離婚調停を有利に進めるための陳述書の書き方と注意点について

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治
この記事の監修
弁護士 谷川 聖治
弁護士法人ALG&Associates 執行役員

離婚調停を有利に進めるにあたっては、調停委員に対して自分の主張したいことがしっかりと伝わっているかどうか、という点が重要になってきます。しかしながら、離婚調停の時間には限りがあります。自分の言い分が伝わるまでずっと話し続けることなどできません。

そこで、限られた調停の時間を有効に使うためのポイントとなるのが、「陳述書の作成」です。陳述書とは、自身が経験したり認識したりした事実を記載し、言い分をまとめた文書のことで、証拠資料の一つとして扱われます。陳述書を作成することは、離婚調停を進めていくなかではもちろん、離婚調停を申し立てる際にも役立ちます。

それでは、陳述書はどのように作成したら良いのでしょうか?作成時の注意点も含め、解説していきます。

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離婚調停で陳述書を作成する目的とは?

陳述書は、離婚調停を申し立てる際に必要な書類ではありません。ですが、申立時に提出が必要な書類は、そのどれもが、簡易的な記載となるようなフォーマットになっていることが多いです。そのため、書きたい内容が収まらないという事態が生じる場合があります。例えば、事情説明書という提出書類に、「夫婦が不和になったいきさつや調停を申し立てた理由」を記載する欄が設けられていますが、離婚したいと思うまでに至った経緯を簡単にまとめるのは難しいでしょう。陳述書を作成する目的の一つとしては、このような事態が生じた際に、書ききれない内容を調停委員に伝えるためということが挙げられます。

また、実際に離婚調停に出席するにあたり、落ち着いて調停に臨むため、調停の時間を有効活用するためといった目的で、事前に陳述書を作成してご自身の言い分を調停委員に明示しておくという方もいらっしゃるでしょう。 離婚調停の詳しい内容は下記のページで紹介していますので、ぜひご覧ください。

陳述書を作成するメリット

調停委員の理解を得られやすい

離婚調停で実際に話す相手は調停委員です。離婚調停で有利な立場となるためには、ご自身の主張について、調停委員の理解を得て、正当性があると判断してもらえるかどうかが重要になってきます。口頭で話を聞くだけより、事前に書面で確認したうえで話を聞いた方が、理解しやすいであろうことは想像に容易いでしょう。陳述書を作成することには、調停委員の理解を得られやすくなるというメリットがあります。

調停委員についての詳しい内容は、下記のページをご覧ください。

主張をしっかり伝えることができる

離婚調停で、調停委員に向かって普段どおり落ち着いて話すというのは、難しいと感じる方が多いのではないでしょうか?うまく話すことができなかったり、不要なことばかり話してしまったりして、主張したかった内容を伝えられないこともあるかと思います。そこで、陳述書を作成して事前に提出しておけば、主張を漏れなくしっかりと調停委員に伝えることができます。

伝えたいことを整理し、話し忘れがなくなる

離婚調停は、普段の生活では訪れる機会が少ないであろう、家庭裁判所で行われます。慣れない場所で調停委員とやりとりするのに、緊張してしまうのはやむを得ません。緊張して伝えたかったことを話しそびれてしまった…、という事態が生じてしまっても、陳述書であらかじめご自身の言い分を調停委員に明示しておけば安心です。また、陳述書を作成するという作業によって、調停に臨むにあたり、伝えたいことをご自身の中で整理しておけるという意味でも、陳述書の作成にはメリットがあるといえます。

陳述書を作成した後、見直すことで気持ちを整理できる

自分の思いを文字にしてみることで、今一度、離婚や配偶者に対する考えを振り返ることができます。陳述書を作成して見直すことは、気持ちを整理して落ち着かせることにも繋がるでしょう。

調停での話し合いがスムーズになる

離婚調停は、調停委員会を介した話し合いです。具体的には、申立人と相手方が交互に呼ばれて調停委員と話していきます。1回30分程度を2回ずつ行うというのが通常です。このように、離婚調停で調停委員と話す時間は限られているため、口頭ですべてを話そうとするより、事前に陳述書で言い分を伝えたうえで話す方が、よりスムーズに話し合いを進められるでしょう。

離婚調停が不成立となり裁判へ移行した場合でも再び利用できる

お互いに同意できずに離婚調停が不成立となった場合、訴訟を起こし、裁判へと移行するのが一般的な流れです。離婚調停で作成した陳述書は、離婚裁判でも陳述書として提出することが可能です。揉めることが予想される場合には、離婚調停の段階で訴訟を見据えて陳述書を作成し、離婚裁判で再利用するのも有用といえます。

また、離婚調停はご自身のみで対応してきたものの、離婚裁判は弁護士に依頼したいという方もいらっしゃるかと思います。弁護士に依頼する際、離婚調停で作成した陳述書を利用することで、これまでのいきさつを一から話す必要がなくなり、負担が減ります。また、ご自身の主張や希望する解決方法を理解してもらいやすくなるでしょう。

離婚調停で質問される内容とは?

