DVから身を守る「接近禁止命令」について

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治

監修弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員

配偶者からのDVに苦しんでいる方の身を守るために作られた「DV防止法」では、「保護命令」という制度が設けられています。そして、この保護命令の1つに、《接近禁止命令》があります。

接近禁止命令は、相手(DV加害者)に対し、申立人(DV被害者)につきまとったり、申立人の住居(※同居している住まいは除く)や勤務先等の近くをうろついたりすることを、6ヶ月間にわたって禁止するものです。

裁判所に接近禁止命令を出してもらうためにはどうしたら良いのか、申立てが認められるための条件や、実際に発令されるまでの流れ等、本ページでは《接近禁止命令》について詳しく解説していきます。

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接近禁止命令は保護命令の1つ

接近禁止命令は、DV防止法に基づいて発令される保護命令の1つです。

保護命令とは、DV加害者から被害者を救済するための手段として、DV防止法の第4章に規定されている制度であり、次の5つの種類があります。

  • ①接近禁止命令
  • ②退去命令
  • ③子への接近禁止命令
  • ④親族等への接近禁止命令
  • ⑤電話等禁止命令

なお、③~⑤は、接近禁止命令(①)に付随して発令されるものであり、単独では発令されません。そのため、③~⑤が実際に発令されるケースは、接近禁止命令と併せて発令されるケースと、すでに接近禁止命令が出されているときに発令されるケースの2パターンとなります。

接近禁止命令の条件

接近禁止命令が出されるのは、配偶者から身体的暴力または生命・身体に対する脅迫を受けたことがある者で、この先、配偶者から身体的暴力を振るわれて生命等に重大な危害を受けるおそれが大きい場合です。そのため、発令してもらうためには、これらの条件を満たしていると客観的に見てわかるような証拠が必要になります。例えば、配偶者から身体的暴力を受けたと証明するには、「医師の診断書」や「怪我の写真」等が有効な証拠になり得るでしょう。

身体的暴力を含めたDVの証拠になり得るものについては、下記のページをご参照ください。

モラハラの場合は接近禁止命令を出せない

接近禁止命令の対象となるのは、「身体的暴力」または「生命等に対する脅迫」を受けた者です。暴言を吐く、罵倒するといった精神的暴力は、DVの一種ではありますが、相手の言動が「生命等に対する脅迫」に当てはまるものでない限り、接近禁止命令の対象にはなりません。したがって、いわゆるモラハラを受けた場合では、基本的に裁判所は接近禁止命令を出せないと考えられます。

ただ、モラハラを受け続けていると、心へのダメージが次第に大きくなってしまい、うつ病を発症する方もいます。そのような事態を避けるためにも、相手からのモラハラの対処法として、別居を検討してみてはいかがでしょうか。別居する際には注意すべきこともありますので、下記のページを参考にしていただければ幸いです。

接近禁止命令の効力

接近禁止命令が出されると、相手方が申立人につきまとうことや、申立人の住居(※同居している住まいは除く)や勤務先等の近くをうろつくことが禁止され、この効力は6ヶ月間続きます。保護される対象である申立人になれるのは、被害者本人です。弁護士等を除き、基本的に被害者本人以外が代理人となって申し立てることはできません。

なお、接近禁止命令では、相手方からのメールや電話を禁止することは叶いません。これらの行為も防ぎたいときは、「電話等禁止命令」も併せて申し立てましょう。なお、接近禁止命令が出された後、追加するかたちで申し立てることも可能です。

子供を連れ去られる可能性があるなら「子への接近禁止命令」を発令してもらう

相手が子供を連れ去ってしまったら、子供を取り戻すために、相手と会わなくてはならなくなる等の事態に見舞われることが予想されます。このような事態を回避するためには、「子への接近禁止命令」が有用です。この命令は、申立人と一緒に住んでいる子供につきまとうことや、住居や学校等、普段子供がいる場所の近くをうろつくことを、6ヶ月間にわたって禁止するものです。子供を連れ去られる可能性がある場合には、接近禁止命令を申し立てる際、子への接近禁止命令も併せて申し立てることをおすすめします。

