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養育費の支払いがある場合の自己破産|事前に確認すべき3つのこと

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治

監修弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員

住宅ローン、消費者金融からの借金、事業の失敗など、さまざまな理由で借金が膨れ上がり、どう頑張っても自力で返済できなくなったとき、「自己破産」を検討することになるでしょう。

自己破産とは、自身の財産を処分した上で、借金を返す能力がないことを裁判所に認めてもらい、全ての返済義務をなくしてもらう手続きです。借金がゼロになる反面、様々な社会的なデメリットはありますが、生活がままならないほど多額の借金に苦しむ方にとっては、究極の救済手段であるといえるかもしれません。

では、自分が自己破産をした場合、我が子に対する養育費の支払義務もなくなるのでしょうか?
また、養育費の支払義務を負っている元配偶者が自己破産した場合、養育費は請求できないのでしょうか?

今回は、自己破産と養育費の関係について詳しく解説します。

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自己破産しても養育費の支払義務はなくならない

自己破産しても、養育費の支払義務は無くなりません。自己破産といっても、ありとあらゆるお金の返済(支払)義務が無くなるわけではなく、

  • ①自己破産すると返さなくてよくなるお金
  • ②自己破産しても引き続き支払わなければならないお金(=「非免責債権」)

の2種類が存在します。
養育費は②の「非免責債権」に該当するため、自己破産しても支払義務自体はなくなりません(ただし、実際に支払えるかどうかは別途検討する必要があります)。

非免責債権の内容は破産法という法律で定められており、養育費の他に、

  • 税金や社会保険料
  • 積極的に加害する意思で行った不法行為に基づく損害賠償
  • 故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償
  • 従業員への給与や従業員からの預り金
  • 罰金

などがあります。

過去の未払い養育費について

例えば、元妻が親権者で、元夫が養育費を支払っていると仮定します。
元夫が、自己破産の手続きを開始した時点で既に養育費の支払いを滞納している場合、この滞納した養育費は、元妻に対する「債務」(≒借金)になります。そして、元妻は、元夫から滞納した養育費を支払ってもらう権利を有する「債権者」として、元夫の破産手続きに関与することになります。

養育費は自己破産しても支払義務が消滅しない「非免責債権」ですので、滞納した養育費の支払義務自体は無くなりませんが、滞納された養育費の「時効」には注意が必要です。
具体的には、養育費の支払いについて、

  • 当事者の合意で決めた場合…5年
  • 裁判所の手続き(裁判や調停など)を経た場合…10年

が時効となっており、滞納された養育費の時効が成立した場合、支払いを受けられなくなる可能性があります。

これから支払い期日がくる養育費について

養育費は、「毎月●日までに■円を振り込む」など、将来にわたり定期的な支払方法を定めていることがほとんどです。また、自己破産しても、このような将来の養育費は支払う必要があります。

養育費は自己破産によっても支払義務を免れない「非免責債権」であるため、義務者が自己破産の手続を開始したからといって、その後にやってくる将来分の養育費の支払義務も当然なくなりません。

よって、養育費の支払いを受ける権利者(親権者)は、相手が自己破産の手続きを開始した後も、取り決め通りの支払期日がやってきた養育費は、その都度請求することができます。

養育費を支払う能力がない場合の対処法

自己破産しても、養育費の支払義務からは逃れられません。

経済的な困窮から養育費を支払う余裕がない場合は、養育費の減額を交渉しましょう。交渉がまとまらない場合は、自己破産の申立てに加え、家庭裁判所に対し、「養育費減額調停」を申し立てる必要があります。ただし、自己破産で借金がゼロになり、その分経済的な余裕が生まれているなどの事情があれば、減額は認められない可能性があります。

また、養育費の支払いを受ける立場としても、養育費の減額に応じた方が公的扶助との関係で得をするのか(養育費が減額することにより、公的扶助が増額する可能性があります。)、損をしてしまうのか、慎重に検討しましょう。

養育費の金額の変更は、当事者だけでは判断が難しいデリケートな問題です。判断に迷ったら、まずは弁護士に相談しましょう。

自己破産時の養育費の支払いで確認すること

自己破産手続き中の強制執行はできるのか

公正証書や調停、裁判で取り決めが行われたにもかかわらず、養育費が支払われない場合、裁判所に「強制執行」の手続きを申し立てることができます。強制執行により、相手の財産(給与など)を差し押さえ、差し押さえた財産から強制的に支払いを受けられるようになります。