陳述書の作成とともに、調停委員からの質問を事前に把握しておくことで、落ち着いて離婚調停に臨むことができます。

調停委員に理解してもらえる、効果的な陳述書の書き方

陳述書の様式

効果的な陳述書の書き方

陳述書には、原則として決められた様式はありません。例外的に、親権、監護権、面会交流等、子供に関する事項が争点になっている事件について、各家庭裁判所が、「子の監護に関する陳述書(監護親用)」「子の監護に関する陳述書(非監護親用)」といった書式を公開しています。子供に関する事項については、調停委員が知りたい事項が類型化(例えば、親の職業・経済状況・資産・住居・健康状態・同居家族、子供を監護するに至った経緯・監護の留意点・監護補助者の協力状況・監護養育方針等)しています。そのため、子供に関する事項が争点になっている事件では、離婚調停の申立先となる家庭裁判所の「子の監護に関する陳述書(監護親用)」「子の監護に関する陳述書(非監護親用)」といった書式を参照するようにしましょう。

手書きで作成することも可能ですが、内容を修正したり付け加えたりするときに手間とならないよう、そして、誰にとっても見やすいよう、パソコンで作成することをおすすめします。

用紙のサイズや枚数等についても決まりはありませんが、A4サイズの用紙を使うのが一般的です。また、あまりに長い陳述書だと、本当に主張したいことが伝わらないおそれもあるため、枚数は、多くても5枚程度までに収めた方が良いでしょう。2ページ以上になる場合は、ページ番号を振ります。

上図は、内容部分の記載を省略した一例です。表題は「陳述書」とし、書き出しに「宛名」を明記したうえ、内容部分を記載していきます。「作成日付」の記載と「署名捺印」の位置は、内容部分の記載の前後どの位置でも問題ありません。

一般的な記載内容

陳述書の内容部分について、一般的には、以下のような事項を記載していきます。これを書かなければならない、といった決まりはありませんが、書き方としては、ご自身が主張したいことが伝わるよう、わかりやすく記載しましょう。箇条書きで記載しても構いません。

  • (自分と相手方の)氏名、年齢、現住所
  • (自分と相手方の)職業、勤務先、雇用形態、年収
  • 子供の有無
  • (子供の)名前、年齢、性別、学校または職業 ※子供がいる場合
  • 離婚調停を行うに至った経緯
  • 今後どうしていきたいか

離婚調停を行うに至った経緯を書くときのポイント

陳述書に記載する内容部分のうち、離婚調停の申立人にとって特に重要な部分といえるのが、「離婚調停を行うに至った経緯」です。離婚調停では、離婚だけではなく、慰謝料や親権といった離婚に伴う各条件についても話し合うことができますが、まず決めていくのが「離婚するかどうか」という点です。離婚を望む者としては、なぜ離婚したいと思ったのか、離婚を決意したことに正当性があると調停委員に伝わるように書くことがポイントになります。抽象的な内容ではなく、具体的事実を、時系列に沿って書いていった方が良いでしょう。参考として、相手のDVが原因で離婚を決意したケースの文例を挙げます

(例)〇年〇月、些細な喧嘩が原因で暴力を振るわれた。一度のことであれば我慢しようと思ったが、その後、〇年〇月~〇月にわたり、毎日のように暴力を振るわれるようになった。〇年〇月〇日には、顔を殴られたことで鼻骨骨折の傷害を負い、全治1ヶ月の診断を受けた。

証拠があれば提出する

ご自身の主張を裏付ける証拠がある場合には、別途提出することで、主張に正当性があると調停委員に判断してもらいやすくなるでしょう。証拠の有無は、離婚調停を有利に進められるかどうかに大きな影響を与えることもあります。相手方に知られたくない事項に関しては、非開示の申し出により、証拠を相手方に閲覧・謄写されないように対応してもらうことも可能です(ただし、非開示が認められるかは、裁判官の判断次第です。)。そのため、必要に応じて、「非開示の希望に関する申出書」も併せて提出し、相手には見られないようにすることをおすすめします。

