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DVから身を守る接近禁止命令とは?手続きの流れや注意点など

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治

監修弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員

日常的に配偶者から暴力や脅迫を受け続けているのに、ずっと耐えているという方はいらっしゃいませんか?

勇気を振り絞って、警察や弁護士に相談に行ったり、避難先を確保したり、行動にうつしてみませんか。
対応策のひとつに「接近禁止命令」を申し立てるというものもあります。

しかし、「接近禁止命令」という言葉を聞いたことはあっても、具体的にどのようなことなのか、どのように申し立てしたらいいのかわからない方も多いかと思います。

そこで本記事では、「接近禁止命令とは?禁止できる行為とは?」や、「接近禁止命令の申立ての手続きの流れ」や、「接近禁止命令における注意点」など、“接近禁止命令”について、詳しく解説していきます。

よくある質問にも答えていますので、あわせてご覧ください。

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接近禁止命令とは? 禁止できる行為は?

接近禁止命令とは、身体的暴力や生命・身体に対する脅迫をしてくる配偶者の接近を6ヶ月間、禁止する裁判所の命令です。DV防止法(正式名:配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)第10条で定められている保護命令のひとつで、命令に違反した加害者には刑罰が科されます。

接近禁止命令により、裁判所が禁止できる行為は次のとおりです。

  • 被害者の身辺の付きまとい
  • 被害者の住宅・勤務先・常在している周辺へのうろつき

ただし、ここで注意していただきたいのは、接近禁止命令は、メールや電話での接触は禁止されていないということです。
そのほかにも、接近禁止命令は申立人本人についてのみ有効であるため、子供への接近や実家への訪問などは禁止できません。
そのような禁止を求める場合は、別の保護命令を追加する必要があります。

詳しくは、次項で解説していきます。

その他の保護命令で禁止できる行為

接近禁止命令以外に保護命令で禁止できる行為には何があるのか、またどういう状況の場合にその保護命令を申し立てるべきか、次の表のとおりとなります。

電話等禁止命令 加害者が面会を要求してくる場合
電話やメールで脅迫を受けている場合など
子への接近禁止命令 加害者が子供を連れ去ろうとする恐れがある場合
親族等への接近禁止命令 親族の元へ押しかけてくる恐れがある場合
退去命令 加害者と被害者間の同居を解消させないと危害が継続的に続く場合

なお、上記の保護命令は、次のいずれかの前提が必要となりますのでご注意ください。

  • 配偶者への接近禁止命令が発せられていること
  • 接近禁止命令と同時に発せられるのものとなっており、接近禁止命令が発せられる状況にあること

相手が違反した場合の罰則と対応

接近禁止命令に違反した場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。
ほかの保護命令を違反した場合も同じです。
違反をすると刑罰が科されることから、保護命令の実行性が担保されると考えられます。

また保護命令が発令されると、地方裁判所から警察やDVセンター(配偶者暴力相談支援センター)へ通知されます。
通知されていることによって、何かあれば、すぐに各関係機関に対応してもらえる可能性が高まります。

なお、DVセンターに通知してもらうには、申立て前にDVセンターに相談していることが前提ですので、事前にDVセンターに相談しておくようにしましょう。

接近禁止命令の要件

接近禁止命令が認められるためには次の3つの要件を満たす必要があります。

  • ① 申立人と相手が、婚姻関係、事実婚関係、同棲関係のいずれかにあること
  • ② ①の関係継続中に相手による暴力行為または脅迫行為が行われたこと
  • ③ 将来的に身体的暴力を振るわれて生命や身体に重大な危害を受けるおそれがあること

ただし、同棲をしていない恋人関係の場合は①の要件を満たしていないので接近禁止命令の申立てはできません。
また、①のいずれかの関係間に暴力や脅迫がなく、関係が終了した後に暴力や脅迫が始まった場合も②の要件が満たされていないことになるため、接近禁止命令の申立てはできません。