なお、保護の対象となる、“申立人と一緒に住んでいる子供”というのは、未成年の子供を指します。成年の子供に対する保護を求めるときは、「親族等への接近禁止命令」を申し立てる必要があります。

申立前に必要な準備

接近禁止命令を申し立てるにあたっては、「警察または配偶者暴力相談支援センター(DVセンター)への相談実績」が必要です。というのも、接近禁止命令の申立書には、これらの機関に相談した事実を記載しなければならないからです。

警察へ相談する際は、警察署に直接行って相談するほか、専用電話「#9110」に連絡して相談するという方法もあります。また、“配偶者暴力相談支援センター”は、施設の名称ではなく、機能の名称です。そのため、実際には、配偶者暴力相談支援センターの機能を果たす、各地域の施設に相談することになります。配偶者暴力相談支援センターの機能を果たす施設の一覧は、こちらをご参照ください(※令和2年4月1日時点での情報になります。)。

なお、相談実績がない場合は、公証役場で「宣誓供述書」を作成してもらう必要があり、この書類を申立書に添付することになります。宣誓供述書とは、公証人に宣誓認証を受けた文書のことです。具体的には、DV被害の内容等を公証人に供述し、その内容が事実であることを宣誓したうえ、作成してもらいます。この書類を準備する必要があるときは、お近くの公証役場で、宣誓供述書の作成を申し込みたい旨を伝えましょう。

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接近禁止命令の申立て手続き~発令までの流れ

接近禁止命令の申立て手続きを行い、実際に発令されるまでには、基本的に次のような流れで進んでいくことになります。

必要書類をそろえる

接近禁止命令の申立て時に必要な書類には、まず「申立書(2部)」があります。そして、これにはいくつかの書類を添付しなければなりません。申立先の裁判所や個別の事情によって異なる場合もありますが、基本的な添付書類は以下のとおりです。いずれも現物とコピーしたものを提出します。

  • 申立人と相手方の関係を証明する資料  
    (例:婚姻中である場合には、戸籍謄本や住民票等)
  • 身体的暴力または生命等に対する脅迫を受けたことの証拠
    (例:医師の診断書、怪我の写真、脅迫を録音したもの等)
  • 今後、相手方からの身体的暴力により、生命等に重大な危害を受けるおそれが大きいことの証拠  
    (例:メール、申立人本人の陳述書、申立人と相手方のことをよく知る第三者の陳述書等)

また、子供や親族等への接近禁止命令も申し立てたい方は、以下の書類の提出が必要です。

子への接近禁止命令の場合 ※対象となる子供が15歳以上であるとき

  • 子の同意書
  • 同意書の署名が子供本人のものだと確認できるもの (例:学校で受けたテストの答案用紙等)

親族等への接近禁止命令の場合

  • 対象となる親族等の同意書
  • 同意書の署名押印が親族等本人のものだと確認できるもの
    (例:印鑑証明書、パスポートの署名欄等)
  • 親族等と申立人との身分関係を明らかにする戸籍謄本、住民票等
  • 親族等への接近禁止命令を必要とする事情がわかる証拠
    (例:親族等の陳述書等)

なお、裁判所によっては、ウェブサイト上で申立書や各同意書等のテンプレートが公開されていることがありますので、作成時には活用してみましょう。 例として、東京地方裁判所のウェブサイトに公開されているテンプレートを掲載します。

申立てに必要な費用

接近禁止命令の申立て時に必要な費用は、手数料としての収入印紙代1000円と、郵便切手代です。郵便切手代は、申立先の裁判所によって異なり、例えば東京地方裁判所では、2300円分(※内訳は省略します)の切手を納めなければならないとされています。

裁判所に申立てを行う

必要な書類や費用をそろえたら、裁判所に申立てを行います。申立先は、「相手方の住所地(国内に住所がない、または住所がわからないときは居所地)」「申立人の住所地または居所地」「申立てに係る、配偶者からの身体的暴力または生命等に対する脅迫が行われた地」のうち、いずれかを管轄する地方裁判所となります。

