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知っておきたい子供の認知と養育費の関係

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治

監修弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員

婚姻をせずに未婚で子供を出産した場合、認知の手続きをしないと、父親である相手と子供の間に法律上の親子関係が発生しません。
また、父親である相手が子供を認知しているかどうかは、養育費にも影響してきます。

本記事では、“認知される子供のメリット”や、“認知後の養育費について”、“相手が認知してくれない場合の対応の流れ”など、「認知と養育費」に焦点をあて、詳しく解説していきます。

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認知とは

認知とは、婚姻関係にない男女の間に生まれた子供(非嫡出子)について、男性が自身の子であると認めて、自身と子供との間に法律上の親子関係を発生させることをいいます。

認知されると、子の戸籍の【父】の欄に父親の氏名が記載され、父と子供の間には扶養義務や相続権が発生します。

認知される子供のメリット

子供が認知されると次のようなメリットがあります。

  • 父親に養育費の請求ができる
  • 父親の遺産の相続権が発生する
  • 父親を親権者にすることができる

それぞれ詳しく解説していきましょう。

父親に養育費の請求ができる

子供が認知されると、母親は父親に養育費を請求できるようになります。
認知によって法律上の親子関係が発生し、父親は子供の扶養義務を負うからです(民法877条1項)。

もし、父親から養育費の支払いを拒まれても、父親が子供の扶養義務を負っていれば、養育費請求調停や審判を申し立て、養育費を請求することができます。
一方で、認知がされていない場合でも、父母間の取り決めで養育費の支払いを合意することはできます。

しかし、父親が養育費の支払いについて話し合いに応じなかったり、話し合っても合意ができなかったりした場合、父親は扶養義務を負っていないので、母親は養育費請求調停や審判を申し立て、養育費を請求することはできません。

父親の遺産の相続権が発生する

認知をすると、父と子の間に法律上の親子関係が発生しますので、父親が亡くなったとき、子供は父親の相続人となります(民法887条1項)。

認知された非嫡出子(婚姻関係にない男女の間に生まれた子供)の法定相続分は、以前は、嫡出子(婚姻関係にある夫婦の間に生まれた子供)の半分と定められていましたが、平成25年12月の民法改正により、嫡出子の法定相続分と同等となりました。

なお、認知した子供が亡くなったときは、その子に孫やひ孫などの直系卑属がいなければ父親に相続権が発生します(民法889条1項1号)。

父親を親権者にすることができる

非嫡出子の親権者は母親となります。

父親が認知すると、法律上の親子関係が生じますが、当然には親権者とはなりません。
父母の話し合いにより、父親を親権者と定めた場合、父親が親権者になります(民法819条)。

話し合いでは折り合いがつかなければ、家庭裁判所に「親権者変更調停」を申し立て、親権者を父親に変更する許可を得ることができれば、父親が親権者になります。

認知後の養育費について

次に、認知後の養育費はいつからいつまで請求できるのか、養育費の相場はいくらなのか、などを説明していきましょう。

いつから請求できる?

離婚の場合、養育費は、請求を行った時点から支払いが認められるのが一般的です。
一方で、認知の場合は、認知後に養育費の請求ができるようになります。認知によって父と子供の間に法律上の親子関係が発生してはじめて、養育費の請求権が発生するためです。

では、認知後に養育費を請求する場合、出生時に遡って支払いが認められるのか、それとも請求時からしか支払いが認められないのでしょうか。

法律上、明確な基準はありませんが、過去の判例には、認知した子供の養育費について、出生時に遡って養育費の支払い義務があると判断したものがあります(大阪高等裁判所 平成16年5月19日判決)。

この判例は、母親が子供を出生後、裁判所に認知の申し立てを行い、認知審判の確定後すぐに父親に対し養育費の分担を求める調停を申し立てた事例です。

裁判所は、母親が認知・養育費について、出生後、迅速な申し立てを行った点に配慮し、民法784条の認知の遡及効の規定(認知の効力は出生時に遡って発生する)に従い、養育費についても、出生時に遡って支払い義務を認めました。

したがって、養育費をできる限り長い期間受け取るためには、出生後速やかに認知・養育費の請求の手続きをとることが大切です。認知が認められる前であっても、養育費を請求する旨記した内容証明郵便を送付するなどして早い段階で養育費請求の意思を明確にしておくのもいいでしょう。

いつまで請求できる?

