離婚後の年金分割

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治
この記事の監修
弁護士 谷川 聖治
弁護士法人ALG&Associates 執行役員

年金分割とは、婚姻期間における厚生年金保険料の納付実績を分割し、将来受け取る年金額に反映させる制度です。分割される側の将来受け取る年金額の半額をもらえる制度だと誤解している方も多いですが、分割されるのはあくまで保険料の納付実績です。

年金分割は離婚時に請求できるもののひとつですが、離婚後、日が経っても請求できるのでしょうか。
本記事では、離婚後に年金分割についての取り決めをする際の注意点や、知っておくべき知識についてお伝えします。

まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います

離婚問題ご相談受付来所相談30分無料

※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。

お電話でのご相談受付

0120-979-164

24時間受付・年中無休・通話無料

メールでのご相談受付

メールで相談する

離婚後でも年金分割はできる?

年金分割は、離婚する際に必ず取り決め、請求しなければならないものではありません。むしろ離婚して初めて請求できるようになるので、離婚後日が経っていても、請求期限内であれば請求することができます。

なお、「年金分割」と一口にいっても、確定拠出年金や私的年金等、厚生年金以外は分割の対象にはなりません。年金分割について、詳しくは下記の記事をご覧ください。

さらに詳しく
年金分割の仕組み

請求期限に注意

離婚して初めて請求できるようになる年金分割ですが、離婚日の翌日から2年間という請求期限があります。期限を超過すると請求できなくなってしまうため、気をつけましょう。

離婚後の年金分割手続き

年金分割は、請求前に、按分割合(年金を分割する割合)等、請求に必要な情報を入手しなければなりません。こうした請求前の準備や実際に請求する手続きに、離婚の前後で異なる点はありません。

ところで、年金分割には、合意分割と3号分割の2種類があり請求方法が異なります。

合意分割では、事前に入手した「年金分割のための情報通知書」をもとに元夫婦で按分割合を話し合い、合意に至れば、合意内容を証明する書類を作成します。また、元夫婦だけでの話し合いでは合意が難しい場合は、裁判所の手続きを利用して按分割合を決めることになります。按分割合が決まったら、必要書類を年金事務所に提出することで、年金分割の請求を行います。

これに対して、3号分割では、按分割合は元から2分の1と決められています。そのため、分割を受ける側(第3号被保険者であった元配偶者)が、年金事務所に必要書類を提出することで、単独で年金分割の請求をすることができます。

それぞれの手続きについての詳しい説明は、下記の各記事をご覧ください。

さらに詳しく
合意分割とは
さらに詳しく
3号分割とは

離婚後の年金分割、話し合いが困難なときは?

合意分割をするためには、按分割合を決める必要があります。しかし、元夫婦2人だけの話し合いでは、按分割合について合意に至ることが困難な場合には、「年金分割の割合を定める調停」または「年金分割の割合を定める審判」を申し立てます。なお、離婚前であれば、離婚調停内で話し合います。

調停または審判で按分割合が決定すれば、調停調書や審判書が作成されるので、年金分割を請求する方は、これらの書類を利用して単独で年金分割を請求することができます。詳しくは下記の記事をご覧ください。

一方、3号分割の場合には、按分割合を決める必要はないため、合意や合意に代わる裁判所の決定は必要ありません。

年金分割の割合を定める調停(審判)の際、相手に離婚後の住所を知られたくない場合

年金分割の割合を定める調停(審判)を申し立てると、申立書が元配偶者に送付されることに加えて、元配偶者によって連絡先等の届出書の閲覧やコピーができるようになるため、離婚後の住所等の連絡先を知られてしまうおそれがあります。これを防ぎたいときは、「非開示の希望に関する申出書」に理由をはじめとする必要事項を記入し、非開示を希望する書類(申立書や連絡先等の届出書)の上にホチキス等で止め、提出します。なお、この申出書は、裁判所のホームページからダウンロードすることができます。

また、裁判所に提出するその他の書類等の上に住所の記載がある場合、家庭裁判所が見る必要がないと思われる部分については、マスキング(黒塗り)して提出することができます。マスキング処理をすることができない書類については、申立書等と同様、「非開示の希望に関する申出書」を添付して提出することで、裁判所に非開示の希望を伝えることができます。

当事者だけでの話し合いに抵抗がある場合は弁護士がサポートいたします

年金分割について、離婚した元配偶者と2人で話し合うことに抵抗がある場合や、話し合いが遅々として進まない場合には、弁護士への依頼をご検討ください。弁護士を代理人として依頼し、代わりに話し合いに臨んでもらったり、元配偶者との話し合いに介入してもらったりすると、それだけで風向きが変わるケースがあります。また、弁護士は、それぞれの事案によって異なる当事者の関係性に応じてより良い方法を選び取り、年金分割の手続きを進めることができます。

