年金分割の合意分割をお考えならまずは「情報通知書」の請求をしましょう

- この記事の監修
- 弁護士 谷川 聖治
- 弁護士法人ALG&Associates 執行役員
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離婚を検討している方、また、離婚をしたという方でも、請求期限を過ぎていなければ年金分割の手続きをすることができます。その際に必要になるのが「年金分割のための情報通知書」(以下「情報通知書」といいます)です。本記事では、情報通知書の解説や、請求方法、注意点等についての説明をしていきます。
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年金分割の合意分割で必要になる「年金分割のための情報通知書」とは?
「情報通知書」とは,年金分割の割合を決めるために必要な情報が記載された書類のことです。情報通知書の請求だけなら相手の合意がなくてもできます。離婚等の前であれば、請求した人にだけ送付されますが、離婚等の後に請求すると、請求していない相手方にも送付されます。
合意分割は情報通知書を参考に按分割合を決めます(最大2分の1まで)が、3号分割の按分割合は2分の1と決まっています。
3号分割の詳細については下記ページをご覧ください。
合意分割の話し合いで必要になる
情報通知書には、どのくらいの割合で年金分割できるのかといった情報が記載されているので、夫婦間の年金分割に関しての話し合いの際に必要になります。話し合いでは、情報通知書をもとに、婚姻期間中に納めた厚生年金の按分割合を定めていきます。
合意分割の詳しい内容については、下記ページをご覧ください。
公正証書を作成する際に提出を求められる
話し合いにて「年金分割を請求すること」「按分割合」について合意を得られたら、その合意の内容を記載した①年金分割合意書、②公証役場で作成された公正証書、③公証役場で認証を受けた私署証書のいずれかを準備する必要があります。なお、公正証書等を準備する際、公証役場に情報通知書の提出を求められることがあります。
年金分割合意書の場合は当事者二人で年金事務所へ必要書類を提出し、手続きを行います。公正証書や私署証書の場合は、この手続きを一人で行うことができます。
年金分割調停・審判の際に必要になる
話し合いで合意に至らなかった場合、年金分割調停や審判を申し立てることができます。申立てには、申立書と情報通知書が必要となります。ただし、離婚後または事実上の婚姻関係が解消した後に交付された情報通知書である必要があります。
情報通知書に記載されている内容
情報通知書には、主に以下のような内容が記載されています。
- 氏名
- 生年月日
- 基礎年金番号
- 婚姻期間
- 対象期間標準報酬総額
- 按分割合の範囲
- 対象期間(年金分割の対象となる期間)
情報通知書の見方
情報通知書には、専門的な用語が記載されています。その中でも特に重要な用語を抜粋し、解説していきます。
(1)対象期間標準報酬総額
分割の対象となる期間の厚生年金の標準報酬を、現在価値に換算し、合計した額
※標準報酬…厚生年金保険料の算定の基礎となった、標準報酬月額と標準賞与額
(2)第1号改定者、第2号改定者
第1号改定者…年金分割をされる側(対象期間標準報酬総額が多い方)
第2号改定者…年金分割を受ける側(対象期間標準報酬総額が少ない方)
(3)按分割合の範囲
2人の対象期間標準報酬総額の合計額を分割する際、第2号改定者に割り当てられる範囲をパーセントで表したもの
(4)対象期間
婚姻期間(平成19年4月1日以前も含む)
離婚時の年金分割をお考えなら、まずは弁護士へご相談ください
離婚時に年金分割手続きをしようと思っても、年金制度自体が複雑で分かりにくく、適切な判断ができないといった方も多いのではないでしょうか。十分に理解しないまま話し合いをすると、どうしても揉めてしまう等、トラブルになりやすく、手続きが長引いてしまう可能性があります。そうならないためにも、ぜひ弁護士にご相談ください。複雑な手続きを代行したり、制度を分かりやすく説明したりすることができるので、相談者の利益になるようサポートすることが可能です。
情報通知書の請求方法と注意点、交付までの期間について
実際に情報通知書を請求するには、どのような手続きが必要でしょうか。
情報通知書の請求手続きは以下のとおりです。
「年金分割のための情報提供請求書」を作成する
情報提供請求書を、下記URLの日本年金機構ホームページからダウンロードし、記入します。
必要な書類と提出先
