円満離婚|成功の秘訣とは?

監修弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員
離婚がよぎる原因には、浮気や不倫、夫婦仲が冷めきってしまったといったネガティブな理由だけがあるわけではありません。「夫婦とはこうあるべき」といった固定概念からの脱却や、「夫婦ではない新しい関係性を築く」といったポジティブな理由から前向きに離婚を考える夫婦もいます。
さて、揉めることなく穏便に離婚が成立することを「円満離婚」といいます。きっかけがネガティブな理由であろうと、ポジティブな理由であろうと、円満離婚を目指すことは決して不可能ではありません。
本記事では、円満離婚を成功させるポイントや注意点、離婚時に決めておくべき条件について、離婚のデメリットなども交えながら解説していきますので、ぜひ参考になさってください。
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円満離婚とは
そもそも円満離婚とは、夫婦間で揉めずに、お互いが離婚することに同意して、円満に離婚することをいいます。
言い争うことなく、第三者が間に入ることもなく、“話し合い”で穏便に離婚が成立することとなりますので、「協議離婚」の類に入ります。
似た言葉に、「円満調停(夫婦関係調整調停(円満))」がありますが、これは、円満な夫婦関係を回復する、つまり何らかの理由により不仲となってしまった夫婦がやり直しを図るための裁判所の手続きをいいます。離婚を目的としていないため、円満“離婚”とは性質が異なることを理解しておきましょう。
円満離婚を成功させる秘訣
では、円満離婚を成功させるには、どのような点に注意すればよいのでしょうか?
おおまかに4つのポイントをご紹介します。
じっくりと相手と離婚について話し合う
まずは、離婚について、じっくり時間をかけて、冷静に、相手と話し合いを重ねましょう。
離婚を急ぐあまりに焦りが出てしまうと、感情的になってしまったり、離婚理由がブレたり、離婚条件が定まらなかったりする事態が考えられます。事態が収まらず、結局、離婚調停や離婚裁判にまで発展してしまえば、円満離婚に際し、元も子もありません。
特に見失いがちなのが、お互いに「相手の話をきちんと聞く」ということです。自分の主張だけではなく、心にも時間にも余裕をもって、相手の言い分にも耳を傾けられる姿勢で臨みましょう。
離婚話を切り出すタイミング
離婚を切り出すタイミングも非常に重要です。
離婚は、自分一人の問題ではなく、相手はもちろんのこと、子供や子供にかかわる人達、双方の家族、会社関係者など、想像以上に影響が及び、受ける身体的・精神的ダメージも大きい可能性があります。そのため、前もって相当の準備をする必要があります。
上記をふまえ、離婚を切り出すベストなタイミングとしては、例えば、夫の退職時、子供の進学や受験を見越したタイミング、相手を説得する証拠が十分にそろった時などがあげられます。
また、DVやモラハラが離婚原因である場合には、焦らず、身を守るためにも別居を開始することから始めましょう。
円満離婚が成立するまで半年から1年以上かかる覚悟で
円満離婚はゴールではありません。あくまでも円満離婚を機にした、新たな人生のスタートであることを念頭に置きましょう。
このため、離婚後の生活を考えて、さまざまな状況を整える必要があります。具体的には、貯蓄をしたり、住まいを確保したり、就職先を見つけたり、子供の生活環境を整えたりするなどです。どれもすぐに対応できるものではないため、円満離婚成立までには、少なくとも半年から1年以上かかる覚悟でいましょう。
また、相手に浮気の疑いがあれば証拠集めをする時間が、DVなどを受けている場合は別居期間を設ける時間が必要となります。繰り返しになりますが、とにかく円満離婚は「焦らない」ことが重要です。
話し合って決めたことは公正証書に残す
円満な離婚とはいえ、後々「言った」「言わない」の争いにならない、との確証はありません。後のトラブルを防ぐためにも、円満離婚で話し合って決めた内容は、離婚協議書の作成にとどまらず、ぜひ“公正証書”に残しましょう。