接近禁止命令の申立ての手続きの流れ

接近禁止命令の申立ての手続きから発令されるまでの流れは、次の図のようになります。

接近禁止命令の申立ての手続きから発令されるまでの流れ

それぞれ詳しく解説していきましょう。

①DVセンターや警察への相談

接近禁止命令の申立てをするにあたり、警察またはDVセンター(配偶者暴力相談支援センター)に事前に相談した事実が必要になります。
まずは警察やDVセンターに相談にいきましょう。

近くの警察署に直接いくか、相談専用電話「#9110」に連絡して相談すれば、「DVの証拠」になるほか、被害届を出せば、場合によっては相手を逮捕する可能性もあります。また、接近禁止命令発令に向けてのサポートや避難シェルターなど専門機関の紹介など、支援してくれるケースもあります。

もし、相談実績がない場合は、接近禁止命令の申立てをするにあたって公正役場に行って、「宣誓供述書」を作成しなければいけません。

DVセンター(配偶者暴力相談支援センター)の施設一覧(令和3年7月19日時点)は下記ページとなっていますので、ぜひご参考ください。

②裁判所への申立て

事前準備を終えたら、裁判所に接近禁止命令の申立てを行います。申立先は、次のいずれかを管轄する地方裁判所です。

  • 相手方の住所地(国内に住所がない、または住所がわからないときは居所地)
  • 申立人の住所地または居所地
  • 申立ての理由となった、配偶者からの身体的暴力または生命等に対する脅迫が行われた地

申立人になれるのは、配偶者から身体的暴力または生命等に対する脅迫を受けた、被害者本人です。親族や友人などが代理で申し立てることはできません。

必要書類

接近禁止命令の申立てには、主に次のような書類が必要になります。

  • 申立書2部(正本・副本)
  • 申立人と相手方の関係を証明する書類
    <例>戸籍謄本、住民票など
  • 身体的暴力または生命等に対する脅迫を受けたこと、今後、配偶者から身体的暴力を振るわれ、生命等に重大な危害が加えられるおそれが大きいことの証拠
    <例>診断書、怪我の写真、脅迫の録音データ、申立人本人や第三者の陳述書など

また、場合によっては次の書類も必要です。

【子への接近禁止命令も申し立てる場合(※子供が15歳以上のとき)】

  • 子の同意書
  • 同意書の署名が子供本人のものであることが確認できるもの
    <例>学校で受けたテストの答案用紙など

【親族等への接近禁止命令も申し立てる場合】

  • 対象となる親族等の同意書
    ※対象者が15歳未満または成年被後見人の場合は、法定代理人の同意書。
  • 同意書の署名押印が親族等本人のものであることが確認できるもの
    <例>印鑑証明書、パスポートの署名欄など
  • 申立人と親族等との関係を証明する書類
    <例>戸籍謄本、住民票など
    ※法定代理人による同意書の場合は、加えて資格証明書も必要。
  • 親族等への接近禁止命令が必要な事情を明らかにする資料
    <例>親族等の陳述書など

なかにはウェブ上で書類のフォーマットを公開している裁判所もありますので、作成時に利用するといいでしょう。例として、東京地方裁判所のウェブページで公開されているフォーマットの一部を掲載します。

申立てに必要な費用

接近禁止命令の申立てには、費用がかかります。必要な費用は次のとおりです。

  • 手数料としての収入印紙:1000円分
  • 郵便切手:金額は裁判所によって異なる
    <例>東京地方裁判所だと2300円分(※内訳は省略)

③口頭弁論・審問(審尋)

申立ての受理後、その当日か直近の日に申立人本人に面談が行われます。
面談では、今までどれだけひどい暴力を受けてきたか被害内容や経緯について伝えます。

申立人の面談から1週間~10日後に相手を呼んで、暴力や脅迫の真偽について、相手に直接意見を聞きます。この手続きを口頭弁論や審問といいます。
裁判所は、それぞれの話を聞いたうえで接近禁止命令を発令するかどうか判断します。

