有責配偶者とは|有責配偶者となるケースや離婚条件について

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治

監修弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員

有責配偶者であることは、裁判所に離婚の請求が認められるか否かに影響してきます。また、離婚の慰謝料が発生する可能性にも繋がります。そのため、自分が有責配偶者であるかどうか、相手が有責配偶者であるかどうかは、離婚する際にとても重要なポイントです。

本記事では、有責配偶者とはそもそも何なのか、その定義や、具体的にどのような行為をすると有責配偶者となるのか、有責配偶者からの離婚請求は認められるのか、有責配偶者に対する慰謝料請求など、「有責配偶者」に関する情報を幅広くお伝えしていきます。ぜひお役立てください。

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有責配偶者とは?

有責配偶者とは、離婚の原因を作り、婚姻関係を破綻させた主な責任を持つ配偶者のことです。過去の判例では、「婚姻関係の破綻につき、もっぱらまたは主として原因を与えた当事者」などと定義されています。つまり、夫婦のどちらにも離婚の責任がある場合には、より責任の大きい方が、有責配偶者になるということです。

そもそも離婚は、話し合ってお互いに合意さえすれば、理由は何であれ成立しますが、裁判では、民法で定められた離婚事由(法定離婚事由)がなければ離婚は認められません。この法定離婚事由に該当する行為をして、離婚に至らしめた主な責任のある者が、有責配偶者にあたります。

有責配偶者となるケース

有責配偶者

民法770条では、上記の5つを離婚事由として定めています。この5つの離婚事由のどれかに当てはまる行為をした場合には、有責配偶者となる可能性があります。

ただ、文言だけ見ても、具体的にどのような行為なのかイメージしにくいでしょう。以降では、5つの法定離婚事由について、より詳しく解説していきます。

不貞行為(浮気・不倫)

「不貞行為」とは、結婚している者が、自由な意思で配偶者以外の人と肉体関係を持つことをいいます。
一般的によく使う「浮気」や「不倫」は法律用語ではありませんが、浮気や不倫をして、配偶者以外の人と肉体関係を持てば、それは法律上の「不貞行為」になります。

具体的な例を言うと、例えば、夫(妻)が会社の同僚と親しくなり、肉体関係を持った場合などは、不貞行為にあたります。一方で、抵抗できずに無理やり性行為を強要されたといった場合には、“自由な意思”で行ったことではないので、不貞行為にはあたりません。

悪意の遺棄

「悪意の遺棄」とは、正当な理由もないのに、法律で夫婦の義務として定められている、同居・協力・扶助義務に反する行為をすることです。
例えば、相手に何も告げずに勝手に家を出て行く、自分の方が収入は多いのに生活費を渡さないなどの行為は、悪意の遺棄にあたると判断される可能性があります。

ただし、単身赴任のためやむを得ず別居している、夫婦で話し合って合意のうえ別居している、DVから逃れるために家を出たといった場合には、正当な理由があるとして、悪意の遺棄にあたるとは判断されないでしょう。

3年以上の生死不明

「3年以上の生死不明」とは、相手と音信不通になり、生きているのかどうか確認できない状態が、連続して3年以上続くことを意味します。
単にどこに行ったかわからないというだけでは、生死不明の状態には該当しません。警察に捜索願を出したり、知人や会社の同僚に尋ねたりするなど、あらゆる手段を使っても見つからず、生死を確認できないことを証明する必要があります。

強度の精神病で回復の見込みがないこと

“強度の精神病”とは、夫婦が協力して生活を送っていくことができなくなるほど、重い精神病のことです。
そして、医師が “回復の見込みがない”と診断した場合には、法定離婚事由となります。

具体的には、相手が統合失調症になり、その症状が夫婦生活に支障をきたすほど重く、治療を支えてきたが回復する見込みがない場合などが該当する可能性があります。

ただし、必ずしも離婚が認められるとは限りません。離婚することで、治療が必要な者を苦しい状況に追いやってしまうおそれもあるからです。離婚後の療養生活が整っているかなど、様々な事情を考慮して判断されることになります。

その他婚姻を継続し難い重大な事由

「その他婚姻を継続し難い重大な事由」とは、夫婦関係が破綻していて、修復することが困難な状態であることを指します。
例えば、DVやモラハラを理由に離婚を求めるケースでは、該当する可能性があります。

また、宗教活動に熱心で家庭を顧みない場合や、ギャンブルで浪費して家計を苦しめている場合などでも、結果的に夫婦関係が上手くいかなくなってしまったのなら、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」にあたると判断されることがあります。

有責配偶者からの離婚請求は認められる?

