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年金分割をしないとどうなる?離婚後いつまで手続きできる?

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治

監修弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員

例えば、夫が会社員、妻が専業主婦であった場合、夫婦の老後、妻が国民年金のみであるのに対して、夫は納めた保険料に応じて支給される年金(厚生年金)も貰うことができます。離婚した場合、もらえる年金の格差は、離婚後の妻にとって経済的な不利益となります。

この夫婦間の不平等を解消するために、離婚の際、妻からの請求や夫婦間の合意等により、厚生年金部分を分割することができます。離婚後であっても、原則、2年以内であれば分割可能です。

本記事では、「離婚後の年金分割の請求」について詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

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年金分割は自分で請求しなければいけない

年金分割とは、夫婦が婚姻中に納めた厚生年金保険料の記録を合算し、分割するという制度です。
自分が厚生年金を全く納めていなかった場合、自分も厚生年金を納めていたが配偶者が自分より多く厚生年金保険料を納めていた場合、どちらの場合でも、年金分割をすることで、配偶者の納付記録を一部分けてもらえます。その結果、自分の年金の受給額が増えることになります。

ただし、離婚に伴い、自動的に年金分割となるわけではありません。年金分割を希望するならば、自分で所定の手続きをする必要があります。離婚時ではなく、離婚後に年金分割の手続きをすることもできますが、期限がありますので十分注意しましょう。年金分割の期限については、次の項目で詳しく解説していきます。

年金分割とはどのような制度なのか、さらに詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

年金分割の請求期限は離婚後2年以内

離婚が成立してから年金分割の手続きをしようとお考えの方は、離婚後2年以内に手続きを行わなければなりません。

というのも、年金分割の請求期限は、基本的に「離婚した日の翌日から数えて2年以内」とされているからです。2年を過ぎたら年金分割の手続きはできなくなりますので、ご注意ください。

ただ、年金分割の内容を決めるために裁判所で調停や審判を行い、結果が出るまでに期限が来てしまうこともあるでしょう。このような場合、離婚後2年以内に調停や審判の申立てをしていれば、「調停成立日または審判確定日の翌日から6ヶ月以内※1」に、年金分割の手続きを行うことができます。
※1:調停成立日や審判確定日が令和2年8月2日以前の場合は、「1ヶ月以内」となります。

離婚後に年金分割をしないままだとどうなる?

ご自身が厚生年金保険に加入していたり、十分な貯蓄があったりすれば、老後の生活を心配する必要はないかもしれません。

一方で、長期間、専業主婦(主夫)で配偶者の扶養に入っており、貯蓄があまりできていなかった場合などには、老後の生活に困る事態も起こり得ます。離婚時に、きちんと年金分割の手続きをしていれば、老後にもらえる年金額が増加しており、生活に困る事態にならなかったかもしれません。

生活費の不足を補うため、老後に働こうとしても、就労に様々な困難が伴うであろうことは容易に予想できることです。年金分割をしておけばよかったと後悔する事態とならないよう、年金分割の手続きを行っておくことをお勧めします。

離婚後の年金分割には2種類ある

離婚後の年金分割には、「合意分割」と「3号分割」の2種類があります。“離婚後”と言っていますが、離婚する際の年金分割でも、同様の2種類が存在します。

「合意分割」と「3号分割」の主な違いは、年金分割の請求の仕方です。それぞれの詳しい内容は、以降で順番に解説していきますので、ぜひこの違いに着目してみてください。

なお、「合意分割」「3号分割」のどちらであっても、年金分割制度を利用できるのは、夫婦の一方あるいは両方が「第2号被保険者」であること、つまり厚生年金保険(かつての共済年金保険も含む)に加入していた場合だけです。例えば、夫が自営業などで第1号被保険者となっていた場合、妻自身が会社員や公務員等でなければ、妻も第1号被保険者となるので、年金分割を行うことはできません。

合意分割

合意分割とは、当事者双方からの請求によって年金分割する方法のことです。「年金分割すること」と「按分割合」を、当事者間の合意または裁判所の手続きで取り決めます。

按分割合とは、年金保険料の納付記録を分け合う割合のことで、合意分割では最大で2分の1とされています。取り決めができたら、離婚後、年金事務所に年金分割の請求手続きを行います。

婚姻中に配偶者が厚生年金保険料を納めた期間があれば、専業主婦(主夫)などでも合意分割を利用できます。また、合意分割を利用できるのは平成19年4月以降に離婚するご夫婦のみですが、平成19年4月より前の婚姻期間も対象には含まれます。つまり、合意分割では、婚姻期間のすべてが分割の対象になるということです。続いて紹介する3号分割とは異なる点ですので、よく押さえておきましょう。

合意分割についてさらに詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

離婚後の話し合いが困難な場合は?