ただし、身体や生命に危険があるような緊急を要する事情がある場合には、口頭弁論・審問を実施せずに接近禁止命令を発令させることもあります。

④接近禁止命令の発令

接近禁止命令は、基本的に口頭弁論・審問の際に直接言い渡されて、効力が発生します。

もし、相手が口頭弁論・審問に来なかった場合は、相手に「決定書」が送られます。
相手が受け取りを拒否しても、送達したとみなされて効力は発生します。

保護命令が発令された場合は、地方裁判所から警察やDVセンターにも通知されます。
通知されることにより、各関係機関から迅速な対応が期待できるでしょう。

接近禁止命令における注意点

接近禁止命令を申し立てるにあたって、注意しなければいけない点がいくつかあります。
詳しく解説していきましょう。

接近禁止命令が発令されるためには証拠が必要

裁判所は接近禁止命令を発令するにあたって、提出された証拠に基づいて判断しますので、相手から受けた身体的暴力や脅迫、また、将来身体的暴力を受ける可能性が高いことなどについて客観的な証拠が必要となります。

具体的には、次のような証拠が必要となります。

  • 医師の診断書
  • 暴力で負った外傷の写真データや動画データ
  • 暴力を振るわれているときや脅迫されているときの音声データや動画データ
  • 経緯や被害内容を書いた陳述書 など

ただし、証拠があっても、申立ての数ヶ月前の暴力や脅迫の証拠しかないときは、将来、生命・身体に危害を受けるおそれが大きいとはいえないと判断され、申立てが却下される可能性もあります。

証拠のうち「診断書」について、下記ページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

相手に離婚後の住所や避難先を知られないよう注意

接近禁止命令の申立書は相手にも送付されます。
避難して現在住んでいる住所を申立書に記載して知れば、相手からの危害が及ぶ可能性があります。
したがって、相手には別居後や離婚後の住所は知られないようにしなければいけません。

申立書の住所も、必ず現在住んでいる住所を記載しないといけないということはありません。申し立てる裁判所に相談のうえ、住民票上の住所や元々相手と一緒に住んでいた住所を記載するようにしましょう。

また、提出した証拠については相手も閲覧できるので、現在住んでいる場所が特定できそうなものは黒塗りにして提出するようにしてください。

そのほかにも、住民票や戸籍の附票を取得して、新しい住所を突き止めようとする相手もいるので、市区町村に「住民基本台帳事務における支援措置申出書」を提出すると、住民票や戸籍の附票などの閲覧・交付制限される措置がとられます。

偶然の遭遇は違反とならない

偶然、町の中で会ってしまった場合は、違反とはなりません。
ただし、偶然遭遇したのをきっかけに、声をかけられたり、付きまとわれたり、偶然会ってから何度も会うようになったりした場合などは、接近禁止命令に違反しているとみなされる場合もありますので、警察に相談しましょう。

相手が接近禁止命令を守るとは限らない

現実的には、相手が接近禁止命令を守らない可能性も大いにあります。
そのため、接近禁止命令発令が出たとしても安心せず、次のような行動をとるように心がけましょう。

  • 相手の行動範囲に近づかない
  • 夜ひとりでの外出を控える
  • 相手と共通の関係者との接触を避ける など

また、接近禁止命令が発令されていると、裁判所から管轄の警察本部長または警視総監まで連絡がいきますので、身の危険を感じたら、すぐに警察に連絡するようにしましょう。

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接近禁止命令の期間を延長する方法

相手が「保護命令が終わったら覚悟しとけよ」、「接近禁止命令が終わったら、力づくでも子供に会いに行く」などの恐怖を感じる発言をしており、前回の保護命令の6ヶ月の期間が過ぎると、危害が及ぶおそれが大きい場合に、再度の保護命令の申立てができます。

ただし、延長や更新とは異なり、新たな事件として審理されますので、再び、警察やDVセンターへの相談または宣誓供述書の作成、申立書一式の準備、口頭弁論・審問などの一連の流れを再度行う必要があります。