有責配偶者からの離婚請求は、基本的に認められません。自ら夫婦関係を壊しておきながら離婚したいというのは、あまりに身勝手だと考えられるからです。

ただ、離婚したいと求めること自体は本人の自由なので、話し合いの場を設けたり、離婚調停を申し立てたりすることはできます。その結果、基本的に夫婦がお互いに離婚しても良いと合意できれば、離婚することが可能です。一方で、相手に離婚を拒否され、有責配偶者が離婚裁判を申し立てた場合には、通常、裁判所に離婚は認められません。

下記の記事は、有責配偶者から離婚を求められたものの、拒否したい方に向けて解説したものとなっています。こちらもぜひご覧ください。

有責配偶者からの離婚請求が認められる条件

有責配偶者からの離婚請求は基本的に認められませんが、一定の条件を満たすと、例外的に離婚請求が認められる場合があります。一定の条件とは、次の3つです。

  • ①夫婦双方の年齢や同居期間との対比から、別居期間が相当長期であること
  • ②未成熟の子供(経済的に自立できていない子供)がいないこと
  • ③離婚することで、相手(有責配偶者ではない方)が精神的・社会的・経済的に苛酷な状況にならないこと

①の別居期間の長さについては、一般的に10年程度が必要になるでしょう。ただし、個別の事情によって異なることもあります。

有責配偶者からの離婚請求が認められる条件については、こちらでも紹介していますので、ぜひご覧ください。

有責配偶者と離婚したい!慰謝料は請求できる?

有責配偶者と離婚したい場合は、慰謝料を請求できる可能性があります。
しかし、慰謝料を請求したところ、相手が「そんなことした覚えはない」などと事実を否認してくることもあるでしょう。

その場合、相手の有責性を証明できなければ、裁判所に慰謝料請求が認められるのは困難です。したがって、慰謝料を請求するときは、相手の有責性を証明するための証拠を集めておくことが重要になってきます。

下記の記事では、有責配偶者と離婚したい方に向けて解説しています。慰謝料請求についても詳しく紹介していますので、ぜひ参考になさってください。

有責性を証明するための証拠

相手の有責性を証明するための証拠として、実際にどのようなものを集めたらいいのでしょうか?必要な証拠は、相手のした有責行為によって違います。

例えば、《不貞行為》の場合には、不貞相手と肉体関係を持ったことが確認できる、あるいは推測できるような証拠が必要です。具体的には、次のようなものが証拠として役立つ可能性があります。

  • 不貞相手とラブホテルに出入りしている写真・動画
  • 不貞行為の事実を認めた会話を録音したデータ
  • 不貞相手とのLINEやメールのやりとり(肉体関係があったとわかる内容のもの)

離婚時に決めるべき条件と有責性の関係

離婚する際には、「慰謝料」や「財産分与」など、様々な離婚条件についても決めていきます。また、離婚前に別居する場合には、別居中の生活費として「婚姻費用」を求めることもあるかと思います。

それでは、こうした条件を決めるとき、有責配偶者がした行為の有責性は影響してくるのでしょうか?条件ごとに、有責性が影響してくるかどうかを簡単に表にまとめました。

慰謝料 有責配偶者が支払う。有責性の程度は、慰謝料の金額に影響することもある。
財産分与 基本的に有責性は影響しない。
ただし、慰謝料の代わりとして、有責配偶者ではない方に多く財産分与するケースもある。
年金分割 有責性は関係なし。
親権 基本的に有責性は影響しない。
ただし、有責配偶者の行為が子供に悪影響を与えている場合には、親権争いで不利になる可能性がある。
養育費 有責性は関係なし。
面会交流 基本的に有責性は影響しない。
ただし、有責配偶者がした行為のせいで、子供が恐怖を抱いている場合などには、面会交流が制限される可能性がある。
婚姻費用 有責配偶者から婚姻費用を求めた場合、子供の生活費分を除いて、請求が認められない可能性がある。

有責配偶者の扱いはいつまで?時効はある?

