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【養育費】法律上の支払い義務について|払わないとどうなるのか

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治

監修弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員

養育費とは、子供が社会人となり自立するまでの、衣食住、教育及び医療に要する費用をいいます。
養育費の支払いは、離婚後、親権をもたずに子供と離れて暮らす親(非監護親)が子供に果たすべき義務です。

しかし、養育費は長期間に渡って支払われるものですから、何らかの事情で、支払期間中に責任が果たせなくなるような事態が起こる可能性もあります。
だからこそ、養育費の支払い義務については最低限の知識や理解を深めておくべきです。

本記事では、“養育費の支払い義務”について焦点をあて、2020年4月に民事執行法の改正が施行されたことにも触れながら、詳しく解説していきます。

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養育費の支払いは義務

生活保持義務

離婚後、子供と離れて暮らす親(非監護親)は、子供と一緒に暮らす親(監護親)に対して、養育費を支払う法律上の義務があります。
離婚しても親子の関係が無くなるわけではありませんので、離婚後も親は子供に対する扶養義務を負っています。
したがって、非監護親は、扶養義務の履行として、養育費を支払わなければいけないのです。

養育費の支払義務は、民法で定められている「生活保持義務」となります。
生活保持義務とは、自分の生活レベルと同程度の生活を保障する義務をいいます。すなわち、非監護親は、自身と同水準の生活ができる程度の養育費を、扶養を受ける者(子供)に対して、支払っていくべきであるとされています。

非監護親が、「自分の生活に余裕がないので養育費は払えません」などといった理由で支払義務は免れるのは許されるものではなく、自身の生活水準を落としてでも払う必要があると考えられています。

いつまで支払う義務がある?

養育費の支払いは、“子供が社会的・経済的に自立するまで“と考えられています。

一般的に養育費の支払終期は、20歳までが目安とされています。
2022年4月から民法の一部改正により、成人年齢は18歳に引き下げられましたが、養育費の支払終期には、基本的に影響はないとされており、従前どおり20歳までと考えられています。
理由としては、成人年齢が18歳に変更されても、養育費は子供が社会的・経済的に自立するまで支払われるものであるということに変わりないからです。

ただし、両親の間で合意があれば、大学卒業時である「22歳の3月まで」や高校卒業時である「18歳の3月まで」などと取り決めても問題ありません。

「養育費はいつまで払うのか」については、下記ページでも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

いくら支払う義務がある?

【厚生労働省 令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果報告より】
母子家庭 父子家庭
平成28年度 4万3707円 3万2550円
令和3年度 5万0485円 2万6992円

養育費をいくら支払う義務があるのかについて、特段具体的な金額は定められていません。
両親の間で合意していれば、養育費の金額は自由に決めて問題ありません。

厚生労働省が発表した全国ひとり親世帯を対象にした調査によると、平成28年度及び令和3年度の養育費の1世帯平均金額は上記表のとおりとなっています(ただし、上記は養育費の支払を現在受けているまたは過去に受けたことがあり、金額の取り決めがされている世帯の平均であり、そもそも養育費の取り決めをしていない世帯が半数以上である点に留意が必要です。)。

父子家庭より母子家庭のほうが、養育費を受け取っている金額は多いのがわかります。

実際に養育費をいくらにするか決めるときは、裁判所のウエブページで公表されている「養育費算定表」を参考にするのが一般的です。
養育費算定表は、両親のそれぞれの収入と子供の人数・年齢によって養育費の相場がわかる早見表です。
調停や審判などの裁判所の手続きで養育費を取り決める場合は、養育費算定表で算定した金額を目安に話し合いが行われています。

弁護士法人ALGでは、簡易に養育費の相場がわかる「養育費計算ツール」を作成していますので、ぜひご活用ください。

義務者として養育費を支払わないとどうなる?