離婚後の話し合いが困難な場合は、裁判所の調停や審判の手続きを通して、年金分割の按分割合を決めていきます。

合意分割したいときは、まずは当事者同士で話し合うことができればよいのですが、離婚後だと、話し合いの場を設けること自体が難しいケースもあるでしょう。このような場合には、調停または審判の手続きを行うことになります。

調停や審判で年金分割の按分割合が決まったら、「調停調書」または「審判書」が裁判所によって作成されます。これらの書類を離婚後に年金事務所に持っていけば、単独で請求手続きを行うことが可能です。

調停や審判の申立方法など、詳しい手続きの内容は、下記の記事で紹介しています。こちらもぜひ併せてご覧ください。

3号分割

3号分割とは、年金の「第3号被保険者」であった方が請求することで、年金分割する方法です。第3号被保険者とは、第2号被保険者に扶養されている、20歳以上60歳未満の配偶者のことをいいます。例えば、会社員の夫に扶養されている専業主婦などが当てはまります。

3号分割では、按分割合は当然に2分の1となり、当事者間の合意も裁判所の手続きも必要ありません。利用できるのは、平成20年5月以降に離婚した方で、婚姻中に第3号被保険者であった期間を有する方だけです。

また、特に注意してほしいのが、分割の対象となるのは平成20年4月以降に第3号被保険者であった期間のみという点です。平成20年4月より前に第3号被保険者であった期間は3号分割の対象には含まれず、合意分割の対象となるので、気をつけましょう。

3号分割についての詳しい説明は、下記の記事をご覧ください。

合意分割と3号分割のどちらも適用されるケースでは?

合意分割と3号分割の両方が適用されるケースもあります。典型的な例が、3号分割の対象期間となる平成20年4月より前に結婚して、第3号被保険者だった場合です。この場合、平成20年4月より前の婚姻期間については合意分割が、4月以降の婚姻期間については3号分割が適用されます。

このように、合意分割と3号分割の両方が適用されるケースでは、基本的に合意分割の手続きをした方が簡便です。というのも、婚姻期間のなかに3号分割の適用期間が含まれる場合、合意分割の手続きをすれば、同時に3号分割の請求があったとみなされるからです。一方で、3号分割の手続きをするだけでは、合意分割の適用期間についての年金分割はできず、別途合意分割の手続きが必要となります。

ただ、状況によっては3号分割の手続きをした方が有利な場合もあります。例えば、以下のような第3号被保険者になる前に、妻が夫より収入が高かったような場合、合意分割はせずに3号分割の手続きをした方が、将来受け取る年金額は増えると考えられます。

  • 夫も妻も会社員で、平成18年4月に結婚し、夫より妻の方が収入が多かった(合意分割の対象部分)。
  • 出産等を機に、平成24年4月に妻が第3号被保険者となった(3号分割の対象部分)。

この場合、平成18年4月~平成24年4月までの期間の年金を分割してしまうと、この期間に関しては、妻の年金を夫に分割することになるので、第3号被保険者となった平成24年4月以降のみを年金分割の対象とする3号分割のみの方が、妻に有利になると考えられます。

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離婚後に年金分割をした場合、いつから年金を受け取れるのか

年金分割によって増加した年金を受け取れるのは、ご自身が年金の受給資格を得た時からです。そのため、年金分割をしてすぐに受け取れるとは限りませんし、相手が受給資格を得ていれば受け取れるというものではありませんので、ご注意ください。

なお、年金の受給資格を得られるのは、基本的に次の要件を満たした者となります。

  • 国民年金・厚生年金・共済年金の保険料の納付期間と、保険料の納付が免除された期間の合計が、10年以上である
  • 受給開始年齢(65歳)に達している

離婚後の年金分割に関するQ&A

Q:

離婚後、年金分割をしたのちに再婚した場合、年金分割の取り扱いはどうなりますか?