養育費をいつまで請求できるかは、法律上きまりはありませんので、相手と話し合って自由に決めて問題ありません。
一般的には、「子供が社会的・経済的に自立するまで」と考えられているため、「満20歳まで」とされています。

とはいえ、20歳になっても子供が自立しているとは限りませんので、家庭の事情によっては、「4年生大学卒業まで」とすることもあります。
※実際には「4年生大学卒業が予定される22歳に達した後の3月まで」とより明確に期間を指定することが望ましいとされています

また子供が病気やケガなどで障害をもち、自立するのが難しい場合は、養育費の支払い期間が長期にわたるケースもあります。

「養育費の支払いはいつまでなのか」について、下記ページでも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

養育費の相場

認知された子供(非嫡出児)の養育費の算定方法や相場は、婚姻関係にある男女の間に生まれた子供(嫡出児)と何ら変わることはありません。

認知された子供(非嫡出子)の養育費も、嫡出子の養育費と同じ方法で相場を計算して請求できます。
養育費の相場は、裁判所が公表している「養育費算定表」を参考に算定するのが一般的です。
養育費算定表は父母それぞれの年収と子供の年齢と人数で算出します。

例えば、【父親:年収500万円(給与所得者)、母親:年収100万円(給与所得者)子供0歳・1人】のケースでは、養育費の相場は4万~6万円となります。

弁護士ALGでは、下記ページに簡単に養育費の相場を計算できる「養育費計算ツール」を作成しています。ぜひご活用ください。

取り決めの際に公正証書をすすめる理由

認知後、話し合いで養育費の取り決めができた場合は、強制執行認諾文言付の公正証書を作成しておくことをお勧めします。

養育費は子供が自立するまで長い年月に渡って継続的に支払ってもらうものです。養育費の支払期間中に突如支払われなくなったとき、公正証書を作成しておくと、強制執行の手続きを行うことができ、相手の給与や預貯金などの財産を差し押さえられます。

また、公正証書は当事者双方が公証人の前で内容を確認して作成しますので、合意した内容について後々のトラブルを防ぐこともできます。

公正証書を作成するときは、支払金額、支払期日、支払方法、支払期間など養育費の内容をしっかり取り決めておきましょう。

相手が認知してくれない場合の対応の流れ

まず認知には次のとおり2種類あります。

任意認知 父親が自分の意思で子供の父親であると認めること
強制認知 父親から認知に応じてもらえない場合に、裁判所の手続きで強制的に認知させる方法

任意認知で認知してくれない場合は、次の強制認知の方法で行うことになります。
詳しく流れや手続きの方法をみていきましょう。

①家庭裁判所に認知調停を申し立てる

家庭裁判所での裁判官や調停委員との話し合いを通して、認知を求める手続きです。
お互いの話や提出資料からでは子供の父親であるか明らかにならない場合はDNA型鑑定が行われる場合もあります。

調停がまとまり、父親が認知に合意すれば、合意に従った審判がなされます。
審判確定後、審判書謄本、確定証明書、認知届を役所に提出すれば、公的に認知されたことになります。

認知調停を申し立てる対象者(申立人)、管轄裁判所、必要書類、必要な費用は次のとおりです。

申立人 子供、子供の直系卑属(孫、ひ孫など)、子または子の直系卑属の法定代理人(母親など)
管轄裁判所 父親(相手方)の住所地の家庭裁判所、または当事者間で合意した家庭裁判所
必要書類 申立書、連絡先等の届出書、進行に関する照会回答書、子・相手方の戸籍謄本、離婚後300日以内に出生した出生届未了の子に関する申立ての場合は、子の出生証明書の写し及び母親の戸籍謄本
必要な費用 収入印紙1200円分、連絡用の郵便切手(裁判所によって金額は異なる)
場合によっては、DNA鑑定費用(10万円程度、基本的に申し立てた側が費用を負担する)

②家庭裁判所に認知の訴え(裁判)を提起する

認知調停で、相手方から認知の合意が得られない、そもそも相手が調停に出廷しなかったなどの場合は調停不成立となります。

調停不成立後も認知を求めたい場合は、家庭裁判所に認知の訴えを提起して、裁判所が認知について判決を下します。
判決確定後、判決書謄本、確定証明書、認知届を役所に提出すれば、公的に認知されたことになります。