もし、養育費を支払わないとどうなるのでしょうか。
養育費の不払いで、法律上の罰則や刑罰を受けるわけではありませんが、次のような懸念が考えられますので念頭に置いておくべきです。

  • 強制執行をされる
  • 情報開示の請求の拒否や虚偽の申述は犯罪になる

次項より詳しく解説していきましょう。

強制執行をされる

養育費を調停、審判、裁判など裁判所の手続きで取り決めた場合や、強制執行認諾文言付公正証書を作成して取り決めた場合は、養育費を支払わないでいると強制執行の手続きにより、養育費を支払う側(義務者)の給与や預貯金などを強制的に差し押さえられ、支払われていない養育費を回収されてしまいます。

なお、給与の差し押さえは、一度差し押さえてしまえば、毎月強制執行の手続きをとる必要なく、将来の養育費の分まで継続的に差し押さえをすることができます。

ただし、養育費を強制執行するには、義務者(債務者)の現住所や、どのような財産があるのか、勤務先はどこなのかを把握しておく必要があります。

「養育費の強制執行」については、下記ページでも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

情報開示請求の拒否や虚偽の申述は犯罪になる

養育費の支払いが滞って、強制執行の手続きを申し立てするには、養育費を支払う側(義務者)の財産を把握しておく必要があります。

裁判所を通して本人に財産開示させる「財産開示手続」の制度は2003年から導入されていましたが、本人が財産開示を拒否したり、虚偽の情報を開示したりした場合は30万円以下の過料という行政処分のみであったため実効性の確保が十分ではありませんでした。

2020年4月に改正民事執行法が施行されて、6ヶ月以上の懲役または50万円以下の罰金と刑事罰が設けられました。現在は情報開示を拒否したり、虚偽の情報を開示したりするのは犯罪となり、前科が残るようになりました。

そのほかにも改正民事施行法によって、相手の預金口座や勤務先を知るために、裁判所を通じて市区町村役場や金融機関などに情報開示を求められるようになり、以前より義務者の財産を把握しやすくなっています。

子供の祖父母が支払い義務を負う可能性もある

養育費の支払い義務があるにもかかわらず、子供と離れて暮らす親(非監護親)から十分な養育費が支払われない場合、非監護親の親、つまり子供の祖父母が例外的に扶養料の支払い義務を負う可能性があります。

祖父母が孫の養育費の支払義務を負うことはありませんが、直系血族である子供と祖父母の間にも、扶養義務が発生し得るからです。

ただ、子供と祖父母の間の扶養義務は、親の子に対する扶養義務よりも緩やかな「生活“扶助”義務」とされています。
そのため、祖父母に扶養料の支払い義務を負わせられるのは、自身の生活を維持したうえで、それでも経済的に余裕がある場合に限られます。

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養育費の支払い能力がない場合は免除される?

養育費を支払う側(義務者)が無職で支払能力が乏しくても、子供の養育費の負担は親の義務ですので、支払いを拒むことはできません。
さらに、無職だからといって、必ずしも無収入と認められるわけではありません。働こうと思えば働けるにもかかわらずに働いていない場合は「潜在的稼働能力」があるとして、無職でも一定の収入があるとみなして養育費を算出すべきだと考えられています。

仮に、義務者が借金を抱えて自己破産をしたとしても、養育費の支払いは免除されません。自己破産は、あくまでも債権を対象とした手続きであり、養育費の支払い義務者が負う“扶養義務”は自己破産したからといって消えるものではありません。

また、すでに発生している養育費についても免責されません。したがって、自己破産が認められても養育費の支払いは続けなければいけません。

ただし、病気やケガをして、生涯に渡って働くことが難しい場合や未就学児の育児や親の介護などで一時も手が離せない状態で外に出かけて働くのは困難な場合など、収入を得ることができないやむを得ない事情があるときは、養育費の支払いについて、免除が認められる可能性はあります。

減額なら可能な場合がある

養育費の支払いを免除されなくても、養育費の減額ができる可能性はあります。
具体的には次のようなケースです。

  • 養育費を支払う側(義務者)がリストラに遭って失業したり、病気・ケガをして働けなくなったりしてやむを得ず収入が減った
  • 養育費を受け取る側(権利者)が、昇格や転職などで収入が増えた

相手に減額を求めるには、まず当事者間で話し合いをします。話し合いでは折り合いがつかなければ、調停や審判など家庭裁判所の手続きで決めます。

「養育費の減額請求」には、下記ページでさらに詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

弁護士に養育費の交渉を依頼するメリット

弁護士に養育費の交渉を依頼すると次のようなメリットがあると考えられます。

  • 法的観点から養育費の適正額を知れる
  • 相手と直接やりとりしなくて済む
  • 弁護士に一任できるので、自身は仕事や家事や育児に専念できる
  • 合意後、公正証書を作成して、養育費の未払いを防止できる
  • わからないことや不安なことがあれば、弁護士に気軽に聞ける
  • 交渉がスムーズにまとまる可能性が高まる
  • 話に応じなかった相手も弁護士が介入することによって話し合いに応じる可能性が高くなる

養育費の取り決めの義務化はいつから?

