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専業主婦の年金分割はどうなる?いくらもらえる?注意点なども解説

弁護士法人ALG 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治

監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates

専業主婦でも、離婚時の「年金分割」により、夫の厚生年金記録の一部が分割され、将来の年金額が増える可能性があります。
ただし、手続きの内容は、夫の就労形態や婚姻期間、利用できる制度によって異なります。

本記事では、専業主婦が押さえておきたい年金分割の仕組み、受け取れる金額の目安、手続きの流れ、注意点などについて詳しく解説します。

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専業主婦が離婚したら年金分割できる?

専業主婦であっても、離婚時に年金分割を利用できる場合があります。

年金分割とは、婚姻期間中に納めた厚生年金の記録を、離婚時に夫婦間で分けることができる制度です。夫が会社員や公務員などとして厚生年金に加入していた場合は、年金分割の対象になります。
一方、夫が自営業者などで国民年金のみに加入している場合は、基本的に年金分割はできません。

離婚時の年金分割の条件・手続きの流れ・必要書類などについては、以下のページで詳しく解説しています。

夫が会社員・公務員の場合は年金分割できる

夫が会社員や公務員として働き、厚生年金に加入している場合には、離婚時に年金分割を利用できます。

年金分割の対象となるのは、婚姻期間中に夫が加入していた厚生年金の記録です。
夫が国民年金に加えて厚生年金にも加入していた場合、その期間の厚生年金記録を夫婦で分けることができます。
ただし、婚姻前や離婚後に夫が納めた厚生年金は、通常、年金分割の対象にはなりません。

また、国民年金は一人ひとりが加入する基礎年金であるため、年金分割によって分けることはできない点には注意が必要です。

夫が自営業・学生・フリーランスの場合は対象外

夫が自営業や学生、フリーランスなどで国民年金のみに加入している場合、年金分割はできません。
国民年金は一人ひとりが保険料を納める制度で、厚生年金のように給与や収入に応じて年金記録が変わる仕組みではないためです。

たとえば、夫が婚姻期間中ずっと個人事業主として国民年金だけに加入していた場合、妻が夫の国民年金を分割して受け取ることはできません。

ただし、婚姻期間中に夫が会社員や公務員として厚生年金に加入していた時期がある場合は、その期間に限り、年金分割を請求できる可能性があります。

専業主婦が知っておくべき年金分割の仕組み

年金分割には、「3号分割」と「合意分割」の2つの制度があります。
どちらが適用されるかは、婚姻期間や厚生年金への加入状況によって異なります。

  • 3号分割
    2008年4月以降の婚姻期間で、夫が会社員・公務員などの第2号被保険者、妻がその扶養に入る第3号被保険者(専業主婦など)だった期間が対象です。
  • 合意分割
    夫が会社員・公務員などの第2号被保険者で、主に共働きの場合に利用されます。
    2008年3月以前の期間や、3号分割の対象にならない期間も対象になります。

2008年4月を境に適用される制度が異なるため、自分の婚姻期間や加入状況を確認し、どちらの制度が利用できるのか把握しておきましょう。

3号分割

「3号分割」とは、夫の同意なしで婚姻期間中の厚生年金記録を夫婦間で分割できる制度です。
2008年4月以降、夫の扶養に入り、国民年金の第3号被保険者となっていた期間が対象となります。

対象となる期間については、夫婦の年金記録を2分の1ずつに分けることができ、夫の同意がなくても手続きを進められる点が特徴です。
年金事務所で請求手続きを行えば、夫の承諾書や印鑑を用意する必要はなく、妻が一人で手続きできます。
ただし、2008年3月以前の期間は3号分割の対象外となるため、別途、合意分割の手続きが必要です。

3号分割については、以下のページで詳しく解説しています。

合意分割

「合意分割」とは、夫婦で話し合って年金を分ける割合を決め、その合意に基づいて年金を分割する方法です。

対象となるのは、2008年3月以前の婚姻期間や、夫婦の双方が厚生年金に加入していた共働き期間などです。
按分割合(年金を夫婦で分ける割合)は最大で2分の1までとされており、話し合いで合意できない場合には、家庭裁判所に申し立てて割合を決めてもらうこともできます。
そのため、夫が年金分割に応じない場合でも、すぐに諦める必要はありません。