申立書一式の提出の際は、前回提出した保護命令申立書と保護命令謄本の写しが必要となり、申立費用も初回の申立てと同様の金額が生じます。
再度申立てをする際は、現在の接近禁止命令の効力の期間の終了日と、再度の接近禁止命令の開始日が開かないように気を付けましょう。

接近禁止命令を取り消す方法

接近禁止命令が発令されてから、状況の変化があれば、裁判所に申立てをすると、接近禁止命令の取り消しを求められます。

申立人であれば、いつでも取り消し可能となり、相手が取り消したい場合は、「申立人の異議がないこと」と「接近禁止命令の効力が生じたあと3ヶ月以上経過していること」が要件となります。

必要な費用は、申立人と相手方ともに収入印紙代500円で、郵送代もかかりますが、申立人と相手方で費用は変わりますので、詳しくは裁判所に確認するようにしてください。

接近禁止命令に関するQ&A

Q:

接近禁止命令を相手から勝手に取り下げられてしまうことはありますか?

A:

相手が接近禁止命令の取消しを求めても、申立人の意思に反して勝手に取り消されてしまうことはありません。相手方からの取消しの申立てが認められるには、次の要件をすべて満たしていなければならないからです。

  • 申立人に異議がいないこと
  • 接近禁止命令の効力が生じてから3ヶ月を経過していること

要件にあるとおり、必ず申立人に異議がないことが確認されます。申立人が反対すれば取り消されてしまうことはありませんので、ご安心ください。

Q:

離婚後でも接近禁止命令を出してもらえますか?つきまとわれて困っています。

A:

婚姻期間中に、身体的暴力または生命等への脅迫を受けていたのなら、離婚後でも接近禁止命令を出してもらえる可能性はあります。

婚姻期間中にこうした行為を受けていなかった場合には、接近禁止命令の申立てはできませんので、警察に相談してストーカー規制法に基づく措置をとってもらいましょう。具体的な措置としては、相手につきまとわないよう警告する、つきまといを禁止する命令を出す、といったものがあります。

しかし、単に「つきまとわれて困っている」と言うだけでは、警察は積極的には動いてくれない可能性もありますので、日頃からつきまとわれていることがわかる証拠を提出して相談することをおすすめします。

Q:

婚姻関係がない彼氏の場合でも接近禁止命令を出すことはできますか?

A:

恋人関係での暴力や脅迫については、基本的には、接近禁止命令は適用されません。

しかし、平成26年1月の法改正により、適用対象を広げ、恋人間の暴力でも同棲していれば、接近禁止命令をはじめ保護命令を出すことが可能となりました。

したがって、同棲していない恋人関係の相手には接近禁止命令は出せませんが、同棲している恋人関係であれば、接近禁止命令を申し立てて発令してもらうことは可能となります。

Q:

接近禁止命令は「○メートル」など距離の制限はありますか?

A:

接近禁止命令では、「半径何メートル以内に近づいてはならない」というように、具体的に“距離”が指定されるわけではありません。相手方が申立人につきまとったり、申立人の住居等の近くをうろついたりすることが禁止される、つまり、“日常的な行動範囲”が制限されることになります。

配偶者のDVにより接近禁止命令を検討されている場合は、弁護士にご相談ください

暴力や脅迫をしてくる相手に苦しめられている方は、まずは、警察に相談し、避難して安全を確保するのが最優先ですが、次に接近禁止命令の申立てを行うのも大切です。接近禁止命令を申し立てするかどうか悩まれている方は、ぜひ弁護士にご相談ください。

接近禁止命令は緊急性が高いうえ、証拠が不十分などで発令されないという場合もあることから、弁護士にサポートしてもらいながら進めることをお勧めします。
接近禁止命令が発令されて以降、相手が接触してきてどうしたらいいか困る場合についても、弁護士が全力でサポートします。

また暴力をふるう相手と直接離婚の話をするのは、とても危険ですので、代わりに弁護士が相手と離婚について話し合うことも可能です。弁護士法人ALGにまずはお気軽にお問合せください。

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監修:谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員 弁護士
保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:41560)

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