DVやモラハラ、浮気、風俗通いが離婚原因の場合、証拠になり得るものについては、下記の各ページをご覧ください。

効果的な陳述書の作成は、経験豊富な弁護士にお任せください

陳述書は、調停委員に対し、ご自身の主張をわかりやすく、そして正当性があると理解してもらえるように作成することが大切です。様式にも書く内容にも決まりはないため、自由に作成できて楽だと感じる人もいれば、逆にルールがなくて作成に困ってしまうと感じる人もいるでしょう。

陳述書を作成する際は、まずは弁護士に相談してみることをおすすめします。弁護士なら、ご相談者様のお話をしっかりと聞き取ったうえで、法的知識に基づき、どのような陳述書を作成したら良いのか、ポイントを押さえて適切にアドバイスすることができますし、代わりに陳述書を作成することもできます。なかでも、離婚問題を数多く扱ってきた経験豊富な弁護士にご相談・ご依頼いただければ、より安心してサポートを受けられることでしょう。

離婚調停で有利な立場となれるかどうかには、陳述書の作成が重要な役割を果たすときもあります。効果的な陳述書の作成は、離婚問題の経験豊富な弁護士にお任せください。

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親権や金銭面等を陳述書に記載する場合

離婚調停では、離婚についてのみならず、離婚に伴う各条件についても話し合って決めていくことができます。親権や金銭面等、各種の離婚条件についても陳述書に記載する場合には、どのような点に気をつけていけば良いのでしょうか?次項より確認していきます。

親権、面会交流

未成年の子供がいる場合には、離婚時に親権について必ず決めなければなりません。親権を獲得したいのであれば、陳述書には、これまでどのように子供を監護・養育してきたのか、離婚後の子育てをどうするか等を記載し、ご自身の方が親権者として適格であると判断してもらえるようにすることがポイントです。

また、親権者とならずとも離婚後も子供との関わり合いが途切れないよう、面会交流を望む方もいらっしゃるかと思います。面会交流について陳述書に記載する場合には、特に、面会交流をしても子供に悪影響が生じるおそれはない、ということが伝わるように注意した方が良いでしょう。

親権と面会交流について、それぞれの詳しい内容は下記の各ページをご覧ください。

養育費、婚姻費用

親権を得て監護親となる者は、非監護親に対し、子供の養育費を請求することができます。子供を育てていくには、どうしてもお金がかかってしまいます。養育費を請求したい場合は、陳述書には、養育費としていくら請求するのか、請求額の根拠は何か、といったことを明確に示すようにしましょう。

また、離婚が成立するまでの間は、お互いの年収等に応じて婚姻費用を分担する義務を負い続けます。別居中の生活費に不安がある方は、相手が負担すべき婚姻費用はきちんと請求しましょう。陳述書に記載する際は、養育費と同様、具体的な請求額を明示し、その根拠も記載することがポイントになります。

養育費と婚姻費用について、それぞれの詳しい内容は下記の各ページをご覧ください。

財産分与

離婚する際、婚姻期間中に夫婦の協力で築いた財産は、財産分与することができます。原則、2分の1ずつの割合で分け合うことになりますが、対象となる財産で揉めてしまうこともあるため、どのように財産分与したいのかが伝わるように、わかりやすく陳述書に記載しましょう。また、原則の割合とは異なる割合で分け合うことを望むのであれば、その理由も記載すべきです。

財産分与についての詳しい内容は、下記のページをご覧ください。

慰謝料

相手に離婚原因がある場合、離婚せざるを得なくなったことや相手の行為によって、心に相当なダメージを受けてきたことでしょう。離婚する際には、このような精神的苦痛に対して慰謝料を請求することができます。陳述書には、どのようなできごとがあったのか、事実をわかりやすく記載することがポイントです。

なお、慰謝料請求には、請求理由となった事実を立証する証拠が必要だといえます。証拠がなければ、請求に正当性があると調停委員に理解してもらうのは難しく、相手が請求に応じてくれる可能性も低くなってしまうでしょう。

離婚慰謝料についての詳しい内容は、下記のページをご覧ください。

年金分割

婚姻期間中に納めた厚生年金保険料の納付記録は、離婚時に夫婦間で分割することができます。

この年金分割のうち、3号分割の場合、合意は要さずに2分の1の割合で年金分割することができるため、特に陳述書に記載する必要はないでしょう。

対して合意分割の場合、年金分割するには合意が必要であるため、按分割合で揉める可能性があります。年金分割を受けたいと思い、陳述書に年金分割について記載する際には、主張する按分割合(最大2分の1)が適当である旨を記載し、年金事務所に申請して取得した「年金分割のための情報通知書」のコピーを添付するようにしましょう。

