専業主婦が熟年離婚するために必要なこと

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治

監修弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員

「熟年離婚」という言葉を、誰しも一度は耳にしたことがあるでしょう。長年(一般的には20年以上)連れ添った夫婦が離婚することを「熟年離婚」といいますが、専業主婦の方は、長年外で働いてこなかったことなどから、自分ひとりで生計を立てていけるのか、離婚後の生活に経済的な不安を感じることもあるかと思います。そのため、特に専業主婦の方が熟年離婚する場合には、「離婚しなければよかった…」と後悔してしまわないように、離婚前にしっかりと準備することが重要です。

本記事では、《専業主婦の方が熟年離婚するケース》に焦点を当て、解説していきます。また、妻が外で働き、夫が家事や育児に専念する、というご家庭も珍しくない時代となっていますが、専業“主夫”の方の場合にも、本記事で取り上げる専業“主婦”の方と同様のことがいえます。ぜひ専業主夫の方も、参考にしてみてください。

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専業主婦が熟年離婚を決意する理由

専業主婦が熟年離婚を決意する理由として多いのが、「定年退職後、夫が家にいる時間が長くなったことでストレスを感じるようになったから」というものです。

定年退職した夫は、会社に行く必要がなくなった分、自由な時間が増えます。それなのに、「家事は妻が行うのが当然」と言わんばかりに、夫が少しも家事を手伝ってくれなかったり、ましてや目の前でゴロゴロされたりしたら、ストレスが溜まってしまうでしょう。

また、夫の親の介護が必要になったとき、夫は「仕事で忙しいから」と、専業主婦である妻に介護を押し付けがちです。介護は、精神的にも身体的にもハードなものです。自分の親ならまだしも、夫の親の介護はしたくないという気持ちを抱いてしまうのは、仕方がないかもしれません。「夫の親の介護をしたくないから」という理由で、熟年離婚を決意する専業主婦もいます。

専業主婦が熟年離婚するメリット

専業主婦が熟年離婚するメリットとしては、次のような事項があります。

  • 結婚生活で我慢していた不満やストレスから解放される(例:夫の親の介護から解放される)
  • 夫のために家事を行う必要がなくなる
  • 社会復帰し、仕事はもちろん、趣味や恋愛等も楽しめるようになり、新たな人生の再出発をすることができる

専業主婦が熟年離婚するデメリット

一方、専業主婦が熟年離婚するデメリットとしては、次のような事項があります。

  • なかなか定職に就けないこと等で、結婚していた頃よりも生活が苦しくなる場合がある
  • ひとりでいることに慣れず、孤独を感じて寂しくなるケースが多い
  • 体調を崩しても支え合う人がいないため、健康面に不安を感じやすい

専業主婦が後悔しないための熟年離婚の準備

専業主婦が熟年離婚を決意した場合、あとになって後悔してしまわないように、離婚前にはどのような準備を行っておいた方が良いのでしょうか?確認していきましょう。

離婚後(老後)の生活費を考える

専業主婦は、離婚後、夫の収入を頼ることはできないので、自分で生計を立てていかなければなりません。加えて、熟年離婚の場合、年を重ねている方が多いため、離婚するにあたっては、老後の生活も見据えたうえで、どのくらいの生活費が必要になるのかをしっかりと考えておくことが重要です。

また、詳しくは後述しますが、離婚時には、財産分与や慰謝料等、請求できる可能性のあるお金があります。離婚時に受け取れるお金は、離婚後(老後)の生活費にあてることができるので、どのようなお金が請求できるのか、どのくらいの金額が得られそうかも把握しておいた方が良いでしょう。

離婚後に住む家を準備する

熟年離婚する前には、離婚後に住む家のことも考え、準備を進めておきましょう。婚姻中に購入した持ち家がある場合には、財産分与でその家を受け取り、離婚後も住み続けるという選択肢があります。

一方、持ち家がない場合や、これまで住んでいた家を離れたい場合等には、離婚後に住む家を自分で見つけることになります。選択肢としては、「実家に戻る」「自立して家を出ている子供と同居する」「賃貸物件を借りる」といったものが考えられます。

ただ、「賃貸物件を借りる」というのは、困難を強いられることが予想されます。収入のない専業主婦の場合、離婚後の就職先が決まっていなかったり、預貯金額が少なかったりすると、入居審査が通らない可能性が高いです。さらに、高齢であることを理由に入居審査が通らないケースもあります。そのため、離婚後の就職先を見つけることや、年金暮らしでも入居審査が通る可能性のある賃貸物件を探すこと、家賃補助のある高齢者向け優良賃貸住宅を探すこと等が必要になってくるでしょう。

