未払い養育費の回収|法改正で差押えが容易に

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治

監修弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員

養育費について取り決めたにもかかわらず、養育費が支払われなくなったら、相手への不信感や経済的な不安が高まってしまうのは当然です。

こうした養育費の未払い問題が起こったとき、回収するためには具体的にどうしたら良いのでしょうか?本ページで詳しく確認していきましょう。

また、養育費の未払いに関して調べていると、「法改正によって未払い養育費が回収しやすくなった」といった内容を目にすることがあるかと思います。この点についても解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

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取り決めた養育費が未払いになったらどうすれば良い?

離婚する際や離婚した後に養育費について取り決めたとしても、一切支払われなかったり、途中から支払いが止まってしまったりするなど、取り決めた内容どおりに養育費を支払ってもらえないというケースは少なくありません。

養育費が未払いになった場合、回収方法はいくつかあります。しかし、養育費の取り決め方、具体的には債務名義の有無によって、とれる方法は変わってきます。なお、2020年4月に民事執行法が改正されたことで、養育費を回収できる可能性が高まっています。

未払い養育費を回収するためにどうしたら良いのか、最初に行うべきことから順番に確認していきましょう。

未払い養育費を回収するためにまず行うこと

まずはメールや電話などで相手に支払うよう催促する

まずはメールや電話、手紙、LINEなどで相手に連絡を取り、養育費を支払うよう催促します。その際には、きちんと支払期限を決めて伝えることが重要です。「養育費を振り込むのを忘れていた」という理由で未払いになってしまっていた場合等には、催促することで、養育費を支払ってもらえる可能性があります。

この方法は、時間も費用もかからない最も手軽に行える方法といえますが、相手と連絡を取るなかで、感情的になって争いになってしまうおそれもありますので、落ち着いた対応を心がけましょう。

内容証明郵便を出す

相手に連絡を取って養育費を請求したものの、支払いに応じてくれない場合、次なる手段として考えられるのが、「内容証明郵便を出すこと」です。

内容証明郵便とは、いつ・誰が・誰宛てに・どのような内容の郵便物を出したのかを、郵便局が証明してくれるというサービスです。利用するには、内容証明郵便を取り扱っている郵便局に、送付したい文書と、その内容を写した謄本2通(差出人(ご自身)と郵便局の保管用)、差出人と受取人の住所・氏名を記載した封筒を持って行き、必要な料金を支払います。

必要な料金は、郵便物の大きさ・重さや、送付したい文書に応じた謄本の枚数によって異なります。また、すべての郵便局で出せるわけではないので、郵便局に行く前に、内容証明郵便を取り扱っているかどうか、確認しておくことをおすすめします。なお、記載内容は、受け取った相手が養育費の支払いに応じざるを得ないと感じるような内容にしましょう。

内容証明郵便を出して養育費を請求し、相手にプレッシャーを与えることで、請求に応じてくれる可能性があります。さらに、弁護士に内容証明郵便の作成・送付を依頼すれば、差出人が「弁護士」となっていることから、相手に与えるプレッシャーはより大きくなるでしょう。

内容証明を送りたいが相手の住所がわからないとき

送り先の相手の住所がわからないと、内容証明を送ることができません。相手の戸籍から住民票をたどり住所を調べることはできますが、離婚して赤の他人となっている状況では、一般の方がこの方法をとるのは難しいでしょう。

そこで、弁護士に依頼して相手の住所を調べてもらうという手があります。弁護士なら、「職務上請求」によって相手の戸籍謄本や住民票の写し等を取り寄せ、住所を調べることができます。職務上請求とは、職務を遂行するうえで必要な場合に、戸籍謄本や住民票の写し等を請求できるという制度のことで、弁護士等の一定の士業に認められています。

それでも養育費が支払われない場合の回収方法

メールや電話などによる催促、内容証明郵便での請求、いずれの方法を行っても養育費が支払われない場合、次にとれる方法は、養育費の取り決め方によって異なります。ポイントは、養育費について取り決めた内容を記載した「債務名義」があるかどうかです。

「債務名義」と聞いてもピンとこない方もいらっしゃるでしょうから、まずは債務名義とは何なのか?ということから解説していきます。

債務名義とは

債務名義とは、裁判所や公証役場等の公的機関によって作成された、債権の存在(例:養育費を請求する権利があること)を明らかにし、強制執行を許可した文書のことです。主な債務名義の種類には、次のようなものがあります。