年金分割についての詳しい内容は、下記のページをご覧ください。

さらに詳しく
年金分割のしくみ

陳述書で失敗しないための注意点

せっかく陳述書を作成したのに、本当に主張したいことが調停委員に伝わらなかったり、かえって調停委員の心証を悪くしてしまったりするようであれば、作成に失敗したといわざるを得ません。陳述書で失敗しないための注意点を、いくつかご紹介します。

客観的事実を書く

読み手にとって、何があったのか、その事実が判明しなければ、主張内容の背景がわかりません。そのため、感情論ばかりの陳述書では、ご自身の正当性を調停委員に理解してもらうことは難しいといえます。特に、離婚調停を行うに至った経緯については、客観的事実を書くように注意しましょう。

なお、陳述書を提出すれば、調停期日における口頭での説明が省略できるわけではありません。陳述書には事細かに事実を記載しているのに、当事者が実際の調停の場では口頭できちんと説明できないような場合、陳述書は代理人の「作文」なのではないかと疑われ、その信用性が大きく低下してしまうことがあります。

相手の悪口は書かない

離婚調停にまで発展しているのです。相手への不平不満を多くお持ちの方もいらっしゃるでしょう。だからといって、陳述書に相手の悪口を書くことは避けるべきです。相手の悪口ばかりを述べる者を、調停委員はどう思うでしょうか?「自分勝手な人」「感情をコントロールできない人」といったイメージを持たれ、心証を悪くしてしまうおそれがあります。

相手への反論ばかりにならないようにする

相手の主張内容が事実と異なっている場合、反論し、争点の一つとして話し合っていくことになりますが、陳述書を作成する際は、相手への反論ばかりにならないようにご注意ください。自分はどうしたいのか、強く主張したいこと、これだけは伝えておきたいと思うことも、きちんと記載すべきです。

陳述書を書く目的を見失わず、長文になりすぎない

陳述書は、ご自身の考えを伝えるものですが、思ったことをただひたすらに書き留めれば良いというものではありません。あまりに長文の陳述書では、本当に主張したいことは何なのか、肝心な部分が調停委員に伝わらなくなってしまうおそれがあります。陳述書の作成に失敗しないためには、長文になりすぎないよう、端的にわかりやすく書くことがポイントの一つです。何を伝えたくて陳述書を作成することにしたのか、陳述書を書く目的を見失わないようにしましょう。

伝えたい内容を項目ごとに整理する

陳述書を作成しても、そもそもご自身の考えが調停委員に伝わらなければ、離婚調停で有利な立場になることには繋がりません。自己満足ではなく、読み手にとってわかりやすい陳述書になるよう、伝えたい内容を箇条書きにし、その項目ごとにご自身の言い分を整理して記載していくというのも手です。

時系列で記載し、日時の誤記に気をつける

陳述書で失敗しないための注意点として、最初に「客観的事実を書く」ことをご紹介しましたが、調停委員への伝わりやすさを考え、時系列に沿って記載していくことをおすすめします。その際、記載した内容を疑われる事態となることを防ぐため、日時の誤記には気をつけましょう。

離婚調停で提出する陳述書の記載に不安がある場合は弁護士に一度ご相談ください

離婚調停において、陳述書は必ずなければならない書類ではありませんが、陳述書があることで、ご自身に有利に離婚調停を進められる場合があります。また、調停の場でうまく話せるかどうか不安がある方にとっては、事前に陳述書を提出してご自身の言い分を伝えておくことで、落ち着いて調停委員に向き合えるというメリットをもたらすことでしょう。

しかしながら、陳述書の記載内容によっては、調停委員の心証を悪くしてしまったりする等、かえって不利な立場となるおそれもあります。離婚調停で提出する陳述書の記載に不安がある場合は、まず一度弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。法律の専門家である弁護士が、ご相談者様の状況に合わせ、効果的な陳述書を作成できるようサポートいたします。

当事者間の合意に至らず、離婚調停が不成立となって終了し、離婚裁判を行うことになった場合、離婚調停で提出した資料が影響することもあります。後に不利益を被る事態とならないよう、離婚調停で提出する陳述書を作成する際は、弁護士のサポートを受けることをおすすめします。

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