男性不妊で離婚したら慰謝料はもらえるのか

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治
この記事の監修
弁護士 谷川 聖治
弁護士法人ALG&Associates 執行役員

不妊治療は、心身共に大変なプレッシャーとなる辛い治療です。また、経済的な負担も大きいので、心の余裕がなくなってしまう方も大勢います。そんななか、夫に不妊の原因があると判明した場合に、離婚という選択肢を考えてしまう妻がいても、なかなか責められないのではないでしょうか。 

本記事では、不妊の原因が夫にある場合に離婚することはできるのか、できるとして夫に対して慰謝料を請求することはできるのかといった、男性の不妊を原因とする離婚で生じる問題について、説明していきます。

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不妊は男性にも原因がある?

加齢を考慮しない場合、不妊の原因が男性にのみある場合は約20%、その他、両方にある場合やそもそもどちらにあるのかわからない場合は約40%とされています。このように、不妊の原因が男性にある可能性は決して少なくありません。

男性不妊が原因で夫婦関係が悪化することも

不妊治療には、夫婦の協力が欠かせません。しかし、夫側が自分には原因がないと思い込み、不妊検査を受けてくれなかったり、渋々検査を受けてくれたとしても、夫側に原因があるとわかった場合には、妻の頭に「この人とでなければ子供ができるのでは……」といった考えが浮かんでしまったりすることもあるでしょう。こうした夫の態度や不妊という事実から、夫婦がすれ違い、関係が悪化してしまうことがあります。

男性不妊を理由に離婚はできるのか

離婚の方法にはいくつか種類があり、離婚の成否について、夫婦の合意に任せるか、裁判官の判断に委ねるかといった観点で2つに分けられます。

このうち、協議離婚と調停離婚は夫婦の合意によって離婚が成立するので、合意さえあれば、男性不妊を理由として離婚することもできます。これに対して、裁判離婚は、裁判官が「法定離婚事由」があると認めた場合にのみ成立します。

男性不妊は、法定離婚事由にも、直接的に該当することはありません。ただし、自身が不妊であることを知った衝撃や苛立ちから、妻に対するDVやモラハラ、一方的な別居を始めたような場合には、その他婚姻を継続し難い重大な事由に該当すると認められる可能性があります。
民法770条に定められている法定離婚事由について、詳しくは以下の記事をご覧ください。

男性不妊を原因とする離婚について悩んだら、弁護士に依頼してみましょう

「夫が不妊だから離婚したい」、このように言葉にすると、薄情に聞こえるかもしれません。しかし、子供を持つ・持たないは、人生における重大な選択のひとつです。男性不妊である夫が不妊治療に積極的であれば、まだ希望も持てるでしょうが、消極的だと、子供をもうけることが絶望的なように思え、「離婚したい」と考えてしまう方も少なくないかもしれません。どうしても子供が欲しいと考える妻にとって、夫が不妊であることはどうしようもない苦痛でしょう。

しかし、夫が離婚したくないと思っている場合、協議離婚や調停離婚をすることは困難でしょうし、ご自身だけでは、法定離婚事由の存在を証明し、裁判離婚を成立させることは難しいかもしれません。
そのような場合には、弁護士への相談をお勧めします。離婚問題を解決した経験が豊富な弁護士であれば、証拠集めから法廷での主張・立証まで、安心して任せられるので、裁判離婚が成立する可能性が高まるでしょう。

男性不妊が原因で離婚する場合、慰謝料は請求できるのか?