公正証書
(※強制執行認諾文言付のもの)
公証役場の公証人によって作成される文書を「公正証書」といい、なかでも「強制執行認諾文言」が記載されているものが「債務名義」となります。
当事者間の話し合いによって取り決めをした場合には、公正証書の作成をおすすめします。
調停調書 裁判所の調停委員会を間に挟んで話し合う「調停」の手続きで、合意した内容をまとめた文書です。調停が成立した場合に、裁判所によって作成されます。
審判書 主に調停が成立しない場合に、裁判官の判断で結論を出す「審判」の手続きで、裁判官が判断した内容をまとめた文書です。審判がなされたときに、裁判所によって作成されます。
和解調書 裁判を行うことになったものの、当事者同士が譲り合い、裁判所が関わって和解(裁判上の和解)が成立することがあります。このとき、裁判所によって作成される、和解の内容をまとめた文書です。
判決書 裁判を行い、当事者の主張・立証や尋問等を経て、裁判所が下した判断の内容をまとめた文書です。

下記のページでは、債務名義の種類のうち「公正証書」について、特に「養育費の公正証書」にスポットを当てて解説しています。こちらもぜひご覧ください。

債務名義がある場合の未払い養育費の回収方法

裁判所による履行勧告

債務名義がある場合のうち、調停や審判といった家庭裁判所の手続きによって養育費の取り決めをしたケースでは、未払い養育費の回収方法として、「履行勧告」という手続きを利用することができます。

履行勧告とは、調停や審判等で決めた内容を相手が守らない場合に、家庭裁判所から相手に対し、書面や電話等により、決めた内容を守るよう勧告したり、説得したりしてくれる制度です。利用するには、調停や審判等を行った家庭裁判所に申し立てる必要があるのですが、費用はかからず、当事者にとって利用しやすい制度といえます。

ただ、履行勧告では、家庭裁判所はあくまで勧告や説得をするのみであるため、相手に未払い養育費を支払うよう強制することはできません。

履行勧告でも支払われない場合は履行命令

履行勧告も無視されてしまい支払われないようなら、次なる手段として「履行命令」の手続きを利用しましょう。履行勧告と同じく、債務名義がある場合で、家庭裁判所の手続きを通して養育費の取り決めをしたケースでのみ利用できる方法です。

履行命令の手続きを利用すれば、家庭裁判所から相手に対し、期限を定めたうえで、取り決め内容を守るよう命じてもらうことができます。なお、履行命令を申し立てる際には、手数料として500円分の収入印紙が必要になります。

履行命令がなされたにもかかわらず、正当な理由なく従わなかったときは、10万円以下の過料に処せられます。過料があるというプレッシャーから、相手が未払い養育費の支払いに応じる可能性はあるものの、履行勧告と同様、支払いを強制することは叶いません。

履行勧告や履行命令でも支払われない場合は強制執行

履行勧告や履行命令を行ってもなお相手が支払いに応じてくれない場合、未払い養育費を回収するための最終的な手段となるのが「強制執行」です。ただし、裁判所に強制執行の申立てができるのは、債務名義がある場合に限られます。

強制執行して、相手の財産を差し押さえることができれば、未払い分を強制的に支払わせることが可能になります。

養育費の強制執行について、詳しい内容は下記のページをご覧ください。

法改正により相手の財産の差押えがしやすくなった

強制執行するにあたっては、差押えの対象となる相手の財産を明らかにしなければなりません。しかし、離婚した元配偶者が今どこで働き、どのような財産を持っているのか、ご自身で調べるというのはとても大変なことです。「財産開示手続」といって、相手を裁判所に呼び出し、財産状況を教えるよう求める手続きもあるのですが、相手が無視した場合等の罰則の規定がないことなどから、利用しても効果が低いと言われていました。

そこで2020年4月に実施されたのが、民事執行法の改正です。この法改正により、「財産開示手続」について、罰則の規定が設けられたり、利用できる者の範囲が広がったりと、制度が拡充されました。加えて、新たに「第三者からの情報取得手続」という制度が作られ、金融機関や市区町村といった第三者に対し、裁判所を通して相手の財産状況や勤務先等を教えるよう求めることができるようになりました。

こうして相手の財産を調べる方法が整備されたことで、以前よりも相手の財産の差押えがしやすくなり、結果として、未払い養育費を回収できる可能性が高まったといえます。

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債務名義がない場合の未払い養育費の回収方法

口約束だけで養育費の取り決めをしたり、話し合って決めた内容を書面にまとめたけれど公正証書にはしていなかったりするケースもあるでしょう。このように債務名義がない場合、メールや電話などで催促したり、内容証明郵便を出したりしても相手が支払いに応じないのであれば、まずは債務名義を取得することから始めなければなりません。具体的には、裁判所に「養育費請求調停(または審判)」を申立て、裁判所の手続きで、改めて養育費について決めていくことになります。

未払い養育費の請求に時効はある?

