内縁の夫(妻)と別れたい|内縁関係解消とお金の問題

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治
この記事の監修
弁護士 谷川 聖治
弁護士法人ALG&Associates 執行役員

様々な事情があり、あえて婚姻届を提出せず、内縁関係というかたちをとることは、めずらしくはありません。
では、内縁関係を解消したいと思われた場合、法律上の婚姻関係にはないから、離婚のように揉めたり、特に問題になったりすることはないのかというと、そうとも限りません。一方が解消を望んでも、他方が望まないのであれば、争いになるでしょうし、離婚する際と同様に、慰謝料や財産分与等で揉めてしまうことだってあります。

内縁関係を解消するときには、どのようなことに注意した方が良いのでしょうか。本記事で詳しく確認してみましょう。

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内縁関係の解消方法

内縁関係は、離婚する際とは異なり、離婚届の提出という手続を要さずに解消することができます。それまで送ってきた夫婦同然の共同生活を終了させれば、内縁関係は解消されることになります。

ただし、内縁関係の解消について当事者間で合意できない場合、解消することに正当な理由がなければ、解消した側は損害賠償責任を負うことになるため、相手から慰謝料を請求されるおそれがあります。

内縁関係について

そもそも内縁関係とは、婚姻届を提出していないが、婚姻の意思があり、法律婚の夫婦同然の共同生活をしている男女のことをいいます。詳しくはこちらをご覧ください。

さらに詳しく
内縁関係とは

内縁関係を解消する正当な理由とは

正当な理由なく内縁関係を解消した場合、相手から慰謝料を請求されることがありますが、ここでいう「正当な理由」には、どのような事情が当てはまるのでしょうか。

内縁関係は、過去の判例において、婚姻に準ずる関係と認められており、一定の範囲内で法律婚の場合と同様の保護を受けられます。そのため、内縁関係を解消する正当な理由についても、民法上の離婚事由(民法770条)に準じた事情が当てはまると考えられています。

民法上の離婚事由について、詳しくは下記の記事をご参照ください。

内縁関係調整調停について

お互いが内縁関係を解消することに納得し、合意に至れば良いのですが、揉めてしまい、当事者間での話し合いによる解決が見込めない場合、とれる手段としては、内縁関係調整調停があります。この調停は、家庭裁判所の調停委員会を介入させて話し合うというもので、内縁関係を解消すべきか悩んでいるという状況でも利用できます。また、内縁関係の解消に伴い生じ得る、慰謝料や財産分与等の問題も併せて話し合うことが可能です。

手続の流れ・必要書類

内縁関係調整調停を申し立てることができるのは、内縁の夫と内縁の妻であり、申立先は相手方の住所地を管轄する家庭裁判所、または当事者間の合意によって決めた家庭裁判所になります。

申立てを受理してもらうために必要な書類は、基本的には「申立書とその写し1通」ですが、個別の状況によっては、その他の資料の提出が求められることもあります。また、年金分割についても話し合いたい場合には、「年金分割のための情報通知書」が必要になる等、話し合いの内容に含めたい事項に応じて必要な書類もあります。

なお、申立て時に必要な費用としては、1200円分の収入印紙と、郵便切手代(※金額は裁判所によって異なります)があります。

内縁関係調整調停を利用するときに不安なことがあれば早めに弁護士にご相談ください

内縁関係を解消したいと思い、話し合ったものの、相手の同意が得られずに話し合いがなかなかまとまらないようであれば、内縁関係調整調停という家庭裁判所の手続を利用することができます。

しかし、調停を行ってもなお合意に達しなければ、調停不成立で裁判所の手続は終了となります。離婚手続とは異なり、裁判所は、法律上の婚姻関係にはない内縁関係の解消についてのみを、審判や裁判で判断することはしません。内縁関係の解消に伴い生じた慰謝料や財産分与等の争いについては、個別に申し立て、調停や審判または裁判(訴訟)の手続をとっていく必要があります。

