性格の不一致で離婚する方法|子供の親権は?

- この記事の監修
- 弁護士 谷川 聖治
- 弁護士法人ALG&Associates 執行役員
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夫婦はそもそも別人格ですから、共通した趣味がある、感性が似ているといったことはあっても、“性格が完全に一致している”ということは、まず考えられません。どこかに不調和は生じているものです。
結婚した当初は、自分と異なるところに対して魅力を感じたり、すぐに受け入れられなくとも歩み寄る努力をしてみたりすることもあるでしょう。しかし、結婚生活が長くなると、些細な食い違いにも耐えられなくなり、夫婦で一緒に暮らすことを苦痛に感じ、離婚を決意するに至るケースもあります。
このページでは、こういった【性格の不一致】を理由に離婚を検討している方に向けて、離婚を成立させることができるのかどうか、相手方に慰謝料の請求ができる場合があるのかどうか等を、順番に解説していきます。少しでも、お悩みを解決するヒントになれば幸いです。
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性格の不一致とは
性格の不一致とは、読んで字のごとく、性格の相性が合わないことです。性格が似ていても合わない人もいれば、性格が全く違っていても合う人もいるように、感じ方は人によって異なり、夫婦が性格の不一致を感じる理由はさまざまです。例えば、自分は大雑把で細かいことは気にしない性格だけど、相手は几帳面でいつも整理整頓されている状態でないと気が済まない性格であった場合、日々の生活がだんだんと窮屈に感じ、離婚に至るというケースもあるでしょう。
性格の不一致は離婚理由の第1位
離婚について夫婦間での話し合いでは解決できない場合、家庭裁判所の調停手続を利用することになります。全国の家庭裁判所に申し立てられた離婚調停において、その申立て理由として最も多いのが「性格が合わない(=性格の不一致)」です(※2018年度の司法統計によれば、全体の約45%)。
「暴力を振るう(=DV)」と「精神的に虐待する(=モラハラ)」を理由とした申立件数を合わせても、「性格の不一致」を理由とした申立件数には及びません。
性格の不一致は、浮気や不倫のような、夫婦関係に亀裂を生じさせたはっきりとした出来事がない場合の離婚理由としてよく使われます。離婚理由の第1位となる背景には、このような事情も関係しているでしょう。
同意が得られれば性格の不一致でも離婚できる
夫婦間で話し合い、相手の同意が得られれば、性格の不一致が理由でも離婚することができます(協議離婚)。また、離婚調停という、家庭裁判所の調停委員会を介した話し合いの手続においても、基本的に相手の同意が得られれば、離婚することは可能です。
「性格の不一致では離婚できない」と耳にしたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、これは離婚裁判にまでもつれ込んだ場合です。そして、正しくは「性格の不一致では離婚を認めてもらうことは難しい」です。
離婚裁判では、離婚するかどうかを裁判所が判断します。離婚を認めてもらうには、法定離婚事由という民法で定められた離婚事由のいずれかに該当している必要がありますが、法定離婚事由のどこにも、“性格の不一致”の文言はありません。そのため、性格の不一致を理由に離婚することは難しいといえます。しかし、離婚が認められる可能性はゼロではありません。この点は次項で解説します。
性格の不一致で離婚裁判することになったら
離婚裁判を行うことになった場合、以下5つの法定離婚事由のいずれかに該当する事情がなければ、離婚は認められません。
- ①配偶者に不貞な行為があったとき
- ②配偶者から悪意で遺棄されたとき
- ③配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
- ④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
- ⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
性格の不一致を理由とした離婚の場合、このうちの「⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当するかどうかが重要なポイントです。
現在、離婚裁判では、婚姻関係を破綻させる原因となった行為(有責行為)がなくても、婚姻関係が破綻していて回復の見込みがない場合には離婚を認める、という破綻主義が採用されているといわれています。そのため、単に「性格が合わないから」というだけでは離婚は認められませんが、性格の不一致がきかっけで夫婦仲が悪くなり、婚姻関係が破綻している状況にあると判断されれば、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当するとして、離婚が認められます。ただし、婚姻関係が破綻していることを証明する必要があります。
婚姻関係が破綻した証拠を集める
婚姻関係の破綻を証明するためには、客観的にそう判断できるような証拠を集めておく必要があります。
例えば、性格の不一致が原因で夫婦仲が悪くなり、配偶者からDVやモラハラを受けるようになった場合には、DVによって負った傷の写真や医師の診断書、DVやモラハラの様子を記録した日記・メモ・メール・音声・動画といった証拠が、婚姻関係の破綻を証明するのに有効です。