離婚後に年金分割の取り決めをするメリットとデメリット

メリット

年金分割の取り決めを離婚後に行うと、按分割合についてなかなか決まらず、離婚の成立が先送りになってしまうことを防ぐことができます。按分割合について揉めることが予想される場合は、離婚してから取り決める形にするのもひとつの手です。

デメリット

年金分割の取り決めを離婚後に行う場合には、次のようなデメリットもあるため注意が必要です。

そもそも、離婚後は疎遠になる場合が多く、いざ取り決めのために話し合いをしようにも、相手の連絡先もわからず、話し合いでの解決が望めなくなってしまうおそれがあります。また、連絡がついたとしても、相手方が離婚が成立した後に年金分割の交渉に応じるメリットはないことも多いため、話し合いの機会を持つことも難しいでしょう。このような場合には、調停や審判といった裁判手続きを利用することになりますが、これらには時間と労力がかかります。

さらに、年金分割のために必要な情報が記載されている、「年金分割のための情報通知書」を請求するには、自身と元配偶者の年金手帳や戸籍謄本等が必要になりますが、離婚をして他人になった後にこうした書類を集めるのは大変な手間です。

離婚時に年金分割をしないと合意してしまった場合

年金分割は公法上の権利なので、離婚時に年金分割をしない旨の合意をしても、合意分割、3号分割のどちらを請求する権利も消滅しません。

ただし、合意分割をするためには、当事者の合意か裁判所の決定が必要です。したがって、「年金分割をしない」旨の合意を、当事者の合意や裁判所の決定を得るための「協議・調停・審判をしない」という合意だと考えると、事実上合意分割をすることはできなくなります。

一方、3号分割をするためには、当事者の合意も裁判所の決定も不要なので、3号分割をする・しないは請求者の意思によることになります。

離婚後の年金分割に関してお悩みのある方は、弁護士にご依頼ください

年金分割について離婚後に取り決めを行う場合と、離婚前に取り決めを行う場合とを比べても、手続きに違いはありません。離婚の前後のどちらで取り決めを行うかは、それぞれの場合のメリットとデメリットをよく理解したうえで決めると良いでしょう。

この点、離婚後に取り決めを行う場合には、離婚時に揉める要因を減らすことで、離婚をスムーズに行うことができるというメリットがあります。一方、離婚後疎遠になった元配偶者と話し合いで取り決めをしたり、元配偶者の年金手帳等の必要書類を入手したりすることは、相当な負担があると考えられます。こうした負担を軽減するためにも、弁護士に依頼することをお勧めします。

弁護士なら、話し合いの段階でのサポートはもちろん、調停や審判に発展した場合の交渉や手続き等についても、しっかりとサポートすることができます。また、離婚に関連するその他の様々な問題にも対応することが可能です。

離婚後に年金分割の取り決めをしようとお考えの方は、ぜひ、離婚に関してトータルサポートができる弁護士にご依頼ください。

まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います

離婚問題ご相談受付来所相談30分無料

※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。

お電話でのご相談受付

0120-979-164

24時間受付・年中無休・通話無料

メールでのご相談受付

メールで相談する

離婚後の年金分割に関するQ&A

Q:

離婚後に年金分割を請求された場合、まず何をすれば良いですか?

Q:

離婚後、年金分割をしたのちに再婚したり死亡したりした場合、年金分割の取り扱いはどうなりますか?

A:

年金分割をした側、受けた側のどちらが再婚または死亡したとしても、それぞれの受け取る年金には何ら影響しません。なお、それぞれが再婚後死亡した場合の年金の取り扱いには注意が必要です。

年金分割をした側(元夫とします)が再婚後死亡した場合、再婚相手(現妻)は、遺族厚生年金を受け取ることができます。しかし、この遺族厚生年金の金額は、死亡した配偶者の厚生年金保険料の納付実績に基づき算定されるので、元妻に年金分割された分、現妻が受け取ることのできる金額は減ります。

また、年金分割を受けた側(元妻とします)が再婚後死亡した場合も、再婚相手(現夫)は、遺族厚生年金を受け取ることができます。そしてこの場合も、現夫は、元妻が受け取っていた、年金分割を受けて増えた厚生年金保険料納付実績に基づいた遺族厚生年金を受け取ることになるので、受け取ることのできる金額は増えます。

Q:

離婚後に年金分割をしたら、いつから受け取れますか?

A:

次の老齢厚生年金の受給要件をすべて満たした後から、年金分割で増加した分を含めた年金を受け取ることができます。

〇老齢厚生年金の受給要件

  • 国民年金の保険料納付済期間が10年以上(免除期間も含む)
  • 厚生年金の保険料納付済期間が1ヶ月以上
  • 受給年齢(65歳)に達する

まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います

離婚問題ご相談受付来所相談30分無料

※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。

お電話でのご相談受付

0120-979-164

24時間受付・年中無休・通話無料

メールでのご相談受付

メールで相談する

事務所情報

お近くの事務所にご来所いただいての法律相談は30分無料です。お気軽にお問い合せください。

※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。

関連記事