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3号分割とは? 請求するべきはどういうケース?

弁護士法人ALG 弁護士 谷川 聖治

監修弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates

離婚するときに、財産分与や養育費、慰謝料などの条件を取り決めますが、「年金分割」についてお忘れではないでしょうか?

年金分割は、離婚したあとの老後の生活を支える重要なものです。
年金分割には、「3号分割」と「合意分割」があります。

本記事では、“年金分割の3号分割とはどういったものなのか”、“3号分割の注意点”、“3号分割に必要な書類と手続きの流れ”など、年金分割のなかの「3号分割」に特化して詳しく解説していきます。

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年金分割とは?

年金分割とは、わかりやすくいうと、離婚したときに夫婦2人の婚姻期間中の厚生年金を分割して、それぞれ自分の年金にすることができる制度です。

年金分割制度は夫婦のどちらか、または2人ともが、会社員や公務員など厚生年金加入者の場合に利用ができる制度であり、離婚したときに厚生年金の保険料納付記録を多い方から少ない方へと分割します。国民年金は分割の対象となりません。

年金分割の方法は「3号分割」と「合意分割」の2種類があります。

年金分割は、みずから年金事務所に出向いて、請求の手続きをしなければならないという特徴があります。
離婚をした時に、自動的に年金分割も行われるものではないため注意が必要です。

また、年金分割の手続きは、いつでもできるわけではありません。離婚をした日の翌日から起算して2年が経過すると、請求できなくなってしまいます。また、すでに離婚が成立し年金分割についての合意後に相手が死亡した場合にも、相手が死亡した日から起算して1ヶ月を経過すると年金分割の請求ができなくなります。

年金分割の3号分割とは?

国民年金の被保険者は、保険料の納付方法の違いなどによって、次の3種類に分かれています。

第1号被保険者
  • 日本国内にお住まいの20歳以上60歳未満の自営業者、農業者、学生、無職の人
  • 上記の配偶者
  • 厚生年金保険や共済組合等に加入しておらず、第3号被保険者でない人
第2号被保険者 厚生年金保険や共済組合などに加入している人
(ただし、65歳以上の老齢基礎年金などを受ける権利を有している人は除く)
例:会社員、公務員
第3号被保険者
  • 第2号被保険者に扶養されている配偶者
  • 本人が20歳以上60歳未満
  • 年収130万円未満で健康保険の被扶養者
    例:専業主婦(主夫)、配偶者の扶養内で働くパートタイマー

3号分割とは、2008年4月以降の婚姻期間が対象で、第3号被保険者であった期間の配偶者の厚生年金記録を2分の1ずつ夫婦間で分割できる制度です。3号分割は、第3号被保険者からの請求によって認められ、夫婦間の合意は必要ありません。

なお、平成20年4月1日より前に第3号被保険者である期間があったとしても、その期間については3号分割をおこなうことはできません。

3号分割と合意分割の違い

合意分割とは、離婚の際に、年金をどのくらいの割合で分割するか、夫婦間での合意、または裁判所の手続きによって分割する方法です。合意分割による分割の対象となる年金は、夫婦の婚姻期間中の厚生年金(元共済年金も含む)の保険納付記録となります。
合意分割の請求は、公正証書を作成していなければ、当事者2人で一緒に最寄りの年金事務所に行く必要があります。

合意分割については、下記ページでさらに詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

3号分割と合意分割の違いは次の表のとおりとなります。

3号分割 合意分割
分割割合 一律に2分の1 最大2分の1の範囲内
手続き 合意の必要はなく、請求者1人で手続きが可能 夫婦双方の合意が必要で、相手の協力が必要(裁判手続きを利用する場合もあり)
分割の対象となる期間 平成20年4月以降に被扶養配偶者であった期間の厚生年金の保険料の納付記録しか分割されない 婚姻期間全体について、厚生年金の保険料の納付記録が分割される

3号分割をするための要件

3号分割は、離婚または事実婚関係を解消して、次の条件のいずれにもあてはまる場合に、国民年金第3号被保険者であった者からの請求によって、平成20年4月1日以後の国民年金第3号被保険者被保険者期間中の記録を分割できます。

  • 婚姻期間中に夫婦のどちらか一方が国民年金の第3号被保険者と認定され、その期間中(平成20年4月1日以降の部分に限る)の厚生年金記録があること
  • 請求期限(原則、離婚をした日の翌日から起算して2年)を経過していないこと

3号分割をすべきケース

3号分割すべきケースは次のような場合です。
3号分割の場合、離婚時に相手の同意なく厚生年金の保険料の納付記録を2分の1ずつ分割できるので、相手と割合などについて合意が必要となる合意分割より、比較的スムーズに手続きができ、将来もらえる最大限の年金額を確保できるでしょう。

  • 2008年4月1日以後に婚姻してから、第3号被保険者(専業主婦(主夫)、扶養内で働くパートタイマーなど)だった方
  • 2008年4月1日以後に婚姻して、共働き時の収入は配偶者より高額であったが、その後、子供が誕生するタイミングで第3号被保険者(専業主婦(主夫)、扶養内で働くパートタイマーなど)になった方

3号分割と合意分割が同時に適用されるケース

3号分割と合意分割が同時に適用されるケースもあるでしょう。その場合、まず3号分割が先に行われます。
そのため、3号分割が適用される期間については、3号分割による標準報酬の分割に加えて、合意分割による標準報酬の分割も行われることになります。

なお、3号分割と合意分割を両方請求できる場合は、合意分割を最寄りの年金事務所で請求すると、3号分割部分も請求があったとみなされて、改めて請求する必要はありません。