有効な証拠の収集は、裁判のみならず、協議や調停において話し合いを有利に進めていくためにも重要です。
長期間の別居
婚姻関係の破綻を証明するための証拠を集めるのが難しい場合や、DVやモラハラといった婚姻関係の破綻が認められ得るような事実がそもそもない場合には、別居を検討してみましょう。
別居期間が相当長期にわたることで、婚姻関係は破綻しているとして、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当すると判断される可能性があります。個別の事情にもよりますが、一般的には3~5年程度の別居期間があると、離婚が認められやすいといわれています。
なお、別居するにしても、「生活費が不安だ…」という方もいらっしゃるかと思います。そのようなときは、婚姻費用を請求して生活費を確保しましょう。また、別居する際には、離婚時に不利な状況とならないために、注意すべき点がいくつかあります。婚姻費用や別居時の注意点について、詳しくは下記の各ページをご覧ください。
性格の不一致での慰謝料請求について
主に離婚原因について夫婦の一方のみに責任があるとき、被った精神的苦痛を賠償してもらうために行うのが、慰謝料請求です。
この点、性格の不一致による離婚では、夫婦双方に何らかの原因があったと考えられます。一方だけの責任とはいえないため、離婚理由が単に「性格が合わない」というだけでは、慰謝料を請求することはできません。
また、たまに誤解されている方もいらっしゃるのですが、離婚を切り出した側だからといって、慰謝料を支払わなければならないわけではありません。慰謝料の支払義務が生じるのは、DVやモラハラ、不貞行為といった、有責性がある不法行為を行った場合です。
慰謝料がもらえるケース
性格の不一致を理由とした離婚の場合でも、相手が婚姻関係を破綻させた有責性のある不法行為(例:DV、モラハラ、不貞行為等)を行っていれば、その行為に対して慰謝料を請求できます。
なお、不法行為に当たる行為がなかったとしても、相手の同意が得られれば、慰謝料をもらうことは可能です。
性格の不一致での離婚の進め方
離婚方法には、主に「協議」「調停」「裁判」の3種類がありますが、このうちの「協議」、つまり夫婦間で話し合うことから始め、離婚の成立を目指していくのが通常の流れです。
性格の不一致が理由の離婚の場合、裁判で離婚を認めてもらうのは難しいため、協議によって離婚を成立させられるかどうかが重要になってきます。次項より、協議離婚の進め方について確認していきましょう。
なお、性格の不一致が原因でDVの被害を受けている方は、離婚の話をすることで相手のDV行為が悪化するおそれがあります。このようなケースでは、協議離婚を進めるよりも、身の安全の確保を最優先にするべきです。下記のページでは、DV加害者と離婚する方法について解説していますので、ぜひ参考にしてください。
まずは自分の気持ちを整理する
協議離婚を進めるにあたって、まずは自分の気持ちを整理しましょう。性格の不一致が離婚理由の場合、離婚を決意した明確な出来事があったわけではなく、日々の積み重ねで次第に「離婚したい」と考えるようになった方もいらっしゃるかと思います。
夫婦間の話し合いをスムーズに進めるためにも、これまでの結婚生活を振り返り、どのようないきさつで離婚に踏み切るに至ったのかを紙に書き出す等して、気持ちの整理をつけてから離婚を切り出すことをおすすめします。
離婚の切り出し方
気持ちの整理がついたら離婚を切り出し、相手に離婚したい旨を伝えます。離婚の切り出し方としては、直接会って口頭で告げる、電話で告げる、手紙・メール・LINEで告げるといったものがありますが、そのときの夫婦の状況に応じて、冷静に話し合う環境を作るために最適な方法を用いましょう。
なお、手紙・メール・LINEによって離婚を切り出す場合には、たとえ相手に対する不平不満が溜まっていたとしても、それらをすべて書き連ねるようなことは避けた方が良いといえます。相手の感情を逆なでし、離婚の話し合いではなく夫婦喧嘩に転じてしまったり、離婚の同意を得られずに協議不成立となってしまったりする事態が予想されるためです。話し合いをスムーズに進めることに重点を置いた記載内容となるよう、注意しましょう。
話し合う内容
話し合いの場を設けたら、離婚したいこと、離婚したいと思った理由を改めて告げ、離婚するかどうかを話し合っていきます。話し合いですから、一方的に自分の思いを吐き出すのではなく、相手の言い分もきちんと聞きましょう。お互いの考えを伝え、妥協できる点があると感じたら、離婚ではなく夫婦関係の修復に至るケースもあります。
話し合いの結果、離婚する方向となった場合には、親権や養育費、財産分与といった離婚に伴う条件を取り決めていきます。そして、離婚と離婚条件について双方で合意できたら、離婚届を提出して受理されることで、協議離婚が成立します。
一方、離婚することや離婚条件で揉めてしまい、合意できずに協議不成立となったときは離婚調停を行い、それでも合意に達しなかったときは、最終的な判断を下してもらうために離婚裁判を行うことになります。
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メールで相談する性格の不一致での離婚に関するQ&A
- Q:
性格の不一致で離婚したいと言われている中、妻が勝手に子供を連れて家を出ていきました。それでも親権は妻に有利なのでしょうか?