離婚後の就職に向けた準備

熟年離婚する専業主婦の場合、かつて働いていた時期があったとしても、相当なブランクが空いてしまっていることでしょう。離婚後に就職先を見つけようとしたところ、ブランクが長いことや、経験不足、年齢等を理由に、なかなか採用してもらえないという事態に陥るおそれがあります。

そのため、熟年離婚する前に、離婚後の就職に向けた準備をしておくことをおすすめします。例としては、就職に有利になるような資格を取得すること等が挙げられます。

趣味や目標を見つける

熟年離婚するご家庭では、すでに子育ては一段落しており、子供が自立しているケースが多いかと思います。加えて、離婚後は夫の分の家事を行わなくて済むようになります。その結果、ひとりの時間を満喫できる喜びを感じる一方で、何をすれば良いのかわからなくなり、喪失感や孤独感を抱いてしまう専業主婦もいます。

心身の調子を崩してしまうおそれもあるので、このような事態にならないよう、離婚する前に趣味や目標を見つけておくことをおすすめします。趣味や目標は離婚後の生きがいとなり、新たな人生がより充実したものになるでしょう。

困ったときに頼れる環境や人間関係を築いておく

離婚後(老後)の生活を送るうえで、困ったときに周囲に頼れる人がいないという状況は、気持ちの面でも健康面でも、とても不安なものです。熟年離婚の場合、子供は自立し、就職して親元を離れていたり、結婚して自身の家庭を築いていたりして、近くにはいないケースも多いでしょう。また、離婚後に住まいを移す方は、親交のあったご近所さんとも離れることになります。

熟年離婚するにあたっては、いざというときに頼れる環境や人間関係を築いておいた方が安心です。そのためにも、子供と定期的に連絡をとる、これまでの人間関係を大事にして気軽に相談できる人を見つける、新たなコミュニティに参加する、かかりつけ医を見つけるといった行動が大切になるでしょう。

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専業主婦が熟年離婚する際に請求できるお金

意を決して熟年離婚したのにもかかわらず、離婚後(老後)の生活費に困ってしまい、離婚したことを後悔する専業主婦もいます。そのような事態を防ぐため、離婚するときに請求できるお金は、きちんと請求しましょう。

それでは、専業主婦が熟年離婚するときにはどのようなお金を請求し、もらうことができるのでしょうか?もらえる可能性のあるお金を、いくつか紹介します。

専業主婦の財産分与はどうなる?

離婚する際、婚姻中に夫婦の協力により築いてきた財産(共有財産)は、財産分与して夫婦間で分け合うことができます。専業主婦であっても、妻が家事労働で家庭を支えているから夫は仕事に励めているのであり、夫の収入は夫婦が協力し合って得られたものといえるため、財産分与を受けられます。また、財産分与の割合は、原則として2分の1となります。

熟年離婚のケースでは、結婚生活が長い分、財産分与の金額が高額になったり、金額の算出方法や分け方が複雑になったりすることが多いです。適切な財産を受け取れるように、対象になる財産はどれくらいあるのか、離婚する前にしっかりと確認しておきましょう。

また、専業主婦が熟年離婚する場合、離婚後すぐに働いて自立しようにも、長年のブランクや経験不足等がネックとなり、そう簡単にはいかないこともあります。そこで、離婚後、生活に困ってしまう専業主婦の生計を、経済的に自立できるようになるまで支えよう、という意味合いで財産分与することがあります。通常、財産分与は「清算的財産分与」といって、夫婦の共有財産を清算するために行われますが、このように一方が他方を扶養するために行われることもあり、これを「扶養的財産分与」といいます。

熟年離婚するときの財産分与について、さらに詳しい内容は、下記の記事をご覧ください。

専業主婦は夫が支払っていた年金はもらえる?

熟年離婚する専業主婦のなかには、離婚後(老後)の暮らしは年金に頼っていくという方も多いかと思います。そこで重要になるのが、年金分割という制度です。

この制度は、夫婦が婚姻期間中に納付した厚生年金保険料(※かつての共済年金保険料も含みます)の記録を、夫婦間で分割するというものです。例えば、夫が会社員で厚生年金保険に加入していた場合、離婚する際、専業主婦である妻が夫の厚生年金保険料の納付記録を分割してもらえれば、自身の年金額を増やすことが可能です。

また、専業主婦の多くは、年金制度でいう「第3号被保険者」に該当しているでしょう。この場合、夫婦間の合意や裁判手続は要さずに、2分の1ずつ分割することができます(3号分割)。ただし、平成20年4月1日より前の厚生年金記録については、夫婦間の合意または裁判手続が必要になります。

年金分割について、さらに詳しい内容を知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

専業主婦は夫の退職金をもらえる?