有責配偶者という扱いに、時効はありません。
過去に有責行為をしていたなら、それを理由に離婚を求めることができます。ただし、有責行為から時間が経っていると、夫婦関係は修復されたものと判断され、裁判所に離婚が認められないおそれがありますのでご注意ください。

なお、離婚の請求とは違い、慰謝料の請求はいつでもできるわけではありません。基本的に離婚してから3年で時効を迎え、離婚の慰謝料は請求できなくなってしまいます。

また、離婚後に不貞行為がわかり、慰謝料を請求したいという場合もあるでしょう。この場合の時効は、「不貞行為が判明した時から3年」または「不貞行為が始まった時から20年」となります。

どちらにも有責性がある場合の離婚について

夫婦のどちらか一方だけが100%悪いというケースばかりではないでしょう。どちらにも有責性がある場合には、お互いの責任の割合によって、離婚の請求がどうなるかが変わります。

  • 一方の責任の割合が大きい場合
    責任の割合が大きい方が有責配偶者となります。そして、離婚裁判になった場合、その者からの離婚請求は基本的に認められません。
  • 責任の割合が同程度の場合
    例えば、夫婦それぞれが同じ時期に不貞行為をしていた場合などです。有責性が相殺され、どちらにも離婚の責任がない場合の離婚請求と同じ扱いがなされます。そのため、離婚が認められるのは難しくなりますが、夫婦関係が破綻していると判断されれば、離婚が認められる可能性があります。

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有責配偶者に関する判例

有責配偶者からの離婚請求を認める基準を示した判例

まずは、それまで認められていなかった有責配偶者からの離婚請求について、例外的に認める基準を初めて示し、後の裁判所の判断に大きな影響を与えることとなった事例を紹介します。

最高裁 昭和62年9月2日大法廷判決

事案の概要

不貞相手と同棲し、妻とは約36年別居を続けていた夫が離婚請求をした事例です。

裁判所の判断

最高裁は、「夫婦の別居が、双方の年齢や同居期間との対比から相当の長期間に及び、未成熟子がいない場合には、相手方配偶者が離婚によって精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態におかれるなどの特段の事情がない限り、有責配偶者からの離婚請求であるという理由だけで許されないとすることはできない」という旨の判断をしました。

そのうえで本事例について考えると、約36年という別居期間は相当の長期間であるとし、未成熟子がいないことから、本事例の請求は、先に示した特段の事情がない限り、認めるべきだとしました。そして、特段の事情があるかどうかについてさらに審理する必要があるとして、原審に差し戻す判決を下しました。

有責配偶者からの離婚請求が認められなかった判例

最高裁 平成16年11月18日第一小法廷判決

事案の概要

極端に清潔好きである妻との生活に不快感を覚え、不貞行為をした夫が離婚請求をした事例です。

裁判所の判断

最高裁は、夫婦関係はすでに破綻していること、そしてその原因は夫の不貞行為であることを認めています。
そのうえで、①別居期間は約2年4ヶ月であり、双方の年齢や同居期間(約6年7ヶ月)との対比において相当の長期間であるとはいえないこと、②7歳の子供が存在すること、③妻は子宮内膜症のため就職して収入を得るのが難しく、離婚によって精神的・経済的に苛酷な状況になるのは明らかであることから、有責配偶者である夫からの離婚請求を認めませんでした。

どちらにも有責性があったケースの判例

最高裁 平成5年11月2日第三小法廷判決

事案の概要

暴力を振るい、生活費を全く負担しない夫との婚姻を継続する意欲を失い、不貞行為をした妻が離婚請求をした事例です。

裁判所の判断

原判決は、暴力行為や陰湿な嫌がらせを繰り返した夫にも相当の責任があることは明らかであるけれども、妻の不貞行為が婚姻関係の破綻を決定的なものにしたというべきであるとして、夫婦関係の破綻について主に責任があるのは妻であるとしました。

ただ、有責配偶者である妻からの離婚請求ではあるものの、①双方の年齢と17年2ヶ月の同居期間に対し、別居期間は9年8ヶ月と相当の長期間に及んでいること、②2人の子供はともに成年に達していて未成熟子ではないこと、③夫は実母らと同居していて、妻との婚姻共同生活を回復することに対して積極的な意欲はうかがえず、離婚によって精神的・社会的・経済的に苛酷な状態におかれるとは認められないことから、離婚請求は認められると判断しました。

そして、最高裁はこの原判決の判断は相当であると判決を下し、有責配偶者である妻からの離婚請求を認めました。

有責配偶者と離婚に関するQ&A

Q:

有責配偶者かどうかは誰が決めるのですか?

