離婚調停が不成立となったとき

- この記事の監修
- 弁護士 谷川 聖治
- 弁護士法人ALG&Associates 執行役員
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当事者間での話し合いでは離婚についてまとまらない場合、家庭裁判所に離婚調停を申し立てて離婚を目指す方法があります。離婚調停は、家庭裁判所の調停委員会を介入させて話し合う手続です。下記のページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
離婚調停の成立には当事者間の合意が必要であるため、離婚調停を行ったからといって、必ずしも離婚できるというわけではなく、調停が成立せずに終わるケースもあります。平成30年度の司法統計(参考:https://www.courts.go.jp/app/files/toukei/701/010701.pdf)によると、調停が成立して離婚した件数は20,286件となっており(協議離婚届出236件を含む。)、離婚調停の申立件数40,620件の約半数に留まっています。
具体的にどのようなケースで離婚調停が成立せずに終わるのか、離婚調停が成立しなかった場合、離婚を実現するために次にどのような手段がとれるのか、本ページで解説していきます。
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離婚調停が成立しないで終わるパターンとは?
離婚調停の成立の他にも、調停の終わり方はいくつかあります。そのうちの、「不成立」「取下げ」「当然終了」について、確認していきましょう。
不成立
調停委員会は、調停での話し合いによっても夫婦が離婚に合意する見込みがない場合、または、夫婦がした合意が相当ではないと認められる場合、調停不成立(不調)として離婚調停を終了させることができます。例えば、相手方が調停に出席しない場合や、夫婦の一方が調停委員会に調停不成立を求めた場合にも、調停不成立となることがあります。
なお、調停が成立した場合と同様、不成立の場合にも不服申立てをすることはできません。
調停の取下げ
申立人が調停を取り下げると、調停は終了します。この調停の取下げには相手方の同意を要さないので、申立人はいつでも取下げができます。なお、基本的には、家庭裁判所に取下書を提出しなければなりません。
また、調停を取り下げた後、再び調停を申し立てることは可能ですし、調停前置主義を満たしていると判断されれば、訴訟を起こして離婚裁判へと移行することもできます。
調停前置主義についての詳しい内容は、下記のページをご覧ください。
当然終了
離婚調停が当然に終了するというパターンもあります。例えば、調停中に申立人と相手方のどちらか一方が死亡した場合には、死亡により婚姻関係が消滅するため、調停は当然に終了します。
離婚調停が不成立となるケース
先に述べたとおり、離婚調停が不成立となるのは、調停委員会が、「①当事者間に合意が成立する見込みがない」または「②成立した合意が相当でないと認められる」と判断した場合です。
ここでは①に焦点を当て、具体的にどのようなケースで、“当事者間に合意が成立する見込みがない”と判断される可能性があるのか、解説していきます。
調停の呼び出しに相手が応じない
離婚調停の申立てが受理されたら、当事者双方には、裁判所から初回の調停期日を知らせる呼出状等の書類が届きます。しかし、相手方が呼出状を無視して欠席し続けるというように、調停の呼び出しに相手が応じない場合、そもそも話し合うことができず、合意できる見込みはないとして、調停は不成立となるでしょう。実際のところ、裁判所は、申立人から相手方の様子を聞きながら、相手方へ電話をかけたり何度か呼び出しをしたりすることも多く、相手方が欠席するからといってすぐに不成立とするケースは少ない印象です。
離婚調停の欠席について、詳しい内容は下記のページをご覧ください。
相手が離婚を拒否
双方が離婚に合意できなければ、離婚調停は成立しません。そのため、相手が離婚すること自体を拒否していて、調停委員が夫婦それぞれの意見を聞いたうえで出した提案にも応じない等、拒否する姿勢が頑なで、話し合いが一向に進みそうにない場合には、当事者間に合意が成立する見込みはないと判断されることがあります。
調停委員についての詳しい内容は、下記のページをご覧ください。
親権で争っている
