婚理由を見直してもう一度裁判を申し立てることになります。

Q:

裁判での離婚後にすぐに再婚できるの?

A:

男性の場合、離婚した翌日に可能ですが、女性の場合、民法に再婚禁止期間の規定があり、離婚から100日(※離婚した当日を含みます)を過ぎなければ、基本的に再婚することはできません。

民法では、離婚から300日以内に生まれた子供は前夫との子供、再婚から200日より後に生まれた子供は現夫(再婚相手)との子供と推定されます。そのため、離婚から100日を空けずに再婚すると、推定期間が重なり、子供の父親が誰か判別できなくなってしまうのです。

このような問題が生じることを避けるために、女性には再婚禁止期間が設けられています。ただし、女性が離婚時に懐胎していなかった場合や離婚後に出産した後には適用されません。

Q:

有責配偶者から離婚裁判を申し立てても離婚できるの?

A:

有責配偶者から離婚裁判を申し立てた場合、離婚が認められるのは難しいです。自ら離婚原因を作り出しておきながら離婚したいというのはあまりに身勝手だとして、裁判所は基本的に有責配偶者からの離婚請求自体認めない傾向にあるからです。

ただし、一定の条件を満たした場合には、例外的に離婚請求が認められて離婚できる可能性があります。

有責配偶者からの離婚請求については、下記のページで詳しく解説しています。こちらもぜひ併せてご覧ください。

有利な条件で離婚裁判を進めるためにも弁護士にご相談ください

離婚裁判でご自身の言い分を認めてもらうためには、法的知識に基づいた論理的な主張をして、その主張内容を裏付ける適切な証拠を提示することが重要になってきます。

離婚裁判を行うときは、法律の専門知識とスキルを持つ弁護士に依頼し、力を借りることをおすすめします。特に相手が弁護士をつけている場合には、対等に渡り合うのは困難ですので、こちらも弁護士をつけて対抗した方がいいでしょう。弁護士に依頼すれば、書類作成などの難しくて負担の多い作業を任せることができますし、裁判に毎回出席する必要もなくなります。

有利な条件の判決を下してもらうためにはもちろん、早期に解決するためにも、離婚裁判でお悩みのときは、まずは弁護士にご相談ください。あなたの味方となって、精一杯尽力いたします。

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監修:谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員 弁護士
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