合意分割については、以下のページで詳しく解説しています。

専業主婦は年金分割でいくらもらえる?3号分割のシミュレーション

夫:厚生年金に30年間加入、平均年収500万円
妻:専業主婦
婚姻期間:20年間(婚姻期間20年間すべてが、2008年4月以降の第3号被保険者期間)

3号分割では、対象期間の夫の厚生年金の記録が2分の1に分割され、妻の年金に反映されます。
年収500万円を単純に月額換算すると約41.7万円です。その2分の1である約20.8万円を、妻の標準報酬として20年間(240か月)分反映させると考えます。

老齢厚生年金の報酬比例部分を「平均標準報酬額×5.481/1,000×加入月数」で簡易計算すると、

20.8万円 × 5.481/1,000 × 240か月= 約27.4万円/年

となります。

つまり、このケースでは、3号分割によって妻の老齢厚生年金が年間約27万円(月額約2.3万円)増えるイメージです。
※実際の年金額は、標準報酬月額や賞与などによって異なります。

年金分割の計算については、以下のページで詳しく解説しています。

専業主婦の年金分割手続きの流れ

  1. ① 年金事務所で情報通知書を請求する
    まずは年金事務所で「年金分割のための情報通知書」を請求します。分割の対象期間や年金記録を確認するために必要な書類で、離婚前でも請求できます。
  2. ② 届いた情報通知書の内容を確認する
    婚姻期間や厚生年金の加入期間などを確認し、記載内容に間違いがないかチェックします。
  3. ③ 分割割合を話し合う・調停などで決める
    合意分割が必要な場合は、夫婦で分割割合を話し合います。合意できない場合は、家庭裁判所の調停などを利用して決めることも可能です。
  4. ④ 年金事務所で年金分割の請求手続きを行う
    離婚後、必要な書類をそろえて年金事務所で請求手続きを行います。原則として、離婚成立日の翌日から2年以内に手続きが必要です。なお、法改正により、2026年4月1日以降に離婚した場合には、離婚した日の翌日から5年以内に手続きが必要となりました。
  5. ⑤ 標準報酬改定通知書を受け取る
    手続きが完了すると、年金事務所から「標準報酬改定通知書」が届きます。記載内容を確認すれば、年金分割の手続きは完了です。

年金分割の手続き、情報通知書については、以下のページで詳しく解説しています。

専業主婦の年金分割に関する注意点

専業主婦が年金分割を利用する際は、いくつか注意すべきポイントがあります。
手続きを進める前に、年金分割の仕組みや注意点を確認しておきましょう。

  • 年金分割の請求には期限がある
  • 離婚届を出しただけでは年金は分割されない
  • 厚生年金基金や確定給付年金は分割できない
  • 元夫が亡くなっても遺族年金は受け取れない

年金分割の請求には期限がある

年金分割(合意分割・3号分割)には請求期限があります。

  • 2026年4月1日以降に離婚した場合:離婚した日の翌日から5年以内
  • 2026年4月1日より前に離婚した場合:離婚した日の翌日から2年以内

期限を過ぎると年金分割を請求できなくなるため、注意が必要です。離婚が成立したら、期限を確認したうえで、早めに年金事務所で手続きを行いましょう。

なお、家庭裁判所で按分割合を決める必要があるケースでは、調停や審判に時間がかかることもあります。期限ぎりぎりになってから動き出すと、間に合わないおそれもあるため、早めに年金事務所や弁護士へ相談し、請求漏れを防ぎましょう。

離婚届を出しただけでは年金は分割されない

離婚届を提出しただけでは、年金分割の手続きは自動的に進むわけではありません。
年金分割を受けるには、離婚手続きとは別に、本人が年金事務所で請求手続きを行う必要があります。

夫婦間で分割に合意していても、年金事務所へ申請しなければ年金記録は実際には変更されません。
さらに合意分割では、分割割合を決めたうえで、必要書類をそろえて期限内に請求する必要があります。