口頭弁論・審尋

申立後は、裁判所で申立人の面接が行われます。その後、相手方の意見も聞くために、口頭弁論または審尋の期日が設けられ、接近禁止命令を発令するかどうかの判断がなされます。ただし、場合によっては、接近禁止命令を急いで出さなければならない事態になってしまっているケースもあります。このようなケースでは、裁判所は、口頭弁論や審尋の期日は設けず、ただちに接近禁止命令を発令することができるとされています。

相手が接近禁止命令に違反したときの対処

接近禁止命令が発令されているにもかかわらず、相手がつきまとい等の行為をしてきた場合、危害を加えられるおそれもあるので、ご自身だけで対処しようとすることはおすすめしません。早急に警察に110番通報しましょう。接近禁止命令が出されていることで、警察はより積極的に動きやすくなるため、状況によっては相手を逮捕することもあります。

なお、接近禁止命令に違反した者は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。

接近禁止命令の期間を延長したい場合

接近禁止命令の効力が続くのは6ヶ月間ですが、もっと期間を延ばしてほしい場合もあるでしょう。その場合、期間を延長するという手続きはないので、再度申立てを行うことになります。そして、再び接近禁止命令を発令するか否かの判断がなされます。

なお、再度の申立てであっても、裁判所では新たな事件として扱われます。そのため、申立ての手続きや口頭弁論・審尋などは、もう一度行う必要があります。必要な提出書類や費用は、前回の申立て時と基本的に同じです。ただ、書類については、前回提出した申立書の写しと、裁判所が作成した保護命令謄本の写しも提出するよう、求められます。また、接近禁止命令を申し立てるにあたって必要となる、警察等への相談、または公証役場での「宣誓供述書」の作成も、改めて行わなければなりません。

接近禁止命令に関するQ&A

Q:

接近禁止命令はどれくらいの距離が指定されるのでしょうか?

A:

接近禁止命令では、「半径何メートル以内に近づいてはいけない」というように、具体的に“距離”が指定されるわけではありません。相手方が申立人につきまとったり、申立人の住居等の近くをうろついたりすることが禁止される、つまり、“日常的な行動範囲”が制限されることになります。

Q:

接近禁止命令が解除されてしまうことはありますか?

A:

接近禁止命令が発令された後、勝手に解除されてしまうことはありません。

もっとも、事情に変化があって接近禁止命令が必要なくなったときなどに、申立人が保護命令の取消しの申立てをすることで解除となる場合はありますが、申立人の意思に反して解除されるという事態にはならないので、ご安心ください。

Q:

離婚後でも接近禁止命令を出してもらえますか?つきまとわれて困っています。

A:

婚姻期間中に、身体的暴力や生命等に対する脅迫を受けていたのであれば、離婚後でも、婚姻期間中のこれらの被害内容に基づき、接近禁止命令を出してもらえる可能性があります。

ただし、婚姻期間中に、身体的暴力や生命等に対する脅迫を受けていなかった場合、接近禁止命令の申立てをすることはできません。この場合、元配偶者のつきまとい行為については、警察に相談し、ストーカー規制法による警告や禁止命令等の措置を講じてもらうといった対処方法をとることになるでしょう。

DVにお悩みの方は弁護士にご相談ください

DV被害に遭っている場合、相手への恐怖心等から今すぐに離婚に向けて動くことが難しくても、「接近禁止命令」によって、相手と距離を置いて身の安全を確保することは望めます。

ただ、接近禁止命令を申し立てたからといって、必ずしも発令してもらえるとは限りません。申立て時に提出した書類・証拠の内容等によっては、発令する必要性はないと判断されてしまう場合もあります。接近禁止命令を出してもらいたいとお考えの方は、弁護士にお任せください。弁護士なら、事前準備や申立て手続きを適切に行えるよう、ご依頼者様の状況に応じたアドバイス・サポートをすることができます。

DV被害者の方に何より優先していただきたいのは、ご自分の身を守ることです。どうして良いのかわからないときや、離婚したいけれど不安な気持ちがあるときには、ひとりで悩まず、できる限り早急に弁護士にご相談ください。弁護士は、ご依頼者様のお悩みに真摯に向き合い、最善の解決に導くために、一番の味方となって全力を尽くします。弁護士への相談で、まずは一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。

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