公正証書とは、法律の専門家である公証人が作成する公文書をいいます。法的な効力をもちますので、例えばお金の支払いに関する内容を盛り込んでいれば、遅滞があった際に、裁判の手続きを省略し相手の財産を差し押さえて支払いを受けられます。
離婚時に決めておくべき条件
離婚時には、決めておいた方が良い条件がありますので、円満離婚する際もきちんと話し合って決めておきましょう。
決めておくべき離婚条件をいくつかあげ、円満に取り決めていくためのポイントもふまえて解説していきます。
親権
未成年の子供がいる場合には、離婚時に、「夫婦のどちらが親権を得て親権者となるか」を決める必要があります。
親権について争いになってしまったら、円満離婚の実現を妨げるだけではなく、両親が自分のことで争っているわけですから、物心がついた子供にとっては複雑な心境でしょう。円満に親権について取り決めるためには、子供の幸せを第一に、どちらが親権者となるのが子供にとっての最善策となるのかを冷静に考え、親権を得る(諦める)代わりに面会交流を認める(認めてもらう)等、お互いが譲り合っていくことが重要です。
親権についての詳しい内容は、下記の記事をご覧ください。
養育費
円満離婚したとしても、二人の間に授かった子供の親であることは、生涯変わりありません。子供の養育費の取り決めは、離婚時に決めておくべき重要な事項のひとつです。
養育費とは、一般的に、子供を教育・監護し、社会的に自立するまで養い育てるための費用をいいます。たとえ離婚したとしても、両親で負担する義務がありますので、基本的には収入の多い方から少ない方へ、子供と離れて暮らす方から共に暮らし養育している方へ、双方の資力に応じて金額を決めていきます。
離婚後の養育費についての詳しい内容は、下記の記事をご覧ください。
慰謝料
離婚を考えるきっかけが浮気などである場合は、慰謝料についても話し合いの中に盛り込まれることが多いです。
ただ、慰謝料は、お金にかかわることで、ある種の裏切り行為に関することなので、感情的になりやすく、揉めやすいのも事実です。
円満離婚と慰謝料請求を同時に目指すには、話し合いを重ねる中でお互いの妥協点を見極めるなど、いかに歩み寄っていけるかがポイントとなります。
また、「離婚=慰謝料」というイメージもあるかもしれませんが、単純に離婚したいと言われたからといって慰謝料を請求できるわけではありません。あくまでも、浮気やDVなど、明らかな有責性がある場合に限られますので、この点を正しく理解しておきましょう。
離婚の慰謝料についての詳しい内容は、下記の記事をご覧ください。
財産分与
離婚する際には、婚姻中に夫婦の協力によって築いた共有財産を、原則2分の1ずつの割合で財産分与することができます。話し合って合意できれば、自由に財産分与の割合を決めることができますし、財産分与しないことも可能です。
どのように財産を分け合うかは、離婚後の生活に大きく影響することもあります。特に、財産が多かったり、財産の種類が複雑だったりする場合には、揉めやすいでしょう。円満に財産分与について取り決めるためには、お互いに相手の離婚後の生活を考慮したり、離婚を切り出した方に浮気等の負い目があるのであれば、できる限り相手が望む財産を受けられるようにしたりする等、双方が納得できるようにしっかりと話し合うことが重要であるといえます。
財産分与についての詳しい内容は、下記の記事をご覧ください。
面会交流
面会交流についても、離婚時に取り決めておくべき条件といえます。
子供と離れて暮らす親が、子供と会ったり、手紙やメールのやりとりを行ったりして交流することを、面会交流といいます。円満離婚においては、特に前向きに検討するべきでしょう。
面会交流は、子供に会いたい、会わせたくないといった、それぞれの事情をふまえた思いよりも、“子供のことを第一に”考えて、子供が求めること、子供の幸せを最優先に取り決めていかなければなりません。
円満とはいえ、離婚することに子供には責任がありませんので、話し合いを進めるうえでも親の務めを果たすことを見失わないように心がけましょう。