情報提供請求書に、以下の書類を添えて請求者の住所地を管轄する年金事務所(公務員の場合は各共済組合)に提出します。
(1)請求者の年金手帳または基礎年金番号通知書(郵送の際は、写しでも可。)
(2)婚姻期間等を明らかにできる書類
戸籍謄本、当事者それぞれの戸籍抄本、戸籍の全部事項証明書または当事者それぞれの戸籍の個人事項証明書のいずれか
(3)事実婚関係にある期間の情報通知書を請求する場合
事実婚関係があった事実を証明する書類(詳細は年金事務所への問い合わせが必要)
情報通知書の送付先に関する注意点
情報通知書の請求は、離婚等の前でも後でも可能です。ただ、状況によって交付先が異なりますので、注意しましょう。
当事者の二人が共同で請求した場合は、それぞれに交付されます。また、離婚等の前に一人で請求した場合は、請求者のみに交付されます。しかし、離婚等の後に一人で請求すると、情報提供の請求があったことや情報内容を確認する必要があるため、請求者と請求していない相手方にも交付されます。
離婚等の前に請求した際に相手と同居しているなら、窓口受取や送付先を指定して情報通知書を受け取ることが可能です。
請求してから交付までの期間
請求してから交付までは約1週間~4週間程かかるため、計画的に請求をしましょう。
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メールで相談する情報通知書に関するQ&A
- Q:
情報提供請求書の手続きで事実婚の時期を証明する資料にはどのようなものがありますか?
- A:
住民票や、民生委員等の第三者の証明書(事実婚証明書等)、連名の郵便物、被扶養者とされていることが分かる書類等が考えられます。
- Q:
情報通知書の使用期限はありますか?
- A:
情報提供の有効期限は以下のとおりです(厚生年金保険法施行規則第78条の5)。
(1)原則
情報提供を受けた日から1年以内(2)例外
・上記(1)の期限内に調停等を申し立てたものの、期限経過後に調停等が成立した場合
・調停等を申し立てた後に情報提供を受け、上記(1)の期限経過後に調停等が成立した場合※なお、離婚等の成立後の情報提供には有効期限はありません。
- Q:
情報通知書をもらってからでないと、調停離婚を申し立てることはできないのでしょうか?
- A:
情報通知書がなくても離婚調停を申し立てることはできます。もっとも、年金分割を離婚調停の中で取り決めるのであれば、情報通知書を離婚調停の成立時までに裁判所に提出する必要があります。
- Q:
情報通知書を利用して年金分割の計算はできますか?
- A:
年金分割は、情報通知書に記載してある対象期間標準報酬総額と按分割合の範囲が分かれば、以下の手順で計算することができます。
そのため、事前に請求しておく必要があります。(1)両当事者の標準報酬総額の合計額を出す
一方の当事者の対象期間標準報酬総額 + 他方の当事者の対象期間標準報酬総額 = 両当事者の標準報酬総額の合計額(2)分割後の両当事者の標準報酬総額を出す
両当事者の標準報酬総額の合計額 × 按分割合 = 分割後の標準報酬総額(3)分割後の両当事者の老齢厚生年金を出す
分割後の標準報酬総額 × 報酬比例部分の乗率(生年月日によりあらかじめ定められている)= 分割後の老齢厚生年金額上記のような年金分割の計算をする際、配偶者が専業主婦(主夫)なのか共働きなのかで分割の金額、計算方法が変わりますので、注意が必要です。
より詳しい年金分割の計算の仕方については、下記のページをご覧ください。
- Q:
年金分割した場合の見込み額を知る方法はありますか?
- A:
50歳以上又は障害年金の方は、希望すれば、「情報通知書」とともに年金分割を行った場合の年金見込み額を知らせてもらえます。詳しい内容は下記のページをご覧ください。
年金分割の交渉は弁護士へお任せください
「年金分割のための情報通知書」について説明してきましたが、いかがだったでしょうか。
情報通知書は年金分割を行うにあたり、欠かせない書類になります。情報通知書をもとに、按分割合について、二人で話し合い、合意に至らなければなりません。しかし、どうしても直接話し合いたくないという方や、一人でうまく話せるか不安だという方もいらっしゃるでしょう。そのような場合は、ぜひ弁護士に依頼することをおすすめします。弁護士は、依頼者の代理人として相手方と話し合い、按分割合について直接交渉します。年金制度は非常に分かりにくく、専門的知識も要しますが、弁護士が介入することによってスムーズに交渉ができるでしょう。
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