認知を訴える者(原告)、管轄裁判所、必要書類、必要な費用は次のとおりです。

原告 子供、子供の直系卑属(孫、ひ孫など)、子または子の直系卑属の法定代理人(母親など)
管轄裁判所 原告または被告(父親)の住所地の家庭裁判所、または当事者間で合意した家庭裁判所
必要書類 訴状、証拠書類、原告・被告及び子の戸籍謄本
必要な費用 収入印紙13000円分、連絡用の郵便切手(裁判所によって金額は異なる)
DNA鑑定費用(10万円程度、基本的に原告側が費用を負担する)

強制認知は父親が生存中または死亡後3年以内に裁判所に申し立ての手続きをしなければなりません。

強制認知の方法である調停や裁判などを行う前に、当事者間でDNA鑑定を行い、鑑定結果をもとに話し合いで認知を求めたり、弁護士に依頼して認知に応じてもらえないか交渉したりする手段も有用です。

子供の認知と養育費についてのQ&A

Q:

子供を認知しない相手に養育費を請求することはできますか?

A:

相手が子供を認知していなくても、相手に養育費を請求して支払いの合意ができれば、養育費を受け取ることができます。

しかし、相手(父親)が養育費の支払いを拒否している場合、認知されていない子と相手(父親)の間には法律上の親子関係がないため、相手は養育費を支払う義務を負いません。そのため、相手(父親)に養育費請求調停や審判を申し立てることができません。

裁判所の手続きで養育費の支払いを命じてもらうためには、その前に認知を求める手続きを行い、法律上の親子関係を発生させる必要があります。

Q:

認知した子供の養育費の支払いを拒否することはできますか?

A:

認知していれば、法律上の親子関係が発生しているため、親は子供を扶養する義務があります。
したがって、親は子供に養育費を支払う義務がありますので、基本的に養育費の支払いを拒否することはできません。

強制執行認諾文言付公正証書や調停・裁判などで養育費を取り決めている場合は、養育費を支払わないでいると、強制執行の手続きによって、給与や預貯金などの財産を差し押さえられるおそれもあります。

ただし、リストラや病気・ケガに遭い、失業した、または収入が減少したなどのやむを得ない事情により養育費が支払えない場合は、養育費を減額、または免除される可能性があります。

Q:

相手が認知した子供の養育費を払わないのですが、対処法はありますか?

A:

養育費の支払いについて、強制執行認諾文言付の公正証書や裁判所の調停・審判手続きで取り決めている場合は、直ちに相手の財産(給与や預貯金)に強制執行を行うことができます。

もっとも、強制執行を行うには手間と費用がかかりますので、まずは、相手に直接、養育費を支払うように督促しましょう。話しあいが進まない場合には内容証明郵便で請求してもいいでしょう。

公正証書や調停調書・審判書がない場合には、裁判所に養育費請求調停を申し立てます。
調停の話し合いで合意ができれば調停成立となります。

他方で、調停では養育費について合意できない、そもそも相手が調停に出席せず話し合いができない場合は、調停不成立となり、自動的に審判手続きに移行して、裁判官が養育費について決定を下します。

養育費について調停や審判で取り決めができれば、調停調書や審判書にもとづき、強制執行の手続きが可能となります。

認知には養育費の請求ができるなどのメリットがあります。認知についてお困りの場合は、早めに弁護士にご相談ください

婚姻をせずに妊娠して出産予定の方、もしくはすでに未婚で子供を出産した方で、認知についてわからないことがある、養育費をもらえるかどうか不安という場合には、弁護士にご相談ください。

認知の手続きは、相手が任意で応じてくれればスムーズにいきますが、相手が認知を拒否している場合は裁判所の手続きが必要となります。
養育費も、子供の父親となる相手が任意で支払ってくれればいいのですが、支払が拒否されている場合は、認知がないと父子関係が発生しないので養育費を請求できません。

弁護士に相談いただければ、ご自身の状況を伺い、専門的な知識をもとに、最良の方法で認知の手続きと養育費の請求ができるようにサポートさせていただきます。
また弁護士が父親となる相手と交渉(話し合い)をすることも可能です。

子供の養育費は、生まれたときから、子供が社会的・経済的に自立するまで長い年月に支払うものですから、総額にすると、かなり大きな金額となります。養育費をもらいそびれることがないように、出生後、できるだけ早めに認知の手続きを行い、養育費を請求すべきです。

1人で抱え込まずに、まずはお気軽に弁護士法人ALGにお問合せください。

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監修:谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員 弁護士
保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:41560)

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