未成年の子供がいる夫婦が離婚するには、子供の親権について決めなければなりません。慰謝料や財産分与等のその他の離婚条件とは異なり、親権の決定は離婚成立のために必須の事柄です。そのため、お互いに離婚すること自体には合意できていたとしても、子供の親権について争いがある場合には、調停は不成立となってしまいます。
親権についての詳しい内容は、下記のページをご覧ください。
財産分与の対象や金額に納得できない
離婚調停では、離婚についてのみではなく、慰謝料や財産分与等、離婚に伴う各条件についても併せて決めることができます。しかし、双方とも離婚することには納得していても、財産分与の対象となる財産や財産分与の金額に納得ができず、合意に至らないケースがあります。こうして話し合いが平行線となってしまった場合、当事者間に合意が成立する見込みはないと判断され、調停が不成立となることがあります。
ただし、親権とは異なり、財産分与は離婚成立のために必ず決めなければならない事項ではないため、離婚についてのみ調停を成立させ、財産分与については別途調停(財産分与請求調停)を行うという方法をとることもできます。この場合には、「離婚成立後2年間」という財産分与の請求権の時効にかからないよう、ご注意ください。
財産分与についての詳しい内容は、下記のページをご覧ください。
当事者から不成立を求める場合も
調停委員会を介入させてもなかなか話し合いがまとまる気配がなかったり、相手が調停に欠席し続けたりして、時間を浪費するばかりのように感じ、早期に離婚裁判に移行して離婚の手続を進めるために、一方の当事者が調停を不成立にしてほしいと求めるケースもあるでしょう。このような場合も、当事者間に合意が成立する見込みはないとして、調停不成立となることがあります。
離婚調停が不成立と判断された場合は離婚裁判
調停不成立に対する不服申立てはできないことから、離婚調停が不成立に終わった場合には、基本的には離婚裁判の手続へ移行し、裁判にて争っていくことになります。
ただし、離婚調停が不成立になっても自動的に裁判に移行するものではないため、離婚裁判を希望する方は、別途訴訟提起する必要があります。
なお、離婚裁判をしている途中でも、双方が合意できれば、和解離婚というかたちで、裁判所の判断を待たずに離婚を成立させることが可能です。
離婚裁判と和解離婚について、詳しい内容は下記の各ページをご覧ください。
離婚調停が不成立となった場合、離婚裁判へと進むのが基本的な流れですが、その他、当事者間で再び協議するという方法をとることもできます。また、家庭裁判所の判断で審判(調停に代わる審判)がなされ、審判離婚が成立するケースもあります。これらについては、次項より解説していきます。
当事者間で再び協議するという方法も
離婚調停が不成立となってしまっても、家庭裁判所の手続は利用せず、当事者間で再び協議するという方法をとることもできます。離婚調停を経たことで、冷静に自分の意見を見つめ直せるようになり、再度の協議によって協議離婚が成立する可能性もあるでしょう。
しかしながら、離婚調停が不成立となるのは、基本的に、調停委員会を介入させて話し合っても合意に至らなかったケースであるため、当事者間で再び協議してお互いが納得するというのは、非常に難しいことが予想されます。
協議離婚についての詳しい内容は、下記のページをご覧ください。
審判離婚が成立するケースもある
とても少ないケースですが、離婚調停が不成立となった場合、家庭裁判所の判断で審判(調停に代わる審判)がなされ、離婚が成立するケースもあります。これを審判離婚といいます。
審判がなされる例としては、夫婦どちらとも離婚することには合意できていても、その他の細かな条件等で合意できずに調停不成立となった場合等が挙げられます。
審判離婚についての詳しい内容は、下記のページをご覧ください。
離婚調停が不成立にならないようにするためにできることとは?
調停不成立となる事態は避けたいという場合もあると思います。離婚調停が不成立にならないようにするために気をつけた方が良いポイントとしては、以下のような点が挙げられます。
- 適切な主張立証や、感情的にならずに冷静に話すこと等により、調停委員を味方につけて、調停委員から相手方を説得してもらう。
- 相手が納得しやすいように、譲っても良い条件は譲る等、歩み寄る。
- 離婚理由と離婚したいという意志の強さをきちんと伝える。
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メールで相談する離婚調停の不成立に関するQ&A
- Q:
離婚調停が不成立と判断されるまで、何回くらい調停が行われますか?