A:

どちらが有責配偶者であるか、争いがあるときは最終的には裁判所が決めます。具体的には、夫婦双方が主張・立証する内容を確認し、認定した事実関係から、夫婦それぞれの有責性と、何が夫婦関係を破綻させる主な原因になったのかを考えます。そして、主な原因になった行為をした方を、有責配偶者であると判断します。

Q:

モラハラは有責配偶者に認定されますか?

A:

モラハラをしていた者は、有責配偶者に認定される可能性があります。

モラハラとは、暴言を吐いたり、侮辱したりなどして、言葉や態度で相手の心を傷つける行為のことで、DVの一種です。その内容や程度によっては、法定離婚事由の一つである「その他婚姻を継続し難い重大な事由」になる可能性があります。そのため、モラハラを離婚原因として主張できる可能性はありますし、主な離婚原因だと認められれば、モラハラをしていた者が有責配偶者となります。

下記の記事では、モラハラを理由とした離婚について詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

Q:

有責性を証明するための証拠に有効期限はありますか?

A:

証拠に有効期限はありません。
相手の有責性を証明するために集めた証拠が無駄になることはないので、ご安心ください。

ただし、有責配偶者に離婚の慰謝料を請求する権利には時効があるので気をつけましょう。時効期間は、基本的に離婚してから3年間です。

離婚後に不貞行為が発覚したというケースもあるかと思いますが、この場合は、発覚した時から3年間が時効期間となります。しかし、気づくのが遅れたとしても、不貞行為が始まってから20年が経過していると時効になり、不貞行為を理由に慰謝料を請求することはできなくなってしまいますのでご注意ください。

Q:

借金は有責事由になりますか?

A:

借金があることだけで、ただちに有責事由にはなりません。借金にも様々な種類があるからです。

例えば住宅ローンや自動車ローンのように、夫婦が生活するうえで必要であるために負ったものであれば、有責事由にはならず、裁判所は借金を理由とする離婚請求を認めることは基本的にありません。

しかし、相手の了承を得ずに、ギャンブルや高級ブランド品の購入といった自分だけの利益のために負った借金であれば、状況は異なってきます。夫婦の一方がそういった浪費により借金を作ったことで婚姻関係が破綻した場合は、借金は有責事由になり、離婚が認められる可能性があるでしょう。

Q:

有責配偶者に対して、養育費や婚姻費用を支払う必要はありますか?

A:

相手が有責配偶者だとしても、相手が親権を得て子供の面倒を見る場合には、離婚後の養育費を支払う必要があります。

一方、離婚前の婚姻費用については、有責配偶者からの請求は認められないことがあります。ただし、婚姻費用のうち子供にかかる費用分は、通常、請求が認められるので支払う必要があります。

なお、離婚する際、有責配偶者に慰謝料を請求するケースもあるかと思います。このとき、有責配偶者から支払われる慰謝料と自分が支払う養育費を相殺したいと考える方もいるでしょう。しかし、法律上、慰謝料と養育費の相殺は認められていませんのでご注意ください。

有責配偶者がいる場合の離婚は、弁護士に依頼した方がスムーズに進みやすくなります

有責配偶者と離婚したい方、自分が有責配偶者だけど離婚したい方、いずれの場合も、話し合いで相手の同意が得られなければ、最終的には裁判で決着をつけることになります。ご本人同士の話し合いだとどうしても感情的になってしまいがちですが、弁護士が交渉にあたることで、スムーズに話し合いを進められる可能性があります。

また、裁判を行うことになったとしても、弁護士なら法的観点から適切な主張・立証をすることができるため、ご自身で対応するよりもスムーズに手続きを進められますし、離婚が認められる可能性もあります。

離婚の話し合いから裁判に至るまで、弁護士によるサポートを一貫して受けられるというのは、身体的・精神的な負担の軽減にも繋がるでしょう。ご不安がある方は、まずは弁護士にご相談ください。

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監修:谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員 弁護士
保有資格弁護士(愛知県弁護士会所属・登録番号:41560)

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