離婚が成立したら、請求期限を意識しながら、早めに年金事務所で手続きを進めましょう。

厚生年金基金や確定給付年金は分割できない

企業が独自に設けている上乗せの年金制度は、年金分割の対象には含まれません。
そのため、厚生年金基金や確定給付年金、確定拠出年金といった企業年金などは、年金分割によって夫婦で分けることはできません。
年金分割で分けられる厚生年金記録と、企業年金などの資産は別に考える必要があります。

ただし、確定拠出年金などの資産は、離婚時に夫婦の共有財産として扱われ、財産分与の対象となる場合があります。年金分割と財産分与は手続きも対象も異なる制度であるため、どちらの手続きで扱うべきか確認しておくことが大切です。

確定拠出年金については、以下のページで詳しく解説しています。

元夫が亡くなっても遺族年金は受け取れない

年金分割を受けた後に元夫が亡くなっても、元妻が遺族厚生年金を受け取ることはできません。

遺族厚生年金は、亡くなった人に生計を維持されていた遺族が受け取る年金です。
離婚すると法律上の夫婦関係がなくなるため、年金分割を受けていたとしても、元妻は遺族厚生年金の対象にはなりません。

年金分割によって受け取れるのは、婚姻期間中の厚生年金記録の分割分であり、元夫の死亡によって別途遺族年金を受け取れるわけではない点に注意しましょう。

専業主婦の年金分割に関するよくある質問

Q:

専業主婦が離婚時に年金分割しないとどうなりますか?

A:

離婚時に年金分割の手続きをしなければ、婚姻期間中の厚生年金記録は分割されません。
そのため、専業主婦だった方は、年金分割によって将来受け取れるはずの「老齢厚生年金」(会社員や公務員などが老後に受け取る厚生年金)が少なくなる可能性があります。

年金分割は離婚後の生活にも関わるため、対象となるか確認し、忘れずに手続きを行いましょう。

Q:

専業主婦の年金分割で結婚年数が長いほど金額は増えますか?

A:

一般的には、婚姻期間が長いほど、年金分割によって将来受け取れる年金額は増える傾向にあります。

年金分割は、婚姻期間中の厚生年金の記録を分ける制度のため、対象となる期間が長くなるほど、分割される年金記録も多くなるからです。

ただし、婚姻年数だけで受け取れる金額が決まるわけではありません。
夫の厚生年金への加入期間や標準報酬などによっても金額は変わります。そのため、婚姻期間が長ければ必ず年金額が大きく増えるとは限らない点には注意しましょう。

Q:

専業主婦であることを理由に、夫から年金分割を拒否されたらどうすればいいですか?

A:

年金分割は法律で定められた制度です。そのため、年金分割の条件を満たしている場合、夫から「分割したくない」と言われても、基本的には拒否することはできません。
特に2008年4月以降の第3号被保険者期間については、3号分割を利用でき、夫の同意がなくても年金分割を請求できます。

一方、合意分割の対象期間について夫が話し合いに応じない場合は、家庭裁判所に調停や審判を申し立て、分割割合を決めてもらうことができます。当事者同士での解決が難しい場合は、弁護士への相談も検討しましょう。

専業主婦の年金分割で不安がある場合は弁護士にご相談ください

専業主婦であっても、離婚時には年金分割を利用できる場合があります。
3号分割と合意分割では手続きや対象となる期間が異なるため、自分の場合にどの制度を利用できるのかを確認することが大切です。また、年金分割には請求期限があるため、離婚を考え始めた段階から早めに準備しておきましょう。

弁護士法人ALGでは、年金分割だけでなく、離婚に伴う財産分与や慰謝料、養育費など、離婚に関するさまざまな問題についてご相談いただけます。複雑な年金分割の手続きや、夫との話し合いに不安を感じている方も、まずはお気軽にご相談ください。
これまでの事情を丁寧にお伺いし、将来の生活も見据えた解決を目指してサポートします。

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保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)
福岡県弁護士会所属。私たちは、弁護士131名、スタッフ240名を擁し(※2026年4月1日時点)、東京、札幌、宇都宮、埼玉、千葉、横浜、名古屋、大阪、神戸、姫路、広島、福岡、タイの国内外13拠点を構え、全国のお客様のリーガルニーズに迅速に応対することを可能としております。

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