婚姻期間中の夫の収入は、夫婦の協力があってこそ得られたものであるため、一方が専業主婦であったとしても財産分与の対象になるのと同様に、夫の退職金もまた、財産分与の対象になり得ます。ただし、あくまでも婚姻期間中に積み上げた分のみが対象になるのであり、婚姻前や離婚後に積み上げた分については対象になりません。

したがって、専業主婦は、熟年離婚する際、婚姻期間中に積み上げた分の夫の退職金を財産分与によりもらうことができ、もらえる割合は原則として2分の1となります。

退職金の財産分与についての詳しい内容は、下記の記事をご覧ください。

熟年離婚の際に慰謝料は請求できる?

夫が、不貞やDV、モラハラといった不法行為をした場合、強いられた精神的苦痛への賠償金として、熟年離婚の際に慰謝料を請求することができます。もちろん、請求する・しないはご自身の気持ち次第ですが、例えば「性格の不一致」のみを理由に熟年離婚する場合には、夫に不法行為があったとはいえないので、慰謝料を請求したとしても、裁判所に認められることは難しいです。

また、慰謝料金額の算出時、考慮される要素の一つに「婚姻期間」があり、婚姻期間が長ければ長いほど、慰謝料は高額になる傾向にあります。そのため、長年の婚姻期間を経てきた熟年離婚では、慰謝料の金額は高くなる可能性があります。ただし、子供の有無や離婚理由、相手の不法行為の程度等、そのほかの事情も考慮されることに、留意しておきましょう。

下記の記事では《離婚慰謝料》をテーマに詳しく解説していますので、こちらもぜひ参考にしてみてください。

熟年離婚を前提とした別居の場合、婚姻費用はもらえる?

熟年離婚しておらず別居の段階ならば、専業主婦には、夫から婚姻費用をもらう権利があります。というのも、夫婦は、お互いの負担能力(収入等)に応じ、夫婦と未成熟子(経済的に自立していない子)が全員同等レベルの生活を送るための費用である、婚姻費用を分担する義務を負っているからです。そして、離婚するまでの期間は、この義務を負い続けるため、熟年離婚が成立する前であれば、別居中も婚姻費用を請求できます。

ただし、ご自身に原因があって別居しているという事情がある場合、裁判所の判断で、子供の養育費分以外の婚姻費用は認められないか、減額されることがあります。

専業主婦が別居した場合の婚姻費用について、詳しい内容は下記の記事をご覧ください。

熟年離婚の手続の流れ

専業主婦が熟年離婚するときの手続は、通常の離婚の場合と同様に、「協議離婚→離婚調停→離婚裁判」という流れで進んでいくのが一般的です。なお、少ない例ですが、離婚調停が不成立となった後、裁判所の判断で審判がなされ、離婚が成立するというケース(審判離婚)もあります。

また、熟年離婚の場合、ともに生活する時間が長くなるにつれ、結婚当初よりも会話が減り、夫婦関係が冷め切ってしまっているというご家庭も珍しくないでしょう。このような状況では、離婚を切り出しづらかったり、切り出しても「何を言っているんだ」と取り合ってもらえなかったりすることもあるかと思います。

話し合いで解決することが難しく、協議離婚の成立が見込めないときには、離婚調停を申し立てましょう。離婚調停では、家庭裁判所の調停委員会が夫婦の間に入って話し合いを進めてくれます。

離婚の流れについては、下記の記事も参考になさってください。

さらに詳しく
離婚の流れと方法

専業主婦が熟年離婚で後悔しないためにも、ひとりで悩まず弁護士に相談しましょう

専業主婦の方が熟年離婚する場合、特に離婚後の経済的な問題が気になることでしょう。あとで後悔してしまわないように、離婚する前にしっかりと準備を行い、離婚後の経済的不安を少しでも払拭することが重要であるというのは、これまでの説明でご理解いただけたかと思います。

しかし、具体的にどのような準備を行っておいた方が良いかは、個別の事情によって異なり、専門的な知識も要します。加えて、実際に離婚を進めようとしても、夫婦間の話し合いで解決できなければ、裁判所の手続を利用する必要があり、ここでもまた専門的な知識を要します。

「熟年離婚しよう」と決意したときには、それまで我慢し続けていた不満やストレスから、すでに精神的な負担がかかっているかと思います。そのうえ、離婚後(老後)のことを考え、ご自身で準備を整えて離婚の手続を進めるというのは、困難を強いられるでしょう。

そこで、法律の専門家である弁護士に相談すれば、離婚後(老後)の生活を見据えた適切なアドバイスを受けることができます。さらに、弁護士に依頼して、離婚前の準備に際して必要な手続や、離婚の手続を代わりに行ってもらうこともできます。専業主婦の方で熟年離婚を考えている場合は、後悔することなく新たな人生への一歩を踏み出すためにも、ひとりで悩まず、まずは弁護士にご相談ください。

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※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。

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