A:

年金分割をした側と受けた側、いずれが再婚した場合でも、それぞれが受け取る年金額には何ら影響しません。これは、死亡した場合も同様です。

そのため、例えば年金分割を受けた側が死亡したとしても、分割をした厚生年金保険料の納付記録が戻ってきて、年金分割をした側の年金額が増えるわけではありません。

なお、一方が再婚後に死亡した場合、年金分割をしていたことは、次のとおり、再婚相手がもらえる遺族厚生年金※2の金額に影響を与えます。
※2:遺族厚生年金…厚生年金保険に加入している人や、過去に厚生年金保険に加入していて一定の要件を満たした人が亡くなり、その人によって生計を維持されていた遺族に支給される年金のこと。

①年金分割をした側が再婚後に死亡したケース
再婚相手がもらえる遺族厚生年金の金額は、死亡した配偶者が納めていた厚生年金保険料の記録に基づき算定されます。そのため、年金分割をして減った納付記録の分、遺族厚生年金は減額されることになります。

②年金分割を受けた側が再婚後に死亡したケース
①のケースとは反対に、年金分割を受けて増えた納付記録の分、再婚相手がもらえる遺族厚生年金は増額されることになります。

Q:

離婚時に既に年金を受給していました。熟年離婚後の年金分割は可能ですか?

A:

ご質問者様が離婚時に既に年金を受給していたとしても、熟年離婚後2年(※離婚日の翌日から数えて2年)を過ぎていなければ、年金分割は可能です。ただし、年金分割の対象になるのは、厚生年金保険料の納付実績のうち、“婚姻中”に納付していた分であることにはご注意ください。

また、実際に年金分割をするには、年金事務所への請求手続きが必要になります。年金分割によって支給される年金額が変わるのは、この請求手続きをした日の属する月の翌月からとなりますので、この点も押さえておきましょう。

Q:

離婚時に年金分割しない旨の合意をしていたらどうなりますか?

A:

離婚の際、離婚に付随してどのような条件を定めるか、離婚をする夫婦間で自由に決めることができるのが原則です。そして、離婚後、将来の年金について分割する、しないという点について、夫婦間で話し合って合意することも、夫婦の自由です。裁判例でも、特別な事情がない限り、年金分割をしない旨の離婚協議における合意は有効とされています(静岡家裁浜松支部平成20年6月16日)。

ただし、3号分割の場合、相手方が、合意に反して年金分割の請求を年金事務所にした場合、年金分割を防ぐことはできないでしょう。なぜなら、3号被保険者の請求のみで分割されるという3号分割の性質上、年金事務所は、他方当事者の意思を確認することなく(通常、年金分割をしないという合意があることを年金事務所は知りえない)、3号被保険者である相手方の請求に応じて、年金分割の手続きをしてしまうからです。ですので、3号分割も対象であった場合、相手方が合意に反した場合のペナルティーも定めておく必要があるかもしれません。

離婚時に年金分割をしない旨の合意については、どのような内容で定めるか等、非常に難しい問題を含みますので、弁護士に相談することをお勧めします。

Q:

相手に離婚後の住所を知られたくない場合はどうしたらいいですか?

A:

年金分割をするために調停や審判を行いたいものの、相手に離婚後の住所を知られたくないときは、裁判所への申立時に「非開示の希望に関する申出書」を提出しておくことをおすすめします。この申出書は、提出書類のなかに相手に開示してほしくない書類があることと、その理由を裁判所に伝えるものです。必ずしも希望が通るとは限りませんが、提出しておけば、対象の書類を相手に見られずに済む可能性があるので、離婚後の住所を知られたくないときは提出しておいた方がいいでしょう。

また、相手に知られたくない情報が記載されている部分が、裁判所に知らせる必要がない部分であれば、該当部分をマスキング(黒塗りする等)して提出することも可能です。

離婚後の年金分割に関してお悩みのある方は、弁護士にご相談ください。

離婚後でも年金分割をすることはできます。ただし、請求には「離婚してから2年」という期限があるので、十分に注意しましょう。

また、合意分割の場合、まずは相手と話し合って按分割合等を決めていくのですが、離婚後に元配偶者とやりとりすることに不安がある方もいるかと思います。弁護士にご依頼いただければ、元配偶者とのやりとりをお引き受けすることができますし、仮に合意に至らなかったとしても、その後の裁判所の手続きをサポートすることが可能です。

年金分割の内容は、将来受け取る年金額に影響してくるので、老後に安定した生活を送るうえでとても重要なことです。あとで後悔しないためにも、離婚後の年金分割についてお悩みのときは、まずは弁護士にご相談ください。

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監修:谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates 執行役員 弁護士
保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:41560)

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