面会交流についての詳しい内容は、下記の記事をご覧ください。
周囲への説明(親族、友人等)
離婚時には親族や友人等、周囲への説明方法についても話しておきましょう。
というのも、離婚後に離婚の理由の説明が当事者間でまったく異なることで、当事者間での精神的な対立を生んでしまうことがあるからです。
例えば、夫が会社の同僚と浮気したことが離婚の直接の原因となっていたときに、夫が会社内でそのことを秘密にしなければ会社内での立場が危うくなる場合、妻に対して、少なくとも夫が勤務する会社の関係者には、浮気については話さないように根回しをしておいた方が良いということはあります。
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メールで相談する円満離婚を目指すためにも離婚のデメリットを確認しましょう
円満離婚を目指すために、離婚のデメリットも把握したうえで、相応の心がまえや対策をしていきましょう。
精神的なストレスがかかる
円満離婚のための話し合いは、お互いの言い分を聞いたり、歩み寄りを試みたりして進めていきます。第三者が間に入るわけでもないため、どうしても話し合いが長期化しがちです。
仕事や育児・家事などを行いつつ何度も話し合いを重ねていくことは、疲れや負担などからどうしてもストレスがかかってしまいます。話し合いの場を設けること自体にストレスを感じてしまうこともあるでしょう。
円満離婚の話し合いには、忍耐・根気強さが必要です。
金銭面での負担
円満離婚では、裁判や弁護士費用がいらないうえに、自宅や電話、オンライン通話などで話し合いを進められますので、離婚すること自体に実質的なお金はかからないことがほとんどです。
ただし、離婚後はそうはいきません。生活費を自分で確保するために、専業主婦(主夫)やパート勤務であった場合には就職する必要があるでしょう。
たとえ、財産分与や慰謝料、養育費を受けられたとしても、一時的なもので生涯続くわけではありません。目先のお金に頼るのではなく、離婚後の現実的な生活を見越した金銭面の負担を考えなければなりません。
子供にも負担がかかる
子供は思っている以上に、親の変化を敏感に感じ取ります。離婚の話し合いを進めるなかで生まれた両親の関係性の変化は、どんなに取り繕っても子供に感じ取られてしまうものです。なかには、どうにか自分がつなぎ止めようと、親に対して気を遣ってしまう子供もいるでしょう。
子供にとって両親の離婚は、どちらかの親と一緒に暮らせなくなる、生活環境が変わるなど、言葉では言い表せないほど大きな負担となります。円満とはいえ離婚は、夫婦だけの問題ではなく、子供にも多大なる影響を及ぼすものだということを心しておく必要があります。
円満離婚するための別居
ときに、別居は、円満離婚を実現するために効果的です。
同じ屋根の下で離婚の話し合いを行い、話し合い以外の生活も共にしていくとなると、休まる機会がなく、息が詰まってしまう状況も考えられます。
そこで、別居し、一旦物理的な距離をおくことで、お互いが冷静に考える時間を持つことができるため、心にも余裕が生まれ、円満離婚に向けた話し合いがスムーズに進められる可能性が高くなります。
なお、別居後の話し合いは、喫茶店やファミレス、ホテルのラウンジといった、家の中以外の場所で行うのが効果的でしょう。あまりにも遠方である場合には、電話やオンライン通話などを活用するのも一つの手です。
円満離婚をするためにしてはいけないこと
円満離婚を実現するために、「してはいけないこと」に着目するのもとても重要です。
注意事項として、おおきく3点をご紹介します。
相手の嫌いなところを言わない
「あの時はこうだった」
「こう言われたことが嫌だった」
「あなたのためを思って言うけれど……」
どれも話し合いを進めるうえで、言いたくなってしまうフレーズかと思います。話し合いを進めていくと、どうしても相手に対する不満や嫌だったことを言いたくなってしまいがちですが、グッとこらえるのが得策です。
不満を言っても事を荒げるだけですし、過去のことは変えられません。ぜひ、割り切って、今までのことは水に流すつもりで話し合いに臨みましょう。