しかし、相手が自己破産の手続きを申し立てており、裁判所から「破産手続開始決定」がなされてしまうと、それ以降は強制執行を申し立てられません。また、既に申し立てた強制執行の効力も、相手の財産状況により「失効」または「中止」となります。つまり、強制執行の申し立てのタイミングや破産者の財産状況によっては、申立て自体が無駄になってしまう可能性があるのです。

なお、養育費の支払義務自体は、過去の滞納分も将来に向かって発生する分も、自己破産によって消滅しません(滞納分については、時効に注意が必要です)。

強制執行の申立ては、養育費の滞納額や相手の財産状況、申し立てから強制執行完了までの期間の目安など、タイミングや状況を総合的に判断して行いましょう。

養育費の支払い方や金額によっては自己破産手続きができなくなる

自己破産の手続きを申し立てる直前に滞納していた養育費を支払うと、自己破産ができなくなる可能性があります。
お金を返さなければならない人が複数いるにもかかわらず、特定の人を優先してお金を弁済してしまうと、債権者間で不平等が生じます。この行為は、支払いの時期や金額によっては「偏頗弁済(へんぱべんさい)」と言われ、法律で禁止されています。

自己破産の申立てに近接した時期に行われた滞納分の養育費の支払いが偏頗弁済であると判断された場合、

  • 自己破産できない
  • 破産管財人(破産者の財産を管理する人)によって弁済を否定される=受け取った養育費を破産管財人に返さなくてはならない
  • 犯罪(詐欺破産罪など)になり得る

など、様々なリスクが生じます。
なお、破産手続き開始後に支払期日がやってきた毎月の養育費を支払うことは、偏頗弁済には該当しないため問題ありません。

自己破産後の養育費の受け渡し方法

養育費の支払方法が口座からの振込の場合、注意すべき点があります。自己破産には、

①管財事件
破産管財人が、破産者が所有する財産を現金化(換価処分)し、債権者へ公平に分配する
②同時廃止事件
破産者に換価処分できる財産が無いことが明らかな場合、破産手続き開始と同時に破産手続が終了する

の2種類があります。

破産者の口座の残高が20万円以上ある場合は、管財事件として処理されるのが基本です。すると、その残高は、破産者の財産として銀行や消費者金融など他の債権者と公平に分配されるので、たとえ養育費に充てるためのお金だったとしても、養育費の支払いを受ける権利者(親権者)が優先的に弁済を受けることはできません。

この場合、破産者に現金などの自由財産(自己破産における財産として処分されず、破産者が自由に使える財産)があれば、そこから養育費の支払いを優先的に行ってもらうなどの対策を立てましょう。

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未払い養育費の時効は5年もしくは10年

未払いの養育費の時効は、養育費の取り決めをどのように行ったかで異なります。
具体的には、

  • 裁判所を介さずに、夫婦の合意(口約束、書面、公正証書など)で決められた場合…5年
  • 裁判所の手続き(調停、審判、裁判など)を経て決められた場合…10年

となります。

時効が有効に成立していれば、その分の養育費を支払う法的な義務はありません。しかし、養育費は子供の心身の健やかな成長のために必要な費用であるため、たとえ時効が成立していても、親として支払うべき道義的な責任があるといえます。また、時効成立の適否の判断は非常に複雑なため、不安な点がある方は、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

自己破産と養育費のことでお悩みなら弁護士への相談がおすすめ

養育費は子供が健全に成長するために欠かせないものであり、親が子供に対して負う“扶養義務”に基づく義務でもあります。たとえ養育費を支払う側・受け取る側のどちらが自己破産をする状況になったとしても、養育費を支払う義務が免責されないことに変わりはありません。

そうは言っても、自己破産せざるを得ない状況にある以上、養育費を支払うことは現実的に難しいのではないかと思います。そのような場合には、弁護士法人ALGの弁護士に、養育費の減額の代理交渉を依頼しましょう。弊所には離婚問題を集中的に取り扱う専門の事業部があり、そこに在席する弁護士は、皆、離婚問題を解決してきた実績が豊富で、かつ深い知見を有しています。弊所の弁護士に、自己破産という苦しい状況に直面されている方のサポートをさせていただければ幸いです。

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監修:谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員 弁護士
保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:41560)

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