- A:
妻が子供を連れて家を出た場合、裁判所は、妻と子供が一定期間安定した生活を維持したという監護実績を理由に、妻を親権者に指定する可能性があります。これは、特別な事情がない限り、現状の生活を継続することが子の心身の安定のためには良いと考えられているからです(継続性の原則)。
また、子供が幼いほど母親を親権者とする傾向が強いことから(母性優先の原則)、特に子供が乳幼児の場合には、親権は妻に有利といえるかもしれません。妻が子供を連れて別居している状態が継続することは、夫にとって不利に働く事態になりかねないため、子の引渡しを請求する調停を申し立てる等、早期の対策が必要です。
なお、これまでの監護状況や子供の希望等が考慮された結果、夫の方が親権者として適格であると判断されるケースはあります。また、妻が子供を連れ出したことに違法性が認められる場合等には、夫が有利になり、夫に親権が認められる可能性もあります。
父親の親権獲得についての詳しい内容は、下記のページをご覧ください。
- Q:
性格の不一致で離婚した後に元夫の不倫が発覚しました。慰謝料は請求できますか?
- A:
元夫の不倫が性的関係を伴う不貞行為であり、かつ、時効が成立していなければ、慰謝料を請求できます。慰謝料請求権の時効は、不法行為(ご質問のケースでは元夫の不倫)から20年、不法行為の事実および加害者を知った時(ご質問のケースでは元夫の不倫を知った時)から3年です。
しかし、元夫が不倫していた当時、すでに性格の不一致によって婚姻関係が破綻していたと裁判所が判断した場合には、慰謝料請求は認められません。また、そもそも元夫の不倫の証拠が集められなければ、慰謝料請求は難しいといえます。
なお、離婚時に作成した離婚協議書等において、清算条項(本件離婚について、何らの債権債務が存在しないことを確認する旨の条項。)を設けていた場合には、離婚後に元夫の不倫が発覚したとしても、慰謝料請求は困難になりますのでご注意ください。
- Q:
性格の不一致で離婚したいのに、相手から円満調停を申し立てられています。どうしたら良いですか?
- A:
円満調停は夫婦関係の修復を目的に行われるものであるため、離婚を望むご質問者様としては、調停に出席したくないと思われるかもしれません。その場合には、裁判所に連絡を入れて欠席するようにし、無断で欠席することは避けましょう。
また、離婚したいと考えているのであれば、離婚調停を申し立て、離婚の意思表示をすることをおすすめします。円満調停を申し立てられている状況であっても、離婚調停を申し立てることは可能であり、2つの調停は基本的には同時に進行されることになります。調停の場で、自分は離婚したいのだということ、そしてその理由を適切に主張・立証していきましょう。不安がある場合には、弁護士に相談・依頼し、サポートを受けてみることをご検討ください。
- Q:
離婚裁判で相手が離婚を拒否し続けた場合、性格の不一致が理由の離婚は認められないのでしょうか?
- A:
協議や調停による離婚は、相手の同意が得られなければ成立しませんが、裁判の場合には、相手が離婚を拒否し続けたとしても、法定離婚事由に該当する事情が存在すれば、離婚は認められます。
性格の不一致を理由に離婚裁判を申し立てる場合、法定離婚事由の一つである「その他婚姻を継続し難い重大な事由」があることを立証できるかどうかがポイントとなります。そのため、単に性格の不一致を主張するだけでは、離婚を成立させることは難しいでしょう。他方、性格の不一致をきっかけに、DVを受けるようになったことや、長期間別居していること等が明らかな場合には、離婚が認められる可能性があります。
性格の不一致での離婚……あなたに有利な解決策を弁護士がアドバイスいたします
【性格の不一致】は、離婚調停を申し立てた人たちが挙げる離婚理由の第1位です。それにもかかわらず、法定離婚事由としては規定されておらず、離婚裁判で性格の不一致という理由だけでは、離婚は認められにくいのが実情です。そこで、夫婦間で話し合って協議離婚が成立するかどうかが重要になってきます。
しかし、ご自身が「性格が合わない」と感じていても、相手はそう感じていないケースもあります。このような状況で離婚を切り出しても、相手としては寝耳に水の状態で、すんなりとは離婚に応じてくれないでしょう。
夫婦間の話し合いで解決するのが難しいときは、第三者を交えてみるのも手です。なかでも、弁護士が第三者として入ることにより、多くの場合において協議や調停で離婚が成立しています。また、ご自身にとって不利な条件で離婚を成立させてしまう事態を防ぐことや、相手とのやりとりをすべて弁護士に任せて精神的負担の軽減を図ることも可能です。
性格の不一致で離婚を考えている方は、まずは弁護士にご相談ください。ご相談者様にとっての最善の解決を目指し、適切にアドバイス・サポートいたします。
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