なお、過去の不満を掘り起こすのが厳禁なのは、離婚後でも同じです。
あまり多くの人に相談しない
離婚という人生における大きな決断をするのですから、不安に思うのは当然でしょう。しかし、あまりに多くの人に相談するのは、控えるべきです。
「誰にも言わないでほしいのだけど……」と切り出したところで、それが守られる確約はありません。人づてに広まると、脚色がなされたり、事実とはちがったりする内容が、思わぬカタチで相手に伝わってしまう可能性もあります。そうすると、信用問題に発展し、円満離婚が叶わなくなってしまうかもしれません。
どうしても誰かに相談したいのであれば、信頼のおける親しい友人や、守秘義務を負う弁護士に留めることをおすすめします。
欲深くなりすぎない
離婚問題で特に深刻化しやすいのが、「親権」とならび「お金」に関することです。
慰謝料や財産分与も然り、養育費は将来の子供のためを思うと少しでも多く請求したい、支払う側はできるだけ少なく済ませたいと思われるでしょう。しかし、少しでも良い条件で離婚しようという“欲”が出ると、円満離婚できなくなってしまう可能性があります。
円満に進めることを目的とするならば、欲深くなりすぎず、お互いの納得できる妥協点を焦らずに見出していく必要があります。
円満離婚に関するQ&A
- Q:
円満離婚後に不貞が発覚した場合は慰謝料請求できますか?
- A:
この場合、時効が成立するか否かで、慰謝料請求ができるかどうかが決まってきます。
具体的には、不貞の事実を知ってから【3年間】、または不貞行為があったときから【20年間】が時効のリミットとなります。このような時効が成立していなければ、円満離婚後に相手の不貞が発覚した場合であっても、慰謝料を請求できる可能性があります。
ただし、一度成立した離婚の後に発覚した不貞行為の慰謝料請求ともなると、裁判に発展することも考えられ、伴う手続きなどが複雑になるケースもあります。せっかく円満離婚できたのですから、穏便に済ませるためにも、一度弁護士に相談された方がよい事案といえるでしょう。
- Q:
円満離婚をするのに費用はかかりますか?
- A:
円満離婚をするのに、実質的な費用はかからないのが通常です。
例外として、別居している場合は、喫茶店などで話し合いを行う際の移動費、飲食代、連絡を取り合う際の電話代などがかかる程度でしょう。なお、話し合いによる取り決め事項を公正証書に残す場合には、公証人手数料がかかります。これは、公正証書内に盛り込む慰謝料、養育費、財産分与といったお金に関する項目別に、その金額に応じた手数料を算出・合計したものとなります。目安として数万円程度を見込んでおくとよいでしょう。
公証人手数料については、下記の日本公証人連合会のHPに記載がありますので、ぜひご参照ください。
円満離婚を希望しているときは冷静に話し合うために弁護士に相談しておきましょう
話し合いを進めるうえで、「焦らない」「冷静でいる」「じっくり時間をかける」といったことが、円満離婚を成立させるためのコツとなります。
とはいえ、日常生活を送りながら話し合いを積み重ねていくのは、相当な疲労、苦痛、負担、ストレスが伴うでしょう。子供がいる家庭では、なおさらだと思います。
そこで、離婚事案の経験豊富な弁護士に相談してみてはいかがでしょうか?
弁護士は、依頼者の不利にならないような妥協点の判断・アドバイスが可能ですし、弁護士に相談することで冷静さを保てることもあります。
弁護士法人ALGは、民事・家事・刑事事件を取り扱うことに特化した事業部を設けており、離婚問題についても多様な事案を経験してきています。
さまざまなケースの離婚問題を解決し、かつ守秘義務が課せられている弁護士は、相談するにはうってつけの相手です。円満離婚を希望されている方は、ぜひ一度弊所にご相談ください。
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- 監修:谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員 弁護士
- 保有資格弁護士(愛知県弁護士会所属・登録番号:41560)