年金分割の手続き

- この記事の監修
- 弁護士 谷川 聖治
- 弁護士法人ALG&Associates 執行役員
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年金分割とは、夫婦の厚生年金の保険料納付額を比べ、より高額な方の厚生年金部分の保険料納付実績を他方の配偶者に分割し、将来の年金額に反映させることができる制度です。年金分割には、「合意分割」と「3号分割」の2種類があり、どちらも離婚に伴い行われます。
この年金分割をするためには、日本年金機構(年金事務所)で手続きをしなければなりません。次項より、請求の方法等、それぞれの手続きについて説明します。
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年金分割の手続きは「合意分割」と「3号分割」の2種類あります
上述したとおり、年金分割制度には、「合意分割」と「3号分割」の2種類があります。年金分割制度の詳しい内容については、下記の記事をご覧ください。
合意分割の手続き方法
まずは情報通知書の請求手続きを
合意分割では、保険料の納付実績の按分割合を決める必要がありますが、そのためには、年金分割に必要な情報が記載されている「年金分割のための情報通知書」を取得しなければなりません。夫婦で年金分割についての話し合いを始める前に請求しておきましょう。
詳しくは下記の記事をご覧ください。
夫婦で年金分割について話し合う
請求から3~4週間で届く情報通知書をもとに、夫婦で「年金分割をするかどうか」、「分割する場合の按分割合」を話し合います。
年金をどのくらいの割合で分割するのかについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。
話し合いで合意したら
合意したら、次のいずれかの方法で合意したことを証明する必要があります。
- ①年金分割合意書を作成する
- ②公証役場で公正証書を作成する
- ③公証役場で私署証書認証を受ける
上記3つのうち、①年金分割合意書を作成した場合は、元夫婦である当事者2人(もしくはそれぞれの代理人)で、年金事務所に必要書類を提出して手続きをする必要があります。
これに対して、②公正証書を作成した場合や、③私署証書について公証人の認証を受けた場合は、1人でも手続きをすることができます。
手続きに必要な書類と提出先
手続き(合意分割請求)は、年金事務所に標準報酬改定請求書をはじめとする必要書類を提出することで、厚生労働大臣に対して行います。なお、年金分割は離婚後に請求することができるようになるため、離婚しないと書類の提出はできません。
合意分割をするためには、下記の書類が必要になります。
- 標準報酬改定請求書
- 分割をする旨と按分割合が示された書類
当事者の合意による場合:年金分割合意書、公正証書、認証を受けた私署証書等
裁判所の決定による場合:調停調書、審判書等 - 戸籍謄本もしくは当事者それぞれの戸籍抄本
- 年金手帳または基礎年金番号通知書
- 本人確認書類
(代理人を立てる場合)
- 代理人の本人確認書類
- 委任状
- 委任者の印鑑登録証明書
話し合いで合意できないときは
年金分割について、話し合いでは合意が難しいときは、家庭裁判所に対して、年金分割の按分割合を定める調停又は審判の申立てをすることができます。申立先や、申立てに必要な費用及び必要書類は、それぞれ以下のとおりです。
調停
- 申立先:相手方の住所地の家庭裁判所、又は当事者が合意で定める家庭裁判所
- 費用:収入印紙1200円分、連絡用の郵便切手代
- 必要書類:申立書とコピー1通、年金分割のための情報通知書等
審判
- 申立先:申立人又は相手方の住所地の家庭裁判所、又は当事者が合意で定める家庭裁判所
- 費用:収入印紙1200円分、確定証明申請手数料(収入印紙150円分)、連絡用の郵便切手代
- 必要書類:申立書とコピー1通、年金分割のための情報通知書等
「標準報酬改定通知書」を受け取る
標準報酬改定請求書と必要書類を提出後、2~3週間程度で、「標準報酬改定通知書」が当事者それぞれに届き、手続きの完了を知らせます。標準報酬改定通知書には、年金分割により変わった年金記録について記載されています。
複雑な年金分割制度、わかりにくく交渉ができない場合は弁護士に相談してみましょう
年金分割を請求すれば、もらえる年金額が配偶者に比べて少ない専業主婦(主夫)や、夫の扶養内で働くパートタイマー等の配偶者は、将来もらえる年金額が増えます。しかし、請求する側が厚生年金加入者で相手より高収入の場合には、年金分割をする側になってしまう可能性があるため、注意が必要です。また、婚姻期間が短かったり、配偶者との収入差が少なかったりする場合は、年金分割で増える年金額も少ないため、場合によっては、調停や審判を申し立てる手間と比較する必要があります。
年金制度そのものが複雑なので、わからないことがある方も多いかと思います。後々後悔することのないよう、年金分割制度についてわからない点があり、交渉がうまくいかない場合には、弁護士に相談することをお勧めします。
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メールで相談する3号分割の手続き方法
年金事務所へ提出
合意分割と異なり、3号分割では当事者の合意は必要ありません。第3号被保険者である一方から、厚生労働大臣に対して請求するだけで年金分割が認められます。その際には、合意分割と同様、離婚後に標準報酬改定請求書をはじめとする必要書類を年金事務所に提出することで行います。
「標準報酬改定通知書」を受け取る
合意分割と同様、提出して請求した後2~3週間程度で手続きが完了し、当事者それぞれに「標準報酬改定通知書」が届きます。標準報酬改定通知書の記載内容も、合意分割と同様、年金分割により変わった年金記録についてです。
合意分割と3号分割の両方が適用される場合は?
配偶者の一方が、平成20年4月1日以前から第3号被保険者であった場合には、結婚した日から平成20年3月31日までの期間について、合意分割だけでなく3号分割も請求することができます。なお、合意分割を行うと、3号分割についても請求されたものとして扱われるため、別途手続きする必要はありません。また、3号分割のみを請求することも可能です。
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メールで相談する年金分割の手続きに関するQ&A
- Q:
請求期限の2年が経過しても年金分割の請求が可能な場合はありますか?
- A:
離婚した日の翌日から2年を経過するまでに調停又は審判の申立てを行った場合には、請求期限の直前もしくは請求期限を過ぎた後に結論が出たときでも、結論が出た日の翌日から1ヶ月の間は、年金事務所に年金分割の請求をすることが可能になります。
- Q:
公正証書を作成する際、夫婦の一方が公証役場へ行けない場合はどうなりますか?
- A:
公正証書を作成するうえでは、当事者の意思確認が必要なので、合意分割についての公正証書を作成する際には、原則として夫婦2人が揃って公証役場へ出向く必要があります。
ただし、当事者本人が公証役場に出向くことができない事情がある場合には、公証人が認めれば、本人が指定した代理人に手続きの代行を任せられることもあります。もっとも、夫婦の一方が他方の代理人となることはできないため、代理人には弁護士等の第三者を指定する必要があります。
年金分割の話し合いが進まない…交渉は弁護士に任せてみませんか?
ここまで、年金分割の手続きについて解説しました。しかし、そもそも年金制度そのものが複雑であるため、まだ疑問がある方もいるかもしれません。
年金分割について疑問がある方は、ぜひ弁護士にご相談ください。その際は、離婚問題を解決した経験が豊富な弁護士を選ぶことをお勧めします。経験豊富な弁護士であれば、年金分割の話し合いに応じない相手方を説得したり、なかなか合意ができない場合に互いに納得しやすい和解案を提示したりすることができます。
年金分割について疑問がある、又は分割についての話し合いが進まない等お悩みがある方は、ぜひ弁護士への依頼をご検討ください。
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