年金分割の計算方法や見込み額については、下記ページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

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3号分割の注意点

3号分割を行うときに注意が必要な点があります。
詳しく説明しておきましょう。

3号分割の請求期限

3号分割の請求期限は、原則として離婚した日の翌日から2年です。
請求期限である2年を経過してしまうと年金分割を請求できなくなってしまうので注意が必要です。
また離婚成立後に、相手が死亡した場合は、死亡した日から起算して1ヶ月を経過すると請求できなくなります。

3号分割と合意分割の両方適用がある場合は、合意分割の請求をすると、3号分割も請求されたとみなされます。しかしながら、合意分割で割合について相手と話し合いが難航していたり、裁判手続きに時間がかかっていたりして、合意分割の取り決めに時間がかかっている場合は、3号分割は合意分割のように期限を過ぎても特例がないため、3号分割のみ先行して年金事務所に請求しましょう。

分割の対象となる期間

3号分割の対象となる期間は、以下になります。

2008年4月1日以後の第3号被保険者期間であった期間

ただし、以下のような注意点があります。

  • 2008年3月31日以前の婚姻期間は、3号分割を行うことはできないが、合意分割の対象にはなる
  • 第3号被保険者期間は、第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満となるため、専業主婦(主夫)は60歳以上になると第3号被保険者ではなくなり、第1号被保険者となる
  • 20歳になる前や第1号被保険者であった婚姻期間は3号分割でなく合意分割の対象期間となる

分割の対象外となる年金

公的年金には「国民年金」と「厚生年金」があります(以前は、公務員は共済年金に加入していましたが、厚生年金に統合されました)。
離婚時に年金分割ができるのは、厚生年金部分のみとなります。
したがって、配偶者が自営業者や農業者など国民年金のみに加入している場合は、年金分割の対象となりません。

そもそも、自分の年金保険料を支払った期間が、保険料免除期間を含めて合計10年以上ないときは年金分割の対象外となります。

3号分割に必要な書類と手続きの流れ

3号分割の手続きをする際に役立つように「必要書類」と「手続きの流れ」を詳しく解説していきましょう。

必要書類

3号分割の手続きの際に、必要な書類は次のとおりです。

  • 標準報酬改定請求書
  • マイナンバーカード
  • 基礎年金番号通知書または年金手帳
  • 婚姻期間が明らかにできる当事者それぞれの戸籍謄本または戸籍抄本
  • 相手の生存を証明できる戸籍抄本または住民票

【離婚していない場合】
事実上離婚状態にあることを明らかにできる書類(住民票など)および双方が当該事情を認めている旨の申立書(二人共の署名があるものに限る)

手続きの流れ

3号分割の手続きは、次のような流れになります。

  1. ① 年金事務所に情報通知書の請求手続きをする
  2. ② 年金事務所から「年金分割のための情報通知書」の受け取る
  3. ③ 年金事務所に必要書類を持参のうえ、3号分割の請求を行う
  4. ④ 年金事務所から「標準報酬決定通知書」の受け取る

年金分割の手続き方法について、下記ページでさらに詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

3号分割に関するQ&A

Q:

相手が障害厚生年金の受給者の場合に、3号分割を請求することはできますか?

A:

相手が障害厚生年金の受給者の場合、3号分割の請求はできません。
障害厚生年金は、初めて医師の診察を受けたときに厚生年金に加入していた方が、病気やケガによって生活や仕事などを制限受ける場合に生活保障の一環として受け取ることができる年金です。

3号分割のように、請求者の意思のみによって納付記録が分割され、障害厚生年金の受給額が減ってしまうと障害年金制度の趣旨に反することとなり、障害者が受給する年金額が強制的に減らされるのは妥当ではないため、3号分割はできないとされています。

ただし、障害厚生年金受給者が、年金分割をすると受給額が減ることを理解したうえで、同意するのであれば、「合意分割」は可能となります。

Q:

離婚の際、年金分割をしない約束をした場合に、離婚後3号分割の請求をしたらどうなりますか?

A:

3号分割の請求は受理されて通ります。

年金分割は、個人が国家に対して持つ「公法上の権利」なので、個人間の合意によって失われることはありません。しかし、「年金分割をしない合意」を「協議や調停、審判をしない合意」と捉えれば、請求権自体はそのままに、協議や調停、審判を経て請求する合意分割をすることはできなくなります。

もっとも、この合意は、一方の請求により強制的に年金分割がなされる3号分割を禁止するものではないので、ご質問の場合には3号分割の請求が認められます。

Q:

3号分割をしたことはすぐに相手に通知されますか? また、どのような形で通知されますか?

A:

3号分割をすると、年金事務所から、改定・決定がされた旨が記載された「標準報酬改定通知書」が当事者それぞれに郵送で通知されます。
したがって、3号分割の手続きをすれば、相手は知ることになります。

3号分割の手続きに関するお悩みは弁護士が解決します

年金分割の3号分割は、自分名義での年金保険料の納付額が少ない方を守るため、離婚したときに、それまでの年金の実績を平等に分け合う制度です。

離婚を考えており、婚姻期間中に専業主婦(主夫)や扶養内で働くパートタイマーだった方は3号分割を請求できる可能性があります。
しかし、年金制度は複雑ですし、3号分割を請求できる要件を満たしているのか、実際にもらえる金額はどのくらいなのか、わからない点もあるかと思います。

まずは、年金問題でお困りのある方は、弁護士にご相談ください。
離婚問題について経験豊富な弁護士であれば、年金についてもわかりやすく、かつ正確な知識をお伝えし、きっちり年金分割ができるようにアドバイスいたします。また、手続き全般についてもサポートさせていただきます。
まずは、お気軽に弁護士法人ALGにお問合せください。

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保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:41560)

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