内縁関係調整調停を利用するにあたり、不安がある場合には、まずは弁護士に相談することをお勧めします。法律の専門家である弁護士であれば、ご相談者様の状況に応じた適切なアドバイスをすることができますし、必要な手続を代わりに行ったり、代理人として調停に出席したりすることも可能です。抱いているご不安を軽くするためにも、できるだけ早期に弁護士にご相談ください。

内縁関係を解消する際には、内縁関係を証明することが必要になる場合も

内縁関係の解消に慰謝料や財産分与等も併せて請求した場合、相手から内縁関係にはなかったと主張され、内縁関係の成立について争いになることがあります。慰謝料や財産分与等は、内縁関係が婚姻に準ずる関係として扱われるために請求できるものであり、内縁関係になかったのであれば、これらの請求は認められません。そこで、このような場合には、内縁関係を証明することが必要になります。

内縁関係の解消時、関係してくるお金のこと

内縁関係であっても、一定の範囲内で法律婚と同様の保護を受けられます。そのため、内縁関係の解消時には、離婚時と同様、慰謝料や財産分与、年金分割といった、様々なお金の問題が関係してきます。次項より確認してみましょう。

慰謝料について

正当な理由なく内縁関係を解消すると、精神的苦痛を受けたとして、相手から慰謝料を請求される可能性があります。
一方、内縁関係の解消に正当な理由があれば、相手に原因があって内縁関係を解消せざるを得なかったとして、相手への慰謝料請求ができます。
内縁関係の解消時の慰謝料について、詳しくはこちらをご覧ください。

不貞慰謝料はどうなる?

法律婚の場合には、配偶者が浮気をしたら「不貞」に該当して、離婚事由になりますし、相手に対して慰謝料を請求することもできます。
内縁関係のケースでも、相手が浮気をしたら「不貞」になるのでしょうか?

実際には、内縁関係でも相手が別の異性と交渉を持つと「不貞」となります。ただ、内縁関係の場合には、「そもそも内縁関係があること」を証明しないといけないので、法律婚の場合よりも立証のハードルが高くなります。

財産分与について

内縁関係を解消するときには、内縁関係にあった期間に双方が協力して築いた財産を対象に、財産分与することができます。

年金分割について

内縁の夫(妻)の被扶養者となっていた場合、内縁関係を解消するとき、第3号被保険者であった期間については、年金分割することができます。

養育費について

内縁関係の夫婦は、法律上の婚姻関係にない男女であるため、その間に生まれた子供は非嫡出子となります。このままでは、戸籍上の父親が誰であるかわからない状態となってしまいますが、内縁の夫が子供を認知することにより、両者には法律上の父子関係が生じ、内縁の夫も子供に対する扶養義務を負います。

したがって、内縁関係を解消したとしても、子供が内縁の夫に認知されていれば、子供の親権を得た母親は、内縁の(元)夫に養育費を請求できます。

内縁関係にある場合の養育費について、詳しくはこちらをご覧ください。

婚姻費用について

婚姻費用について、内縁関係と法律婚では、別居時の扱いが異なります。

まず、法律婚の場合、別居したとしても、基本的に離婚するまでの期間は婚姻費用の分担請求ができます。
しかし、内縁関係の場合、別居した時点で法律婚の夫婦同然の共同生活は終了し、内縁関係は解消されたとみなされます。そのため、別居後の婚姻費用の分担請求は困難です。

内縁関係で別居する場合の婚姻費用について、詳しくはこちらをご覧ください。

親権について

まずは、子どもがどちらかの連れ子であるケースです。

内縁関係時に、内縁の配偶者と子どもが養子縁組をしていない限り、子ども親権は連れてきた親の単独親権になっているので、内縁関係解消時にもそのまま連れてきた方の親が子どもの親権者となります。