養育費の取り決めの義務化については、基本的に離婚した当事者同士の問題だと考えられており、法的規制は何らありません。

日本では、離婚した夫婦が、養育費の取り決めをしている割合が非常に低いので、養育費の受給率も低くなっています。国が養育費の取り決めの義務化を検討しているとの情報はありますが、明確に決まっていません。

一方で、養育費の取り決めの義務化はまだですが、2020年4月に改正民事執行法が施行されて、未払いの養育費を回収しやすくなりました。
国は養育費の未払い問題の解決に向けて取り組んでいますので、今後、養育費の取り決めの義務化や養育費を払わない親に対する罰則など、さらに法改正がされる可能性は充分にあると考えられます。

養育費の支払い義務に関するQ&A

Q:

養育費を支払う側が死亡した場合、支払い義務は相続人へ相続されますか?

A:

養育費を支払う側(義務者)が死亡した場合、養育費の支払い義務は、基本的に義務者が死亡した時点で消滅し、相続人へ相続されることはありません。養育費の支払い義務は、義務者だけが負うもの(=一身専属義務)とされているからです。

しかし、未払いの養育費がある場合には、未払養育費の支払義務は相続されます。そのため、例えば義務者が再婚しているケースでは、相続人である再婚相手に、未払養育費の支払い義務が発生します。

ただ、養育費の支払い対象である子供も相続人となるので、再婚相手は未払分の全額ではなく、相続割合に応じた分を支払うことになるでしょう。

Q:

養育費を受け取る側が再婚した場合、支払い義務はなくなりますか?

Q:

離婚の際、相手が養育費を請求しないことに同意した場合、支払い義務は免除されますか?

A:

離婚の際、相手が養育費を請求しないことに同意したのであれば、基本的に支払い義務は免除されます。ただし、相手に無理やり同意させた場合には、夫婦間で約束して書面に残していたとしても、無効となる可能性があります。

また、養育費を請求しないというのは、あくまでも夫婦で決めた内容であり、子供自身はその内容には縛られないとされています。そのため、子供が扶養義務者であるご質問者様に対し、「扶養料」として生活費等を請求することは可能であり、請求が認められたら扶養料の支払い義務が生じます。

Q:

離婚の数年後に養育費を取り決める場合、過去分の支払い義務はありますか?

A:

家庭裁判所の実務上では、一般的に過去分を遡って養育費を請求することはできないと考えられているため、過去分の支払い義務はありません。

理由としては、そもそも養育費というものは子供の生活費として“定期的に”支払われるものであることや、養育費の支払いがなくても今まで生活ができていたと考えられることや、過去に遡った養育費の支払期間が長ければ、過去分の養育費の金額が高額になり、支払う側の立場からすれば過当な負担となると考えられるためです。

ただし、当事者間での話し合いで合意できれば、過去分の養育費の支払いを求めて、受け取っても問題ありません。

義務である養育費のことでお悩みなら、一度弁護士にご相談ください

養育費の支払いは、親としての義務であるため、基本的に支払いを免れることはできません。
しかし、事情によっては、養育費の支払いを免除または減額できる可能性もあります。

養育費について、お悩みがある方は、ぜひ弁護士にご相談ください。
それぞれの家庭の事情を確認して、養育費をこのまま支払う必要があるのか、免除・減額できる可能性があるのか、など適切にアドバイスいたします。
また、弁護士が代わりに相手と直接話し合う(交渉する)ことも可能ですので、法的観点から相手を説得して、スムーズに解決できるように尽力します。

一度取り決めた養育費の支払いを勝手に止めると、強制執行の手続きをして財産を差し押さえられるおそれもありますので、困ったときは弁護士の力を借りてみてはいかがでしょうか。
まずは弁護士法人ALGにお気軽にご相談ください。

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監修:谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員 弁護士
保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:41560)

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