男性不妊を原因として離婚する場合、夫に対して慰謝料を請求できるのでしょうか。以下、慰謝料を請求できる根拠を交えて説明します。

男性不妊だけを理由に慰謝料は請求できない

不妊は夫婦どちらかに責任があるわけではありません。したがって、基本的に、不妊自体を原因として慰謝料を請求することはできないと考えられます。

もっとも、慰謝料の請求自体が禁止されるわけではないので、夫婦間の合意があれば、支払ってもらうことも可能でしょう。

男性不妊以外に離婚する原因があれば請求できる

自身が不妊であると知ったことをきっかけに、妻に対してDVやモラハラをし始めたり、性交渉を拒むようになったり、一方的な別居を始めたり、妻が夫の不妊症に悩みすぎてうつ病になってしまったりしたような事情があれば、離婚に関する責任は夫にあるといえるので、慰謝料を請求することができるでしょう。

離婚時に慰謝料を請求する方法

男性不妊を原因として離婚する場合、どのような手順で慰謝料を請求すれば良いのでしょうか。詳しい内容については以下の記事で解説していますので、お読みください。

さらに詳しく
離婚慰謝料請求の流れ

男性不妊に関する慰謝料請求の裁判例

ここで、男性不妊を原因として離婚した場合に、妻側からの慰謝料請求が認められた裁判例を紹介します。

京都地方裁判所 昭和62年5月12日判決

事案の概要

本事案では、夫が妻に自身が不妊であることを隠して結婚したことと、夫の不妊に起因して婚姻生活が破綻したために妻が精神的損害を被ったことを理由として、妻から夫に対して慰謝料が請求されました。

裁判所の判断

この請求について、裁判所は、自身に不利な事情を単に告知しないことが、一般的に不法行為となることはないとしたものの、「告知されなかった結婚の条件が、婚姻の決意を左右すべき重要な事実であり、その事実を告知することによって婚姻できなくなるであろうことが予想される場合には」、告知しないことが信義則上違法とされ、不法行為責任が肯定される場合があると判示しました。

そのうえで、「婚姻生活における性関係の重要性」と「性交不能は子供をもうけることができないという重要な結果に直結すること」を考慮し、本事案のように、結婚する際に相手に自身が不妊であるということを告知しないのは、信義則に照らして違法であると判断しました。

以上のような事実認定の結果、妻の夫に対する慰謝料請求が200万円の限度で認められました。

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男性不妊による離婚慰謝料に関するQ&A

Q:

夫が不妊症であることを隠されたまま結婚しました。子供が欲しいので離婚を考えていますが、慰謝料の請求は可能でしょうか?

A:

可能だと思われます。
法律上、婚姻生活において子供を授かることができるかどうかは重大な要素であると考えられているため、不妊症である事実は結婚生活に重大な影響を及ぼします。そのため、不妊症であることを隠していた夫の行為は不法行為に当たります。したがって、不妊症であることを隠したまま結婚したことについて、慰謝料を請求することは可能だと考えられます。

裁判例でも、性交不能であることを告知せずに結婚した事例において、慰謝料請求を認めたものがあります。

Q:

男性不妊が原因で夫婦仲が悪化し、夫が勝手に別居を始めました。離婚して慰謝料を請求することは可能でしょうか?

A:

可能だと考えられます。
夫婦には法律上、同居義務・扶助義務が定められており、同居し相互に扶養し合うことを義務付けています。つまり、勝手に別居を始めることは同居義務・扶助義務に反する行為であり、法定離婚事由である「悪意の遺棄」に当たります。

したがって、この場合、離婚に関する責任は勝手に別居を始めた夫にあると考えられるので、慰謝料請求をすることができるでしょう。

男性不妊による離婚慰謝料について、ご不明な点があれば一度弁護士にご相談ください

不妊治療は苦痛を伴うものです。そのため、いつしか治療に対する熱量等に差が出てきて、心の距離があいてしまう夫婦も少なくありません。心の余裕もなくなりがちですから、不妊の原因が夫にあるとわかっている場合には、風当たりが強くなってしまうこともあるでしょう。
しかし、一度は人生を共にしようと考えた相手なのですから、一旦立ち止まって、本当に離婚を望んでいるのかどうか、考えてみてはいかがでしょうか。

それでも離婚の決意が変わらない場合には、弁護士にご相談ください。ご主人が離婚に納得するよう説得しますし、離婚裁判になった場合でも、法定離婚事由の証明や慰謝料請求について代行します。
弁護士法人ALGは、ご依頼者様の心に寄り添った対応を努めていますので、ぜひ弁護士への相談をご検討ください。

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