取り決めをしていたものの、未払いとなってしまった養育費の請求には時効があり、時効期間は基本的に「5年」です。つまり、本来支払われるはずであった支払日の翌日から5年を過ぎると、未払い養育費は請求できなくなってしまうということです。

ただし、調停・審判・裁判といった、裁判所の手続きで養育費の取り決めをしていた場合には、時効期間が「10年」になることがあります。時効期間が10年になるのは、取り決め内容が確定した時点(調停の成立日、審判・判決の確定日等)で、すでに支払日を迎えていた未払い分に限られます。この場合、時効期間は、取り決め内容が確定した日の翌日から数えます。

相手の状況の変化により、養育費が未払いになった場合

最初のうちは養育費が支払われていても、相手の状況の変化により、養育費が支払われなくなるケースもあります。例えば、再婚する、再婚相手との子供が生まれる、リストラされる、病気や怪我により休業せざるを得なくなるといったことが、養育費の未払いに繋がり得る状況の変化として挙げられます。

このようなケースでは、相手から「養育費の金額を減らしてほしい」と言われることが予想されます。減額請求をされたら、どう対応したら良いのでしょうか?続けて見ていきましょう。

相手から養育費の減額請求がきた場合の対応

相手から養育費の減額請求がきた場合、一度決めた内容の変更を求められているのですから、感情的になってしまうかもしれません。しかし、養育費は子供の成長に欠かせないものであり、今後も未払いが続くと困ってしまいますので、子供のことを第一に考え、冷静に対応するようにしましょう。

養育費の減額請求がきたら、まずは相手と養育費について再度交渉します。交渉しても意見がまとまらないときは、相手から「養育費減額請求調停」を申し立てられることが予想されます。調停を行ったものの、合意できずに不成立となってしまった場合には、裁判官が養育費の減額を認めるか否かを判断し、審判がなされることになります。

結果的に、調停や審判で養育費を減額することになった場合は、「調停調書」や「審判書」という債務名義が作成されます。そのため、減額した後の養育費も支払われないという事態が生じたときは、すぐさま強制執行を申し立てることが可能です。

養育費の未払いを防止するためには必ず公正証書を作成

本人同士で話し合い、養育費の取り決めをした場合、たとえ争うことなく円満離婚したとしても、取り決めた内容は書面にまとめ、公正証書を作成しておくべきです。口約束のみだと証拠がないため、相手としてはいくらでも言い逃れができてしまい、養育費が未払いとなってしまうリスクが高くなります。

しかし、公正証書を作成しておけば、相手は「そんな約束をした覚えはない」などとは言いにくいでしょう。公正証書は、基本的に当事者双方が公証役場に行き、2人の意思を確認しながら作成されるものだからです。

なお、仮に養育費の未払いが発生してしまっても、すぐに強制執行の手続きを行えるよう、「強制執行認諾文言付の公正証書」の作成をおすすめします。

逃げ得を許さない!養育費の未払いで困ったら、弁護士へご相談ください

養育費を支払うと約束したのに、約束を破り、養育費を支払わずに逃げてしまう人もいます。これまでは、相手に逃げられてしまった場合、対抗することは難しい状況でした。しかし、現在は法改正により、未払い養育費を回収しやすい環境が整えられています。

養育費は、子供の成長を支えるために大切なお金です。養育費の未払いが発生したときは、適切に対処し、回収を図っていきましょう。もし、相手とのやりとりに不安を抱いているのであれば、弁護士に任せるという手もあります。弁護士に任せれば、相手とのやりとりはもちろん、必要な裁判所の手続きも代わりに行ってもらえます。

弁護士法人ALGでは、離婚問題を集中的に取り扱う事業部を設けており、離婚に関する様々な問題を解決してきた実績が豊富にあります。養育費の未払いについてお困りのときは、ぜひ弁護士法人ALGにご相談ください。

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