連れ子のケースでも、内縁関係時に相手と養子縁組している場合には、子どもの親権者は夫婦の両方になります。ただ、内縁関係を解消する際には、養子縁組を解消して、もともと子どもを連れてきた方の親が子どもを引き取ることが普通です。

内縁関係時、夫婦間に子どもが生まれたケースでは、子どもを産んだ母親に単独親権が認められます。夫が認知をしても親権者になることはできません。

以上のように、内縁の夫婦における親権の取扱は、法律婚とは違う部分が多いので、しっかり押さえておきましょう。

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内縁関係の解消に関するQ&A

Q:

話し合って内縁関係を解消したときに持ち家の修繕費はもらうことができますか?

A:

相手が持ち家を損傷させたり、相手の喫煙により壁等に汚れが付着したりした等の事情があれば、内縁関係解消時、相手に持ち家の修繕費を請求しても良いでしょう。相手が支払に応じなくても、それらに関する証拠がある場合は、損害賠償請求を行って修繕費を回収することができる可能性があります。

Q:

内縁の夫と養子縁組をしていない子供(元夫の子供)がいる場合、内縁関係を解消したら元夫に再度養育費を請求することはできますか?

A:

内縁の夫と子供(元夫の子供)が養子縁組をしていない場合、内縁の夫に子供の扶養義務は生じず、元夫は子供を扶養する義務を負い続けます。そのため、内縁関係の解消を待たずして、元夫に対して養育費を請求することができます。
たとえ内縁の夫と子供が養子縁組をしていたとしても、特別養子縁組でなければ、元夫と子供の親子関係は続くため、扶養義務がなくなるわけではありません。養親となった内縁の夫が優先して扶養義務を負うことにはなりますが、養親の収入が少ない等で養育費が足りない場合には、元夫に対して養育費を請求することが可能です。
なお、元夫と離婚する際、養育費について取り決めたにもかかわらず、その後元夫からの養育費の支払いがなされていない期間が続いている場合、消滅時効にかかり、養育費を請求することができなくなるおそれがありますので、ご注意ください。

Q:

一方的に別居された場合は内縁関係が解消したことになりますか?

A:

内縁関係は、婚姻の意思があり、夫婦同然の共同生活を送っている状態を指すため、別居して共同生活を終了させたら、事実上、内縁関係は解消したとみなされるでしょう。相手が一方的に家を出て行き、別居された場合も同様です。
ただし、正当な理由なく、一方的に別居され、内縁関係を解消することになった場合には、不法行為にあたるとして、相手に対して慰謝料を請求することができます。

スムーズに内縁関係を解消するために弁護士に依頼してみませんか?

内縁関係は、法律婚と異なり、何らの手続を要することなく解消できます。しかし、内縁関係の解消時に、慰謝料や財産分与等で揉めてしまうおそれがあります。正当な理由なく内縁関係を解消した場合、慰謝料を請求されるケースもあるでしょうし、内縁関係の解消に伴い、財産分与等を請求したところ、そもそも内縁関係にはなかったと主張されてしまうケースもあるでしょう。

このように、内縁関係の解消には、様々なトラブルがつきものです。相手との話し合いがなかなか進まない場合には、弁護士に依頼して間に入ってもらうことで、スムーズに進められる可能性があります。

また、話し合っても合意に至らなかったり、内縁関係調整調停が不成立となってしまったりして、財産分与等の請求を個別に行うことになった場合、ご自身だけで手続を進めていくのには相当な労力がかかるでしょう。そのようなとき、弁護士であれば、必要な手続を代わりに行うことの他、調停や裁判において、代理人となって適切な主張・立証をすることもできます。

内縁関係の解消について、当事者間で揉めてしまうという事態を防ぐことができるよう、たとえ揉めてしまったとしても、よりスムーズな解決が図れるよう、弁護士はご依頼者様に寄り添って尽力いたします。内縁関係を解消したいものの、お困りの際には、弁護士に相談・依頼することをご検討いただければ幸いです。

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