- A:
事案に応じて様々ですが、1回で終わるということは少ない印象です。最初から双方の主張に大きな隔たりがあり、それぞれに譲歩する可能性がないと思われる場合でも、調停委員が検討を促し、3回程度は調停期日が開かれる傾向にあるでしょう。経験上では、それぞれ資料と言い分を出し尽くし、6回目くらいに争点がはっきりと絞られることが多いと思います。そのうえで、調停委員からもう一度検討してきて欲しいなどと促されて、それでも歩み寄れない場合には不成立となる、というようなイメージです。
無茶な言い分に終始する当事者がいる場合には、裁判官が、直接、説得を試みることも少なくありません。また、離婚調停には、離婚前の面会交流や婚姻費用に関する調停が併せて申し立てられるケースも多いですし、離婚自体には争いがないものの、親権や養育費、離婚後の面会交流、慰謝料、財産分与といった条件面で調整がつかないケースも多いです。どうしても争点が多岐にわたってしまいがちで、長期化してしまう場合もあります。
- Q:
離婚調停不成立後、別居する際に気をつけることはありますか?
- A:
離婚調停が不成立に終わるということは、いずれかが離婚自体に応じなかった、離婚条件で折り合いがつかなかった、といった事態が生じたのだと思います。相手方に不貞行為がある場合等、法定離婚事由がある場合には、離婚裁判へ進めば良いのですが、法定離婚事由がない場合には注意が必要です。
「裁判で離婚が認められるには何年別居したら良いですか?」などとご質問を受けることが多いのですが、“何年”という基準があるわけではありません。婚姻関係が修復不可能な程度に破綻しているかどうか、裁判所は別居期間を1つの指標として判断するのですが、別居期間自体ではなく、別居中の双方の関係性から判断します。仮に離婚したくないと考えているのであれば、積極的に修復へ向けた言動をしていかないと、修復する意思がないと評価されかねません。離婚を望むのであれば、婚姻費用を支払う等、誠実に対峙していたかという点が考慮されたりします。単に別居といっても、今後を見据えた視点も大切です。
別居する際に注意すべきことについては、下記のページでも詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
- Q:
離婚調停が不成立で終わった場合でも婚姻費用は支払い続けることになるのでしょうか?
- A:
離婚が成立していない以上、婚姻費用は継続して支払う必要があります。そのため、婚姻費用を支払う側(通常、収入が多い側)からすれば、婚姻費用の額はできるだけ少なくしておきたいと思うでしょうし、婚姻費用を請求する側(通常、収入が少ない側)からすれば、できるだけ婚姻費用の額を多く決めておきたいところです。婚姻費用を請求できる当事者に不貞行為等の主たる離婚原因がある場合には、養育費相当額を婚姻費用として支払えば良いとされるケースもあります。また、収入の増減が予想される場合には、現実の収入に応じて婚姻費用の額を決めるようにすることが重要になります。
婚姻費用についての詳しい内容は、下記のページをご覧ください。
- Q:
調停不成立から裁判を起こすまでに決められた期間はありますか?
- A:
その期間について法的な定めはなく、裁判所の判断によるところとなります。調停不成立から裁判を起こすまでの期間に、夫婦の状態が変化していることもあります。前回の調停でどれだけ協議されたか、訴訟提起前に相手方との協議を試みたか等の事情を考慮して、裁判官の裁量で判断されますが、1年を超える期間が経過しているときには、多くの場合、再度調停を行うよう裁判所に求められます。
離婚調停の不成立を回避したい場合、経験豊富な弁護士への相談・依頼がおすすめです
離婚調停を成立させるためには、当事者間の合意が必要です。相手の同意を得ることができず、調停不成立となってしまった場合、基本的には離婚裁判に進むことになります。離婚裁判を行うことになったら、たとえ離婚が成立したとしても、費用や時間がより多くかかってしまいます。
離婚調停に臨む際には、まずは弁護士に相談することをおすすめします。調停委員に対しどのような主張・立証をしたら良いのか、どのように調停を進めていけば良いのか等、法律の専門家である弁護士からアドバイスをもらいながら調停を行うことができます。ご自身が不利な立場となる事態を避けることができますし、調停をスムーズに進められる可能性も高まるでしょう。
また、弁護士に依頼し、調停に代理人として出席してもらうことや、同席してもらうこともできます。ご自身のみで、調停という慣れない裁判手続を行うことには何かと不安があるかと思いますが、弁護士のサポートを受けることで、大きな安心感を得られるでしょう。
弁護士は、ご依頼者様の一番の味方となり、離婚調停の成立に向けて全力を尽くします。離婚調停の不成立を回避したい場合には、離婚問題の経験豊富な弁護士への相談・依頼をご検討いただければ幸いです。
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